プログラミングは有効?論理的思考が身に付く5つのメカニズムを紹介
論理的思考とは
論理的思考とは、ロジカルシンキングとも呼ばれる「ものごとを考える方法」のことです。論理的思考とは、その名称通り、ものごとを論理的に考えていくことで、論理的思考を身につけることで分析能力や情報を整理して構築する能力が養われます。
ビジネスの世界では論理的思考を求められる場面も多いので、社会人として論理的思考ができることは有利といえます。
ラテラルシンキングとの違い
ラテラルシンキングは日本語では水平思考と訳され、前提事項を取り払って発想を広げる思考方法です。論理的思考はロジカルシンキングのほか、垂直思考とも呼ばれるように、ラテラルシンキングとは思考の軸が異なります。
ラテラルシンキングは前提事項を考えず、いわば自由に発想を広げていきますが、論理的思考では既成概念をベースとしてスタートし、問題を掘り下げていくので行きつく結論は1つになります。
プログラミングとは
プログラミングとは簡単にいえば「プログラムを作成する作業」のことで、コンピューターが処理を進めるための動作を逐一命令することです。
コンピューターそのものは機械が詰まった箱でしかなく、コンピューターが計算したり動作したりするためには、プログラミングにより「計算する」「右に1マス動く」などの動作を命令(コマンド)を使って指定しなければ動作しません。
プログラミング的思考と論理的思考の違い
「プログラミングにより論理的思考が身に付く」、「論理的に考えられる人はプログラミングに向いている」ともいわれますが、プログラミング的思考と論理的思考は同義ではありません。
「ものごとを順序だてて考えていく」という共通点はありますが、プログラミング的思考では「目的達成に向けて遂行する中で最適な方法を見つけ出す」ことに対し、論理的思考は「目的達成のための分析を行ったうえで手順を組み立てる」ことになります。
仕事で論理的思考が重要な理由5つ
ビジネス世界では、論理的思考ができると評価されますが、なぜ論理的思考が求められるのでしょう。
ここでは、ビジネス世界で論理的思考が重視されている理由を5つ紹介します。求められる理由を理解したうえで、自分も論理的思考ができているか、できていない場合はどうしたら身につけることができるか考えていきましょう。
仕事で論理的思考が重要な理由1:効率的に仕事をこなせる
論理的思考を行うと、既成概念を踏まえて現状分析し、目標達成のために手順を組み立てられるので、過去の失敗と同じ過ちを避け無駄な作業を省くことができ、結果として効率的に作業を進められます。
論理的思考のできない人が同じ作業を行うと、過去と同じ失敗を繰り返したり、無駄な作業に時間を費やしたりすることになり、結果にたどり着くまでに多くの時間や費用を要することになってしまいます。
仕事で論理的思考が重要な理由2:問題解決能力を高める
論理的思考による仕事の進め方では、ただ仕事の手順を組み立てて遂行するのではなく、いったん目的というゴールに向けて分析を行ったうえで仕事を考えるので、状況把握がしやすく、問題に対する解決もスピーディになります。
問題発生時に表面上の問題を解決することに留まらず、問題の根底を把握できるので根本的な解決を導くことができます。
仕事で論理的思考が重要な理由3:生産性を高める
論理的思考ができれば効率的に仕事を進められることに加え、作業者にとって無駄な作業がなくなることで仕事に対するモチベーションを維持でき、仕事全体の生産性が高くなります。
一生懸命行った作業が無駄に終わったり、作業途中で必要とされなくなったりすると、作業者にとってストレスにもなり、モチベーションも低下します。作業の成果を実感しながら作業できれば、生産性を向上させられます。
仕事で論理的思考が重要な理由4:ストレスを軽減させる
論理的思考により仕事の手順を組み立てることで、無駄な作業がなくなり、作業を行う意味をひとつひとつ理解したうえで進められるので、作業することに対するストレスが軽減されます。
ストレスを感じることなく仕事に取り組めるので、仕事に対する不満もあまり発生せず、意欲的に取り組むことができます。
仕事で論理的思考が重要な理由5:コミュニケーション能力を高める
「論理的思考ができる」ということを、「理屈っぽい」と曲解して、コミュニケーションが取りづらい人を思い浮かべてしまう人もいるでしょう。しかし、「理屈っぽい」人は、むしろ論理的思考のできる人ではありません。
論理的思考ができる人は、相手の話を分析して正しく理解することができ、自分が伝えたいことや伝えなければならないこともどう伝えるべきかを考えたうえで的確に伝えられます。相手が理解できるように伝えるので、理屈っぽくはなりません。
プログラミングで論理的思考が身に付くメカニズム5つ
プログラミング的思考と論理的思考の根本は異なるものの、プログラミングを学ぶことで論理的思考が身に付きやすいとされています。
ここでは、プログラミング習得によって論理的思考がどのようにして身に付いていくのか、そのメカニズムについて解説します。
論理的思考が身に付くメカニズム1:処理の順番を考える
プログラミングでは、処理要素の洗い出しを行い、洗い出した要素をどのような順番で実行していけば期待した結果が得られるかを検討します。
この作業は、論理的思考に求められる、既成概念の分析と順序だてに通じます。
論理的思考においてもプログラミングにおいても、「必ずこの順番でないと結果が異なる」という部分と、「順番の入れ替えを行っても、同じ結果が得られる」という部分がありますが、帰着点は1つになります。
論理的思考が身に付くメカニズム2:効率よく処理する
プログラミングでも論理的思考でも、最終的に得られる結果は1つですが、結果に至るまでの過程は複数考えられます。
例えば、「1から始めて、何回か四則演算をしたのち9にたどり着く」という問題については、1に9を加算する方法もあれば、1に100を加算して91を引くという方法もあります。
プログラミングではシンプルに処理することを学ぶため、複数の手段の中から最適な手段を選択する訓練ができます。
論理的思考が身に付くメカニズム3:条件により処理を変更する
プログラミングの過程では、条件によって適切な処理を選択する「条件分岐」という考え方が多用されます。この「条件分岐」は論理的思考による考え方のひとつです。
プログラミングを進めていく中で、意識せずに論理的思考を使っているということになります。
論理的思考が身に付くメカニズム4:必ず処理を完了させる
プログラミングでは必ず結果を導き出さなければなりません。どんなプログラムでも結果を残さずに終わるものはありません。
処理を開始したら、必ず処理を完了させて終わるというプログラミングの特徴は、問題解決に使われる論理的思考の「解決策をみつけるまでとことん考える」という特徴に通じます。
論理的思考が身に付くメカニズム5:処理内容を理解させる
プログラミングでは、自分が記述しているプログラムの内容を把握したうえで、プログラムが期待通りに動作するというゴールに向けて作業を進めます。プログラミングを経験することで、処理内容ひとつひとつを理解したうえで作業を進めるという癖がつきます。
論理的思考もゴールだけを見るのではなく、既成概念の分析や処理手順の検討など、目の前にある問題のすべてを把握する必要があるので、プログラミング経験による「処理内容を理解する」という習慣が活かされます。
プログラミング以外で訓練する論理的思考6つ
論理的思考は、プログラミング習得だけではなく、日常のちょっとした工夫でもトレーニングが可能です。
ここでは、プログラミング以外の方法で論理的思考を養える方法を紹介します。プログラミング経験がない人にとっても、手軽に始められる訓練方法なので、さっそく試してみてはいかがでしょうか。
プログラミング以外で訓練する論理的思考1:何にでも疑問をもつ
日々の生活の中で見聞きしたことを、単なる日常風景として流してしまわずに、何に対しても疑問をもつことから始めてみましょう。
友人からの電話を「用事があるからだ」と推測して、終わらせるのではなく、「なぜ友人は自分に電話をしてきたのか」「なぜ自分に対してなのか」「なぜ電話という手段を使ったのか」「なぜこの時間なのか」など細かい単位で分析してみましょう。
プログラミング以外で訓練する論理的思考2:結論から話す
大切なことは最初に話すように心がけてみましょう。裁判の判決文やニュース記事の見出しなど、一番相手に伝えたいことは最初に目立つ形で伝えます。
結論から話すことを心がけていると、相手に一番大切なことに注目してもらえ、内容が伝わりやすくなります。結論を伝えた後は、その根拠となる詳細な内容や過程などを説明する必要があるので、論理的思考を活用することになります。
プログラミング以外で訓練する論理的思考3:相手が理解しやすい言葉を使う
説明や報告をする際に、難しい外来語や専門用語を多用する人も見受けられますが、こうした人は論理的思考に欠ける人です。抽象的な言葉や専門用語のような難しい言葉は避け、わかりやすい言葉に置き換える訓練を行うことで論理的思考が養われます。
プログラミング以外で訓練する論理的思考4:明瞭簡潔に話す
論理的思考を身につけるためには、日ごろからあいまいなものの言い方を避け、明瞭簡潔に話すことを心がけてみましょう。「たぶん~だと思う」とか「~じゃないかな」といったあいまいな発言は避け、根拠に基づいた発言を心がけます。
また、「とても小さい人でした」のように抽象的な表現もなるべく避け、相手の人が理解しやすいように具体的な表現や数を会話の中に入れていきましょう。「身長が150cm前後の小さな人でした」と表現すれば具体的になります。
プログラミング以外で訓練する論理的思考5:書き出して整理する
論理的思考を活用する際は、既成概念の要素や問題解決に至るまでの条件などを書き出すことがあります。
論理的思考のトレーニング中は、論理的思考で使われるロジックツリーほど正確なものが書けなくても、要素や問題点、条件などを書き出し、関連する要素とつないでみることで論理的思考に近づけていけます。
プログラミング以外で訓練する論理的思考6:反論内容を想定する
日常生活やビジネスの中で見つけた疑問に対して、分析や理解を進める過程では、反論内容の想定をして反論内容への対応策についても検討することで、思考の幅を広げることができます。
選択肢を複数用意して、個々の根拠や反論内容を分析することで、起こり得ることに対する複数の対応策・打開策が見つかるので、論理的思考のトレーニングとなります。
論理的思考を鍛えるためにプログラミングを始めてみよう
論理的思考は、その特徴を理解し、日常生活に取り入れることで鍛えていくことも可能です。プログラミングを習得すれば、本人が「論理的思考」というものを意識しなくても徐々に鍛えられていきます。
プログラム自体もたやすく習得できるものではありませんが、プログラミングを習得することで、プログラミングができるようになるだけでなく論理的思考まで身につきます。資質向上やキャリアアップを目指すうえでは「一石二鳥」を得られる取組みになるはずです。