常駐SEのメリット7つとデメリット6つ|常駐SEの仕事内容とは

常駐SEとは?

常駐SEとは、クライアント企業からシステム開発や構築の依頼を受け、その会社に常駐してシステム開発を行うエンジニアのことを言います。

システムの設計・構築・運用などが主な業務内容で、契約期間中は自社出勤ではなくクライアント企業に直接出勤し、業務遂行の指示を受けます。そのため、クライアント企業によって仕事で求められるスキルも様々です。

社内SEとの違いは?

システムエンジニアの活躍する企業のパターンは、ユーザ企業(社内SE)・SI企業(常駐SE)の2つに分けられます。

社内SEは、自社システムの管理・運用を任され、加えてビジネス戦略や課題を解決する情報システムの企画・調整・立案を行うため、業務知識が求められます。常駐SEは客先に出向き、契約期間の間は常駐して仕事を行うので、IT技術の汎用的知識や専門的なスキルが求められます。

両者では、仕事内容やスキルに大きな違いがあります。

常駐SEの仕事内容6つ

常駐SEの仕事内容は、クライアント企業によって異なりますが、主に開発プロジェクトや開発チームの管理、仕様書(システムの設計書)の作成になるでしょう。

クライアント企業に常駐し、要求に応じてシステムの完成までを担います。具体的な仕事内容について詳しく説明していきます。

常駐SEの仕事内容1:上流工程における作業

上流工程における作業とは、クライアント企業の希望をヒアリング・整理して要件定義書を作成することです。クライアントと合意後にどのような機能にするか設計書を作成します。

そのため、システム開発全般の最低限の知識や、IT技術の基本的な知識が必要とされます。また、クライアント企業に詳細に説明し理解してもらうために、コミュニケーション能力も必要とされます。

常駐SEの仕事内容2:下流工程における作業

下流工程における作業とは、クライアント企業から依頼されたシステム開発のプログラミングから運用までを担い、設計通りに構築することです。

要件定義や設計書をもとにシステムのプログラミングを行い、ネットワークやデータベースの構築を手掛けます。そして、何度もテストし、クライアント企業の要望通りにシステムが動作するかを検証する根気のいる業務です。

納品後の、運用/保守を常駐してシステムの監視も行います。

常駐SEの仕事内容3:インフラに関する作業

インフラに関する作業とは、サーバー構築やネットワーク機器の接続など、物理環境での作業を担います。

システムを動かすためのサーバー構築や、複数のネットワーク機器の構成を設計したり、クライアントに提案したりする役割を担います。クライアントとの距離が近くコミュニケーションを取りながら作業します。

この様に、常駐SEはコミュニケーションを取ることも大切で、さまざまな会社の人と仲良くなるチャンスもあります。

常駐SEの仕事内容4:運用方法に関する作業

運用方法に関する作業では、システム完成後、運用を開始し、メンテナンスやトラブル対応、データベースの操作など安定性の高いシステムの構築を担います。

運用・保守業務が常駐SEの作業範囲に入り、継続的に稼働するか確認するのも大切な仕事です。幅広い知識が必要なため、業務内容と共にスキルアップできるでしょう。

常駐SEの仕事内容5:導入に関する作業

導入に関する作業では、出来上がったシステムをクライアントが効果的に活用できるよう、セットアップからサポートまでの一連の流れを常駐SEが担います。

クライアントの要望や課題を正確に把握するコミュニケーション能力や、クライアントと近いポジションで信頼関係を築く必要があります。

操作方法のレクチャーや追加機能の開発希望・提案をするため、クライアントの業務そのものについての知識も必要になります。

常駐SEの仕事内容6:見積もりに関する作業

常駐SEは、予算編成や工数などを把握し、クライアント企業に対して要件定義や設計が確立した時点で見積書を提示します。

クライアント企業のニーズや目的を把握し、どのようなシステム開発をするのかを見極める必要があります。そのため、開発や業務を滞りなく進めるためのマネジメント能力は、常駐SEにとってとても大切な能力です。

常駐SEのメリット7つ

常駐SEはプロとして現場に出向するため、クライアント企業からは大きな期待が寄せられます。そうした期待を背負いながら責務を果たすのは、常駐SEのやりがいになるでしょう。

特にクライアント企業から「来てもらってありがとう」といった言葉を直接かけてもらう充実感は、常駐SEとして誇らしいでしょう。

ここからは、「常駐SEのメリット7つ」を詳しく説明いたします。

常駐SEのメリット1:様々な案件に携われる

一般的に客先で働く常駐SEは、クライアント企業によって様々な案件に携われるため自分のスキルアップに繋がります。

クライアント企業によって業務内容や要望なども違い、さまざまな業種の開発を経験できます。いろいろな現場・仕事を経験できることは、常駐SEのメリットになるでしょう。

常駐SEのメリット2:顧客のノウハウに触れられる

常駐SEは、クライアント企業によって業務内容が様々なため、自社勤務では経験できない業務を経験できます。

そのため、クライアント企業ごとに異なる業種のITノウハウに関われるという点も大きなメリットだといえるしょう。

様々な経験から身につく高い技術力は、自身のスキルアップや知識の向上などが見込め、やりがいとなるでしょう。

常駐SEのメリット3:残業は少なめ

常駐SEが定時を超えて労働した場合、クライアント企業は給料に残業時間分の賃金を上乗せして支払う契約が結ばれていることが一般的です。

そのため、クライアント企業としては、人件費を削減するために残業をさせないように調整する傾向があります。しかし、繁忙期などの場合は、クライアント企業の正社員と一緒に常駐SEも遅くまで残業をしなければいけないこともあります。

常駐SEのメリット4:人脈が広がる

常駐SEは、基本的にクライアント企業のオフィスで勤務し、契約期間によって色々な職場を渡り歩くので、様々なエンジニアと出会えるでしょう。

人脈を作ったり、コミュニケーション能力や新しい知識を身につけたりすることができると考えられます。

この様に、定期的に職場が変わり、様々なクライアント企業とコネクションを持つ機会を得られることは、常駐SEならではのメリットです。

常駐SEのメリット5:人間関係に長く悩まされない

常駐SEの場合、クライアント企業での勤務になりますが、契約期間内で働くため、人間関係に長く悩まされることはありません。

相性が悪い人がいたとしても、一定期間の人間関係と割り切ることができます。人間関係に悩まされ、ストレスを感じることがないのはメリットと言えるでしょう。

常駐SEのメリット6:顧客対応力が身につく

常駐SEにとって、クライアントとのコミュニケーションは業務を円滑に進めるためにとても大切なワークフローです。

システム開発後の運用サポート業務の中で、トラブルやその他の問い合わせ対応を誠実に行うことは、クライアントとの信頼関係を構築できたり、顧客対応力を身につけたりすることにつながります。

業務を通して、顧客対応力を身につけられるのはメリットといえるでしょう。

常駐SEのメリット7:キャリアアップを支援してもらえる

常駐SEは、ベンダー企業からキャリアアップを支援してもらえる場合があります。そのため、社員の成長に投資する会社に身を置いた方がキャリアアップを目指しやすくおすすめです。

常駐SEとして働く場合は、雇い主であるベンダー企業についても詳しく調べるとよいでしょう。

常駐SEのデメリット6つ

常駐SEは、必要とするクライアント企業に対して、技術的な労働を提供するとてもやりがいのある仕事ですが、勤務形態が特殊であることがデメリットになることも理解しておきましょう。

また、未経験者でも採用されやすい職種であるというメリットがある一方、場合によっては、客先常駐することが負担になってしまうこともあります。

下記にて「常駐SEのデメリット6つ」を詳しく説明します。

常駐SEのデメリット1:分野を選べない

常駐SE業務には、クライアント企業のプロジェクトベースで仕事を依頼されるので、常駐先の社内SEによって業務の指示が出されるケースがあります。

たとえば、運用・保守だけ、構築だけなど、与えられる業務が限定的になり、自分が興味のある分野を選べない場合があります。

ITエンジニアとしてシステム開発の全体像を把握するのが難しく、特化作業を担うことが多い場合もあります。

常駐SEのデメリット2:スキルアップを図りにくい

大手のクライアント企業では、社内SEが上流工程を担当することが多く、常駐SEには、プログラミングとテストの仕事だけ振られる確率が高い可能性があります。

そのため、単調な作業を繰り返す職場では、スキルアップを図りにくいと感じることも少なくはないでしょう。

常駐SEのデメリット3:周りに神経を使う

クライアント企業のオフィスが職場になる常駐SEは、自社内で働くエンジニアに比べ、他社の人間に囲まれて仕事をするので、周囲への気遣いが必要になります。

あくまでも「依頼する側とされる側」という明確な立ち位置が確立されているため、節度ある行動や振る舞いが求められるでしょう。円滑に業務を遂行するうえで、自覚を持って行動することは、クライアント先にも好印象を与えます。

常駐SEのデメリット4:相談できる人がいない

常駐SEはクライアント企業との契約期間中は、ほとんど自社に出勤することなく業務を遂行します。また、クライアント側が常駐SEに仕事を依頼する目的は、システム開発の基本知識を満たしていることを前提に依頼することが多くあります。

そのため、仕事で困っていることや質問がなかなか相談できなかったり、自社の人と交流する機会が少なかったりするデメリットがあります。

常駐SEのデメリット5:プレッシャーを感じる

常駐SEは、スキルを買われてスキルの提供を目的に呼ばれているケースがほとんどです。また、クライアント企業が常駐SEを依頼する目的は、自社でSEを教育するコスト削減のためでもあるので、一定基準を満たしたスキルが要求されるでしょう。

そのため、できて当たり前と思われることがプレッシャーになることが考えられます。

常駐SEのデメリット6:契約期間が限られている

常駐SEの業務期間は、クライアント企業との契約で定められます。

出向先でシステム開発業務に携わったり、プロジェクトメンバーと共に乗り越えたりする経験にやりがいを感じていても、契約期間が終われば他の仕事に移らなければなりません。

信頼関係を構築できたプロジェクトメンバーのもとから去らなければいけないことは、常駐SEとってつらいことでしょう。

常駐SEのメリットとデメリットを把握しましょう

常駐SEは自社に正社員として入社した後、クライアント企業の担当者との面談などを経て派遣されます。そのため、自社出勤はほとんどなく、契約期間はクライアント企業のオフィスへ直接出勤するという特殊な勤務形態です。

この記事でご紹介したメリットとデメリットを参考にして、常駐SEを目指すか検討してみましょう。