AIとは|AIの学習方法2つやAIができること9選などを紹介

AIとは

AIとは、Artificial Intelligenceの略で、日本語では人工知能と呼ばれています。AI(人工知能)の学術的な定義に関しては専門家によって捉え方が異なり、意見が分かれています。

そのためAIという言葉に統一的な定義はありません。辞書的な定義としては「人間の知能が持つ機能を備えたコンピュータシステム」と記されています。

AIの種類4つ

AI(人工知能)は、いくつかの種類に分けられます。例えば、「人間が持っている能力の一部の代わりとなるシステム」と「人間のように思考するコンピュータ」とでは、同じAIという定義でも、持っている機能は異なります。

具体的に分類すると「汎用型」「特化型」「強いAI」「弱いAI」の4種類に大別できます。ここではこの4つの種類のAIについて解説します。

AIの種類1:汎用型

AIの種類の1つ目は「汎用型」です。汎用型AIとは、特定の課題にだけ対応するのではなく、人間と同じようにいろいろな課題を処理できるAIを指します。

人間は、想定外の課題に直面しても、今までの経験に基づいて判断し、課題を解決できます。このように、人間のような問題処理能力を持つAIが汎用型AIです。現在においてはこの汎用型AIの実現の方法は明らかになっていません。

AIの種類2:特化型

AIの種類の2つ目は「特化型」です。特化型AIとは、限られた分野の課題に特化して自動的に学習、処理を行うAIのことです。

具体的には、自然言語処理や音声認識、画像認識などを行います。現在ビジネス領域で広く利用されているのが、この特化型AIです。人工知能に関しては汎用型AIこそが真の人工知能で、特化型AIは自動的に課題解決を行う機械に過ぎないという考え方があります。

AIの種類3:強いAI

強いAIは、人間のように振る舞うだけでなく、言葉の意味を理解し、人間と同等に思考することができるAIと定義されています。

しかし意識や知能といった定義が定まっていない概念を含めて人間と同じレベルかどうかを判断するのは難しいため、振る舞いだけに着目した汎用型AIという言葉が生まれました。

つまり強いAIが施行に関しても人間のレベルを求めているのに対し、汎用型AIは振る舞いだけを求めています。

AIの種類4:弱いAI

AIの種類の4つ目は「弱いAI」です。弱いAIとは、特化型AIと同じように人間の知性の一部分だけを代替し、特定のタスクのみを処理する人工知能を指します。

現在開発されているAIに意識を持っているものはなく、弱いAIに分類されます。「強いAI」と「弱いAI」は、「人工知能が人間のような知性や意識を持つかどうか」という観点で分類した概念であると言えます。

AIの学習方法2つ

ここまでAIの分類について解説しました。AIは課題の処理の観点で分類した「汎用型AI」と「特化型AI」、知性を持つかどうかで分類した「強いAI」と「弱いAI」という分け方ができます。

それでは、AIはどのような方法でさまざまなことを学んでいくのでしょうか。ここからはAIの学習方法であるディープラーニングとマシンラーニングについて解説します。

ディープラーニング

AIの学習方法の1つ目は「ディープラーニング」です。ディープラーニングとは、ニューラルネットワークの隠れ層を複数にすることによって、特徴量をコンピュータが判断する学習方法です。

従来のマシンラーニングとは異なり、学習に必要なデータさえ用意すれば、そのデータからコンピュータ自らが特徴量を抽出できます。そのため人の手で特徴量を与えていたマシンラーニングよりも高性能な認識が可能です。

マシンラーニング

AIの学習方法の2つ目は「マシンラーニング」です。マシンラーニングとは、大量のデータを学習し、予測や分類などのタスクを遂行するアルゴリズムを自動で構築する技術です。

マシンラーニングの原型は1960年代にありましたが、コンピュータの性能が低かったため実用化には至りませんでした。また、マシンラーニングの学習方法は、さらに教師あり学習・教師なし学習・強化学習の3つに分類できます。

AIができること9選

ここまで、AIの分類や学習方法について見てきました。AIはマシンラーニングやディープラーニングによって学習し、さまざまな処理を行います。

それでは、AIはどのような処理を行うことができるのでしょうか。AIは例えば、音声や画像、文章を認識できます。ここからはAIができることを具体的に9つご紹介します。

AIができること1:音声理解

AIができることの1つ目は「音声理解」です。音声理解とは、コンピュータに入力した音声データをテキストデータに変換する技術です。

人間は言葉をそのまま理解しますが、コンピュータは、言語モデルや音響モデルを用いて音声を解析します。スマートフォンに標準搭載されているSiriやAmazonから発売されているスマートスピーカーのAlexaはAIが音声を理解することによって使用できます。

AIができること2:文章理解

AIができることの2つ目は「文章理解」です。AIは大量の文章データを使って、手書きで書かれた文章をテキストに書き起こしたり、チャットボットで質問に答えたりすることができます。

また、電話予約をすることも可能ですし、英語と日本語の意味を理解することによって、翻訳することも可能です。さらに文献のデータを学習させることで、診断支援までこなすことができます。

AIができること3:推論

AIができることの3つ目は「推論」です。推論とは、将来起こる事象をAIにより予測する技術のことであり、過去の膨大な量のデータを分析することで可能になる技術です。

過去のレース結果から競馬の着順予想をしたり、ニュース内容から市場の変化予測を行ったりしています。そのほかにも、人口統計データやタクシーの運行データなどからタクシーの乗車台数予測など多方面に利用されています。

AIができること4:機械制御

AIができることの4つ目は「機械制御」です。現在、自動車や建設機械、産業用ロボット、センサー、サーボモーターなどの制御にもAIを本格的に活用しようと多くの企業が取り組んでいます。

AIによる機械制御は、従来のコンピュータによる自動化とは異なり、AIがデータの意味を理解し、学習しながら最適な制御を行います。

AIができること5:画像認識

AIができることの5つ目は「画像認識」です。画像認識とは、画像の中に写っているものを機械やコンピュータが識別する技術のことです。

画像から得た形や色といった情報をディープラーニングなどで学習していきます。現在のAIもカメラなどの機械の目で見た物体を人間同様、あるいはそれ以上のレベルで認識が可能です。ここでは画像認識の具体例を3つご紹介します。

モノクロ画像のカラー化

画像認識でできることの具体例の1つ目は「モノクロ画像のカラー化」です。人間は木のモノクロ画像を見たときに、緑色だろうと色を推測します。

この色の推測は人工知能も同様に行うことができます。大量の画像データを学習したAIが、昔のモノクロ写真や映像の色を推測して色付けする技術により、昔の白黒写真のカラー化が進んでいます。

超解像

画像認識でできることの具体例の2つ目は「超解像」です。超解像とは、画像やアニメ、実写映像をAIによって高画質化する技術のことです。

ディープラーニングを活用することによって、4K画質のアニメを8K画質に高画質化することができます。この技術を使えば、低解像度で撮影された防犯カメラの映像を高画質化することで、人物を特定することも可能です。

物の位置などの識別

画像認識でできることの具体例の3つ目は「物の位置などの識別」です。AIは画像内にある物体を識別できます。

例えば、自動運転に使用しているAIは、車載カメラの画像を取得します。そして、ドライバーと同じように、標識や通行人、対向車などを識別します。また、運転中の人間では見落としてしまいそうな障害物や通行人にも気付くことができるため、実用化が望まれている技術です。

AIができること6:自然言語処理

AIができることの6つ目は「自然言語処理」です。自然言語処理とは、人間の言語をAIで処理する技術です。

具体的に言うと、コミュニケーションで使う「話し言葉」や論文のような「書き言葉」などの自然言語が対象で、それらの言葉が持つ意味を解析します。機械翻訳やカナ文字変換予想、検索エンジンなどで実用化されています。

AIができること7:作曲

AIができることの7つ目は「作曲」です。音楽データを学習することでAIが作曲できるようになります。

Jukedeckというサービスは、ユーザーがムードとジャンル、演奏時間を指定すれば、数十秒で自動作曲してくれます。すでに用意されたテンプレートに沿って作曲するわけではないので、たとえ同じ条件設定だとしても、毎回違う楽曲を作曲してくれます。

AIができること8:映画監督

AIができることの8つ目は「映画監督」です。映画の予告映像は、人間にこの映画を観たいと思わせるためのさまざまなノウハウが詰まっており、予告映像の製作をAIが担うようになりました。

ホラー映画の「Morgan」の予告映像は、100本にも渡るホラー映画の予告映像を分析したAIが、映画本編からふさわしいシーンを選び、製作されています。

AIができること9:絵を描く

AIができることの9つ目は「絵を描く」です。AIが絵画作品を発表したプロジェクトに「The Next Rembrandt」というものがあります。

このAIには1606年生まれの画家・レンブラントの絵を細部までデータ化し、彼の作風を学習させました。その結果、あたかもレンブラント本人が描いたかのような絵画を作成することに成功しています。

AIが不得意なこと

AIは人間の気持ちを汲み取ることが不得意です。人間関係を円滑にするうえで、相手の気持ちを察して空気を読むことが大事な場面があります。人間の気持ちは複雑であるため、気持ちを正しく汲み取ることはAIには難しい課題だと言えるでしょう。

また、蓄積されたデータがなく、0から何かを生み出すことも難しいと言われています。

AIの将来性とは

AIは現在、指数関数的な進化を遂げています。このペースで技術革新が進むと、2045年には、AIが人間の知能を超えるシンギュラリティーという時代が訪れると言われています。

その結果、AIが搭載されたロボットが人間の代わりに働き、人間が労働から解放される可能性があります。近い将来、AIが今まで人間が行っていた仕事を人間の代わりにこなすことは十分考えられます。

人間ができてAIにできないこともある

AIは大量のデータから学習することで、音声認識や画像認識、自然言語処理などさまざまなことが可能です。

AIも楽曲や絵画を作成するなどのクリエイティブな作業を行うことができますが、それは大量のデータを分析した結果であり、何もないところから何かを生み出すことは難しいと言われています。指数関数的な進化を見せるAIにこれからも目が離せません。