SEの6つの仕事内容とは|向いている人やプログラマーとの違いも解説

SEとは?

SEとは、情報システム開発において、顧客の要求を実現するための情報システムを企画、設計する仕事です。

情報システム開発の上流工程を担当し、顧客と合意した予算の範囲で人員のアサインやスケジューリングなどのマネジメント業務や顧客の要求分析と要件定義を行って情報システムの設計業務を行います。

プロジェクトによって、SEの担当業務は変わることがあり、プログラム開発やシステム実装まで担当する場合もあります。

SEの年収

SEの年収とは、SE自身のスキルや経験、仕事内容によって異なりますが、400万円から600万円ほどです。

SEの立場として、情報システム会社で顧客の仕事を請け負うタイプと、自社システムの開発・運用を行うプロパーのSEもおり、プロパーの場合は所属会社の賃金基準に従います。

スキルや経験を積んでITコンサルタントにステップアップして、600万円以上の年数を得ることも可能です。

SEのキャリアパス

SEの仕事のキャリアパスには、ITのスペシャリストを目指す方向と、ITコンサルタントのようにゼネラリストを目指す方向があります。

ITのスペシャリストとは、マネジメントへのキャリアを目指さずに要求されたITシステムを実現する最適な方策を実現していきます。

マネジメント方向を目指す場合は、IT技術だけでなくマネジメント手法やコミュニケーション能力など明確なキャリアパスを意識して仕事を選んでいきましょう。

プログラマーとの違いとは

SEとプログラマーの違いは、ITシステム開発の中で任せられる仕事がSEは上流工程、プログラマーは下流工程という点です。

SEの仕事は、顧客の要求を実現できるITシステムを設計し、プログラマーがコーディングしたシステムが正しく動作するかどうかをテストすることです。

プログラマーの仕事は、SEの作成した設計をもとにシステム実装のためのプログラミングを行うことです。

SEの6つの仕事内容とは?

SEの仕事内容とは、ITシステム開発における上流工程の要求分析、要件定義、基本設計、詳細設計、プログラミング、テストの6つです。

それぞれの工程において、仕事の内容や要求される能力についてご説明します。

SEの仕事内容1:要求分析

SEの仕事内容における要求分析とは、顧客がITシステムに対して期待している要求内容を、顧客へのヒアリングや現場確認を通して引き出し、明文化することです。

顧客にヒアリングを行い、現在困っていることや、それをどのような形にしたいのか、その際に留意しなければならない内容などを聞き取り、要求分析書として明文化します。

顧客のITシステムに対する予算を基に、開発できるシステムを検討し、開発期間や費用を算出し、顧客に提示します。

SEの仕事内容2:要件定義

SEの仕事内容の要件定義とは、要求分析で決まったシステム要件について、要求を実現するためのシステム要件を定義することです。

顧客要求を満たす要件分析に対して、システム化予算の範囲内で実現可能なシステム要件を定義します。

予算の範囲内で顧客のすべての要望に応えるのが難しい場合は、残すべき要件について顧客と合意しておく必要があります。

SEの仕事内容3:基本設計

SEの仕事内容の基本設計とは、要求分析や要件定義で得られた情報を元に、顧客ニーズを実現するためのシステムに持たせるべき機能や入出力設計を行う工程です。

設計する項目は、手作業も含めた業務の流れを示す業務フロー、開発する機能一覧表、ネットワークを使用する場合はネットワーク構成図、データベース関連の定義を行い、入出力の画面や帳票のイメージやレイアウトを設計します。

SEの仕事内容4:詳細設計

SEの仕事内容の詳細設計とは、基本設計で決められた機能について、具体的に実装するための技術や仕組みを設計することです。

実際に作成するのは、機能のフロー、処理内容や画面や帳票の項目の詳細設計を盛り込んだ機能設計書と、データベースの物理設計書です。

詳細設計で作られた設計書を見て、プログラマーがプログラミングできるレベルまで落とし込む必要があります。

SEの仕事内容5:プログラミング

SEの仕事内容のプログラミングとは、SEの作成した詳細設計をコーディングして、処理を実現するプログラムを作成することです。

プログラミングは、通常はSEの仕事には入りませんが、小規模なシステムの場合やユーザー企業の社内SEの場合はプログラミングを行うこともあります。

プログラマーよりSEの仕事単価の方が高いのですが、それほどコーディング量が多くない場合などは、わざわざプログラマーをアサインするより安くあがることもあります。

SEの仕事内容6:テスト

SEの仕事内容のテストとは、詳細設計を基にプログラマーがコーディングしたシステムが、実際に機能を発揮するかどうかを確認する結合テスト、総合テストを設計し、実施することです。

テスト設計時には、通常の動作の確認だけでなく、イレギュラーな処理が行われた場合の動作設計について網羅しておかないと、システム稼働後に大きなトラブルにつながる可能性があります。

SEに必要なスキル4選

SEに必要なスキルとは、ITシステムに関するスキルだけではありません。

SEとしての仕事に必要なスキルとは、ITに関するスキルのほかに、顧客のニーズをくみ取るコミュニケーション能力と、プロジェクトを計画通り進めるマネジメント能力です。

SEに必要なスキル1:指示を伝えるコミュニケーション能力

SEの仕事に必要なスキルのコミュニケーション能力とは、顧客から必要な要件を漏れなく引き出し、プログラマーに必要な要件を正しく伝えるためのコミュニケーション能力です。

SEは要求分析や要件定義のフェーズで顧客のニーズを聞き取り、抱えている問題を理解して、その解決策をIT知識のない顧客に納得してもらう必要があります。

実際に開発を進める際は、チームメンバーに適切な指示を伝える能力が重要になってきます。

SEに必要なスキル2:要求を汲み取るヒアリング能力

SEの仕事に必要なヒアリング能力とは、時には顧客が自分たちでも理解できていない本当のニーズを引き出すことのできる聞き取りの能力です。

ITに対する知識のない顧客には、ITで何を実現できるのかわかりません。SEはさまざまな切り口で現状を聞き取り、どこに解決するべき問題が潜んでいるかを明らかにしなければなりません。

その仕事で本当に必要な要件なのか、業務のやり方の問題なのかを切り分けられる必要があります。

SEに必要なスキル3:円滑に作業を進めていくマネジメント力

SEの仕事に必要なマネジメント力とは、システム開発プロジェクトを予算とスケジュールを守って完了させるために必要な能力です。

システム開発には予算と納期があり、その範囲内で完結させる必要があります。顧客やプログラマーとスケジュールを調整し、予期しないトラブルが発生した際にも調整・解決してシステム開発プロジェクトを進められるマネジメント能力が重要です。

SEに必要なスキル4:システム設計のための専門知識や技術力

システム設計のための専門知識や技術力は、ITシステムを開発するSEの仕事に必要なスキルです。

最適なITシステムを設計するために、最新のITの専門知識やプログラミングの知識は欠かせません。効率の良いプログラムを作成するためには、システム設計時点での作り込みが必要になります。

SEに向いている人の特徴3つ

SEという仕事は、プログラマーほどIT技術に特化していないので、IT技術に興味がないとできないということはないのですが、やはりIT技術のフォローを苦痛に感じてしまう人もいます。

SEの仕事に向いている人とは、IT技術に興味を持ち、最新の技術を追う好奇心があり、コミュニケーション能力に優れている人です。

それぞれの要素について、細かく見ていきましょう。

SEに向いている人の特徴1:ITに興味がある

SEの仕事に向いている人とは、まずITに興味があり、ITで何が実現できるかを常に考えている人です。

IT技術は単なるツールですので、それをどのように活用すれば顧客の問題解決に役立てるかを考えなければなりません。IT技術に興味をもっていれば、IT技術の可能性や適用例を追い続けるのは好奇心を満たす楽しい行為になります。

IT技術の可能性を考え続けることは、IT技術に興味がない人だと苦痛になってしまうでしょう。

SEに向いている人の特徴2:コミュニケーション能力がある

SEの仕事に向いている人とは、顧客やプロジェクトメンバーを理解し、適切な情報を提供することのできるコミュニケーション能力を持っている人です。

コミュニケーション能力が不足していると、顧客の要求を正確に把握することができず、顧客への提案を通すことも難しくなります。

プロジェクトメンバーへの指示も正しく伝わらず、手戻りが起きたりトラブルに発展してしまう場合もあります。

SEに向いている人の特徴3:技術トレンドを常にチェックしている

SEの仕事に向いている人とは、好奇心が強く、技術トレンドを常にチェックしており、業界の最先端の状況とトレンドを把握している人です。

技術トレンドを常にフォローし続けることで、その時点で最善のシステム提案を行えます。

仕事をしている間だけでなく、プライベートの時間にも技術動向をチェックし、すぐに実現できない技術についても知識を得ておくことで、長期に渡ってSEとしての能力を維持していくことができます。

SEになるために必要なプログラミングを学ぶ方法2選

SEになるためには、プログラミングの知識は必須です。

すべてのプログラミング言語を学ぶ必要はありませんが、一つのプログラミング言語を学ぶことで、プログラミングの際に注意すべきことや、効率よくプログラミングできるやり方の概要について知ることができます。

SEの仕事に就くために必要なプログラミングを学ぶ方法についてご紹介します。

SEに必要なプログラミングを学ぶ1:独学

SEの仕事に必要なプログラミングを学ぶやり方の一つは、書籍や学習サイトを利用して、独学で学ぶ方法です。

プログラミング自体は習得がそれほど難しいものではなく、参考書籍などを見て、パターンを学習していくことで学ぶことができます。

サンプルプログラムを自力で作成してみれば、一通りのプログラミングの技術を学ぶことができます。学習サイトを利用することで、さまざまなシチュエーションでの対応手順を理解できます。

SEに必要なプログラミングを学ぶ2:スクールに通う

SEの仕事に必要なプログラミングを学ぶもう一つのやり方とは、スクールに通って専門の講師に系統だったトレーニングをしてもらうやり方です。

独学でありがちな知識の偏りや思い込みなどを避けることができ、理解できない点があれば講師に理解できるまで質問して、正しい知識を身につけることができます。

SEの仕事におすすめな5つの資格

SEの仕事をするために医師や弁護士のような国家資格は必要ありませんが、国家資格とベンダー資格があり、就職の時などには有効です。

資格を取得すると、SEとしての能力を客観的に証明できるだけでなく、取得のための勉強をすることで、知識の欠けている部分を補い、有効な使いかたを覚えることのできるメリットも大きいです。

企業によっては、資格を持っていると資格手当が出ることもあるので、資格を取るのはおすすめです。

SEの仕事におすすめな資格1:基本情報技術者試験

SEの仕事におすすめな資格の一つ目は、ITに関する基本的な知識や技能と、それらを現場で活用できることを認定する基本情報技術者試験です。

基本情報技術者試験はIPA(独立行政法人 情報処理推進機構)によって年2回実施されており、受験者数は26,000人程度、合格率は25%程度です。

IT技術の勉強を始めてから半年程度で受けてみると、自分の実力をはかるよい機会になるでしょう。

SEの仕事におすすめな資格2:応用情報技術者試験

SEの仕事におすすめな資格の2番目は、基本情報技術者試験より高度な知識、スキルに加えて、管理や経営の知識も問われる応用情報技術者試験です。

基本情報技術者試験の次の目標にちょうどよく、SEの業務に欠かせない管理や経営の勉強のきっかけにもなります。

IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)により、年2回実施され、8万人ほどが受験して、合格率は18%程度です。

SEの仕事におすすめな資格3:ネットワークスペシャリスト試験

SEの仕事におすすめな資格の三つめは、ネットワークシステムの知識が問われるネットワークスペシャリスト試験です。

現在開発されるシステムは、ネットワークシステムを活用するケースが多く、システム設計の段階でネットワークシステムの要件定義や開発・運用、保守に関する知識が必要になります。

さまざまなITシステムの構築を任されるSEにとって、ネットワーク技術に関するさまざまな知識は大きな武器になります。

SEの仕事におすすめな資格4:システムアーキテクト試験

SEの仕事におすすめな資格の4つ目は、ITシステムと組み込みシステムに関する専門的な知識を問うシステムアーキテクト試験です。

システムアーキテクト試験は、ITシステム開発の上流工程について深い知識を持ち、システム設計やシステム開発を主導でき、経験の浅いSEを指導できる上級SE向けの資格です。

IPAが年1回実施する、合格率が15%程度の難関資格ですが、上級SEを目指すならとっておきたい資格です。

SEの仕事におすすめな資格5:オラクルマスター

SEの仕事におすすめの5つ目の資格は、オラクル社製品のOracle Databaseに関する知識・技術への習熟度を証明するオラクルマスターです。

オラクルマスターは民間資格ですが、Oracle Databaseは多くの企業で採用されており、持っていると就職時に有利になる場合が多く、特別手当が用意されている場合もあります。

SEの仕事を理解しておこう

SEの仕事とは、ITシステムの開発において中核となる要件定義からシステム設計、テスト設計などを受け持ち、SEの仕事の質がITシステムの出来不出来に直接かかわる重要な仕事です。

ITシステムの上流工程を受け持つやりがいのある仕事で、さらなるキャリアパスも望めますので、ITに興味がある人なら、SEを目指してみましょう。