AIの作り方5ステップ|おすすめツールや書籍もあわせて紹介!

AIを作るって難しい?

AI(人工知能)という言葉から、何が想像できるでしょうか。

リバーシ(オセロ)、チェス、将棋、テトリス、カードゲームや格闘ゲームの対戦、チャットなどの対話型AI、翻訳ツールなどなど、今やAIは、私たちの生活の至る所で活躍しています。

そしてとうとう、プログラミングや人工知能の働く仕組みについて専門的な知識がなくとも、容易にAIを作成することができるようになってきました。

AIを作るメリット

私たちの仕事や生活の中でも身近になってきたAIですが、知らずにAIの恩恵を受けるより、自ら能動的にAIと関われた方がより良い生活を送れるでしょう。

現在のAIが、何をどこまでできるのか、少しでも自分で操作して体験してみることで、漠然としか知らなかったAIの姿が見えてきます。

AI作りの前に必要なこと

インターネットに接続できる環境とコンピュータを操作できるデバイスがあれば、簡単なAI作り体験なら誰でも可能です。

重要なのは好奇心と、AIに何をさせたいかというニーズやアイデアでしょう。もちろん、AIを体験する側からAIを提供する側になるためには、より専門的な知識が必要になってきます。

しかし、まずは現在のAIがどのような作り方がされているのか、全体像をおおざっぱにでも把握してみましょう。

AIの作り方5つ

同じような処理の繰り返しが得意なAIですが、学習によって複雑な判断もできるように進化してきました。では、そんなAIが一体どのような手順で作られているのか、作り方を簡単に紹介します。

AIの作り方1:データ収集

AIは、まっさらの状態では、入力されたデータについて何も判断ができません。

判断基準を知るため、あるいは判断基準を自ら学習するために、膨大なデータが必要です。現在では研究・トレーニング用にデータそのものも無料で提供されており、自動でデータを収集してくれるサービスも存在しています。

AIの作り方2:モデル作り

モデルを設計する、という段階が人工知能の心臓部といっても過言ではありません。AIのモデル、というのはAIの「考え方のクセ」のようなものだと思ってください。

集めたデータを、コンピュータがどのように処理するのか、ラベル付けするのか、といった「考え方のルール」をコンピュータに設定します。

AIの専門家が設計した様々なモデルが存在し、専門家でなくとも簡便にモデルを微調整できるようにツールなどが公開されています。

AIの作り方3:組み込み

AIを使用する場面に応じてシステムに組み込む必要があります。このステップでは、初心者レベルでもプログラミングの知識が必要になってきます。

ユーザーの入力にAIが応じるように、各OSのソフトやスマホアプリに組み込んだり、あるいはユニバーサルにアクセスできるようにWebアプリに組み込んだりします。

AIの作り方4:動作チェック

モデルの精度をチェックします。用意したデータのうちの1つや、あるいはそれと似たようなデータを、期待通りにAIが処理をして結果を出してくれるか、AIの動作を確認します。

システム全体としても、バグの発生やエラーを出さないかなどもチェックします。

AIの作り方5:実装

AIが完成したら、いよいよ実装して運用です。

上述したようなWebアプリの形でインターネット上に公開したり、他のサービスと組み合わせて提供したり、社内業務で利用したりなど、場面ごとにフィットさせて実装すれば、オーダーメイドのAIができ上がります。

AI作りにおすすめのツール4選

今ではAIのモデルを作り上げるために、自前でプログラミング言語が実行できる環境を整えたり、大量のデータを処理するためのパワフルなマシンを導入することなく、作り方をサポートしてくれるサービスが提供されています。

ここでは手軽にAIが体験できるツールからビジネスにも応用できる本格的なツールまで、おすすめのツールを4つご紹介しましょう。

AI作りにおすすめのツール1:AIメーカー

ツイッターアカウントと連携するだけで、スマホからでもAIが作成できる、非常にカジュアルなツールです。認識させたいラベルとしてタグを入力することで、ツールが自動で学習に使用する画像データを収集し、画像分類の機械学習を手軽に実行できます。

他にも、各種データをアップロードすることで、学習済みモデルから、テキスト分析、音声からの文字起こしなどをしてくれるサービスが無料で提供されています。

AI作りにおすすめのツール2:Neural Network Console(SONY)

主にドラッグアンドドロップ操作でニューラルネットワークモデルを設計・最適化することができます。サンプルプロジェクトを用いてディープラーニングについて学べます。例として、画像認識、画像生成、画像セグメンテーションが挙げられています。

画像認識だけでなく、ベクトルデータを元にした数値推定やセンサーデータの分類分けといったモデルが、実際の商品に応用されています。無料で試用できるのは10時間分になります。

AI作りにおすすめのツール3:Cloud AutoML Vision(Google)

画像、動画、テキスト、CSV(表形式データ)のいずれでも機械学習モデルをトレーニングできます。例として、何千枚もの画像の分類分けが挙げられています。

AutoML Visionは、画像のどこに何が写っているかの情報だけでなく、画像に含まれるテキストも検出し抽出します。無料で試用できるのは利用料300USドル分になります。

AI作りにおすすめのツール4:IBM SPSS Modeler(IBM)

SPSS Modelerは、各種顧客情報、顧客のフィードバック、Eメール、ブログ、各種SNSなど、CSVデータやテキストデータから、概念、テーマ、感情、傾向などを抽出し、顧客分析や需要予測に役立てることが得意のようです。

また、郵便番号や住所などの、地理データの分析も提案されています。

無料で試用できるのは登録から30日間になりますが、大学関係者は、大学機関が発行しているメールアドレスを登録することでアカデミック版を無料で利用できます。

AI作りにおすすめの本8選

外部ツールを利用することで手軽にAIを作れますが、AIについてもっと知識を深めたくなってくることでしょう。

自分でゼロからAIを作ってみたい、よくわからないAIの仕組みをもっと詳しく知りたい、AIの可能性をもっと探りたい、そんなニーズにそれぞれ応えてくれそうな書籍を8冊ご紹介します。

AI作りにおすすめの本1:Pythonではじめる機械学習 —scikit-learnで学ぶ特徴量エンジニアリングと機械学習の基礎

動物の表紙で有名なオライリーが出版しているテキストです。学生必携と言えるでしょう。AIについて本格的に学びたい初学者に、まず推薦される教科書的書籍となっています。scikit-learnとはPythonで機械学習を実践するために使用される、主要なライブラリのひとつです。

機械学習というものは、どういったコンセプトで練り上げらたものなのか、そのためどのような処理に向いていて何が苦手なのか、どのように応用されていくのか、AIの作り方の肝とも言える機械学習モデルについて、基礎から網羅的に学ぶために必読の1冊です。

AI作りにおすすめの本2:ゼロから作るDeep Learning—Pythonで学ぶディープラーニングの理論と実装

こちらもオライリーが出版している、DeepLearningの理論と基礎を解説している学生必携のテキストです。ディープラーニングは、しばしば機械学習(Machine Learning)と対比されて語られます。

上記の『Pythonではじめる機械学習』が、プログラミングの実践によって機械学習について学べる構成になっているように、本書も、サンプルコードの実行を繰り返すことによってどういった仕組みや考え方から成り立っているのかを、実践しながら学べるように構成されています。

読者が、ディープラーニングの原理を“実感”できるように意図された1冊となっています。

AI作りにおすすめの本3:詳細!Python 3 入門ノート

プログラムが走る環境を実際に自分のマシンに構築してPython3を使いたいという初学者にとって頼りになる1冊です。

この1冊で、Pythonの初心者から中級者への足掛かりとなる知識までをフォローします。オライリーでもPythonの「入門」とうたった書籍はあるのですが、プログラミングの初心者がつまずきやすい所も本書は丁寧に解説しています。

プログラミングのことはよくわからないけれど、これから本格的にPythonでコードを書いてみたい、そんな方におすすめの1冊です。

AI作りにおすすめの本4:Excelでわかる機械学習 超入門

表計算ソフトであるExcelは、ほとんどのパソコンにインストールされているのではないでしょうか。Excelが手元にあれば、本書に沿って機械学習の仕組みについて体験しながら学ぶことができます。

機械学習は様々な数学的思考や統計手法に基づいて設計されていますが、その数式を元に機械学習の原理を紙とペンだけで学ぶのは非常に骨が折れます。

しかし本書によって、Excelに組み込まれている関数を利用することで、機械学習の数学的側面について考えることが身近になるのです。

プログラミング言語を学習したり開発環境を用意することなく、AIの概要を掴むにはよい1冊と言えるでしょう。

AI作りにおすすめの本5:退屈なことはPythonにやらせよう

社会人プログラミング初心者にかなりおすすめの、オライリーが出版している副読本的書籍です。

マイクロソフトOfficeは業務で使用しているけれど、プログラミングなんて全く触ったことがない、というような人に向けて、大量のページを割いて懇切丁寧にPythonの日常業務への導入を提案してくれています。

日々のパソコン業務の自動化のアイデアが、プログラマーが本業でない方にとってもわかりやすいように、チュートリアル方式で詳細に解説されています。

プログラミングについて全く前知識のない状態から、Pythonを実行し、本書に載っている様々な例に類似したタスクについて自動化を適用できるような段階まで、カバーしてくれる1冊となっています。

AI作りにおすすめの本6:すぐに使える!業務で実践できる!PythonによるAI・機械学習・深層学習アプリのつくり方

この本は、ある程度Pythonプログラミングに親しんでおり、学びはじめた機械学習やディープラーニングを、実際の社会に役立ててみたいと考えている中級者以上の方におすすめです。

Pythonを少し齧ってみたけれど、AIの作り方の引き出しをもっと増やしたい、具体的に実生活にどのように応用できるのか、その例を知りたいという方に、使用するライブラリやサンプルコードも例示しながら、豊富に列挙してくれる1冊となっています。

AI作りにおすすめの本7:Pythonと実データで遊んで学ぶ データ分析講座

この本も、ある程度Pythonプログラミングに親しんでいる方に向いています。学びはじめたAIや機械学習について、実社会のデータを使ってAIの作り方についてもっと学びたい、中級者以上の方におすすめです。

本書の特徴は、「APIで自由に取得できる、様々な企業が提供しているデータ」および「国が提供している統計データ」などの、実社会で得られるデータ(実データ)を題材に使用している点です。

そのため、複雑で面倒に感じやすいデータ分析の操作も、より身近でリアルに感じながら、学習を進めることができます。

本書は、AIの根幹であるデータ分析に重きを置いているため、Pythonだけでなく、統計ソフトで使用されるR言語についても言及されています。

AI作りにおすすめの本8:人工知能の作り方

こちらは、これまでに紹介してきた書籍群とはちょっと毛色が違います。

ゲームAI(Game AI)というものを軸にして、ゲームに応用される様々なAI技術やゲームAIに関わる多種多様な知識まで、ヴァーチャルでもリアルな世界観の作り方を俯瞰させてくれる1冊となっています。

ゲームのキャラクターという、より人格を感じさせてくれるAIを構築するゲームAI技術は、一般の方が人工知能という言葉から連想しやすい分野のひとつと言えるでしょう。

AI作りの学習法4選

遊びを通して気軽に触れ合えるAIもあれば、ビジネスの即戦力としても期待できそうな本格的なAIツールもあること、書籍の紹介ではPythonや機械学習といった専門用語も登場しました。

そんな奥の深いAIの作り方について、もっと学びたいと思った方に、AIを学ぶ方法についてご紹介します。

AI作りの学習法1:本で学ぶ

オンラインで手に入る教材も溢れている昨今ですが、書籍としてまとまっている教材に勝るものはなかなかありません。やる気さえあれば、上記でご紹介したような様々な参考書や副読本をテキストに、誰でもAIの作り方やプログラミングを独学することができます。

また、リファレンスはプロフェッショナルになっても手元に置いて何度も読み返すことになるでしょう。

AI作りの学習法2:無料体験を活用する

上記でご紹介したような公開ツールの無料体験を通して学んだり、プログラミングスクールなどの無料体験講座に参加してみましょう。

料金が発生しないので、気軽に学習を始められます。AIの作り方について学習を始めてみようか迷われているなら、ぜひ無料で体験できる機会を活用して、AIの世界をのぞいてみてください。新しい出会いが待っているでしょう。

AI作りの学習法3:スクールを受講する

料金は掛かりますが、一定の水準を担保しているスクールで学ぶのは、学習の到達度や学習速度について、やはり期待が持てます。専門家にわからない所をすぐに質問できたり、コンスタントに受講することで学習のペースややる気も維持しやすいでしょう。

スクールではAIの作り方について学ぶためのスケジュールとカリキュラムが組まれているので、迷うことなく効率よく、講師にリードしてもらいながら学べる所が特筆すべきメリットと言えます。

AI作りの学習法4:ブログを参考にする

AIの作り方の学習過程でわからない専門用語などに会ったらネットで検索してみましょう。関連する記事がヒットします。他の学習者や熟練者それぞれの立場から説明しなおされると、より理解が深まったり、知らなかったテクニックに出会う可能性もあります。

AIの作り方などに関して読みやすい記事を定期的にアップしているブログはフォローすると良いでしょう。

AIの作り方を学んで実践しよう

AIの可能性は、これからまだまだ発展していくことでしょう。AIに何ができるのか、自分の何に役立つのか、ここまで様々なことを紹介してきましたが、実際に自分の手で作って使ってみないと実感することは難しいこともあります。

少しでもAIを知ってAIを活用できるだけで、自分に合ったAIとの付き合い方を見つけることができます。この機会に、AIの作り方を学んで、他の人よりちょっとだけ未来を先取りしてみませんか。