エンジニア向けスキルマップの作り方6ステップ|有効活用のための知識を紹介!

スキルマップって何?

スキルマップとは、業務で使うスキルを書き出し、従業員が持っているスキルを分かりやすく一覧にした表のことです。

スキルとは、PC端末やソフトウェアが使えるという実務に直結したスキルから、英語でコミュニケーションが取れるスキルやタスク管理できるスキルなど、業務に直接関係がなくても、必要な能力全般を意味します。

スキルマップを作ることで、組織全体の人員配置のバランスが見やすくなります。

エンジニアにもスキルマップは必要?

エンジニアにもスキルマップは必要であると言えるでしょう。

近年、エンジニアにはプログラミング以外のスキルも求められるようになってきました。そのため、エンジニアに興味のある人や、よりステップアップを考えている場合は、現在のスキルマップを作ることがおすすめです。

積極的にスキルマップを活用して、誰にも引けを取らないWebエンジニアを目指したり、成長意欲やモチベーションの向上につなげるといいでしょう。

スキルマップのメリットは?

スキルマップのメリットは、個人と組織全体の両方にあります。

スキルマップを作るかどうか悩んでいる人は、この機会にスキルマップのメリットをチェックしてみましょう。また、スキルマップは、個人でも作成できます。組織でスキルマップを作成していない場合でも、メリットが多いと感じた場合は個人的に作ってみるといいでしょう。

スキルマップは、エクセルを使えば簡単に作れます。

個人のスキルが一目でわかる

個人のスキルが一目でわかる点が、大きなメリットです。

個人のスキルを把握でき、組織ではそれぞれにあった教育計画を立てて人材育成を効率よく進められます。

さらに、個人でも自分に足りないスキルとできるスキルが可視化されますので、今後自分が力を入れて学習していくべき分野や伸ばしていくべきスキルも分かるようになるでしょう。

スキルマップを検定試験などに活用している企業もあります。

プロジェクトの見通しを立てる材料になる

スキルマップは、プロジェクトの見通しを立てる材料になります。

エンジニアのスキルマップは、プロジェクトを開始する際にメンバー集めの判断基準になることも多いです。

初対面のメンバーでもスキルが一覧で分かれば、プロジェクトの的確なスケジュール管理ができるようになります。さらに、仕事を進めていく中で適宜保有スキルを更新すれば、その都度スケジュールの見直しや前倒しも可能になるでしょう。

モチベーションの向上につながる

スキルマップが公開されれば、自身のスキルを客観的に把握できる社員が増えることが期待できます。

その結果、現在のスキルレベルが分かりモチベーションの向上につながると言われています。さらに、成長目標や今後キャリアをどうするかを考えるきっかけとなり、組織や個人のレベルアップにつながることでしょう。

また自身に求められているスキル要件が分かるため、従業員もスキルアップしやすくなるというメリットがあります。

客観的な人事評価に有効

スキルマップがあれば、公平で客観的な社員の能力評価ができます。

社員側もスキルマップが公開されていれば、自分の人事評価に納得できるでしょう。人事評価をする上司側もスキルマップを使うことで、自信を持った評価ができます。昇格や昇進がどのスキルを身につければ可能になるのかも可視化されるというメリットもあります。

人事評価が不透明であれば、スキルマップの導入を提案してもいいでしょう。

エンジニア向けスキルマップに盛り込むべき要素6つ

ここからは、エンジニア向けスキルマップに盛り込むべき要素を6つ紹介していきます。

特に、プロジェクトの上流工程を行うエンジニアは、システム設計やマネジメントなどの能力も求められます。

エンジニアに求められるスキル要素は、専門的な技術だけではありません。総合的な能力が幅広く求められますので、スキルマップに要素として盛り込んでおくといいでしょう。

職場で求められている要素が他にもあれば付け加えておきましょう。

スキルマップに盛り込むべき要素1:要件定義

スキルマップに盛り込むべき要素の1つ目は、要件定義です。

要件定義とは、クライアントが求めている内容をヒアリングして文章にまとめるスキルです。

エンジニアは、クライアントとの打ち合わせで相手の要望を正確にくみ取る必要があります。さらに、エンジニアとして要望を実現するために必要な機能は何か、課題を解決するための解決策を瞬時に導き出すだけのITの知識も求められます。

スキルマップに盛り込むべき要素2:設計スキル

スキルマップに盛り込むべき要素の2つ目は、設計スキルです。

要件定義をベースにして、システムの機能を決めていきます。

設計スキルは、機能や操作方法などを設計する基本設計、基本設計で決めた内容をどう構築していくかという詳細設計の2つができることが求められます。

また、プログラミングに関する知識や要件定義を正確にくみ取るスキルも求められます。

スキルマップに盛り込むべき要素3:プログラミングスキル

スキルマップに盛り込むべき要素の3つ目は、プログラミングスキルです。

実際の案件では実装作業を行う職種はプログラマーですが、システム設計を担当するシステムエンジニアもプログラミングスキルは求められます。

さらに、クライアントに最適な提案をするためには、最新プログラミング技術やITについての知識があることや、Java、PHP、Python、といった人気言語を使えることが望ましいでしょう。

スキルマップに盛り込むべき要素4:運用管理

スキルマップに盛り込むべき要素の4つ目は、運用管理です。

運用管理とは、顧客にシステムを提供した後に問題なく運用できるように行う保守作業のことです。

エンジニアの仕事は、開発したシステムをリリースすれば終わりではありません。顧客から問い合わせがあれば、素早く対応するスキルが求められます。さらにトラブルがあれば、顧客の元に行って解決するスキルが必要となってきます。

システムは止められないという顧客が多いため、速やかに復旧できる能力が求められます。

スキルマップに盛り込むべき要素5:マネジメントスキル

スキルマップに盛り込むべき要素の5つ目は、マネジメントスキルです。

エンジニアは、さまざまな分野の人と協力してプロジェクトを進めていきます。したがって、エンジニアは広い知識や高いコミュニケーション能力を持って、プロジェクトを管理するスキルを求められます。

期間内で計画的に業務を進められるように、プロジェクトメンバーと密にコミュニケーションをとることが大切です。

スキルマップに盛り込むべき要素6:リーダーシップ

スキルマップに盛り込むべき要素の6つ目は、リーダーシップです。

マネジメント力と共通するところも多いですが、想定外のトラブルが発生しても、他のメンバーに的確に指示を出す意思決定力の強さも求められます。

さらにリーダーシップは、聞く力、示す力、気づく力、つまり事実を正確に捉える力や見落としに気づく力が必要となってきます。

コーチングスキルやカウンセリングマインドなどを勉強することもおすすめです。

エンジニア向けスキルマップの作り方6ステップ

ここからは、エンジニア向けスキルマップの作り方を紹介していきます。

作成のコツを掴めば、誰でも簡単に作れるようになるでしょう。作り方にはさまざまな手法がありますので、いろいろ試してみて自分にあったスキルマップの作り方を見つけていくこともおすすめです。

また、会社でスキルマップの作り方があらかじめ指定されている場合もありますので、注意してください。

スキルマップの作り方1:表計算ソフトを使う

スキルマップの作り方の1つ目の手順は、表計算ソフトを使うということです。

エクセルやスプレッドシートがおすすめです。スプレッドシートは、Googleアカウントがあれば簡単に使えるため人気です。また制作する際には、見やすくすることがいいでしょう。

組織でスキルマップを作る場合は、メンバー人数分のセル、行はスキルの個数とプラスして1行目の空白分のセルを用意しましょう。

「条件付き書式」を活用する

分かりやすいスキルマップにしたい場合は、エクセルの条件付き書式を使うといいでしょう。

一定のレベル以上の人を色付けすることで、プロジェクトのメンバーを決めたり、役割分担を考えやすくなるなどの効果を見込めます。

条件付き書式を活用する場合は、まずセルをすべて選択してください。そして、書式から条件付き書式を選びましょう。次の値の間を一定のレベルの数値に合わせれば、色やフォントをレベル以下の人と分けられます。

スキルマップの作り方2:名前を入力する

スキルマップの作り方の2つ目の手順は、名前の入力です。

最初の列に、スキルマップを作成したいエンジニアの名前を入力していきます。そして、分かりやすい順番で名前を入れていきましょう。おすすめは役職順やアイウエオ順です。誰か他の人が見ても分かりやすいかという点を重視していきましょう。

スキルマップの作り方3:記入するスキル項目を決める

スキルマップの作り方の3つ目の手順は、記入するスキル項目を決めることです。

マネジメントや要件定義などの項目だけでなく、会社やそのプロジェクトに必要なスキル要素があれば付け加えていきましょう。

スキルの項目は、エンジニアのスキルマップの作り方の大事な作業となります。スキル項目を作成する前に、なぜスキルマップを作るのか、どのように活用したいのか、それによって何をどう改善したいのか、話し合う必要があるでしょう。

スキルマップの作り方4:スキルの評価基準を決める

スキルマップの作り方の4つ目の手順は、スキルの評価基準を決めることです。

省庁では、4段階のレベルで区分しています。レベル1はサポートが必要な人、レベル2は誰かに教えてもらえればできる人、レベル3はひとりで責任を持ってできる人、レベル4は別の業務をしつつ、人にも教えられる人という評価軸になります。

あまりレベルを細かくすると分かりにくくなりますので注意が必要です。

スキルマップの作り方5:評価の結果を入力する

スキルマップの作り方の5つ目の手順は、評価の結果を入力することです。

評価は、本人と面談を行ったり申告書を提出させるといいでしょう。

直属の上司が各項目ごとにレベルを公平に判断することが望ましいです。組織でスキルマップを使う際は、公平になるように使い方や目的、課題の可視化と評価基準をマニュアルにしておくことがおすすめです。

個人でスキルマップを作る際は、結果は客観的に説明できるものがいいでしょう。

スキルマップの作り方6:活用と内容の更新を行なう

スキルマップの作り方の6つ目の手順は、活用と内容の更新を行なうことです。

スキルマップは社員へお知らせするだけで終わらず、定着化を図るためにも実際に活用することが大切です。さらに、内容は適宜更新していくことをおすすめします。

現場からの意見は、常にスキルマップの作製に反映できるように工夫していきます。より実情にあった内容に更新することで、より精度の高いスキルマップが完成します。

スキルの項目や評価基準も会社やプロジェクトに合ったものに変えていくといいでしょう。

スキルマップ作りで気をつけること5つ

スキルマップ作りには、注意点があります。スキルマップは上手く作成し利用できなければ、意味のないものになってしまう可能性もあります。

以下に留意すべき5点をご紹介していきますので、スキルマップの作成や活用の際の参考にしてみてください。

スキルマップ作りで気をつけること1:優劣をつけるようなものにしない

スキルマップ作りで気をつけることの1つ目は、優劣をつけるようなものにしないという点です。

スキルマップは点数付けを行うため、優秀かそうでないかは一目で分かるようになります。ですが、スキルマップはプロジェクトのどの箇所をどのエンジニアにお願いすれば円滑に進むのか、ということを決定するためのツールです。その点を頭に入れながら活用しましょう。

スキルマップ作りで気をつけること2:スキルを評価する人選も重要

スキルマップ作りで気をつけることの2つ目は、スキルを評価する人選が大切という点です。

直属の上司や本人がレベルを判断することが多いですが、マニュアルを作成して公平になるようにする必要があります。さらに、関連する別部門の上司の評価にも取り入れることで、より客観的なスキルを作成できます。

スキルマップ作りで気をつけること3:評価に適切な差をつける

スキルマップ作りで気をつけることの3つ目は、評価に適切な差をつけることです。

横並びの評価では、誰にどの業務を任せるか客観的に判断することが困難になります。5段階評価程度にして明確に数字を出して、評価していきましょう。

スキルマップ作りで気をつけること4:一度作ったままで放置しない

スキルマップ作りで気をつけることの4つ目は、スキルマップは一度作ったままで放置しないということです。

スキルは常に更新されていきますので、一定期間でアップロードするような仕組みにするといいでしょう。特に、新しいプロジェクトを開始する前は、エンジニアに声をかけて現在のスキルを申告してもらうことがおすすめです。

スキルマップ作りで気をつけること5:スキルマップの公開には配慮する

スキルマップ作りで気をつけることの5つ目は、スキルマップの公開には配慮するということです。

スキルマップを公開することは社員のモチベーションにつながりますが、一方で、公平性を確保しないと不満が残るエンジニアもいるでしょう。健全な形で競争心を刺激できるように、評価基準をマニュアル化して可視化しておくことがおすすめです。

スキルマップの活用で会社もエンジニアもレベルアップへ

スキルマップは、しっかり活用すると会社もエンジニアもレベルアップが期待できます。

新しいプロジェクトを開始しようと考えている場合は、このタイミングでエンジニア向けスキルマップを検討してみるといいでしょう。また、スキルマップは、個人でも作成できます。自分のスキルを客観的に判断したい場合は、制作してみてください。