自然言語処理とは?自然言語処理が行われる主な流れ6つ活用事例4つを紹介

自然言語処理とは

AIが分析する技術のひとつとして「自然言語処理」があります。自然言語処理は、AI・コンピューターが人間の言語を分析・処理し、理解や解釈する技術のことです。自然言語処理は英語で「Natural Language Processing」と表記されるので、略して「NLP」と呼ばれています。

この技術は、最近ではスマートスピーカーなどに活用されています。今回の記事では、自然言語処理が行われる主な流れや活用事例などについてご紹介します。

自然言語処理が行われる主な流れ6つ

自然言語処理は、「機械可読目録」や「コーパス」という前段処理、さらに「形態素解析」、「構文解析」、「意味解析」、「文脈解析」という流れで処理が行われます。このような行程で処理される自然言語処理は、さまざまな場面で活用され始めています。

ここでは、自然言語処理が行われる主な流れについてご紹介します。

自然言語処理が行われる主な流れ1:機械可読目録

図書館などで書籍検索システムに使われる「機械可読目録」は、自然言語処理の前段階として辞書的な役割を果たします。文字を認識する目のように読み取り、変換します。

また機械可読目録(MARC)は、世界にある国立図書館が保管する書誌情報を電子化したデータベースを指す意味でも使われます。

自然言語処理が行われる主な流れ2:コーパス

自然言語処理の前段階のひとつ「コーパス」というのは、自然言語の使用方法を蓄積・記録した言語全集のようなデータのことです。コーパスを分析し言語の特徴を捉え、自然言語処理に活用します。

たとえばSNSなどのネット上では、大量の言葉が飛び交っています。これらのデータを集めて記録すれば、ビッグなコーパスが作れます。

自然言語処理が行われる主な流れ3:形態素解析

自然言語処理の前段階的な部分の次は「形態素解析」という流れになります。形態素解析は、自然言語処理の基礎的なところで文章を最小単位に分解し、判別します。

文章を細分化する形態素解析は、複雑な日本語の単語や文法が混在している文章を判別する作業になります。形態素解析には、単語の共起関係を系統的に調べる手法など、さまざまな手法があります。

自然言語処理が行われる主な流れ4:構文解析

次に「構文解析」という流れになります。構文解析は、たとえば日本語の場合、形態素解析で分割したそれぞれの単語を解析してツリーのように図式化します。

おもな構文解析の手法としては、文章構造を依存関係で表現する「係り受け解析」と文の部分構造を推測する「句構造解析」などがあります。

自然言語処理が行われる主な流れ5:意味解析

構文解析の次は、文の意味を解釈するだけに「意味解析」という処理が行われます。構文解析の段階ではいくつかの解釈が存在していましたが、意味解釈の処理を実行して適切な構文木に絞ります。

つまり、単語と単語のつながりなどを考慮して正しい解釈を導き出すのが意味解析です。

自然言語処理が行われる主な流れ6:文脈解析

最終的な流れとなるのが「文脈解析」です。ひとつの文としての意味ではなく、複数の文のつながりや意味に加えて背景にある情報なども分析し、処理します。なお、文脈処理をするシステムは、難しく複雑なので実用化には至っていないのが現状です。

自然言語処理の前段階から最終的に文脈解析が実行され、機械言語となってデータとして活用できるようになります。

自然言語処理のメリット4つ

自然言語処理には数多くのメリットがあります。さまざまなビジネスにおいて、自然言語処理は役に立ちます。自然言語処理を活用すれば、カスタマーサポートや医療現場などで活かせることが分かっています。

ここでは、自然言語処理のメリットについて4つご紹介します。

自然言語処理のメリット1:チャットボットで役立つ

自然言語処理は、チャットボットに関係しています。自然言語処理を活用することで、チャットボットとの会話体験が可能になります。

チャットボットは自動的に会話するプログラムのことで、自然言語処理技術が発展してきているので、さまざまなチャットボットが登場しています。

自然言語処理のメリット2:SNS上での評価がわかる

TwitterなどのSNSでどのように評価されているのかを簡単に分析できるツールは、自然言語処理技術を利用しています。自然言語処理が高度になることで、SNS上のポジティブな意見やネガティブな意見を細かく分類できるようになっています。

さらに自然言語処理技術によって、ユーザーとSNSのデータの関係性を可視化することもできます。

自然言語処理のメリット3:顧客へのサービス度が上がる

自然言語処理を活用することによって、顧客へのサービス度が上がるメリットがあります。たとえば、問い合わせ内容をAIが読み取れるケースが増え、カスタマーサポートの効率化が図れます。

簡単な質問については、スタッフがいなくても24時間対応できます。また、最新の顧客の声を活用した新しい便利なサービスにもつながるようになってきています。

自然言語処理のメリット4:多くの医療現場で役立つ

自然言語処理の技術が向上することで、多くの医療現場でこの技術が応用されるようになっています。たとえばカルテの解析が進み、より高い精度の疾患診断が可能になっています。

自然言語処理の技術を活かすことで、AI問診支援なども可能になっています。今後も、自然言語処理技術を活かした医療AIは進化し続けていく可能性が高いでしょう。

自然言語処理の活用事例4つ

自然言語処理は、医療関連以外にも法務関連や小売業などにも活用されています。ビジネスに自然言語処理を活用すれば、大きく成長していくことが現実になってきています。

ここでは、自然言語処理の活用事例について4つご紹介します。

自然言語処理の活用事例1:BERT

Googleが開発した「BERT」は、AI技術のひとつである自然言語処理を使用しています。さまざまなサービスに活用されている「BERT」は、文脈を読めるようになっています。検索エンジンに文脈を読める「BERT」が採用され、大幅に検索結果が改善しています。

自然言語処理を活用して、複雑なクエリや会話形式のクエリでも精度が高い検索結果を返すようになっています。「BERT」は感情分析への応用もできるので、深いレベルで使用されることが増える可能性があるでしょう。

自然言語処理の活用事例2:DeepL翻訳

ドイツのケルンのベンチャー企業が提供している「DeepL翻訳」は、飛躍的進化を続けている自然言語処理の技術を活用し、質の高い翻訳ができるということで話題になりました。「DeepL翻訳」は、自然な翻訳結果が注目を集めるほど翻訳精度が高いです。

自然言語処理を用いて前の文章との因果関係を認識した上で翻訳しているので、精度が高いということです。なお、「DeepL翻訳」はデスクトップアプリのほか、ブラウザから利用したり、Google Chromeの拡張機能として利用したりすることが可能です。

自然言語処理の活用事例3:Simeji

Google Playでサードパーティー製の日本語キーボードアプリとして定番の「Simeji(シメジ)」は、自然言語処理の技術を活用しています。具体的には、音声入力に百度の音声認識、句読点の配置に自然言語処理といったAI技術を活用しています。

この「Simeji」のように、iOS版も提供されている日本語入力を楽しくするアプリによって、実は知らない間に自然言語処理という技術は導入され、多くの人が利用しているのです。

自然言語処理の活用事例4:様々な音声対話システム

自然言語処理は様々な音声対話システムに活用されています。たとえば、AmazonのAlexaです。音声認識デバイス「Amazon Echo」をはじめ、「Amazon Tap」、「Echo Dot」など、Alexaファミリーは拡大し続けています。

また、AppleのSiri、Google Homeなども自然言語処理の技術を活用している音声対話システムです。音声で簡単に家電の操作やショッピング、レシピの検索などができるようになります。

自然言語処理について理解しよう

スマートスピーカーにも使われている自然言語処理の技術は、ディープラーニングが活かされています。これからさらに高度な自然言語処理が行われることも期待できるでしょう。

自然言語処理の技術は、対話システムのほかにも日本語入力や機械翻訳などにも応用されています。普段使っている話し言葉や重要な書類に使う書き言葉などまで、正確に解析できるのが自然言語処理です。

開発していくのは難しい技術ですが、応用できる分野は幅広く、将来的にはさらに進化する可能性がとても高いと言われています。IT業界に興味のある方は、今後も注目されるであろう自然言語処理について、しっかり理解しておきましょう。