jQuerでできること11選|JavaScriptとの違いとは?

jQueryとはどんなライブラリ?

jQueryはJavaScriptでできることを簡潔なソースコードで表現できるようにしたライブラリで、「JavaScriptライブラリのデファクトスタンダード(事実上の標準)」と言われています。

世界中のプログラマーが作ったプラグインも多数公開されています。

jQueryが出てきたことでJavaScriptプログラミングの初心者でもWebブラウザのフロントエンドの開発を簡易に進められます。

JavaScriptとの違い

jQueryはjavaScriptで作られたライブラリのため、jQueryもjavaScriptと言えます。

ライブラリとは、プログラムを集めたファイルです。「部品集」と言ってもいいでしょう。

JavaScriptで用意されているものはプログラムを作る素材のみのため、そのままでは都度プログラムを組むため効率が良くありません。よく使う機能を作っておいていつでも使えるようにしておくのがライブラリです。

jQueryでできること10選

jQueryでできることは多数あり、JavaScriptで複雑なソースコードを書かなければならない機能でも簡単なソースコードで実現できます。

特にブラウザに表示されている入力項目などの内容、情報、装飾を制御できます。

ここではブラウザに表示されている内容の装飾の制御、視覚効果、そして外部ファイルの読み込みについて見ていきましょう。

jQueryでできること1:簡単な文字装飾

jQueryを使うと文字に装飾を追加する、文字の装飾の状態を変える、また装飾を外す、などを簡潔なソースコードで実現できるようになります。

文字の装飾にはCSSのキーワードなどの定義を使います。CSSでは文字の大きさ、文字の太さ、斜体字、文字色、背景色を指定できます。

jQueryは変更したい文字と、どのような装飾にしたいかを指定することで簡単に文字装飾を実現できます。

jQueryでできること2:Ajax使用時の外部ファイルの読み込み

jQueryでできることにサーバーとの非同期通信であるAjax(Asynchronous JavaScript and XML)があります。サーバーとの通信でサーバー内のファイルを読み込んだり、各種データを取得できます。

通常、Webページの内容を更新するにはリロードや画面遷移が伴いますが、Ajaxを使えばブラウザのリロードなどをしなくても表示内容を更新できます。

jQueryでできること3:マウスオーバーによるエフェクト

jQueryではマウスの動き、キーボードの操作、Webページの読み込みの完了などの各種契機(イベント)の検知を簡潔なコードで書けて、また、これらのイベント発生時に様々な動作を定義できます。

jQueryを使用すると、表示している画像や文章の領域にマウスが重なったときにその画像や文章に影を付ける、色を変える、などの視覚効果(エフェクト)をかけられます。

jQueryでできること4:スライドショーが楽に作れる

jQueryにできることに、「複数の画像を使用したスライドショー」があります。

これは画素数が同一の複数の画像ファイルと、切り替わりの時間(秒数)を指定することで、画像の表示を自動で切り替えられる機能です。また、徐々に画像が表れるフェードイン、徐々に画像が消えるフェードアウト、これらを組み合わせたクロスフェードも指定できます。

これらをJavaScriptのみで実現させるのはかなり困難でしょう。

jQueryでできること5:検索機能やソートが追加できる

jQueryにできることに検索やソートがあります。

jQueryでの検索はリストタグなどに定義したデータをソートしたり特定の値や文字列を探す検索機能で、ソートは数値に限らず文字列も対象にできます。

JavaScript単体でもソートや検索はできますが、それぞれの機能を組み立てる必要があります。しかし、jQueryのソートや検索を使うとソースコードを簡潔に書けます。

jQueryでできること6:開閉メニュー機能の実装

スマートフォンは「パソコンと比較して画面の物理的な大きさが小さい」という特徴があります。そのためWebサイトをスマートフォンで表示するときは様々な工夫が必要になります。

jQueryでできることとレスポンシブデザインを組み合わせれば、「メニューを通常はアイコンにしておいて、必要な時だけ見えるようにする」など、画面を広く使う工夫を実現できるでしょう。

jQueryでできること7:レスポンシブデザインを作成できる

スマートフォンとパソコンなど複数のデバイスでWebサイトの表示を最適化するレスポンシブデザインでは、CSSで表示の制御を定義します。

jQueryでできることのひとつに「ブラウザの動作の契機(イベント:event)の検知」があり、これを利用すればCSSだけでは実現できない表示を制御できます。

「ブラウザの動作の契機」はブラウザの表示サイズの変化、スマートフォンの縦、横の回転などがあります。

jQueryでできること8:視覚的な描写

jQueryでできることに「画面内の文字や画像の表示に動きを付ける」があります。JavaScriptでも可能ですが、jQueryでは専用のメソッドがあります。

画面内の文字や画像の表示に動きを付けると、ユーザーの注意を引き付けるなどの効果を得られます。

ここでは視覚的なものとしてイラストやグラフ、図形の描画、画像のアニメーションを見ていきましょう。

イラスト・グラフ

jQueryとCSSの組み合わせでできることにイラストやグラフの表示があります。

jQueryの図形要素の表示、非表示、要素のスライド、アニメーションなどの機能を組み合わせると、単に表示するだけでなく、図形の描画や線を引くプロセスを模した表示もできるようになります。

単に表示するだけでなく、表示に動きを持たせることでユーザーの注意を引き付けられます。

図形

HTML5から導入されたcanvasを利用すると円、矩形、線など様々な図形を描画できます。

canvasは図形の描画に特化しているためそれまでのJavaScriptとは使い方が異なりますが、jQueryのプラグインを使用すると簡単に図形を描画できるようになります。

画像のアニメーション

jQueryでできることに「画像を表示するときのアニメーション」があります。

アニメーションは、単に画像を表示するとき、また、表示している画像に様々な動きを加えます。

アニメーションには徐々に画像が表れるフェードイン、徐々に画像が消えるフェードアウト、2枚の画像の表示を徐々に切り替えるクロスフェード、表示している画像を画面内の任意の位置に動かす、などがあります。

jQueryでできること9:ツールチップ表示ができる

ブラウザに表示する便利な機能にツールチップがあります。ツールチップとは、ブラウザに表示されている画像や用語などにマウスポインタを重ねた時に表示される説明文などです。

jQuery自体にツールチップを表示する機能はありませんが、多数公開されているプラグインが使えばツールチップを簡単に表示できて、表現の幅が広がります。

jQueryでできること10:SNSシェアボタンを付けられる

近年ではFacebookやTwitterなどのSNSで記事をシェアすることが多くなってきました。jQueryのプラグインを使うとサイト内でSNSへ記事をシェアしたり「いいね」をできるようになります。

サイト内にシェアや「いいね」をできるボタンがあると、SNSへ移動しなくてもシェアや「いいね」の操作を促せるため、読んでいる人へストレスを与えずに済みます。

jQueryでできること11:株価などのリアルタイムの画像作成

jQueryでできることに「任意の契機でのサーバーとの交信」があります。

サーバーとの交信で株価、為替相場、天候など随時変化する情報を読み込み、その内容を基に表示している値を更新したり、グラフや画像などを描画することでユーザビリティを高められます。

サーバーとの交信の間隔は任意に設定でき、またサーバーとは非同期に交信するため、サーバーへの負荷を最小限にできます。

jQueryを利用するメリット5つ

Queryには、レスポンシブデザインなどの画面デザインをサポートしてくれる、ブラウザの違いを意識しなくてよいなど、できることが多数あります。

JavaScriptでのプログラムを組む時にはいくつかの注意点などがありますが、jQueryを導入するとJavaScriptでのプログラミングの手間を減らせます。

jQueryを利用するメリット1:開発時間を減らせる

Webサイトの表示内容やフォームに入力された値の制御、また、サーバーとの通信などをしようとすると煩雑なソースコードになることがあります。

jQueryにはWebサイトの表示内容やフォームの内容、サーバーとの通信を制御する様々な機能がまとめられているため、プログラマーは簡潔な表現でこれらの操作や制御を実現でき、また、jQueryを基にした独自のライブラリを自作すれば開発時間を短縮できるでしょう。

jQueryを利用するメリット2:メンテナンスしやすい

jQueryには、ブラウザで表示されている情報や画像などを制御する、様々な機能が盛り込まれています。

jQueryを導入すると、やりたいことを簡潔なソースコードで実現できるため、機能を拡張しやすく、また、障害が出た時も速やかに原因を特定できるでしょう。

jQueryを利用するメリット3:ブラウザの違いに影響されない

jQueryはMicrosoft Edge、Google Chrome、Firefox、Safariなど、主だったブラウザに対応しています。

JavaScriptは搭載されているブラウザによって記述方法が異なったり対応していない機能があったりします。

jQueryはブラウザの差異を吸収してくれるため、ブラウザごとの動きなどを意識せずにソースコードを書けます。

jQueryを利用するメリット4:プラグインが豊富である

プラグインとはソフトウェアを機能拡張するためのプログラムです。プラグインを使用するとできることが増え、また、入力項目の視覚的な補助にもなります。

jQueryのプラグインにはカレンダーの表示、時刻の指定など、フォームの入力項目を見やすくしたり入力を補助するものが多く、その他にはサイトのデザイン時に使用するもの、ドラッグアンドドロップ、ファイルのアップロードを視覚的に補助するものもあるようです。

jQueryを利用するメリット5:1年単位でのバージョンアップ

jQueryは2006年8月に最初の版を正式にリリースし、ほぼ一年ごとにバージョンアップを続けています。

また、細かな修正などを含むマイナーバージョンアップも頻繁に行われていてパフォーマンスは日々向上しているようです。

モバイル機器やUIに特化したバージョンも出しており、これらも着実にバージョンアップしています。

jQueryを利用するデメリット2つ

jQueryでできることは数多くあるため導入すると様々なメリットがありますが、ライブラリならではの、そしてjQuery特有のデメリットがあります。

jQuery以外のライブラリと同時に使うとキーワードの競合が起こり得ます。また、jQueryをHTMLファイルのどこで読み込みの定義を記述するか(どの時点で読み込むか)で処理速度が異なることがあります。

jQueryを利用するデメリット1:他のライブラリとの共存性の問題がある

JavaScriptのライブラリはjQuery以外にも様々なものがあります。

jQueryでは「jQuery」、「$」がキーワードになるため、jQuery以外のライブラリでこれらのキーワードが使われていると誤動作を起こすことがあります。

jQueryとjQuery以外のライブラリを同時に使いたいときは誤動作を起こさない方法を考えておかなければならないでしょう。

jQueryを利用するデメリット2:処理が遅くなる可能性がある

jQueryのセレクタ(要素を特定する機能)は強力ですが、要素を特定する方法には工夫が求められます。

jQueryではCSSと同じ記述方法でページ内のセレクタを指定しますが、指定方法によっては処理が遅くなることがあります。

また、HTMLファイルのどこにjQueryのファイルの読み込みを定義するかで処理速度が変わることがあります。

jQueryの使い方3つ

jQueryを使うときは3つの留意点があります。

jQueryを公式サイトまたは他のサーバーのいずれから読み込むか、HTMLファイルのどこにjQueryのソースコードを記述するか、そしてjQueryのソースコードを記述するときのポイントです。

jQueryの使い方1:jQueryを読み込む

jQueryのファイルを読み込むには2つの方法があります。

ひとつはjQueryの公式サイトからダウンロードしてファイル名を指定する方法、もうひとつはCDN(Contents Delivery Network)と呼ばれる、サーバー上に公開されたファイルのURLを指定する方法です。

jQueryのファイルの指定方法は、他のJavaScriptのファイルと同様にHTMLファイルにscriptタグで指定します。

jQueryの使い方2:jQueryコードを記述する箇所

jQueryのソースコードを記述する方法はJavaScriptと同様に2通りの方法があります。

ひとつはソースコードをHTMLとは別のファイルに記述する、「外部スクリプト」と呼ばれる方法です。もうひとつはHTMLファイルに記述する、「インラインスクリプト」と呼ばれる方法です。

別ファイルを作って記述する場合

Webデザインの現場では、JavaScriptのソースファイルは外部ファイルに記述する方法が採られています。

外部ファイルにする方法では、表示する内容を記述するHTMLファイルとJavaScriptのソースファイルを分けることでそれぞれのファイルを管理しやすくなります。

また、JavaScriptの処理を機能ごとに別ファイルにすればメンテナンスするときに特定のファイルのみを編集すればよくなります。

HTMLファイルに直接記述する場合

HTMLファイルに直接記述する方法は「インラインスクリプト」と呼ばれます。

インラインスクリプトでソースコードを記述する方法は一般的ではありませんが、そのJavaScriptの動作を対象になる要素の近くに記述することでそれぞれの関連性をわかりやすくできます。

jQueryの使い方3:jQueryコードの書き方のポイント

jQueryのソースコードの書き方には特徴があります。

jQueryの基本構造を知るには、公開されているサンプルコードを読んで、どのようにソースコードを記述しているか、また、どのような構造になっているかを解析するのもよい方法でしょう。

jQueryではスタイルシートの制御もできますが、CSSで使用するキーワードとは異なることがあるため、サンプルコードを読むことでこれらの違いを知ることもできます。

基本の構成を理解しよう

jQueryを利用するときの基本構文は、要素を指定する「セレクタ」、要素をどのように操作するかの「メソッド」、操作の契機を指定する「イベント」の3つの要素で構成されます。

セレクタはCSSでの要素の指定と同じ方法です。どのようなメソッドが指定できるかはセレクタによって異なります。イベントはフォームの内容の値が変化した時、マウスボタンがクリックされた時など様々です。

サンプルコードを使用する

jQueryは独自のメソッド名を記述することがあります。そのため、初心者にはどのように記述すればよいかや、エラーが出た時、想定した動作にならないときにわからないことがあります。

jQueryは様々なサンプルコードが公開されていますから、メソッドの使い方を知りたいときや、目的の動作をさせるための使い方は、これらを読むことで参考になるでしょう。

jQueryは様々な仕事で利用される

jQueryでは、できることが多いためWebサイトの制作に幅広く導入されています。

企業や団体のサイトであれば業種などを問わず、また個人が趣味などで制作しているサイトでも使われているようです。

また、求人サイトでもJavaScriptと広い範囲ではなく、「jQueryの経験者」と限定して募集していることもあるようです。

IT業界で役立つjQueryのメリットを知ろう

jQueryはJavaScriptの記述を簡潔にする、ブラウザによる記述の違いを意識しなくてよい、など様々なメリットがあります。

また、多くのサンプルコードが公開されています。サンプルコードを読めば、jQueryでできることがわかるでしょう。

jQueryを使えるようになれば、JavaScriptを利用するときにできることが多くなり、また開発期間も短縮できるでしょう。