FinTechとブロックチェーンで金融はどう変わるか

フィンテックとは

フィンテックとはFinTechと書き、ファイナシャルとテクノロジーの融合を表した造語です。近年フィンテックが発達してきており、今後既存の金融がフィンテックに置き換わるのではないか?と言われています。しかし、具体的にフィンテックとはどんなサービスなのかが分からなければ金融が置き換わるイメージも湧きづらいでしょう。これから銀行を例にとって、フィンテックによってどのように金融が、変化するかを解説していきます。

銀行の3大業務

銀行は一昔前まで安定している職業の代名詞でしたが、現在はそうとはいえません。金融庁の発表によると10年後には地銀の6割が赤字になると言われています。人口減少による貸出需要の減少や日銀のマイナス金利の影響もありますが、フィンテックやブロックチェーンによる影響も受けてくるでしょう。これから銀行の業務を例に取りながらフィンテックとブロックチェーンがどのような影響を金融機関に与えるのか解説していきます。まずは銀行の3大業務について解説していきます。銀行の3大業務預は預金、融資、為替です。預金は名前のとおり、お金を預けて管理する業務です。銀行は預金業務で集めたお金を使って融資業務を行います。銀行は多数の人からお金を集めて管理し、そのお金を会社に貸出し、金利を得ます。その金利からお金を預けてくれた人に利子を付けて返すという形でした。銀行はこの貸出金利と預金への利息の差、利ざやで利益を得るビジネスモデルです。次に為替業務について解説します。為替業務は家賃の引き落としや、送金などお金の移動を管理する業務です。この業務を行うことで手数料をとり、利益を得ています。これらの業務は一昔前まで銀行の独占業務でした。しかし、フィンテックの登場により、この業務は独占的でなくなります。

クラウドファンディングが奪う融資業務

今までは、事業を始める時は銀行から借入を行わなければならないというのか通例でした。銀行は確実にお金を返してくれる人にしかお金を貸したくはありません。なので、土地や建物などの担保がある、もしくは事業がある程度上手くいっている実績がある人にしかお金を貸してくれませんでした。これは非常に大きなデメリットです。なぜなら、これから事業を新しく始めたいという担保も実績もない人はお金を借りられないからです。しかし、フィンテックの登場によりその問題は解決されるかもしれません。その仕組みはクラウドファンディングというものです。クラウドファンディングは多数の人から少量ずつお金を募り、事業を行うというものです。クラウドファンディングを行うのに担保も実績も必要はありません。支援を行う人も金融機関ではなく、一般の人です。こういった事業を行いたい!と初案し、それに共感した人達がお金を払うと言った感じです。お金を払う人にメリットが無いのでは?と疑問を持つ人もいるでしょう。クラウドファンディングのお金の支払いには大きくわけて3種類あります。寄付型、投資型、購入型です。寄付型は理念に共感し、見返りを求めずに寄付することですが、投資型や購入型はしっかりと見返りがあります。例えば無人島を開拓して観光地にしたい!というプロジェクトが始まったとして、投資型はお金を払う代わりに1年後に元本+利息を貰うなどの契約をし、支払います。そして購入型は開拓が終わったらオープン前に観光できる権利、などのリターンに対しお金を支払うといった形になります。この様に双方にリターンのある仕組みとなっています。このようなサービスの登場により、お金を借りる時に銀行ではなくクラウドファンディングでお金を募るという動きが始まっています。現在は数百万単位でのプロジェクトが多いようです。

その他の融資業務を奪うフィンテック

融資業務を奪うフィンテックはクラウドファンディングだけではありません。銀行などの金融機関以外のIT企業が融資業務を行い始めているのです。その例として挙げられるのがAmazonが行うAmazonレンディングです。Amazonで出店している人に対して、過去の販売データなどを元にお金を貸してくれるサービスがあります。銀行だと収入の証明など多くの手続きが必要ですが、Amazonだと出店者の過去の販売データなど、融資判断する為の情報を既に持っているという強みがあります。これにより、迅速な融資を行うことができます。その他にもソーシャルレンディングというサービスがあります。ソーシャルレンディングはお金を借りたい人と貸したい人を結ぶサービスです。このように融資業務を行うサービスは増えてきています。最近ではメルカリがメルペイを発表し、個人情報を登録すれば後払いを行うことが出来ます。これも1種のフィンテックで、クレジットカード会社が行っているようなことをIT企業が行っています。このようなサービスは今後さらに増え、当たり前となっていくでしょう。

ブロックチェーンが奪う為替業務

ブロックチェーンテクノロジーとは分散型台帳技術とも呼ばれ、改ざん不可能なデータ記録技術のことです。今までは送金を行う時に、AからBに送る場合、Aから中央管理者(銀行など)を経由してBに送金していました。中央管理者はお金の変化を管理し、その代わりに手数料を徴集します。海外送金などではより多くの手数料がかかります。しかし、ブロックチェーンテクノロジーを使うと中央管理者が必要なくなります。いつ、誰がどんな情報を台帳に書き込んだのかを、偽造や改ざんがきわめて困難な形で記録・保管し、複数の当事者の間で共有する技術だからです。これにより中央管理者に支払っていた手数料が必要なくなり、より低コストで為替業務を行うことができます。これは銀行の為替業務を代替する可能性を秘めている技術と言えるでしょう。少し前に流行ったビットコインはブロックチェーンテクノロジーが使われた通貨なのです。ビットコインは値上がりが大きかった為ただの投機対象のように扱われていましたが、ブロックチェーンテクノロジーを利用した新たな可能性をもつ通貨だったのです。

その他の為替業務を奪うフィンテック

その他にも送金や支払いなどが手軽に行えるサービスが増えています。その例としてはLINEpayが挙げられます。LINEpayはトークの様に簡単に友人にお金を送ることができます。その際に手数料は特に掛かりません。支払いもQRコードでの支払いなどができます。QRコードだとお店側が接触端末を購入する必要がないので、低コストで導入できます。それによってQRコードで決済できる店は多くなり、便利なものとなっています。LINEpayとは異なるサービスですが、中国ではQRコード決済は日本よりも浸透しています。日本はコンビニの他、あちこちにATMがあるのでそこまで現金でも不便を感じないが故に、電子決済の導入が遅れていると言われています。逆に中国はそういったATMの設備が遅れていた為、ATMの整備を飛び越えて電子決済が普及した様です。このように未発展だったが故に新しい技術を導入しやすい現象をリープフロッグ現象と呼びます。このリープフロッグ現象は今後さらに多くの国でおき、電子決済が当たり前の時代となるでしょう。そうなるとATMでお金を引き出して手数料を払ったり、送金で手数料を払う場面はあまり見かけなくなるかもしれません。

証券分野にも進出しているフィンテック

証券分野にもフィンテックは進出しています。為替業務の部分でも述べたLINEはLINE証券も展開しており、スマホから簡単に株式の購入をすることができます。AIやロボットなどテーマ別への投資を行うことができます。その他にもTHEOやウェルスナビといった、AIが資産運用を代行してくれるサービスも始まっています。質問に答えると、答えた人のリスク許容度を判定し、自動でポートフォリオを組んでくれます。一昔前まで株式の購入は一部のエリートが行うイメージでしたが、現在は誰でもスマホで簡単に行うことができます。ただ、これらのサービスの手数料は少し割高なので、効率的な資産運用として適切かと言われればそうではないかもしれませんが、株式に興味をもつきっかけにはなるかもしれません。この様にフィンテックは様々な分野に進出しています。

まとめ

いかがだったでしょうか。フィンテックという言葉をあまり聞きなれない方も多かったかもしれませんが、確実に私達の生活を変化させるものが、徐々に広がっていたのです。現在はまだ登場したばかりで普及率が低かったり、競合相手が少なく、料金が割高だったりといったデメリットがあることもありますが、仕組み自体は画期的なものが多いです。また、ブロックチェーンテクノロジーに関しては金融だけでなく多くの分野に活用することができます。ブロックチェーンはインターネット以来の大発明とも言われています。これから金融の世界は大きく変化していく思われます。スマホで決済できる世の中で、給料日にATMで行列に長時間ならんで手数料を支払うなどの行動はあまり良い行動とはいえません。新しい事に挑戦するのは面倒に思えるかもしれませんが、私達の生活を豊かにしてくれる物なので積極的に取り入れて生活していきましょう。比較的若い世代の方が新しい技術を取り入れる傾向があるようです。昔と違って、同じことを積み上げれば良い時代ではありません。移り変わる技術の中、若い世代に置いていかれないためにも常に情報のアンテナを伸ばしておくのが良いでしょう。最後までお読みいただきありがとうございました。