機械学習ができるクラウドサービス6つ|クラウドサービスのメリットも紹介!
クラウドサービスとは
クラウドサービスとは、共有のコンピューティングリソースをどこからでもネットワーク経由で利用することができるサービスです。
クラウドサービスを利用すれば、サーバーやネットワーク、ストレージなどのリソースを自分で所有して管理する必要がなく、これまでITインフラの調達や保守管理に要していた時間やコストを大幅に縮小できます。
また、利用量に応じて柔軟にキャパシティの増減が可能です。
クラウドサービスの種類3つ
クラウドサービスは、その提供形態において大きく3つの種類に分けられ「IaaS」「PaaS」「SaaS」と呼ばれています。
クラウドサービスは、事業者の責任範囲が小さいほどユーザーの管理部分が増えると同時に、カスタマイズ性も高くなるため利用する際は、ユーザーが自分に適した提供形態を選択する必要があります。
それでは、それぞれの特徴を見ていきましょう。
クラウドサービスの種類1:IaaS
IaaSとは「Infrastructure as a Service」の略語で、仮想サーバーやネットワークなどのインフラを、インターネット経由で提供します。例えば、Google Compute Engineなどがあります。
インターネット環境さえあれば、サーバーやハードウェアなどを準備することなくITインフラを利用できます。
また、3種類の中でもっともユーザー側の自由度が高いため、専門知識が要求されます。
クラウドサービスの種類2:PaaS
PaaSとは「Platform as a Service」の略語で、アプリケーション開発に必要な実行環境を提供するサービスです。例えば、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoftAzureが有名で、ユーザーはミドルウェアの運用管理を行う必要がなく、コストを抑えることも可能です。
また、人工知能やIoTなどの機能を、アプリケーションに組み込むことが容易にできます。
クラウドサービスの種類3:SaaS
SaaSとは「Software as a Service」の略語で、ネットワーク経由でソフトウェアやアプリケーションを利用可能で、例えばchatworkやMicrosoft office 365などがあります。
パソコンやスマートフォン、タブレットなどの多様な端末からアクセスでき、さらに複数の人が同時にデータを共有・編集できます。
ソフトウェアをインストールする必要がなく、利用までが早いのが特徴です。
機械学習にクラウドサービスを使用するメリット3つ
機械学習とは、与えられた大量の情報やデータからパターンを学習して、特定の処理を実行する技術です。
近年、クラウド環境における機械学習の利用シーンが増え、機械学習専用のソフトウェアとハードウェアスペックを持ったパソコンも販売されています。
このように、クラウドサービスを利用して機械学習が行われるメリットを紹介します。
クラウドサービスのメリット1:保守管理の必要がない
サーバーの保守管理とは、OSやアプリケーション、セキュリティソフトなどのバージョン管理を行うことです。
クラウドサービスは、これらの管理をクラウド事業者が行うため、ユーザーはネットワーク経由でサービスを導入するだけで利用することができます。
クラウドサービスを利用せず、企業が独自に導入するオンプレミスシステムは、インフラの構築や管理に多大な労力とスキルが必要になります。
クラウドサービスのメリット2:コスト削減
クラウドサービスは、導入が簡単であることと同時に、初期費用の安さが大きなメリットです。システムを導入・構築、および保守管理などをすることなく、必要な機能を利用できるため、支払う金額は月額使用料金のみです。
オンプレミス環境は、設備費用に加えて人件費などの多くのコストがかかり、さらに保守管理やセキュリティ対策など、初期投資だけでなくメンテナンスの経費を見込んでおく必要があります。
クラウドサービスのメリット3:簡単に導入・入れ替えできる
クラウドサービスの魅力の一つは、インターネットに接続可能な環境であれば、どこでも簡単に導入・利用・入れ替えができることです。
そのため、最近増えているリモートワークでも導入しやすく、しかも大容量のデータのやり取りにも対応できるため、ビジネスにおけるクラウドサービスの利用シーンが増えています。
機械学習ができるクラウドサービス6つ
機械学習を行うためには、大量のデータを処理できるスペックのパソコン周辺機器を準備する必要があります。
しかし、クラウドサービスを利用すれば、高いスペックのコンピューターを準備してデータ解析を行ったり、自身でコーディングなどを行わなくても、ユーザーインターフェースでデータ解析を行うことが可能です。
そんな機械学習ができるクラウドサービスを紹介します。
機械学習可能なクラウドサービス1:GCP
Googleが提供しているクラウドサービスがGCP(Google Cloud Platform)です。
GCPのメリットは、安定したインフラ環境、Googleならではのスピードと安定性、機械学習などAIサービスの充実、高度なセキュリティです。
特に、機械学習はBigQueryなどを活用してビッグデータを扱える最新技術を利用できますが、柔軟性がやや劣るため細やかなカスタマイズには向いていません。
機械学習可能なクラウドサービス2:AWS
AWS(Amazon Web Services)はAmazonが提供しているクラウドサービスです。
AWSが提供するAmazon SageMakerは機械学習のサービスで、モデルの構築や訓練、デプロイなどを実行できます。
さらに、さまざまな機械学習アルゴリズムを選択でき、モデルのチューニングも自動化されており、文章の音声変換や多言語翻訳・画像・動画の分析など多くのサービスが無料で使用できます。
機械学習可能なクラウドサービス3:Microsoft Azure
AzureはMicrosoftから提供されているクラウドサービスです。
Azure Machine Learning、Azure Databricks、ONNX Runtime を使用して、機械学習モデルの構築、トレーニング、デプロイを行うことができます。ユーザーのスキルレベルに関係なく、ニーズに合ったツールを使用することで機械学習モデルをすばやく構築できます。
機械学習可能なクラウドサービス4:SAP
SAP Cloud PlatformはSAP社が提供するクラウドサービスです。
SAPは、AIと機械学習の技術を基盤にインシデントの解決策を提示するサービス「Incident Solution Matching」の提供を始めました。
さらに、サポート技術関連においては自動学習機能により回答精度が向上するなど、今後もAI分野の技術革新が予測されます。
機械学習可能なクラウドサービス5:Spell
Spellは、前述したGCPやAWS、Azureと異なり、完全開発者用のクラウドサービスです。
Spellが提供するGPU環境を利用できる点がメリットで、 高価なGPUを低価格で使用できます。また、Spellでのデプロイは、APIの利用ができないため、自身でのプログラミングが必要です。
機械学習可能なクラウドサービス6:Floydhub
FloydHubもSpell同様、完全開発者用のクラウドサービスです。
機械学習のコード実行に特化したPaaSであり、python train.pyというプログラムを実行させたり、Jupyter notebook環境による開発などに利用されます。
クラウド上のGPUに学習プログラムをセットして処理が可能で、手持ちのパソコンではパワー不足の場合や大規模プロジェクト管理の場合に有用です。
エッジAIについて
前述したとおり、近年AIや機械学習の活用が広がり、機械学習ができるクラウドサービスも増えてきていますが、最近ではさらに「エッジAI」の活用が注目されています。
エッジAIとは、スマートフォンや車、センサーなどのエッジデバイスに搭載されている人工知能のことです。エッジAIは、例えば製造業の生産工場や自動走行車などで積極的に使われています。
クラウドAIとの違い
エッジAIはクラウドAIと異なり通信が不要なため、インターネット通信ができない環境や、即時的な判断およびリアルタイムの学習効果判定が要求される現場で活用されています。
また、データ量を抑えられるために通信コストを削減できる、インターネット通信による情報漏洩を防ぐことができる、などのメリットもあります。そのため、現在多くの企業に導入されており、将来的に活用シーンが広がるでしょう。
クラウドサービスを活用して機械学習を行おう
クラウドサービスは数多くのサービスがあり、AIや機械学習へ活用できるものも増えてきました。初期費用が抑えられ、保守管理の必要がないクラウドサービスは、リモートワークの導入が増加している現状で、今後さらに活用の場が増えていくでしょう。
クラウドサービスはその責任範囲や運用管理の範囲が異なるため、自分に最適なサービスを選択し、クラウドサービスを上手に活用して機械学習を行いましょう。