プログラミングの設計の流れは?設計の9つの流れと役立つツール5選

プログラミングとは?

プログラミングとは、プログラムが動作するよう実行手順を記述していく作業のことです。プログラムは技術者が実行手順として判断方法を記述しない限り、事象の判断をすることはできません。

プログラミングは、何が起きたら何をするといった、想定される事象を記述し、それぞれの事象に対して判断と対処を与える作業です。プログラミングによって事象ごとに正しい対処方法を教えられたプログラムは、人間の想定通りに動作します。

プログラミング設計の9つの流れ

プログラミングは、プログラミング言語を使って実行手順を記述していきますが、一般的にはいきなりプログラムを書くわけではありません。どう動作させるか検討し、設計書を作成したうえで、設計書に沿う形でプログラミングを行います。

ここでは、プログラミングに向けて設計をどのような手順で行っていくのか、各手順について紹介します。プログラミングに向けて設計の流れを理解しましょう。

プログラミング設計の流れ1:何が問題なのかを明確化する

プログラミング設計をする際は、設計書の作成に取りかかる前にプログラムの目的を明確にしましょう。システムは、現在の状況を改善するために導入されます。

業務用のプログラムやツールとしてのプログラムを作成する場合は、プログラムを動作させることで何を解決したいのか、現状をどう変えたいのかを明確にすることで、プログラムで実現すべき内容が明らかになります。

プログラミング設計の流れ2:問題解決のためのアイデアを練る

現状に対する問題点が明らかになったら、どうすればその問題を解決できるのかアイディアを出します。例えば、同じ作業を繰り返すことで、仕事のモチベーションが落ちてしまうのなら、「繰り返し作業」が問題の原点であることが明確です。

明らかになった問題を解決するためのアイディアを出し合い、効果的なアイディアを採用したうえでブラッシュアップする作業が、プログラミング設計の大事な作業となります。

プログラミング設計の流れ3:必要な仕様を決定する

プログラムを作成するきっかけとなる、現状の問題点と解決方法のアイディアがまとまったら、作成するプログラムに必要な仕様を検討します。

画面で対話形式に進めるのか、プログラムを実行してデータが生成されればよいのか、プリントアウトが必要か、エラー処理をどうするかなど、ひと動作ごとの「どうすればよいのか」が仕様になります。

画面仕様、機能仕様、帳票仕様など、これから検討すべきプログラム仕様を決定しましょう。

プログラミング設計の流れ4:データ構造、アルゴリズムを設計する

アルゴリズムとは、プログラム中で判断や処理を進めていく順序の定義だと考えれば良いでしょう。プログラム仕様として、どう処理結果を導き出すのかを設計します。使用するデータや、処理結果として出力されるデータの内容や形式をデータ構造として定義します。

画面仕様の場合は、画面に入力されるデータの種類や桁数などを定義し、そのデータをどう加工し、加工した値をどのような形式で出力するかを設計します。

プログラミング設計の流れ5:フローチャートを作成する

プログラミングの流れを整理するために、フローチャートを作成します。フローチャートでは、処理・判断・データなどを形で表し、順序を追って処理を作成できます。

フローチャートを使ってひとつひとつの実行順序を追って書いていくことで、言葉のみでプログラムの処理の流れを作成していくよりも、処理の抜けや重複などを防げます。フローチャートを書くことで、仕様担当者の頭の中も整理できます。

プログラミング設計の流れ6:プログラムの誤りを探し出す

プログラム設計を行う際、ミスや漏れがないように注意していても、最初から誤りがゼロの設計をできるわけではありません。プログラミング設計の中では、設計者や実装者の誤りを早期に見つけ出すために、工程ごとにレビューを行います。

設計段階では設計書のレビューを、実装段階ではコードレビューを行います。レビューは「読み合わせ」のイメージで、実装段階では、実際にプログラムを動作させて誤りを発見することもあります。

プログラミング設計の流れ7:プログラムの修正を行う

レビューで設計やプログラミングの誤りを発見した場合は、修正を行います。プログラミング段階で設計ミスが発覚した場合は、設計に戻り、設計を修正した後、修正後の設計に基づいてプログラムを修正します。

プログラムの実装が完了し、テスト工程に移ってからプログラムの不具合が発覚することもあります。レビューで発見できなかった誤りが残っていることがあるためです。そのときも誤りが入り込んだ工程に戻って修正を行います。

プログラミング設計の流れ8:プログラム開発の記録する

プログラミングは、設計からプログラムの実装まで全く修正なしで進むことはほぼありません。レビューやテストにより誤りを発見するごとに、誤りが作りこまれた工程に戻り、修正を行います。

設計書の修正結果とプログラムの修正結果の整合を取るためにも、誤りを修正した記録はこと細かに残しておく必要があります。設計書、プログラムともに、版数と修正の履歴を残し、版数ごとに修正履歴を追えるようにしておきましょう。

プログラミング設計の流れ9:利用者のための使用説明書を作成する

プログラムが完成し、利用者が使い始めるときには、プログラムの使用説明書が必要になります。

企業システムの場合は、プログラミング担当者ではなく企業側で利用マニュアルを作成することが多いものの、単発のプログラムでは設計からマニュアル作成までプログラミング担当者が一貫して担当することもあります。

利用者用の説明書は設計書と異なり、ITに不慣れなプログラム利用者でも理解できるように記述しなければなりません。

プログラミング設計に役立つツール5選

プログラミングに先駆けて設計を行うとき、従来はWordやExcelを使って設計ドキュメントを残していました。WordやExcelは設計専用ではないので、設計にあわせたフォーマットを考案して使うのが一般的でした。

スピード感の求められる現在では、時間をかけてドキュメントを残せるような時間的余裕がなくなり、設計専用のツールが用いられることも増えています。ここでは設計に役立つツールを紹介します。

プログラミング設計に役立つツール1:astah*

astah*は「ソフトウェア開発から安全性論証まで技術者をサポートするソフトウェア」と謳われており、設計時のUMLやフローチャート、システムのモデリングツールもあれば、安全性に関するツールも提供されています。

設計時にやらなければならないことがツールに詰まっているので、ツールを使うことでもれなく設計が行えます。マインドマップも使えるため、考えを整理するときも役立ちます。

プログラミング設計に役立つツール2:draw.io

draw.ioは、Webブラウザ上で動作する作図ツールです。手描きでないと表現しづらかった図をブラウザ上に美しく再現することも可能です。

Webブラウザを使ってオンラインで描画するというと、レスポンスが遅いのではないかと懸念されますが、問題なく使えます。無料ですぐに使い始められるので、設計時に使えるのか試してみるのも良いでしょう。

プログラミング設計に役立つツール3:easel.ly

Easellyは情報のビジュアル化を行えるツールです。提供されているテンプレートを活用して、無機質なテキスト形式で提供されている情報に視覚的な華やかさを備えることができます。

テキストばかりでは読む気に慣れない情報も、テンプレートを使ってインフォグラフィックに仕上げると、人の目を引くことができます。テンプレートには、文字を追加したり、イラストを追加したりすることも可能です。

プログラミング設計に役立つツール4:Cacoo

Cacooは、フローチャートやワイヤーフレームを作図することができる、オンライン作図ツールです。チームで図を共有して、編集することも可能です。

オンライン作図ツールなので、メンバーが離れた場所にいても、ネットワークを介して情報共有が可能です。図にコメントも入れられるので、オンライン会議やテレワークでの活用も見込めます。

プログラミング設計に役立つツール5:Text2 Mind Map

Text2 Mind Mapはマインドマップを作成するときに使いやすいツールです。Text2 Mind Mapはブラウザ上で動作し、テキストを入力すれば作図部分はツールがおこなってくれます。

作成結果はWeb上に保存することもダウンロードしてローカル保存することも可能です。マインドマップのデザインアレンジが可能なので、設計標準に合わせたデザインで活用できます。

プログラミングで守るべきポイント5つ

プログラミングは、プログラムを実現するための処理順序を記述するものですが、ただプログラミング言語を並べていけば良いというわけではありません。

プログラミングの際は、最低限守るべきルールともいえるポイントがあります。プログラミングの際に守るべきポイントを理解し、自分にしかわからない独りよがりのプログラムになってしまうことや、冗長的な記述を含むプログラムになってしまうことを避けましょう。

守るべきポイント1:データや処理には適切な名前をつける

プログラミングをするとき、プログラム内部で使うデータは変数と呼ばれる「器」に入れて扱います。変数には固定値を代入して使うこともあれば、計算結果を代入して使うこともあります。処理を呼び出すことも多く、処理にも名称をつけることがあります。

データや処理には、判別しやすく短めの名称を付け、プログラミングを担当した人以外の人が参照したときでも、処理の流れがわかりやすいように命名します。

守るべきポイント2:同じことをするプログラムは作成しない

プログラミングはプログラム処理を実行する順に書いていきますが、一定の処理を行ったと、再度前と同じ処理を行うときには、同じ処理をすべて記述するのではプログラミングの効率も悪く、実行時のスピードも遅くなります。

同じ処理が何度か使われる場合は、処理に名前を付けて「呼び出す」方式や、処理を切り出して「部品」として扱う方式にするなどの対応をします。同じ処理を複数回記述することがないよう気をつけましょう。

守るべきポイント3:プログラムには1つの与えられた役割だけを行わせる

プログラムの冗長化を防ぐために、同じ処理を複数回書かないことが大切ですが、1つのプログラムに複数の役割を持たせないことも大切です。

共通した処理があるプログラムを呼び出して使おうとした場合に、対象となるプログラムに別の処理も組み込まれていたら、結局使いまわしができないことになってしまいます。処理を切り分け、役割ごとにプログラムを作っておくと流用が可能になります。

守るべきポイント4:プログラムは独立させる

プログラムは単独で扱えるように作成します。プログラムの中から別の処理を行うプログラムを呼び出すこともありますが、入れ子状態となるのでプログラムの構造を把握するのが難しくなります。

メインプログラムからサブプログラムを呼ぶことはあっても、サブプログラム同士が呼び合うような複雑な構成にはせず、サブプログラムは単独で動作するように作成しておくと、設計も実装もすっきりと行えます。

守るべきポイント5:プログラム同士の関係を見える化する

プログラムを独立させても、複数プログラムの間で関連は持たせます。どのプログラムからどのプログラムを呼び出す、逆にこのプログラムを呼び出すプログラムにはどのようなものがあるか、といった双方向での関連性を、設計書の中に記述します。

プログラム同士の関係性は、言葉のみで説明するより関連図のように図示し、記号化した方が理解しやすく、記載漏れも防げます。

プログラミング設計の流れを知り実際に設計してみよう!

プログラミングを行ううえでの設計の必要性や、設計手順を理解できたでしょうか。プログラミング設計の流れを概略的にでも理解できたら、実際に設計に取りかかってみましょう。

実際に設計作業をしてみることで、概略的な理解から経験に裏付けされる深い知識に代わります。