ネットワークエンジニア今後の将来性4選|将来必要なスキル4選など紹介

ネットワークエンジニアとは

ネットワークエンジニアとは、ITネットワークのシステムの構築および保守・管理などを行う技術者です。ネットワークエンジニアは、快適な通信環境を構築・維持するために、多岐にわたる業務を担います。

この記事では、ネットワークエンジニアの需要や将来性、仕事内容、今後必要となるスキル・資格などについて紹介します。

ネットワークエンジニアの需要

世界的にIT化が着実に進んでいますが、転職サイトなどに掲載されているネットワークエンジニアの求人数は減少しつつあるのが現状です。

これは、単純にネットワークエンジニアの需要が減っているのではなく、より幅広い知識や多種類のスキルをもったエンジニアが求められていると考えられます。

ネットワークに関連する専門的な知識やスキルは、多くの技術発展に不可欠であり、総合的なスキルを持つネットワークエンジニアは多くの企業で求められています。

ただし、今後クラウドはもちろん、IoTやAIなど先端分野の知識を始めとする幅広いスキルを持つネットワークエンジニアが求められ、新たなビジネスモデルの構築やサービス展開への寄与が期待されています。

ネットワークエンジニアの年収

平成29年に経済産業省が発表した「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」によると、IT関連業種のうち「IT技術スペシャリスト」の平均年収は758万円です。

また、「IT運用・管理(顧客向け情報システムの運用・管理)業務」の平均年収は609万円、「IT保守(顧客向け情報システムの保守・サポート)業務」の平均年収は592万円となっています。

ただし、ITエンジニアは身につけたスキルや実務経験によって、年収が大きく変わります。また、技術の進歩は日進月歩で、常にネットワークエンジニアとして第一線で活躍するためには、最新の技術を学び吸収しようとする貪欲さが必要です。

クラウド普及によるネットワークエンジニアとの関係性

近年、ネットワークエンジニアの求人数が減少しており、その理由はクラウドの存在が大きいでしょう。

クラウドサービスの急速な普及に伴い、従来のオンプレミス型(企業内などにITインフラ環境を整備したり、社内基幹システムのデータセンターを設けたりして運用する形態)でネットワークを設計したり、スイッチングなどの物理的な接続業務が減っています。

逆に、ネットワークの専門知識に加え、サーバーやデータベース、クラウドなどを総合的に扱うことができるネットワークエンジニアの需要は増えています。そして、クラウド型のネットワークを構築する業務が増え、プログラミング操作などが増えるでしょう。

需要が高まっているスキルを柔軟に習得することによって、将来性の高い、かつ息の長いエンジニアになることができるでしょう。

ネットワークエンジニア今後の将来性4選

2020年、新型コロナウイルスの拡大に伴ってリモートワークの拡充が急速に進み、クラウド型サーバーが普及するなど、IT環境も大きく変化しています。

ネットワークエンジニアの業務も、新規のネットワーク設計や構築案件が減り、保守・監視・運用が中心になってきました。 ただし、企業にとってITネットワークが必要不可欠であることは変わりません。

IT環境が変化しつつある中でネットワークエンジニアの将来性について見ていきましょう。

ネットワークエンジニア今後の将来性1:従来のオンプレミスサーバー運用の継続

クラウドサービスが増加しつつあるといえども、すぐに従来のオンプレミス環境がなくなり、ネットワークエンジニアの将来性が暗くなるわけではありません。今後、クラウド化が進んでも、クラウド型サーバーを採用しない企業は一定数残るでしょう。

つまり、ネットワークエンジニアはオンプレミスサーバーの運用や保守・管理も継続して行う必要があります。

ネットワークにおけるトラブル処理、クライアントへの状況説明、最新バージョン管理と更新などの業務を担います。その他、無線LANやDNS、メール、Webサーバーに関する知識も必要です。

ネットワークエンジニア今後の将来性2:クラウド技術が関係する業務が増加

前述したとおり、ネットワークエンジニアの将来性においてもクラウド化が大きく影響します。

クラウドサービスが普及することで、ネットワークの運用や保守管理などのインフラ管理はクラウドサービスに委託されます。しかし、設計や要件定義などの上流工程は、従来どおりネットワークエンジニアが担います。

多くのクラウドサービスから最適なものを選定、構築、ブラッシュアップするという業務が増え、企画提案力が求められるようになります。

ネットワークエンジニア今後の将来性3:企業の業務がIT化により需要は高い

日本では急速にIT化が進展し、大企業と中小企業の間の情報格差が懸念されていました。しかし、生産性の向上やビジネスチャンスの拡大など、中小企業がITを活用することによる効果が広く認識され、現在中小企業においても急ピッチでIT化が進みつつあります。

現在、国や地方自治体が中小企業IT化の環境整備へ支援を進めており、これがネットワークエンジニアの将来性にも大きく影響します。

企業がオンプレミス型、クラウド型のいずれを採用するにしても、ネットワークエンジニアは高い需要が見込まれます。

ネットワークエンジニア今後の将来性4:オンラインゲームの流行で需要は高い

オンライン化が常識となっているゲーム業界でも、ネットワークエンジニアが必要とされています。据え置きゲーム機、スマートフォンのソーシャルゲーム、パソコンのオンラインゲームなど、ほとんどのゲームがオンライン化されています。

その中には、ゲームのアップデート、アカウント管理、課金機能など、ネットワークエンジニアが関わる部分が増えています。そのため、ゲーム業界においては特にネットワークエンジニアの将来性が高いでしょう。

ネットワークエンジニアの仕事内容5選

ネットワークエンジニアの仕事内容は、ネットワークの設計や要件定義、構築、運用、保守・監視など多岐にわたり、各パートを分担して行います。しかし、一人のエンジニアがすべての工程を担当することもあります。

そんなネットワークエンジニアの仕事内容を紹介します。

ネットワークエンジニアの仕事内容1:設計

ネットワークエンジニアの開発業務は、ネットワークの設計から始まります。

ヒアリングからクライアントが求めている内容をまとめ、要件に応じて、ネットワークの構成、使用する機器の内容や回線を定義していきます。さらに、それにかかる費用や構築までのスケジュールを検討し決定します。

ネットワークエンジニアの仕事内容2:構築

次に、ネットワークエンジニアは、要件が定義された設計書をもとにネットワーク回線の設置などの構築作業を行います。

ネットワークの設計で定められたスケジュールに基づいて、ネットワーク機器を設定していきます。ネットワークの構築にかかる期間は、数ヶ月かかる場合もあります。

ネットワークエンジニアの仕事内容3:運用

ネットワークエンジニアは、構築したネットワークシステムをテスト後に運用を始めます。

立ち上げたネットワークシステムの運用を手伝うのも、ネットワークエンジニアの重要な仕事です。

ネットワークエンジニアの仕事内容4:保守

ネットワークシステムは運用を始めた後も、機器の設定や構成を変更、更新する必要があります。

ネットワークエンジニアは、IT知識が乏しいネットワーク利用者に代わってネットワークシステムの維持管理を行います。

ネットワークエンジニアの仕事内容5:監視

運用し始めたシステムを監視するのも、ネットワークエンジニアの仕事です。

ネットワークシステムで生じた故障やトラブルの原因を突き止め、必要に応じて機器の交換などの処置を施して、円滑な運用を手助けしなければいけません。

ネットワーク利用者にとってのコールセンター的な業務を担うことも多いでしょう。

ネットワークエンジニアの将来必要なスキル4選

前述したとおり、従来のスキルだけを維持したままのネットワークエンジニアの将来性は決して明るいとは言えません。

しかし、それまでに培ったスキルに加えて、将来性が高い領域のスキルを身につけて総合的な技術者になることで、中長期的な息の長いネットワークエンジニアとなれるでしょう。

ここからは、将来的にネットワークエンジニアに必要となるスキルを紹介します。

将来必要なスキル1:クラウドを扱うスキル

現在、システムやアプリケーション開発、自社サービスの提供・運用において、多くのクラウドサービスが活用されています。そのため、クラウドを扱うスキルがあるネットワークエンジニアはキャリアパスの選択肢が広がります。

また、例えば大手のクラウドサービスであるAWSやAzure、GCPに関する知識や、クラウド上でネットワークを構築するためのプログラミングに関するスキルがあれば、非常に高い需要があります。

クラウド化は今後も加速していくと予測されており、仮想サーバー技術と従来のネットワーク技術の両方を駆使できるスキルを習得することで将来的に安定して活躍できるでしょう。

将来必要なスキル2:BluetoothやZigbeeの通信スキル

IoT(Internet of Things)の拡大に伴って、ネットワークがより複雑化し、求められる知識やシステム障害などのトラブル処理も増加するでしょう。

IoT関連でネットワークエンジニアに求められるのは、インターネット(TCP/IP)に関する知識だけでなく、ワイヤレス・センサー・ネットワークを構築するスキルも必要になります。

BluetoothやZigBeeはほとんどのIoTアプリケーションで広く活用されており、安全な無線接続を実現しています。多くの機器から膨大な情報収集を行うIoTにおいて、これらの通信ネットワークに関する設計ができるエンジニアは需要が高いでしょう。

将来必要なスキル3:プロジェクトマネジメントスキル

ネットワークエンジニアが収入を上げてライバルに打ち勝つためには、最初に学び習得した知識やスキルだけでは乗り切れません。

ネットワークエンジニアとして成長するためにはキャリアアップが必要であり、その一つにマネジメントスキルを身につけて、プロジェクトマネージャーへ昇格するというキャリアパスがあります。

プロジェクトマネージャーはネットワーク関連だけでなく、アプリケーション開発など幅広い案件で活躍できます。また、マネジメントスキルを持つ人材は、クラウド化が進んでも高い需要があります。

また、多くのクラウドサービスから最適なものを選定し、構築をして、ブラッシュアップするという業務が増え、提案力から調整力、プログラミングスキルなどが求められるでしょう。

将来必要なスキル4:幅広いサイバー攻撃に対応するスキル

企業のIT化やクラウドおよびIoTの普及に伴って、巧妙化したサイバー攻撃の脅威が増したため、セキュリティに関する最新知識もネットワークエンジニアには必携です。

また、ネットワークエンジニアはネットワーク関連だけでなく、ファイヤーウォールやマルウェアなどの幅広いサイバー攻撃に対応するセキュリティスキルを身につけることで市場価値が高まります。

さらに、セキュリティに関するスキルは、セキュリティエンジニアなどへのキャリアチェンジの可能性につながるため、身につけておいて損はないでしょう。

ネットワークエンジニアにおすすめの資格5選

ネットワークエンジニアに役立つ資格と難易度について紹介します。

ネットワークエンジニアになるために直接的な資格は必要ありません。

しかし、ネットワークエンジニアの将来性を考慮すると、ITネットワークに関する資格を取得しておくと良いでしょう。自分の技術力を客観的にアピールするためには、資格の取得が有効な手段の一つであるからです。

なお、ネットワーク技術は多岐に渡るため、目指す方向性に準じた資格を取得すると良いでしょう。

ネットワークエンジニアにおすすめの資格1:基本情報技術者試験

基本情報技術者試験は、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が実施しているITエンジニアの登竜門といわれる国家資格です。

各種のITエンジニアを対象としており、「ITエンジニアとしての基礎的な知識・技術がひととおり身についており、指導者の指示のもとでシステムの設計・開発、ソフトウェアの構築、IT戦略における分析ができる」ことが証明されます。

なお、基本情報技術者試験の上位資格として、応用情報技術者試験があります。

ネットワークエンジニアにおすすめの資格2:ネットワークスペシャリスト試験

ネットワークスペシャリスト試験は、経済産業省による「情報技術者試験」の一つです。国内のITネットワークに関する試験においては、最難関の国家資格です。

取得すると、「ネットワークの構築・管理・運用・保守のすべてを行い、かつ指導できるスキルを備えている」ことが証明され、転職時にも大きなアピールポイントになるでしょう。

受験資格はありませんが、独学での合格は難しいでしょう。基本情報技術者試験や応用情報技術者試験など、基礎的な資格取得を経てチャレンジするのが一般的です。

ネットワークエンジニアにおすすめの資格3:CCNA

CCNAは、民間資格であるシスコ技術者認定のひとつで、世界中で広く使用されているネットワーク機器メーカーのシスコシステムズ社が実施しています。

CCNAを取得すれば、同社製品であるルーターやスイッチを扱う技術だけでなく、ネットワークの構築や運用、トラブル処理などの基礎的な知識やスキルがある証明となります。

また、国際的に通用する資格であるため、外資系の企業への転職にも有利に働きます。

ネットワークエンジニアにおすすめの資格4:CCIE

前述したCCNAと同様、シスコ技術者認定の一つですが、CCIEはもっとも評価される最上位資格です。所持していれば、一流のネットワークスペシャリストとして国際的にも評価されます。

下位の資格とは異なり、英語の試験のみや、筆記試験のほかに8時間におよぶ実技試験を受けなければいけないなど、厳しい基準によって認定されます。

ネットワークエンジニアにおすすめの資格5:情報セキュリティスペシャリスト試験

情報セキュリティが重要視される昨今、情報セキュリティスペシャリストの資格はITエンジニアにとって高く評価される資格です。

情報セキュリティスペシャリストは、情報システムの設計・開発・運用・保守管理において、情報システムに対する脅威や脆弱性を評価し、有効な対策を遂行できることが証明されます。

将来的にセキュリティエンジニアを目指す人は、取得しておきたい資格です。

ネットワークエンジニアの将来に向けスキルを身につけよう

ネットワークエンジニアは、IT化を進める現在の日本で必要不可欠な将来性のある職種です。しかし、純粋なITネットワークに関する知識やスキルに加えて、今後さらに普及するであろうクラウドやIoTなどの知識がある、ネットワークエンジニアが求められています。

また、必要とされるスキルや資格も近年変化しつつあります。自分の進みたい方向性や将来性を考慮して、スキルや資格を取得し、実績を積んでいきましょう。