AWSへの移行するための8つの準備!移行をスムーズに行うポイントは?
AWSとは?
AWS(アマゾン ウェブ サービス)は、Amazonのクラウドコンピューティングサービスです。
AWSは世界中で使用されている高い拡張性、信頼性を持つクラウドプラットフォームです。インターネットを介して、サーバーやストレージ、コンピューティング、データベースなどの100以上の種類豊富なサービスを利用することができます。
日本国内でも10万以上のユーザーが利用しています。
AWSといったクラウド環境へ移行するメリット4つ
AWSなどのクラウド環境へ移行するメリットをご紹介します。
近年ではオンプレミスではなく、インターネットを介してシステムやサービスを利用するクラウドが主流となってきています。そのため、これまでオンプレミスで環境を構築していた企業の中にも徐々にクラウド環境へ移行する企業が増えてきています。
ここではAWSといったクラウド環境へ移行するメリット4つをご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
移行するメリット1:運用コストの大幅な削減
AWSなどのクラウド環境へ移行することで、運用コストを大幅に削減することができます。
AWSなどのクラウドサービスは使った分だけ料金を支払う料金体系になっているものも多いです。また、必要な期間だけ利用することができ、いつでも利用を辞めることができます。
さらに、オンプレミスでシステム設計を行って運用するケースよりも人件費を減らすことができ、運用コストを削減することができます。
移行するメリット2:スピーディーな導入が可能
AWSなどのクラウド環境への移行はスピーディーな導入が可能です。
オンプレミスの場合、自社内にサーバー構築などを行う必要があるため、導入には時間も手間もかかります。
一方、AWSなどのクラウドはサーバー構築が不要なので、アカウントを作成すればすぐに導入することができます。また、ハードウェアなどを用意する必要もありません。
移行するメリット3:トラブルが起きてもクラウド事業者が対応してくれる
AWSなどのクラウド環境へ移行することで、トラブルが起きても自社で対応する必要がなくなります。
オンプレミスの場合は障害発生時には自社で対応する必要があります。そのため、担当者を24時間体制で配置できる体制にしておく必要があります。
一方、クラウドの場合は障害が発生してもクラウド事業者側で対応してくれるため、復旧させるために人員や膨大な工数を割く必要はありません。
移行するメリット4:簡単にサーバーのアップグレードを図れる
AWSなどのクラウド環境へ移行することで、簡単にサーバーのアップグレードが行えます。
AWSなどの大手のクラウドサービスは、高いセキュリティ基準やフレームワークなどを保証しています。そのため、導入することで信頼性の高い環境を手軽に構築できるだけでなく、サーバーのアップグレードも簡単に行うことができます。
そのため、高いパフォーマンスを容易に実現することが可能です。
AWSへの移行の準備8つ
AWSへの移行の準備をご紹介します。
オンプレミスの環境からAWSへ移行する場合、具体的にはどのような準備を行う必要があるのでしょうか。
ここではAWSへの移行の準備8つをご紹介していくので、AWSへの移行を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
AWSへの移行の準備1:オンプレミスより優れた優位性を把握する
AWSへ移行するには、オンプレミスより優れたAWSの優位性を把握するようにしましょう。
AWSはさまざまなサービスを提供していますが、オンプレミスのすべてのシステムがAWSに適しているわけではありません。サービスによっては、従来のようにオンプレミスで運用した方が適切なケースもあります。
そのため、AWSへ移行することに優位性があることを明確にするようにしましょう。
AWSへの移行の準備2:移行を完了するための条件を設定する
AWSへ移行するには、移行の完了条件を設定するようにしましょう。
オンプレミスからAWSへ移行する場合、漠然と移行するのではなく、クラウドへ移行することの目的や目標を決めるようにしましょう。
たとえば、「なぜ以降を行うのか」や、「どこまで移行するのか」といった内容を具体的に設定し、システムの移行の完了条件を設定することが重要です。
AWSへの移行の準備3:移行対象を把握するためのリストアップ
AWSへの移行するには、情報資産などの棚卸作業を行いましょう。
準備段階では、「月額費用」「ステークホルダー」「情報資産」などをリストアップすることで、移行対象を明確にしやすくなります。
たとえば月額費用であれば、現在のレンタルサーバーなどの解約時期を決め、移行期間のコストを見積りましょう。ステークホルダーであれば、社内外の担当者の連絡先を整理し、トラブルに備えるのが重要です。
AWSへの移行の準備4:移行対象の優先順位付け
AWSへ移行するには、移行対象の優先順位付けを行いましょう。
ここまでの準備を終えたら、AWSに移行する対象を選定しましょう。以降の優先順位付けでは、「担当事情」「業務課題」「影響度合い」などで判断するのがおすすめです。
ここでは移行対象の優先順位をそれぞれご紹介していきます。
担当事情を比較する
担当事情は技術的難易度などをポイントに比較しましょう。
システムの担当事情は、対象とするシステムがどのくらい技術的に難しいのか、対象システムのブラックボックス度合いなどを比較することが重要です。
また、社内外にどのくらいのステークホルダーがいるのか、AWSへ移行することによりどのくらいビジネスに貢献するのかといった点をポイントに比較すると良いでしょう。
業務課題を比較する
業務課題は保守切れなどをポイントに比較しましょう。
業務課題としてはハードウェアやソフトウェアの保守切れ、ハードウェアのキャパシティの限界などがAWSへの移行を判断する上での大きなポイントになります。
また、ハードウェアをレンタルやリースで借りている場合は、契約期間を満了するものは優先度が高いでしょう。さらに業務負荷の高さについてもチェックしておくことが重要です。
影響度合いを比較する
影響度合いは以降の際に問題が発生した場合の影響度合いなどをポイントに比較しましょう。
AWSへの移行する際に問題が起きた場合、どのくらいのビジネスインパクトを与えるのかといった点は移行を検討する上で重要です。
また、社内外のサービスの提供先や利用者の数、アクセス負荷といった点でもどのくらいの影響を与えるのか検討するようにしましょう。
AWSへの移行の準備5:実機の調査を行う
AWSへの移行するには、実機の調査を行いましょう。
移行のために設計書や構成図、手順書などのドキュメントを用意していても、実際の実機調査をせずに計画を立てるとトラブルになりやすいです。
実機のOSやミドルウェアなども実際のバージョンに合わせて調査を行う事で、現在の環境についてできるだけ正しく把握することが可能になります。また、ドキュメントも実機調査に合わせて更新しておきましょう。
AWSへの移行の準備6:移行を行うための方針・計画の決定
AWSへの移行するには、実際にシステムをAWSへ移行するための方針や契約を決めていきましょう。
AWSへの移行では、VPC環境のネットワーク構成や、OSより上のレイヤーの移行対象のシステムをどのように配置するかを決定します。
OSやミドルウェアのバージョンに特に問題がなければ、VMの移植だけでなく、ミドルウェアを含めたEC2ベースでの環境構築がおすすめです。
OSやミドルウェアのバージョンの問題がある場合
OSやミドルウェアのバージョンが古い場合、早めに把握して新しいバージョンの環境を用意しましょう。
たとえばOSがWindows2000以前のものだったり、ミドルウェアが非常に古い場合であったりしたときは、AWSで同じ環境を用意できないこともあります。
そのため、OSやミドルウェアが古い場合は新しいバージョンの環境を用意するため、アプリケーションの動作確認なども行う必要が発生する点を押さえておきましょう。
AWSへの移行の準備7:分散配置されているデータの移行方法を決める
AWSへの移行するには、分散配置されているデータの移行方法を決めましょう。
オンプレミスの環境で現在分散配置されているデータやログ、Webコンテンツなどを、どのように移行するのか具体的に決定していきます。
分散配置されているデータの移行を検討する場合は、「いつ」「どんなデータを」「どのように移行するか」といった切り口で整理するようにしましょう。
AWSへの移行の準備8:社内関係者・外部連携先との調整をすること
AWSへの移行するには、社内外のステークホルダーと調整を綿密に行いましょう。
現在使用しているシステムが外部と連携している場合、切り換えるタイミングには調整が必要です。たとえば外部の連携先がアクセス制限を掛けているケースもあるため、連携テストの際には事前に許可を貰う必要があります。
また、社内であっても別の部署で更新を行っている場合は、更新時間を確認しておくことが重要です。
AWSへの移行をスムーズに行うポイント3つ
AWSへの移行をスムーズに行うポイントをご紹介します。
ここまでAWSへの移行の準備についてご紹介してきましたが、実際に移行を行う際にはどのような手順を行えばよいのでしょうか。
ここではAWSへの移行をスムーズに行うポイント3つをご紹介しますので、AWSへの移行の参考にしてみてください。
スムーズに行うポイント1:いくつかのセットにわけての移行
AWSへの移行をスムーズに行うには、いくつかのセットにわけて移行しましょう。
全てのシステムをAWSへ移行するケースでも、一斉に移行するのは非常に難しくリスクもあります。そのため、一連の作業をまとめて行う必要があるものごとにセットにして移行するのがおすすめです。
たとえば、同一環境で連携しているもの、外部別システムと連携しているもの、基盤を共有しているものはひとまとまりにしてまとめると良いでしょう。
同一環境で連携しているセット
同一環境で連携しているものには人事システムや給与システムなどがあります。
社内システムの中には同じデータを使用する方が便利なものも多いため、給与システムと人事システムでデータを連携していたり、勤怠システムとデータを連携していたりするといったケースは多いです。
そういった同一環境で連携しているものはセットとして考えて、まとめて移行するようにしましょう。
外部別システムで連携しているセット
外部別システムで連携しているものは調整が必要なためまとめて移行しましょう。
社内からAPIで外部のシステムと連携しているケースも多いでしょう。同じ外部の別システムと連携している場合、データの連携処理を止めてもらうなど外部サービスとの調整もあるため、まとめて同じタイミングで移行するようにしましょう。
基盤が結合しているセット
開発によって基盤が結合しているケースもあります。
基本的には業務システム単位などがセットになりますが、機能拡張などによって別システムでも同じ基盤を共有しているケースもあります。
そういったケースは別々に移行すると思わぬトラブルが発生する可能性があるため、同じセットとしてまとめて移行するようにしましょう。
スムーズに行うポイント2:移行対照表の作成
AWSへの移行をスムーズに行うには、移行対照表を活用しましょう。
移行対照表を利用することで、移行作業前と移行完了時で何がどのように変わるのかを簡単に把握できるようになります。
たとえばIPアドレスやOS、ミドルウェアなどの移行対照表を用意して、現行、移行後、さらに統合や破棄についても記載できるようにしておきましょう。移行対照表を用意しておくことでチェックリストとしても使えて便利です。
スムーズに行うポイント3:マイルストーンの設定
AWSへの移行をスムーズに行うには、マイルストーンを設定しましょう。
マイルストーンとはビジネス用語で「中間目標」のことです。AWSへの移行作業ではイレギュラーな事態も発生しやすいため、マイルストーンを引いておくことで作業の進み具合がわかりやすくなります。
ここではマイルストーンを設定するポイントを詳しくご紹介します。
まとめた作業セットごとで同じ基準のマイルストーンを決める
マイルストーンは、作業セットごとに同じ基準で設定しましょう。
作業ごとに同じ基準のマイルストーンを設定しておくと、作業の見通しが立てやすくなります。移行中にトラブルが発生した場合でも、同じ基準でマイルストーンを用意しておくことにより、作業の進み具合を可視化しやすくなります。
また、同じ基準のマイルストーンを引くことで、作業の順番の入れ替えも検討しやすくなるでしょう。
移行前と移行後の判定を定義する
移行前と移行後の判定のためにそれぞれマイルストーンを定義することで、完了条件がより明確になります
移行前のマイルストーンを設定することで、移行対象のシステムをAWSで動作させた際、致命的な問題がないことを確認することができます。
また、移行後のマイルストーンはシステムの切り替えが完全に完了したことを見なす判断基準として利用できます。
AWSの移行後の注意点とは?
AWSの移行後にも忘れてはいけない作業があります。
AWSへの移行作業は準備から実際の移行作業まで非常に労力や時間がかかるため、移行後の作業にまで気が回りにくいです。しかし無事にシステムを移行した後に、必ず行わなければいけないタスクがあります。
ここでは最後にAWSの移行後の注意点についてご紹介します。
現環境の契約解除や撤去をすること
AWS移行後には、無駄なコストを発生させないように現環境の契約解除や撤去を忘れずに行いましょう。
ただし、一度契約を解除すると元の環境に戻すことはできません。そのため、不測の事態にそなえて新旧のシステムの並行稼動期間を設定するのがおすすめです。
AWSへの移行方法を確認しよう
現環境からAWSへ移行するためには十分な準備を行う必要があります。
AWSなどのクラウド環境へシステムやサービスを移行することで、運用コストを削減し、トラブル発生時やサーバーのアップグレード時の負荷も軽減することができます。
ぜひこの記事でご紹介したAWSへの移行の準備やAWSへの移行をスムーズに行うポイント、移行後の注意点などを参考に、AWSへの移行を検討してみてはいかがでしょうか。