私の初めての現場

はじめに

現在研修をされている方は、言語の勉強やインフラに関する勉強をされていると思いますが、現場に入ることへの不安もあるかと思います。
自分の希望している案件が決まるか、自分のスキルで大丈夫なのか、全く知らない案件に決まったらどうしよう、人間関係をうまく築けるかなど色々と不安があるかと思います。
この記事では、そういった不安をいくらか払拭できるように、私の体験談を交えながら、参画した案件について紹介させて頂きたいです。
IT業界は本当に様々な技術領域がありますし、企業も人も様々。
「一概にITの現場はこうだ」っと言う風に断言はできませんが、私個人のITへの向き合い方のようなものもお伝えできればと思います。

はじめての現場

業務内容

私が初めて参画した案件は、大手保険会社のジョブネット運用監視オペレーターでした。ジョブネットとは何かと言いますと、機械にさせる仕事(ジョブ)をまとめたものです。このジョブネットをいつ実行するかということをスケジューラーに登録しておき、時間が来たら自動的にコンピュータに実行させます。業務内容は、このジョブネットが正常に開始され、正常に終了するかを確認するのがメインなります。環境的にはホスト機やサーバを操作するオペレーターチーム専用の部屋に、操作/監視用の端末が10台くらい設置されていました。端末ではそれぞれ別のジョブネットを監視しており、このジョブネットは30分に1回、あのジョブネットは1時間に1回など決まっております。端末はそれぞれ離れたところにありますので、物理的に離れた端末のところまで歩いて行って目検します。確認したら、チェックシートに「異常なし」とつけていくような業務です。障害発生時にはマニュアルが用意されており、簡単に解消が可能なものであれば手順書に従って対応し、そうでない場合は開発部門にエスカレーションします。また保険会社の各拠点から飛んでくる保険業務関連のデータを磁気テープに登録していく作業などもありますした。登録が完了したテープは保管庫に保管します。こういった業務を行っていました。

技術内容

この時使用していた技術は”メインフレーム(汎用機)”です。現在ではクライアント/サーバ型(個々のサーバやパソコンで個別に情報処理させる形態)やクラウドを使った形態が一般的ですが、1970年代頃はホスト機と呼ばれる大型のメインコンピュータに操作用の端末から接続して操作するのが一般的でした。OSもLinuxやWinodowsなどではなく、IBMの開発したZ/OSという汎用機専用のOSを利用していました。こうした汎用機は今ではかなり使っている企業は少なくなってきていますが、大手の銀行や証券会社などでは未だに利用している企業があるそうです。また現在ではデータの保管をHDDにするというのが一般的だと思いますが、この現場では”磁気テープ”にデータを書き込んで、物理的に保管庫に保管していました。古くからある習慣が未だに残っていました。

所感

業務の難易度としてはとても簡単な業務です。監視業務は、チェックシートに確認する内容が記載されております。時間が来たらそれに沿って確認するだけですし、セットアップや障害対応、データの登録作業も手順書が用意されていました。
大変だったことと言えば、まず”ミスが絶対に許されないこと”です。例えばジョブネットを操作して、コマンドを間違ってしまったとします。もしシステムに障害が起きてしまったなら大問題です。始末書で済めば良いですが、最悪解雇にもなります。またセキュリティーも厳重で、我々オペレーターのいる部屋では2重のセキュリティドアが設置されていました。このセキュリティーロックも管理されており、誤ってセキュリティーカードを通さず中に入れてしまえた場合は、管理者に通知されて、会社全体で大きな問題となり、始末書を書かなければならなくなります。こうした状況でしたので、常にミスを犯さないように絶えず緊張していなければなりません。またもう一つはシフト制だったということ。日勤は朝9時~夜18時ですが、夜勤は夜18時~次の日の朝9時までになります。15時間程拘束されて、その内休憩は合計3時間程になります。また一番眠い明け方4時頃からホスト機のセットアップをします。操作端末からコマンドを一行づつ打っていくのですが、これもミスコマンドして、手順書に無い挙動を発生させてしまったら大変です。明け方に、ミスをしてはいけないプレッシャーを背負いながら行う業務は体力的にも精神的にもとても大変なものでした。

最後に

私は今では開発よりの案件に入ることが多いですが、初めての現場はインフラよりのものでした。
今となっては当時自分が何をしていたのかということの全体像をなんとなく把握できるようになりましたが、もとよりIT未経験、文系、機械音痴でこの業界に入り、右も左もわからない状態でしたので、最初現場に入った時、自分が一体何をしているのか全くわからない状態でした。一度上司に「ネットとは何ですか?」と聞いたことがあります。そしたら「ネットはジョブの集合体だよ。」と言われて、頭の中でクエスチョンマークで一杯になったのを覚えています。このようにIT業界ではわからないことに、わからないことが何層にも重なってくることも多々あります。日々勉強するのはもちろん大事なことですが、現場の稼働などでは難しい場合もありますし、現場で必要とされる技術は、机上では賄い切れない場合もあります。
私がこの現場を乗り切るにあたって大事にしたことは、「何をしているかわからなくても、とりあえず言われた事を言われた通りの手順でこなそう」ということだったと思います。わからないなりに目の前のことにしっかり取り組むということです。今自分がわからなくても、後に振り返ってみてわかるようになることがあります。初めての現場は確かに不安なことも多いです。希望していた現場にアサインできたらラッキーですが、そうではない場合もあります。私も最初の現場は、全く望んでいない現場でした。苦しいことも多々ありましたが、今振り返ってみると、今ではあまり使われていないような技術に触れることができたことや、特異な環境に身を置けたことは、とても良い経験だったと思います。そして、そうした経験が現在勉強していることにも必ず繋がってくるものです。希望の現場に入れなかったとしても得ることがたくさんありますので、様々な現場に参画して頂きたいです。

以上です。読んで頂きありがとうございました。

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