バグ発見に欠かせない存在!ゲームデバッガーの仕事内容をご紹介

バグ発見のスペシャリスト!ゲームデバッガーとは?

はじめに

最近はテレビやゲーム機器でのゲームであるいわゆるコンシューマゲームだけでなく、スマートフォンでのゲームの進歩も目覚ましく、ゲームはより一層身近となってきています。読者の皆さんも何かしらのゲームで遊んだ経験はあるのではないでしょうか。

そこで、今回はゲームを作る上で欠かすことのできない”デバッガー”という職種について紹介いたします。

そもそもデバッグとは?

ゲームはコンピューターによってプログラミングされたものであり、いくつものプログラムが組み合わさって作られています。それらが上手く関係づけられ問題なく動作することが望ましいのですが、思わぬ不具合を起こすことで上手く動作しなかったり、最悪の場合故障につながることもあります。これらの「不具合」の総称を「バグ」と呼びます。

バグは英語の”Bug”「虫」を意味する単語が語源であり、このバグを見つけ、修正することがデバッガーの仕事となります。文字通りプログラムの隙間に入り込んだ「不具合」という「虫」を一つ一つ見つけ出し、取り除いていく根気のいる作業なのです。

テスターと異なる点

テスターと異なる点は、与えられた条件などを基に動作確認や操作確認を行いその結果を記録し報告することです。バグの有無に関わらず、指定された条件に対してのテスト記録を作成し、レポートとして提出をします。

デバッガーはプログラムのバグを修正することが仕事となります。テスターはバグの有る無しに関わらず記録を作成するのに対し、デバッガーはバグを発見し、修正することが目的であるため、バグが発生した時に記録を作成し報告をします。

本来はデバッガーとテスターは違うものですが、プロジェクトによってはテストとデバッグを行う人をまとめてデバッガーと呼んでいます。

デバッガーの仕事内容とは?

ゲーム開発におけるデバッガーの基本的な仕事内容は、開発されたソフトをテストプレイしてバグを見つけることです。デバッガーがバグを発見次第、プログラマーへ報告します。プログラマーが修正を行い、再びテストプレイを行い、バグをチェックします。これらを繰り返すことで、ソフトウェアの品質を高めていくのです。

まずは企画書によってソフトウェアが開発され、それが一通り動作できる状態まで作成することができればアルファ版としてソフトウェアが出来上がります。ですが、この状態ではとりあえずゲームとしての形を成しているだけといっても過言ではなく、どこでどんなバグが発生するかわかりません。そこでデバッガーがそのアルファ版をテストプレイし、仕様書通りに動作するか、バグはないか検証しプログラムを修正します。アルファ版を修正して出来上がったものがベータ版と呼ばれます。ベータ版も繰り返しテストを行うことによって、より高品質なソフトウェアとしてマスター版を作成しリリースするのです。

デバッガーのの仕事はこれで終わりではありません。現在のゲームはインターネットを通じてアップデートができるようになりました。リリース後もデバッガーが発見出来なかったバグがユーザーによって報告されると、修正パッチを作成しリリースしたり、追加コンテンツが作成された時にはそれに対してのデバッグが必要です。

ちなみにベータ版のテストは、現在はインターネットを使ってユーザーにテストしてもらうこともあります。このベータテストは、開発チームより遥かに多い人数によってテストできるため制作側には思いもしなかったようなバグが見つかったり、ユーザーの声を直接聞くことができるメリットがあります。対してユーザーにも新しいゲームがいち早くプレイできるというメリットがあり、特に対戦ゲームでは多く取り入れられています。

デバッガーに必要なスキルとは?

デバッガーには特別必要な資格はありません。しかし、状況や経緯を適格に言葉で表現できるスキルは必要です。なぜならせっかくバグを見つけ出したとしても、「よくわからないが、バグが起こった」ではバグ報告としては何の意味も持たないからです。バグを見つけることと同様に、バグを再現できることがとても重要となります。バグが起こった時の状況、なぜ起こったのか、どのタイミングで起こったのか、そしてそのバグはどんな影響を及ぼすのかということを文書として報告することが重要なのです。

加えてバグを注意深く探し出し、それをつぶさに報告するための几帳面さや注意力も求められるスキルです。テストプレイの作業内容には

・ガチャから全てのキャラが排出するか確認する

・キャラクターの各レベルのパラメータが仕様書通りになっているか

・同じ敵を何度も倒し続ける

等といった作業もあるので、根気強く作業できる人が求められます。

また、プログラミングの知識があればプログラムコードを読み解くことでバグを発見したり、バグを修正できるようにもなり、未経験でも挑戦できるデバッガーだからこそそういった人材は必要とされ自身の大きなアピールポイントとなります。

デバッガーからのキャリアパス

現在、ゲームはコンシューマゲームやスマホゲームだけでなく、VRゲームも登場しゲーム業界はますます発展していくことでしょう。ゲーム開発においては優秀なデバッガーの存在は必要不可欠です。しかし将来、ゲームのデバッグをAI化していこうという動向も見られます。デバッガー一本で続けるのではなく、デバッグの経験を活かし、プログラマーやディレクターを目指していくのがよいのではないでしょうか。

おわりに

いかがだったでしょうか。地道な作業ながらもデバッガーという職業はゲーム開発においては欠かすことのできない存在です。開発チームに加わることができれば、ゲームのスタッフロールにも自身の名前が残る夢のある仕事といえるでしょう。未経験でもゲームに情熱を持っている人なら、夢への第一歩としてゲームデバッガーを目指してみてはいかがでしょうか。