ディープラーニングについて

AIに興味のある方なら一度はディープラーニングと聞いたことがあるでしょう。でも詳しく知っている方は多くないかもしれません。そんなディープラーニングシステムについて簡潔にご紹介いたします。

ディープラーニングとは

ディープラーニングシステムとは簡単に言うと、人間が手を加えなくてもコンピュータが自動的に大量のデータからそのデータの特徴を発見する技術のことです。例えば「猫」とそれ以外を識別したい場合、猫の画像を大量にコンピューターに読み込まさせます。するとコンピューターはその画像の特徴を認識して「猫」を識別します。

なぜ注目されているのか

これまでの技術では現実世界から得られる特徴認識を機械に学習させることが非常に難しかったため、AIを生かした技術はなかなか発展しませんでした。
しかし、ディープラーニングシステムは「パターン(特徴量)の学習」を自動でできるようになり、これまでの問題の原因を解消しました。それが衝撃的であり、多くの可能性を秘めていることからディープラーニングシステムが注目されているのです。

機械学習とは

まずよくディープラーニングと機械学習は別物と考える方が多いと思われますが、ディープラーニングシステムは機械学習の中の一つの技術です。それを踏まえて機械学習とは、AIという技術で人の代わりに物事の特徴を発見する手法です。機械学習に関してはデータからルールやパターンを発見する方法である「識別」と「予測」が主な使用目的であり分析の精度は100%ではないが、従来の手法より精度をあげられる可能性は極めて高いです。

ディープラーニングでできること

ディープラーニングシステムで可能なこととして、「画像認識」「音声認識」「自然言語処理」「ロボットによる異常検知」の4つの分野が挙げられます。それらが活用されている場面としては、画像認識は SNS の人のタグ付け・自動運転などに、音声認識はスマートスピーカー・Siriに活用され、自然言語処理はGoogleやYahooのブラウザー検索・自動翻訳で使われロボットによる異常検知は空港・鉄道・製造現場などに使われています。

ディープラーニングの実用例

数年前に米Google傘下のDeepMind社が開発した囲碁AI 「Alpha Go」は人類最強と言われていた柯潔(カ・ケツ)棋士に全勝した話です。ニュースでも大きく報じられ皆さんも見たことがあるのではないでしょうか。それによりディープラーニングシステムの能力の高さを象徴した事例となっています。ボードゲームで最も難しいと言われている囲碁には約10の360乗通りという天文学数的な組み合わせが考えられるため、人間最強の棋士に勝つには今までの機械学習方法では到底不可能でした。
しかし、ディープラーニングシステムと強化学習などの既存の技術の組み合わせによってそれを可能にしたのです。

自動運転への実用

自動運転車を実現するためには常に変動する環境への対応や、さまざまな物体の認識・処理の必要性などもネックとなっていました。
しかし、カメラの映像を通したディープラーニングシステムによる環境認識や、レーザー光を使ったセンサーの一種で、対象物までの距離や位置や形状まで正確に検知できるLiDAR(ライダー)という技術によって得られるデータから近い将来、自動運転レベル4 (特定の場所でなど条件付きで運転手が乗らずに走れる)までは実現可能と言われています。
自動車事故の90%以上は運転者の人為ミスが占めています。近年、自動車事故も多発している状況を考慮すると、自動運転の実現により安全な社会の実現もそう遠くないでしょう。

ディープラーニングの弱点

これまでディープラーニングシステムができることをご紹介してきましたが、今度はディープラーニングシステムができないこと、弱点についてご紹介していきます。

学習用データが大量に必要

ディープラーニングというプログラムの中には非常にたくさんのパラメータがあり、それらを大量の学習データを用いて自動的に調整しています。
そのため、パラメータの数に応じて非常にたくさんの学習データが必要となります。その結果、学習データが大量に準備できない課題には著しく精度が落ちます。

人の心を動かす

現段階のAIでは人の心を動かすのは難しいでしょう。
例えば「カウンセラー」を考えてみましょう。AIに自分の悩みを打ち明けて「ツラカッタデスネ」と言われても心は安らかないでしょう。
そもそもAIには感情がないので人間の気持ちまでは理解できず、せいぜい集めたデータの統計からそれらしい答えを導くぐらいしかできないのです。人だからこそ、「わたしたちの悩み・気持ち」を理解し解決してくれるという職業は、AIが取って代わるのは難しいかもしれません。

人間の身体のような汎用性のある器

もし、ロボットに人の代わりをさせるのであれば、人並の知性を持つAIと同時に、人と同じ動きを可能とするロボットが必要となります。
サッカーを例にすれば、選手の試合中のすべての動きデータを取得し、選手の動きをコンピュータ上で完全に再現できて、サッカー選手AIが生まれたとしても、その動作指令を完全に再現できるロボットが必要であるという課題があります。いくらコンピューター上で演算できてもそれを実際に実行できるボディがなければ意味がないのです。

まとめ

いかがだったでしょうか。ディープラーニングを説明するためにはどうしてもAIの話もでてきます。なぜならそれらは密接に関わっているためです。本記事を読んで少しでもディープラーニングについてご興味が出てきましたらぜひご自身でより詳しく調べてみてください。きっと夢中になるほど面白いと思います。