AIの種類と主な活用先9選|AIアシスタントの種類も併せてご紹介

役割で分類したAIの種類

役割で分類したAIの種類には、特化型AIと汎用型AIの2つがあります。ここでいう役割とは、処理作業の範囲のことを指します。

たとえば、スーパーで働く人の役割は、レジ打ちをする人、仕入れをする人、商品を陳列する人などに分けられます。

特化型AI

特化型AIとは、役割が決まっている、つまり処理できる作業の範囲が限定されているものを指します。気象データから天気を予想したり、ある写真に写っている動物の種類を判定したりするなど、特化型AIはそれぞれの役割を持っています。

現在実用化されているAIはすべて、特化型AIに分類されます。現在のAIの場合、設計する際に処理する目的などを明確に定めてから、AIに学習させる必要があるためです。

汎用型AI

汎用型AIとは、あらゆる役割をこなすことができる、つまりあらゆる作業を処理できる人工知能の種類のことを指します。汎用的に役割をこなせるので、あらゆる状況下で自分が置かれている状況を理解し、さらに自分で考えて行動できます。

汎用型AIは実用化されていません。仮に汎用型AIが実用化されれば、そのAIは自ら学習することとその目的を考え、何も教えなくても処理をこなすことができるといわれています。

強いAIと弱いAIの違いは?

汎用型AI、特化型AIとは別に、強いAIと弱いAIという分類方法があります。哲学者のジョン・サール氏が1980年に提唱した考え方です。強いAIと弱いAIの違いは、自意識を持つか、つまり心を持つかどうかです。

定義上、強いAIと汎用型AI、弱いAIと特化型AIは同じものを指すといえます。よって汎用型AIと同様に強いAIもまだ実現されていません。

強いAI

強いAIとは自意識を持つAIのことです。ドラえもんやSF映画に出てくるロボットなどが例として挙げられます。また、強いAIと汎用型AIは同じものだと考えられます。

強いAIは現時点では実現していません。人間と同じように自意識を持つためには、まず人間の知性について明らかにする必要があります。

現在の科学では知性の仕組みを明らかにできていないため、強いAIを作るための仕組みをAIに搭載できないのです。

弱いAI

弱いAIとは自意識を持たないAIのことです。AIの設計者が処理する作業の目的などを絞り込んで設計することで作られます。現在実用化されているAIはすべて弱いAIです。

弱いAIは、本物の自意識を持っていないので、自分で学習することを決めたりゼロから何かを始めたりすることはできません。

AI設計者が設計した範囲内の学習と処理しかできないのです。つまり、特化型AIと弱いAIは同じものであるといえます。

AIの主な活用先9選

AIの主な活用先として、ゲーム、チャットボット、株価予測、音声認識・翻訳、レコメンド機能、画像認識、画像キャプション、自動着色、物体検出の9つが挙げられます。

今のところ特化型AIしか実現していませんが、多くの分野ですでにAIが活用され、注目を集めているのです。

活用先がAIに適している場合、人間と同じように、または人間を超えるようなパフォーマンスを見せているものもあります。

AIの活用先1:ゲーム

AIの活用先の代表例としてゲームが挙げられます。ゲームは、目的がはっきりしていて、学習すべき内容もゲームのルール内のことに限定できるため、AIに適している活用先だといえます。

すでにゲーム系のAIは、さまざまな種類のゲームで人間を超えています。人気のボードゲームである、チェス、将棋、囲碁はいずれもAIが人間相手に勝利しており、2017年5月には、将棋の佐藤天彦名人をAIのPonanzaが破りました。

AIの活用先2:チャットボット

文字や音声を使って会話をするチャットボットにもAIが活用されています。チャットボットにAIを搭載することによって、より広範囲の質問に自然に対応できます。

具体的には、企業サイトのお問い合わせ機能として活用されたり、コールセンターでの電話対応サポートなどに活用されたりしています。

IBMが開発したワトソンというチャットボットAIは、2015年ごろに日本のメガバンクに導入されて話題となりました。

AIの活用先3:株価予測

AIは株価予測にも活用されています。株価はさまざまな要因の影響を受けて変動します。株式関連情報や、株価チャートの画像を用いてAIに学習させることで株価予測ができます。

判断基準が人間のように曖昧ではないため、安定した成績を残すことが期待されています。

AIを用いた株価予測を取り入れて株式を運用している証券会社もあります。また株価予測AIからのアドバイスを受けられるというサービスもあるようです。

AIの活用先4:音声認識・翻訳

音声を認識して、話しかけられた言葉を翻訳する種類のAIも活用されています。違和感のある文章を示すこともありますが、人間がだいたい理解できるレベルの翻訳が実現しています。

Google翻訳は無料で使用できるうえに、日本語や英語はもちろん、他のさまざまな種類の言語に対応しています。

また、海外のホームページやサイトを見た際に、自動的に翻訳してくれる機能もあり、海外の情報であっても日本語で得やすくなっています。

AIの活用先5:レコメンド機能

顧客におすすめの商品を選び出す機能である、レコメンド機能にもAIは活用されています。ある商品を買ったり、閲覧したりした行動を元におすすめの商品を表示してくれます。

顧客におすすめの商品を提示することで、商品の販売量を増やすために活用されています。

Amazonで買い物をすると「この商品を買った人はこんな商品も買っています」というふうに、おすすめの商品一覧が表示されているのがレコメンド機能です。

AIの活用先6:画像認識

画像認識ができる種類のAIを使うことで、写真に写った動物の種類を知ることができたり、手書きの文字をテキストデータに変換できたりします。

画像認識とは、ある画像に何が写っているのかを判別する機能です。

Googleレンズというスマホアプリでは、撮影したものと似ているものを画像認識の機能を使って検索できます。また、カメラアプリが自動でQRコードを認識してくれる機能も実用化されています。

AIの活用先7:画像キャプション

与えられた画像に対する説明文をAIが自動的に生成してくれる、画像キャプションという機能が実現しています。

画像認識に加えて、与えられた画像に写っている状況を判断する能力が必要になります。具体的なキャプションの内容は、写っている人間の性別であったり、写っているものが行っている行動であったりします。

シマウマが走っている写真を見せて「シマウマが走っている」といった説明が自動で付け加えられます。

AIの活用先8:自動着色

AIを使えば、色がついていない映像に自動で色をつけられます。自動着色と呼ばれる機能で、具体的には線画イラストやモノクロの映像に自動で色をつけるものがあります。

これまで白黒映像をカラー映像にするには、フレームごとに手作業で色をつける必要がありましたが、自動着色AIを利用することで、大幅に時間を短縮することができます。

これによって昔の映像をより手軽に臨場感ある映像として味わうことが可能になりました。

AIの活用先9:物体検出

画像認識機能を応用して、写っている物体の種類と位置を検出するAIも実用化されています。物体検出と呼ばれる機能で、ものづくりや医療の現場で実用化されています。

製造業の場合、物体検出のAIを活用すれば、検査工程で検査員が商品を一つずつ確認する必要はなく、自動で不良品を選別して不良の種類や発生場所まで分類してくれます。

医療分野では、画像から体の異常を検出して、見落としのリスクを低減させることができます。

AIアシスタントとは

AIアシスタントとは、音声で指示を与えたり質問されたりして、タスクを人間の代わりにこなしてくれる機能のことです。

AIアシスタントが搭載されている機器単体で機能するものと、他の電子機器と連動して機能するものがあります。

AIアシスタントの現代の技術

AIアシスタントの現代の技術は、音声認識やチャットボットの機能、検索機能など、いくつかの種類のAIを組み合わせて実現されています。

利用者の声を音声認識して言語化し、必要があれば情報を検索して、適切な動作を行ってくれます。

AIアシスタントの種類4選

現在実用化されているAIアシスタントの種類として、アプリ、スマートスピーカー、車載AIアシスタント、ロボットの4つが挙げられます。

いずれの種類のAIアシスタントも、個人が何かをする手間を省き、難しい操作をする必要がなくなるように用いられています。ここからは、現在実用化されているAIアシスタント4種類について紹介します。

AIアシスタントの種類1:アプリ

AIアシスタント機能を持つスマホアプリが実用化されています。有名なものでは、iPhoneのSiriやAndroidのGoogleアシスタントがあります。声を認識して、手軽に検索してくれたり、ちょっとしたスマホの操作ができたりします。

テキストを入力する代わりに、音声認識AIでテキスト入力する機能も便利です。スマホはパソコンのように高速でタイピングできませんが、音声認識を使えば早く文字を入力できます。

AIアシスタントの種類2:スマートスピーカー

家の中で家電を気軽に操作したいときや、天気予報を気軽に調べたいときなどにはAIを搭載したスマートスピーカーが便利です。

SiriやGoogleアシスタントと基本的な機能は同じですが、スマートスピーカー本体以外の電子機器と連動して操作できることが特徴となっています。

照明機器と連動させて、リモコンなしで照明を操作したり、スマホを連動させて話しかけるだけで電話をかけたりできます。

AIアシスタントの種類3:車載AIアシスタント

車の運手中に音声などで手伝いをしてくれるAIを車載AIアシスタントといいます。運転中はハンドルから手を放したり、目線をカーナビの操作パネルに移したりすることが危険につながります。

音声だけで操作を手伝ってくれる機能は便利なだけでなく、運転の安全性も高めてくれます。ハンズフリーでカーナビを操作したり、音楽を再生したり、スマホのちょっとした操作を行ったりできます。

AIアシスタントの種類4:ロボット

ロボットにも当然AIが搭載されてきています。ソフトバンクから発売されているPepperが一番有名ではないでしょうか。

ホテルや会社のフロントに、お客さんを案内する係としてロボットを設置している企業も出てきています。また飲食店などでは、配膳係としてAIを搭載したロボットを導入している使用例もあります。

色々な場所で活用されるAIの種類を把握しよう!

本記事では、AIの種類と活用先について紹介してきました。AIは、汎用型AIか特化型AIもしくは、強いAIか弱いAIに分けられ、実用化されているAIはすべて特化型AIであることが分かりました。

さまざまな分野ですでにAIが活用されていて、一般家庭で使えるような、AIアシスタントも登場してきています。

AIの種類を把握することで、生活や仕事にAIをうまく活用することがより具体的にイメージできるでしょう。