客先常駐SEの離職率が高いと言われる理由9つ!通勤時間や給与が問題?

客先常駐SEとはどんな職種?

客先常駐SEとは、技術者を求めている企業にSEを派遣し、その会社に常駐してシステム開発などを行う職種です。社内SEは自社雇用のSEですが、客先常駐SEは常駐する会社以外の雇用になります。

長期的にキャリアを積み上げることの難しさや正当な評価がされにくく昇給が難しい、給料が少ないなど、不満を感じる部分が多いことから離職率が高い職種といわれています。

客先常駐SEの仕事内容2つ

客先常駐SEとはどんな職種がわかったところで、客先常駐SEの主な仕事内容2つについて紹介していきます。客先常駐SEの仕事内容には、情報システム開発と情報システムの保守・運用があります。

もちろん、常駐先によって頼まれる内容に差はありますが、多くはこの2つの仕事を担当することになるでしょう。

客先常駐SEの仕事内容1:情報システム開発

客先常駐SEの仕事内容として1つ目は、情報システム開発です。情報システムの開発行程は、要件定義、外部設計、内部設計、プログラミング、テスト、と言う流れを汲みます。

このうち常駐SEが担当するのは、上流工程からの仕様を基に、プログラミングを組む下流工程の立場を担当することが多いでしょう。

客先常駐SEの仕事内容2:情報システムの保守・運用

客先常駐SEの仕事内容として2つ目は、情報システムの保守・運用です。保守は、システムのアップデート作業やシステムに不具合が起きた時の対応業務のことをいいます。

運用はシステムが正常に稼働しているかを確認し、トラブルが起きないようデータのバックアップやシステムを監視することをいいます。

ユーザーのアクセスが一時的に偏るようなシステムの場合は、接続ができなくなる不具合が起きやすいので注意が必要な仕事です。

客先常駐SEの離職率が高いと言われる理由9つ

客先常駐で働いていると会社を辞めたいと思う人が多いといわれています。次は、客先常駐SEの離職率が高いと言われる理由9つについて紹介していきます。

客先常駐SEの離職率が高いと言われる理由には、通勤時間の問題・給与の問題・人事評価が正当でない・社内待機が長引くことがある・自分で現場が選べない・常駐先が変わる・気疲れしてしまう・帰社日が設定されている・無理な働き方を強要されることがある、などがあります。

離職率が高いと言われる理由1:通勤時間の問題

離職率が高いと言われる理由として1つ目は、通勤時間の問題です。客先常駐SEは、片道1時間半かけて通勤していることが多いです。

プロジェクトが終われば契約が変わり常駐先が変わっていくので、職場に合わせて住む場所を選べません。長すぎる通勤時間は睡眠不足やプライベート時間を削ってしまうため、ストレスになるでしょう。

離職率が高いと言われる理由2:給与の問題

離職率が高いと言われる理由として2つ目は、給与の問題です。常駐SEは通常のSEと比べて給与が少ないといわれています。

一般的なSEの年収は550万前後といわれています。客先常駐SEの場合、契約内容や常駐先で差が出ますが、平均的な年収は大体350~400万になるので金額に不満を持つ人が出てくるでしょう。

客先常駐SEは、契約期間が決められていることで短期的な評価になり、給料が上がりにくい傾向があります。

離職率が高いと言われる理由3:人事評価が正当でない

離職率が高いと言われる理由として3つ目は、人事評価が正当でないことです。客先常駐SEは単独で常駐することもあり、評価できる人がその場にいないことが多いです。現場で考課者が仕事ぶりを確認できないため、正確なジャッジができません。

また、多重請負構造であることや、プロジェクトとの間に空白期間ができてしまうことも人事評価が正当にできない理由にあるでしょう。

多重請負構造である

多重請負構造とは、元々発注者から受注された仕事を請け負うところを、この仕事を自社で行わず2次、3次と下請けに流している構造状態のことをいいます。

多重請負構造になる要因は、日本の雇用制度は一度雇ってしまうと解雇しにくく、一時的な人員のニーズに対応できないため、客先常駐SEで補うことになります。

多重請負構造は仲介企業が間に多く入り、自分の評価や働きぶりが伝わりにくく正当な評価を受けにくいでしょう。

プロジェクトとの間に空白期間ができてしまう

一定の期間の契約で常駐しているSEの場合、一つの納期が終わると次のプロジェクトが開始されるまで、空白期間ができてしまうことがあります。

プロジェクトが開始されるまでの待機時間に大きな仕事を任されることはないので、人事評価もこの時期は評価されにくく、キャリアアップしにくい部分があるでしょう。

離職率が高いと言われる理由4:社内待機が長引くことがある

離職率が高いと言われる理由として4つ目は、社内待機が長引くことがあることです。社内待機とは、常駐先が決まらず自社で待機することを言います。

一般的にある程度の経験があるSEであれば2週間、未経験者であれば1カ月程かかることもあります。社内待機が長引くことによって、周りの目が気になり、社内に居づらくなる点も離職率につながる理由です。

離職率が高いと言われる理由5:自分で現場が選べない

離職率が高いと言われる理由として5つ目は、自分で現場が選べないことです。常駐先は常駐する本人の意志ではなく、会社の都合で決定します。

ある程度の希望を聞いてくれる会社もありますが、基本的には単価の高さや実績を作りたいクライアント先と契約し、現場が決定します。通勤時間が長い現場や、自分が全くやりたくない分野の現場に行かされてしまうこともあり、不満につながりやすいでしょう。

離職率が高いと言われる理由6:常駐先が変わる

離職率が高いと言われる理由として6つ目は、常駐先が変わることです。案件が終われば、外部から用意された人員は不要になるため、一旦本社に戻って待機か別の常駐先に行くことになります。

業務内容や職場の雰囲気など、気に入っていた環境の場合、常駐先が変わってしまう事はモチベーションダウンに繋がります。次に行く現場で、また一から人間関係を築くことも億劫に感じてしまうこともあるでしょう。

離職率が高いと言われる理由7:気疲れしてしまう

離職率が高いと言われる理由として7つ目は、気疲れしてしまうことです。常駐SEは、常駐する会社がお客様であるため、周りに必要以上に気を使って仕事をすることになります。

クライアントから強いプレッシャーをかけられたり、時には厳しい言葉をぶつけられたりすることもあるでしょう。自社勤務であれば、職場に慣れてくればリラックスできますが、客先常駐SEは、常にお客さんの会社にいる意識を持たならず気が抜けません。

離職率が高いと言われる理由8:帰社日が設定されている

離職率が高いと言われる理由として8つ目は、帰社日が設定されていることです。客先常駐SEは、月に1回程度報告書の提出やミーティングの参加などで帰社日が設定されています。

帰社日の目的としては、常駐先での仕事の確認だけではなく、帰属意識を薄れさせない部分もありますが、基本的に月の大半を常駐先の会社で過ごしているので自社への帰属意識が薄れ、帰社日が面倒に感じてしまう人が多いです。

離職率が高いと言われる理由9:無理な働き方を強要されることがある

離職率が高いと言われる理由として9つ目は、無理な働き方を強要されることがあることです。客先常駐SEは、常駐先で仕事の指示を受ける場合、同じく常駐している自社のリーダーを飛ばして発注者からの作業指示を受けることは契約上禁止されています。

常駐SEに発注者が直接、休日出勤や残業を依頼することは禁止されているので、直接依頼された時は疑いなく了承しないようにしましょう。

客先常駐SEで経験できること

次は、客先常駐SEで経験できることについて紹介していきます。客先常駐SEは離職率が高く、不満が増えやすい職種ではありますが、悪いことばかりではありません。客先常駐SEだからこそ、下流工程を様々な企業で経験できるメリットもあります。

下流工程の実務経験を積める

上流工程は現場の社員が行い、客先常駐SEの仕事は下流工程がメインです。下流工程では、情報システムやソフトウェアの開発で、プログラミングをし、依頼された製品を完成させる仕事です。作り込みの楽しさを学ぶにはもってこいの仕事でしょう。

常駐SEは契約期間が来れば現場が変わるので、様々な企業で開発経験を積むことが可能です。短期間のうちに、異なる現場で実務経験を築いていくには適した職種といえます。

客先常駐SEから転職するときのポイント3つ

客先常駐SEの離職率が高いという不安もありますが、まずは下流工程の実務経験を積み、後々転職しようと考れば、「最初は客先常駐SEでも良いのかな」と思う方もいるでしょう。それも一つの選択です。

最後に、客先常駐SEから転職するときのポイント3つを紹介していきます。客先常駐SEから転職するときのポイントには、上流工程に転職する場合・社内SEに転職する場合・Slerに転職する場合などがあります。

客先常駐SEから転職するときのポイント1:上流工程に転職する場合

客先常駐SEから転職するときのポイントとして、上流工程に転職する場合は、下流工程の実績は基礎力として受け取られますが、重要視されるのが対人スキルやマネジメントスキルです。

客先常駐SEで、これらのスキルをアピールできるような経験ができたかも上流工程への転職タイミングとして重要になります。また、客観的に能力をアピールするために、基本情報技術者やオラクルマスターなどの資格を取得しておくと良いでしょう。

客先常駐SEから転職するときのポイント2:社内SEに転職する場合

客先常駐SEから転職するときのポイントとして、社内SEに転職する場合は、客先常駐エンジニアで培った知識をそのまま活かせます。

転職のタイミングは、一通りの開発のスキル、サーバーやネットワークの知識を持っておく必要があるので客先常駐SEで1年程度の実績を持っておくほうが良いでしょう。

注意点としては、社内SEは基本的に上流工程しか行わないため、プログラミングスキルを磨きたい方には物足りない職種でしょう。

客先常駐SEから転職するときのポイント3:Slerに転職する場合

客先常駐SEから転職するときのポイントとして、Slerに転職する場合は、客先常駐SEとして1年は経験を積み、基本的なビジネスマナーや実務経験を持った状態で転職活動を開始したほうが良いでしょう。

注意点として、SIerは、プロジェクトを着々と遂行していく業務であり、経験がものを言う場面も多いです。安定感を見せるためにも、最低限のSEのスキルが身に着いてから目指すことをおすすめします。

客先常駐SEの離職率が高い理由を知っておこう

客先常駐SEの離職率が高いと言われる理由や客先常駐SEで経験できることなど紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。

客先常駐SEは問題が多い働き方です。客先では明確とした結果を出すことを求められますが、客先ということで、正当に評価されず賃金があがらないこともあるでしょう。

SEを目指している方で客先常駐SEの募集を見つけてもすぐに飛びつかず、客先常駐SEの離職率が高い理由を知っておきましょう。