Azure Storageの課金項目について

<始めに>

Microsoft社が提供するクラウド用オブジェクトストレージソリューション「Azure Storage」の概要と料金についての紹介です。

 

 

<Azure Storageとは>

Azure StorageとはAzure用ストレージサービスであり、Azure Storageを使用することによってクラウド上にデータを保存することが可能です。Azure StorageはPaaSに該当し、ストレージのインフラストラクチャはAzureによって管理・保守が行われるため、利用者の負担を軽減することができます。
料金はリージョン、ストレージアカウントの種類、ストレージの種類、冗長性、アクセス層(データの利用頻度)の選択によって変動します。必要に応じて様々なケースで利用することができます。

<リージョンの選択>

リージョンとは、クラウドサービスにおいてデータセンターを設置している完全に独立した地域のことです。現在、世界中に52のリージョンが公開されており、アメリカを始め、ヨーロッパ、アジア太平洋などの地域に幅広く存在しています。日本は「西日本」「東日本」の2箇所が存在します。選択するリージョンによっては利用できないサービス等も存在します。

<ストレージアカウントの種類>

・汎用v1アカウント
従来のBlob・Files・Queue・Table・Disk用アカウントです。最新機能については利用できない場合があります。汎用v2アカウントにアップグレードすることが可能です。

・汎用v2アカウント
最新機能がサポートされ、汎用v1とBlobストレージアカウントの全ての機能が組み込まれた基本的なBlob・Files・Queue・Table・Disk用アカウントです。ストレージ使用のほとんどのシナリオで汎用v2アカウントが推奨されています。

・Blobストレージアカウント
ブロックBlobと追加Blobに特化したストレージアカウントです。

 

 

<ストレージの種類と主な課金ポイント>

Azure Storageには「Azure BLOB Storage」「Azure Files Storage」「Azure Queue storage」「Azure Table storage」の4つのストレージタイプが存在します。各ストレージに対して、基本は以下の①〜③の項目で課金が発生します。ストレージアカウントを作成した際の選択項目(ストレージ アカウントの種類、リージョン、アクセス層、冗長性)や各ストレージオプションの追加によっても基本料金は変動します。

①データストレージ料金
Standardアカウントでは、保存データ量の日割り計算(ひと月は31日間)で1GB単位で課金されます。例えば、10日間50GBのデータを保存した場合、1日あたり平均利用量(50GB*10日/31日)16.12903GBとなり、ひと月分の利用料は(16.12903GB*31日間)となります。Premiumアカウントでは、利用量による課金ではなく選択しているディスクサイズごとに月額料金が決まっています。

②トランザクション量
トランザクションには、ストレージに対する書き込み/読み取り操作、削除など、あらゆる操作が課金対象としてカウントされます。

③データ転送量
Azureデータセンターから出ていくデータに対してGB単位で課金されます。
ストレージアカウントを経由し異なるリージョン、Azure外などへの送信データ量が対象です。受信データ、同一リージョン内への送信データは課金対象ではありません。

「Azure BLOB Storage(ブロックBlob・追加Blob)」
大容量のバイナリデータを格納するための非構造化データ格納サービスです。ブロックBlobは4.7TBまでのファイル保存、追加BloBはログや監視ファイルなど追記的に記録されるような追加操作に特化しています。
・Azure Storage予約容量
1年間/3年間での年契約で購入することでコストを抑えることが可能です。
・クール・アーカイブの早期削除
Blobにはホット・クール・アーカイブという3つのアクセス層に分けられており、クール・アーカイブには保存期間と早期削除期間が定められています。早期削除期間にデータの別の層への移動もしくは削除を行うと早期削除料金が日割りで加算されます。
・Blobのデータ変更ログ
初期は無効になっており機能を有効にした場合のみ課金されます。有効にすると各Blobの変更を追跡し変更内容を変更フィードに格納します。(変更件数10,000件あたり)

「Azure BLOB Storage(ページBlob)」
仮想VHDファイルの格納に使用されます。
①Premium(SSD)ページBlob
最大7,500 IOPS/250MBpsのディスクパフォーマンスを提供しています。※PremiumページBlobには、トランザクションに対して課金はありません。
②Standard(HHD)ページBlob
PremiumページBlobが高パフォーマンスの提供を行っているのに対し、StandardページBlobはパフォーマンス変動の影響を受けにくい開発、テスト、およびアクセス頻度の少ないワークロードに最適化されており課金対象も変わります。

「Azure Files Storage」
クラウド・オンプレミスのデブロイ用のサーバーメッセージブロック(SMB)プロトコルを利用したファイル共有ストレージです。
・Azure File Sync料金
オンプレミスのファイルをクラウドに同期するためのコストで、サーバーごとに課金されます。

「Azure Queue Storage」
Azure Queue Storageとは、アプリケーションコンポーネント間の信メッセージ格納サービスです。

「Azure Table Storage」
構造化されたデータセットの保存と、大量データへの迅速なアクセスが可能です。

<冗長性>

冗長性確保のためのオプションが4種類用意されています。Azure Storageアカウントのデータは、常にプライマリリージョンで3回レプリケートされます。(レプリケートとは:ハードウェア障害からのデータ保護のために別システム上にリアルタイムにデータを複製/コピーすること)

・ローカル冗長ストレージ(LRS)
プライマリリージョン内に3つのデータコピーを作成します。データセンター全体が利用できなくなった場合はデータ利用不可能になります。

・ゾーン冗長ストレージ(ZRS)
プライマリリージョンの3つのAzure可用性ゾーン間でデータコピーを行います。(可用性ゾーンとは:Azureリージョン内にある物理的に離れたデータセンターのこと)

・地理冗長ストレージ(GRS)
LRSを使用したプライマリリージョン内での3つのデータコピーの作成に加え、セカンダリリージョン内でコピーが作成されます。プライマリリージョンに障害が発生した場合でもセカンダリリージョンにフェールオーバーして業務継続可能です。

・geoゾーン冗長ストレージ(GZRS)
ZRSを使用したプライマリリージョンの3つのAzure可用性ゾーン間でデータコピーに加えて、セカンダリリージョン内でコピーが作成されます。

 

 

<アクセス層>

・ホットアクセス層
アクセス頻度の高いデータの格納に適しており、アクセスコストが低い反面、ストレージコストが高めに設定されています。

・クールアクセス層
頻繁にアクセスのないバックアップデータなどの格納に適しています。30日以上アーカイブアクセス層で保持されるデータが対象となります。ホットアクセス層と比較しアクセスコストが高く、ストレージコストは低くなります。

・アーカイブアクセス層
保存されたデータに通常アクセスをすることはできないため、データ読み取りのためにはリハイドレートと呼ばれるホットアクセス層・クールアクセス層に切り替えを行いデータを読み取るプロセスが必要になります。リハイドレートは最大で15時間かかります。180日以上アーカイブアクセス層で保持されるデータが対象となります。

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