インフラエンジニアに必要なスキル9つ|効果的なスキルマップの作成例

インフラエンジニアとは?

まずインフラエンジニアとは、ITエンジニアの一種で、ITインフラの設計や構築、また運用保守を行うエンジニアを指します。

ITインフラとは、サーバーとユーザーの間をつなぐネットワークや、情報を蓄えたり、その情報を要求への応答として返したりするサーバーなど、ITサービスの基盤となるもののことです。

平均年収は約500~600万円と、ITエンジニアの中では高額です。またインフラエンジニアの仕事には、幅広い知識とコミュニケーション能力が必要です。

インフラエンジニアが必要なスキル9つ

インフラエンジニアには、技術面と対人面で必要なスキルが分かれます。

サーバーやネットワーク、設計・構築や運用・保守など、担当によって異なる、幅広い知識やスキルが求められるので、それぞれ解説していきます。これからのキャリアに向けて参考にしてください。

インフラエンジニアに必要なスキル1:プログラミング知識やスキル

まずプログラミング知識やスキルですが、必須ではないものの、シェルやパッチワークとよばれる、サーバー上で動作するプログラムを構築することがあります。

サーバー担当ではなくても、仕事の幅を持つためにも、習得しておけば年収アップにもつながるかもしれません。

インフラエンジニアに必要なスキル2:設計スキル

インフラエンジニアは、設計工程を担当するので、設計スキルは必須になります。習得が難しいと敬遠する人も多いかと思いますが、IT設計スキルについての参考書や講座などが多く提供されており、比較的に学習環境は整いやすいでしょう。

担当部分によって年収に差が出るインフラエンジニアは、キャリアアップを考えたときに設計スキルが役に立ちます。是非、身につけておきましょう。

インフラエンジニアに必要なスキル3:セキュリティ設定や製品知識

働く企業によっては、セキュリティ設定もインフラエンジニアが担当します。設計には、セキュリティ対策が必須だからです。対策にセキュリティ製品を使うので、製品の知識があると、スムーズに仕事が進むでしょう。

また、セキュリティ対策は一般的にベテランのサーバーエンジニアが担当し、インフラエンジニアは、運用や保守がメインなので、セキュリティの知識がそこまで深く求められることは少ないかもしれません。

インフラエンジニアに必要なスキル4:ヒアリング力

インフラも含め、多くの場合はチームでシステム構築・運用を行います。ですので、チーム内でのコミュニケーションがスムーズでないと、業務に支障が出てしまいます。また、他企業のクライアントや他の部署との連携を必要とする場面では、相手の要望をヒアリングし、提案します。

ヒアリング力は基本的に、現場で身についていくものですが、ヒアリングのコツなどの書籍も多くあります。現場を知る前に、学習するのも良いでしょう。

インフラエンジニアに必要なスキル5:サーバーの知識

サーバーの運用・保守は、インフラエンジニアの主な仕事になるので、サーバーの知識は必要不可欠です。

近年では、クラウドサーバーを構築に使うものが主流になっており、AzureやAWSといった主要なクラウドサーバーのスキルや知識も求められます。また、既存のサーバーにはWindowsやLinuxのスキルや知識も必要なので、両方を覚える必要があります。

インフラエンジニアに必要なスキル6:マネジメント力

システム構築や運用・保守は、チームで進めていきます。その中でも、マネジメント職に就くリーダー以上のインフラエンジニアには、マネジメント力は必須になります。

マネジメントは上流工程で求められることが多いですが、運用や保守の工程でも、エラーが出てしまった時の対応、障害管理、顧客への報告などが発生します。そこでチームのマネジメントが必要になるので、どの工程でも求められるスキルです。

インフラエンジニアに必要なスキル7:クラウドサーバーの知識

前述のように、現在はクラウドサーバーが主流になりつつあります。

もちろん、既存のオンプレミス型のWindowsやLinuxも覚える必要はあります。合わせて、クラウドサーバーの中でも、AWSやAzureなどのよく使われているものから、スキルマップ作成時に評価に組み込むと、インフラエンジニアの仕事効率アップや、スキルアップに役に立つでしょう。

インフラエンジニアに必要なスキル8:ネットワーク知識

インフラエンジニアの仕事は、企画設計、日々の運用・監視とさまざまですが、それぞれの場面で必要になるのが、ネットワークの知識です。

顧客の要求を満たしたインフラ構築をするために、どのような接続をしていくのか、全体を考えた上で設計していきます。未然にトラブルを防ぐために負荷を分散させたりするのも、ネットワークの知識が必要になるので、スキルマップに入れて学習を促進するようにしましょう。

インフラエンジニアに必要なスキル9:提案力

顧客のニーズを満たした提案を行うことは、スムーズに仕事を進めていくために重要になってきます。そのためには、内容を分かりやすく説明したり、顧客を説得したりできるような技術も必要になってくるでしょう。

ヒアリング力と共に、要件を組み込んだ企画を提案する力も、身につけておくと良いスキルです。

インフラエンジニアが取得しておいた方が良い資格

インフラエンジニアになるには、特に資格は必要ありません。実際には、資格がなくても勤務している人もいるでしょう。

しかし資格があると、自身の実力の証明にもなります。また、資格の学習の際に、新しい発見があり、それを仕事に活かすことも可能です。

ここからは、サーバーエンジニアとネットワークエンジニアに分けて、お勧めの資格を紹介していきます。

サーバーエンジニア

インターネットには欠かせないサーバーを、何もないところから構築・設計して、管理や保守をするのがサーバーエンジニアです。

後述するネットワークエンジニアとは仕事のフィールドが異なり、必要な資格も違います。

Linux1~3

Linuxは、現在使われているサーバーで高いシェアを持っているもので、認定試験があります。

有名な資格に、「LPIC」と「LinuC」の2つがあり、それぞれレベル1~3のグレードに分かれて実施されます。LPICは、世界共通のLinux資格であり、LinuCは、日本の市場に最適化された資格です。

これらの資格は、Linuxを使いこなせる技術者としての証明にもなり、キャリアアップにも役立つでしょう。

ネットワークエンジニア

ネットワークエンジニアは、サーバーエンジニアと混同されることもありますが、対象が異なります。主な仕事はデータの送受信がスムーズに行えるように、ネットワークシステムを、構築・運用していくことです。

システムの運用に必要なネットワークを構築するため、外部機器やケーブルなどの設定も行います。さまざまな業務をこなしていくために、資格の勉強をしておくと理解がスムーズになるでしょう。

CCIE

CCIEは、シスコ技術者認定のなかで、5つのグレードがあるうちのエキスパートレベルの認定試験です。

シスコ全般や、ネットワークシステムの専門知識を、高い水準で保有することを証明できる資格です。ネットワークエンジニアの間では、CCIEが価値のある資格になっています。

CCNA

CCNAは、シスコシステムズ社が実施する、ネットワークエンジニアの技術を認定する試験です。世界的な大手のネットワーク関連機器メーカーである、同社のCatalystスイッチ、Ciscoルータに関する技術力や、ネットワーク技術の証明にもなります。

こちらは世界共通の資格であり、ネットワークエンジニアを目指していくのであれば、スキルマップに入れておくと良いでしょう。

CCNP

CCNPは、CCNAの上位資格です。プロフェッショナルの位置づけで、大規模なネットワークの導入や、運用・保守を行うことができる技術を持っていることが証明されます。

試験は分野ごとに8つに分けられ、そのうちの1つに合格してから、3年の間に8つ全てに合格すればCCNPの資格が取得できます。そして8つのうち6つは、英語での受験が必須です。

受験の前提条件として、CCNAを取得している必要があります。

インフラエンジニアのスキルアップ方法4つ

インフラエンジニアの仕事には、さまざまな業務があり、スキルアップのために、どこから学習して良いのか悩む人も多いでしょう。

スキルアップに向けて、資格取得やスキルマップを作成し、それを基に足りない部分を補うように学習するなど、いろいろな方法があります。

その中から、今回は4つ紹介していきます。

インフラエンジニアのスキルアップ方法1:スキルマップを作成する

まず1つめは、スキルマップを作成することです。スキルマップとは、その人の技術や能力を可視化したものを指します。

スキルマップは業務を行うにあたり、必要なスキルを細分化し、項目ごとにどのレベルで遂行できるのかを、客観的に数値化して、表に評価を記入します。

スキルマップを作成するメリットとして、自分の能力が客観的になることで、今後の明確なキャリアの道筋が見え、モチベーションを向上させることがあります。

スキルマップとは

一般的にスキルマップは、「業務を行うために必要なスキルを分類し、どのようなレベルでその業務を遂行できるのかを、数値で記入し評価する一覧表になっているもの」を指します。

スキルマップによって、個人を客観的に評価することが可能になり、その部署の人材の能力の偏りなども分かるため、人員の補充時にも必要な能力の人を配置することができます。

スキルマップの例

以下のようなスキルマップを作成することによって、技術力の可視化が可能になり、どの社員がどんなスキルをもっているのか、分かりやすくなります。

スキルマップを作成する際に、気を付けなければならないのは、評価をして記入する人が主観を入れてしまい評価がブレないようにすることです。リスク管理や個々の能力強化、適正な人員配置のような、業務効率化のためにスキルマップを役立てましょう。

メンバー名サーバー知識コミュニケーション設計プログラミング
田中
佐藤
吉川
鈴木

インフラエンジニアのスキルアップ方法2:資格を取得する

資格は自分の技術の証明です。資格を取得する際の勉強は、自分のスキルアップにもつながります。

同じインフラエンジニアでも、資格の有無で年収も大きく異なります。最近では、技術のトレンドも進化が激しく、変化に柔軟に対応するためにも、勉強を続けることが望ましいでしょう。

インフラエンジニアのスキルアップ方法3:トレーニングサービスを活用する

MicrosoftではMicrosoft Learn、GoogleではGoogle Cloudトレーニング、AmazonではAWSトレーニングなど、大手企業ではトレーニングコースをオンライン・オフライン共に提供しています。

それぞれの企業製品のスキルが身につくだけでなく、資格試験の内容も学べるため、資格の取得を目指している人にとっては、最適な学習環境になるでしょう。

インフラエンジニアのスキルアップ方法4:スクールを活用する

インフラエンジニアの仕事内容の範囲を学べるスクールもあります。数は多くありませんが、ネットワークスペシャリストのコースとして提供されており、転職支援サービスを行ってくれるスクールも存在します。

運用保守の担当からキャリアアップを目指している人は、こうしたサービスを活用してみるのも良いでしょう。

スキルマップを使いインフラエンジニアの底上げをしよう!

この記事では、インフラエンジニアに必要なスキルと、スキルマップについて解説しました。

設計・構築、運用・保守で、求められるスキルは異なります。どのような仕事をしたいのか、自分で明確にした上で必要なスキルや知識を身につけていくことが重要です。

また、近年ではオンプレミス型ではなく、クラウドサーバーを使用した構築が主流になりつつあります。インフラエンジニアを目指すのであれば、学習しておくと良いでしょう。