データベーススペシャリストの年収についての詳細2つ|試験対策方法を解説

データベーススペシャリストとはどんな人?

データベーススペシャリストとは情報処理の専門家で、企業が持つ様々なデータを管理します。また、それぞれのデータに容易にアクセスできるよう、効率的なデータベースシステムを構築するのが主な仕事内容です。

データベーススペシャリストの年収についての詳細2つ

データベーススペシャリストには、データベース全般についての専門的で深い知識が必要となります。また、その専門知識を活かして、会社員としてではなくフリーランスで仕事をするエンジニアもいます。

エンジニアから中小企業診断士になる方もいますが、データベーススペシャリストになると、どのくらいの収入を得られるものなのでしょうか。

年収についての詳細1:データベーススペシャリストの平均年収

データベーススペシャリストの平均年収はおよそ330万円から750万円です。会社員全体の平均年収がおよそ470万円なので、特別高い印象はありません。しかし、資格を持っている場合には年収が高くなる傾向があります。

また、データベーススペシャリストには会社員だけでなく、専門知識を活かしてフリーランスで働く人もいますが、フリーランスの平均年収は800万円前後と会社員の場合より高めとなっています。

年収についての詳細2:データベーススペシャリストの年収が高い理由

同じ会社員エンジニアであったとしても、またフリーランスであったとしても、他のエンジニアに比べてデータベーススペシャリストは年収がやや高い傾向にあります。

セキュリティスペシャリストやネットワークインフラを管理するインフラエンジニアのように、専門性の高いエンジニアの仕事はほかにもありますが、データベーススペシャリストの年収はなぜ高い傾向にあるのか見ていきましょう。

専門性が高い

データベースは日頃常に目にするものではありません。しかし、データベースがないと膨大な量のデータを保管していたとしてもそれを活用することは難しく、データベースの良し悪しで作業効率も変わってきます。

データベーススペシャリストはデータベースに関する幅広い知識が必要な専門職といえます。その専門性の高さから人材の需要も多く転職にも有利になるでしょう。同様に、新卒の就職に対する求人も多い傾向があります。

資格手当が支給される企業もある

勤める企業に資格支援制度やキャリアアップの制度があれば、データベーススペシャリストの資格を取得すると、企業によっては資格が評価され手当が支給されることもあります。

月々の給料に上乗せされる場合が多く、おのずと年収も上がっていくでしょう。また、資格手当のほかに報奨金が出る企業もあります。

他の資格にも資格手当はありますが、データベーススペシャリストの資格手当は他より高額で、年間10万円以上が平均です。

データベーススペシャリスト試験について

データベーススペシャリスト試験の歴史は、平成6年の試験制度改定により設けられたのが始まりです。受験資格や年齢に制限はありません。学生でも受験できますし、ITの初心者で全くの未経験であっても受験可能です。

受験料金は5,700円で、願書の提出期限は試験日の2~3ヶ月前までとなります。試験日程は例年4月の第3日曜日ですが、令和2年はコロナウィルスの関係で10月へと延期されました。

データベーススペシャリスト試験の詳細3つ

IT関係の資格はセキュリティエンジニア試験やテクニカルエンジニア試験、情報処理安全確保支援士などたくさんあります。その中でも、データベーススペシャリスト試験は難易度が高いです。

データベースを構築するのに、専門の本と実務の経験や社内外の研修があればカバーできるという考え方もあります。しかし、資格を取ることに意味がない訳ではありません。では、データベーススペシャリスト試験について詳しくみていきましょう。

データベーススペシャリスト試験の詳細1:上位国家資格である

データベーススペシャリストは経済産業省が認定している資格です。情報処理推進機構が運営している情報処理技術者試験の1つとなり、難易度の高い『レベル4』の上位国家資格です。

メリットとして、エンジニアとしての実力をアピールできたり、他の資格で免除を受けられたりする場合があります。そして、さらに上のデータサイエンティストの資格は、データベースに関する資格でオラクルマスターがありますが、こちらは民間資格です。

データベーススペシャリスト試験の詳細2:試験範囲が広い

データベーススペシャリスト試験は試験範囲がとても広いのが特徴です。データベースシステムの基礎理論や開発運用などの技術についてはもちろん、ITに関して広く出題されます。

パソコンの基礎やプログラミング知識などのテクノロジ系、コスト他のマネジメントやシステム監査などのマネジメント系、経営戦略的知識、会計財務等の企業活動、また、知的財産権などの法務関係を含むストラテジ系がすべて試験範囲となります。

データベーススペシャリスト試験の詳細3:選択式と記述式である

データベーススペシャリスト試験の試験様式は、選択式と記述式があります。選択式は四つの回答の中から問題文に沿って正しいものを選ぶ四肢択一です。

長い問題文を読んで回答を記述する記述式の問題もありますので、データベーススペシャリスト試験には、問題文を正しく読み取る国語の能力も求められます。読解力は必要ですが、小論文のような論述式の問題はありません。

合格率はどのくらい?

データーベーススペシャリスト試験は難易度が高い上位国家資格です。合格率のここ10年ほどの統計平均は16%前後となっています。最近の合格率の推移を見てみると平成29年度が14.5%、平成30年度が13.9%、平成31年度が14.4%です。

データベーススペシャリストの偏差値は67とかなり高めです。合格率を見ても、データベーススペシャリスト試験が簡単に合格できる資格ではないことがわかります。

データベーススペシャリストの試験内容4つ

データベーススペシャリスト試験は午前に選択式の試験が2回行われ、午後は記述式の試験が2回行われます。全ての試験で100点満点中60点以上で合格です。

午前1はテクノロジ系、マネジメント系、ストラテジ系の全ての範囲から出題されます。午前2はデータベース全般の知識や技術について、午後は1も2も午前2同様データベースに関する記述式の試験となります。それぞれどんな試験となっているのか見ていきましょう。

データベーススペシャリストの試験内容1:午前1

午前1は9時30分から10時20分の50分間で行われます。試験は一問一答の選択式の試験となり、出題数は30問です。

試験範囲であるテクノロジ系、マネジメント系、ストラテジ系の全てから出題されるので、午前1の試験は難しいと感じる受験者が多いようです。また、午前1の試験は応用情報技術者の資格を持っていると免除されます。免除期間は資格を取得してから2年間です。

データベーススペシャリストの試験内容2:午前2

午前2の試験は10時50分から11時30分の40分間行われます。午前1と同じく選択問題で、出題数は25問です。

出題範囲は午前1に比べるとかなり狭くなります。ER図や再現率、候補キーや外部キー、リレーションシップやトラザクション、スーパータイプについてなどデータベースに関する知識を問うものがほとんどで、かなり専門的な試験内容となっています。

データベーススペシャリストの試験内容3:午後1

午後1の試験は12時30分から14時の90分間で行われます。試験は記述式で、出題数は3問となり、3問中2問を選んで解答する形式です。

1つの問題につき設問は3つ程度で、さらにその中に小問題が3問程度あります。試験内容はデータベースを扱う上での様々なケースについて例年出題されており、1つの問題に対してのページ数は7ページ前後で、問題のボリュームに対して試験時間が短く、素早い読解力が必要です。

データベーススペシャリストの試験内容4:午後2

午後2の試験は、14時30分から16時30分の2時間行われます。午後1と同じく記述式で、出題数は2問となり、2問中1問を選んで解答します。

設問は3つ程度で、その中に小問題が3問程度ですが問題文は少なくても9ページ、多くなると14ページにもおよぶ長文です。そして、問題の内容もとても専門的で深い知識を問うものとなっていますので、問題を的確に理解する能力が必要です。

データベーススペシャリスト試験に向けた対策2つ

実務経験のない初心者の場合、合格するためには150時間から200時間の勉強時間が必要だといわれます。データベーススペシャリスト試験の試験対策にはどんなものがあるのでしょうか。

データベース試験対策の参考書や問題集は、たくさんの種類が出版されています。また、独学ではどうしても不安という場合には、専門学校や通信教育という方法もあります。

データベーススペシャリスト試験に向けた対策1:独学で勉強する場合

データスペシャリスト教科書や技術評論社の合格教本、翔泳社の情報処理教科書データベーススペシャリスト、極選分析など独学に適した本はたくさんあります。

持ち運びに便利なものやマンガでわかりやすいもの、対策に特化したものや、過去問題集など様々あり、電子書籍ならスマホで読むこともできます。他にもスマホの試験対策無料アプリを使って、移動や隙間時間に学習を進めるのも効果的です。自分に合った本や方法を選びましょう。

データベーススペシャリスト試験に向けた対策2:スクール・予備校で勉強する場合

データベーススペシャリストの資格を取るために、アイテックなど専門のスクールや予備校に通ったり、講座を受講したり、通信教育を利用するのも方法の一つです。

専門の機関だけあって教材もわかりやすく、オンラインでのサポート体制が整っている上、模擬試験やセミナーへの参加ができることなど専門学校ならではの利点があります。また、最近ではUdemyやクラウド型のeラーニングを活用する人も増えています。

データベーススペシャリストの年収を把握しよう

データベーススペシャリストの年収は平均で330万円から750万円と、会社員として働く場合は決して高くありません。しかし、資格を取ることで手当てがプラスされる企業もあり、フリーランスで働く場合は、年収800万円以上とより多くの収入を得ることが期待できます。

自分のエンジニアとしての知識とスキルを向上させ、収入を上げられるなどのメリットがあるデータベーススペシャリストは、挑戦する価値のある資格といえるでしょう。