ITパスポート試験の難易度5つ|メリットや取得するポイントを解説

ITパスポート試験とは

ITパスポート試験は、ITに関する基礎知識を証明することができる、経済産業省認定の国家資格です。基本情報ですが、ITパスポートは通称iパスと呼ばれており、2009年から始まった試験です。

AIやビッグデータなどの技術に関する内容だけでなく、ネットワークセキュリティなどITにまつわる総合的な知識が問われる試験となっています。

受験層は幅広く、社会人は勿論のこと高校生・大学生の受験も増えている資格の王道です。IT技術の需要が高まっている今、IT業界だけでなく多くの企業で活用されています。

IT業界で今後活躍したい方にとっては、比較的取得しやすい資格になりますので、チャレンジしてみると良いでしょう。受験のメリットや勉強法などもお伝えしていきますので、是非参考にしてみてください。

ITパスポート試験を取得するメリット

ITパスポートを取得することで、どのようなメリットがあるのでしょうか。

就職で活用ができる、IT社会で働く上で活躍するための知識を身に着けることができる、このようなメリットがあります。

社会で必要とされる場が増えているIT分野ですので、ITパスポートを取得することで活躍できる場は更に広がっていくでしょう。

ITの総合的な知識が得られる

ITパスポートを取得することで、ITだけでなく経営、実務に関する幅広い知識を得ることができます。

ITパスポートの試験内容は幅広く、IT技術の知識だけにとどまりません。企業活動、経営戦略、会計や法務に関する内容も試験範囲に含まれています。なぜなら、企業でIT技術を正しく活用する為にも、経営の知識が必要となってくるからです。

世の中の動きを見てみますと、業界、職種関わらずITはなくてはならないものになっています。顧客管理、生産管理などの重要な業務にITを導入している企業も多くなってきているでしょう。

同時に、コンプライアンスの遵守が厳しく求められる為、情報漏洩などの経営する上でのリスク対策も必要となってきます。そうした場合に、ITの基本的知識や情報モラルの知識が求められます。

ITパスポートを通じて、情報セキュリティや情報モラルなどのITの基礎知識だけでなく、経営知識なども身に着けることができます。IT社会はますます今後、発展していくでしょう。IT社会で活躍するためのIT知識を、幅広く身に着けることができるメリットがあります。

事務系職種への就職にも使える

ITパスポートを取得することで得られる他のメリットとしては、事務系職種への就職で活用できるという面があります。

ITパスポートの取得は、基本的なパソコン操作やIT、インターネットに関わる知識やスキルを持っているという証明になります。事務職は、パソコンを使う業務が多いです。インターネットを使って仕事をすることもあるでしょう。

パソコンやITに触れる機会が多い事務職だからこそ、基本的なIT、パソコンの知識を持っている証明として、企業へのアピールができるでしょう。また、情報モラルやネットリテラシーに関する知識があることへの証明は、就職の際には強みになるでしょう。

ITパスポート試験の難易度5つ

業界、職種に関わらず活用ができるITパスポートですが、取得にあたっての難易度はどのくらいなのでしょうか。

社会で活躍する上で必要な基本的な知識が問われる試験なので、難易度は高くないといえるでしょう。なので、独学からでも勉強をしっかりすれば合格を狙えるでしょう。

ITパスポート試験の難易度について、5つ解説していきますので参考にしてみてください。

ITパスポート試験の難易度1:入門編の資格として挑戦しやすい

ITパスポート試験の難易度ですが、ITや経営などに関する基礎的、基本的な知識を問う試験になっていますので難易度は高くありません。合格率は、平均して50%前後なので高い水準となっています。ですので、IT分野の資格の中では入門資格として比較的挑戦しやすい試験です。

ITパスポートには実技試験や記述試験が無く、出題形式も4つの選択肢より正しい答えを1つ選ぶという形式をとっています。しっかり勉強すれば、初心者でも合格は狙えるでしょう。

ITパスポート試験の難易度2:問題の難易度は?

ITパスポートは、IT分野の国家試験の中でも入門編になります。

出題範囲ですが、ストラテジ系(経営全般)、マネジメント系(IT管理)、テクノロジ系(IT技術)の3分野となっています。

ストラテジ系では経営戦略やシステム戦略に関する問題、マネジメント系では開発技術、プロジェクトマネジメント、サービスマネジメントに関する問題、テクノロジ系では技術要素やコンピュータシステムの問題が出されます。

このように、ITパスポートでは専門知識よりもビジネスや経営に関する出題が広く出題されます。難易度としては、企業で活躍する上で必要となる、実務に即した知識確認のための問題が多いといえるでしょう。

ITパスポート試験の難易度3:年度によって難易度は変わる?

難易度の傾向ですが、年度によって傾向に変化はあるのでしょうか。

ITパスポートは、年度による難易度の変化が少なく、100問中、92問は過去の問題を踏まえた出題内容とされています。これは、出題内容そのものは同等の内容が繰り返し出題されているためです。

このように年度による難易度の差異が大きくないので、取得しやすいという特徴があります。

ITパスポート試験の難易度4:勉強しやすい

前述したように、ITパスポートは基本的なITにまつわる知識の確認が求められる試験になります。

情報処理系の試験の中でも入門レベルの試験とされていますので、広く浅く出題されます。偏差値は45程度で、出題内容の難易度も大きな変化がないのも特徴的です。

用語の意味などを理解していれば分かる問題もあります。入門レベルなので、基本的な知識を押さえておけば、高校生や大学生からでも取得が可能です。IT分野が初心者の方でも、勉強しやすい試験といえるでしょう。

ITパスポート試験の難易度5:類似資格との難易度比較

ITパスポートについて主にお伝えしてきましたが、情報処理分野には類似した試験があります。では、他の試験とITパスポートではどのような違いがあるのでしょうか。

ここでは、情報セキュリティマネジメント試験、基本情報技術者試験の2つの試験を取り上げ、難易度などを比較していきます。

分野は同じでも、資格それぞれに求められる知識や技能、活用できる職種やメリットなどは様々です。類似資格との違いを踏まえた上で、ITパスポートをどのように活用していきたいか想像してみるのも良いでしょう。

情報セキュリティマネジメント試験

類似した試験に、情報セキュリティマネジメント試験というものがあります。情報処理技術者試験のうちの一つです。情報漏洩やあらゆる情報トラブルのリスクから組織を守るためのスキルを認定する試験です。

情報管理・個人情報を取り扱う人にお勧めとされています。また、ITパスポートに合格した方で、ステップアップを図りたい方にもおススメです。

情報セキュリティマネジメント試験では、情報セキュリティ分野が主な出題内容になっています。出題範囲についてですが、ITパスポート試験と類似して、テクノロジ、マネジメント、ストラテジの分野も出題範囲となっています。ですが、基本的には情報セキュリティ分野の内容が主でしょう。

情報セキュリティにまつわる基本知識は勿論、セキュリティ対策やその管理についても問われます。また、不正アクセス禁止法や個人情報保護法など、身の回りで起こる可能性があるセキュリティトラブルに関わる法律分野も出題範囲となっています。

情報セキュリティマネジメント試験の難易度ですが、試験が午前午後と分かれており、それぞれ60点以上の正解で合格となります。合格率は50%程度となりますので、ITパスポートと合格率は同等といえるでしょう。

情報セキュリティマネジメント試験では、ITパスポートよりもやや内容は難しくなります。セキュリティに関する専門的な知識が主に問われますので、入門レベルであるITパスポートから、少しステップアップした試験としてイメージしてみると良いでしょう。

そのため、取得の難易度においては、ITパスポートの方が易しいといえるでしょう。

基本情報技術者試験

ITパスポートと類似した試験に、基本情報技術者試験というものもあります。この試験は、経済産業省認定の国家試験であり、情報処理技術者を目指すための登竜門となる試験でもあります。

そのため、合格難易度はITパスポートと比べ、非常に高くなります。ITエンジニアとしてキャリアをスタートさせたい方は、基本情報技術者試験に挑戦してみると良いでしょう。

基本情報技術者試験の基本情報ですが、高度な技術を持ったITエンジニアとして活躍するために必要な知識が問われます。午前の部、午後の部それぞれ分かれており、100点が満点です。合格には、午前と午後それぞれ60点以上とる必要があります。

出題範囲ですが、ITパスポート、情報セキュリティマネジメント試験と同様、テクノロジ系、マネジメント系、ストラテジ系の分野も出題範囲となっています。加えて、情報セキュリティ、コンピュータシステムに関わる内容だけでなく、ソフトウェアの開発、設計に関する内容も出題されます。

基本情報技術者試験では、IT技術に関わる専門知識が問われます。その為、プログラミングやアルゴリズムなどの技術にまつわる知識への深い理解も必要とされます。合格率は20%程度と低い傾向にあります。IT分野を一から勉強する方にとっては難易度は高くなるでしょう。

基本情報技術者試験は、ITエンジニアのプロとして活躍するために必要な技能など高度な知識を問われます。入門レベルの知識が問われるITパスポートの方が、基本情報技術者試験と比べると取得しやすいといえるでしょう。

ITパスポートを取得するポイント3つ

ここでは、ITパスポートを取得する上でのポイントを紹介します。ITパスポートのレベルは入門レベルとされていますが、試験範囲はITの基礎知識から経営知識まで多岐に渡ります。

IT分野を一から学ぶ方や学生の方にとっては、見慣れない内容も多く、難しく感じることもあるでしょう。

ITパスポートは、試験範囲から広く浅く出題される点が特徴的な試験です。合格するためには、それぞれの分野で問われる基本的な用語、知識をまずはしっかりと、幅広く押さえておくと良いでしょう。

合格までに必要な勉強時間、スケジュールの立て方、勉強法などを解説しますので、是非参考にしてみてください。

ITパスポート取得ポイント1:必要な勉強時間

ITパスポート取得のためには、どれくらいの勉強時間の確保が必要となるのでしょうか。IT分野の知識がある場合とない場合、それぞれ見ていきましょう。

ITパスポートは、3ヵ月程度の学習で合格が可能と言われています。3ヵ月間、1時間~1.5時間ほど勉強すると考えた場合、100時間~150時間程の学習時間が必要となるでしょう。

情報系分野を学ぶ学生、もしくは基本的なITやパソコンの実務経験がある方は、合格に必要な基礎知識が備わっていると考えて良いでしょう。用語が分かりさえすれば解ける問題もありますので、100時間~150時間程度、またはそれよりも少ない学習時間でも合格を目指すことは可能でしょう。

対して、IT分野の知識がない初心者の方、もしくは実務経験がない方はそれよりも多く学習時間を確保すると良いでしょう。

それぞれの出題範囲から幅広く問題が出されますので、覚えるべき内容は多くなります。多めに学習時間を確保すると考えて、150時間~180時間程度の学習時間を確保できると良いでしょう。

合格に向けた必要な学習時間は、IT分野への事前知識がある人、ない人で変わってくると考えて良いでしょう。初心者からでも十分に合格が狙えますので、ITパスポートで初めてITを勉強するという方は、少し多めに時間を確保して学習していくと良いでしょう。

ITパスポート取得ポイント2:勉強のスケジュールの立て方

勉強スケジュールの立て方ですが、余裕を持って立てると良いでしょう。学習時間を毎日確保できれば良いですが、急な用事が入るなど必ず学習時間が確保できるとは限りません。

短期間で詰め込んでしまうといった、密なスケジュールを立ててしまうと、試験が近づくにつれ必要以上の焦りもでてくるでしょう。出題範囲が広い分、分野ごとの要点をおさえつつ知識を深めていく必要がありますので、余裕を持って早めに学習を始めるとよいでしょう。

学習は、インプットとアウトプットを交互に繰り返していくとよいでしょう。まずはテキストを読み込む必要がありますので、インプットの時間は余裕を持って多めにとりましょう。分からない部分を重点的に調べるなど、覚えていくうちに理解が深まっていくでしょう。

過去問や参考書を使い、問題も解いていく時間も必要となります。余裕を持ってそれぞれの分野を偏りなく学習できるように、余裕を持ってスケジュールを立ててみるとよいでしょう。

ITパスポート取得ポイント3:出題範囲別の勉強方法

ITパスポートは、マネジメント系、テクノロジ系、ストラテジ系の3分野から出題されます。

マネジメント系(IT管理)は20問程度、テクノロジ系(IT技術)は45問程度、ストラテジ系(経営全般)では35問程度の計100問で出題されます。満点1000点のうち、これら3分野合わせて600点以上で合格となります。

合格基準である600点以上に到達するためには、3分野それぞれ満遍なく学習する必要があります。3分野それぞれに応じて、求められる知識が異なりますので、出題範囲別に対策を考えるとよいでしょう。

マネジメント系の勉強方法

マネジメント系の出題範囲を細かく分類してみますと、開発技術、プロジェクトマネジメント、サービスマネジメントの3項目に分けられます。

この分野では、システム開発技術やマネジメント、システム監査にまつわる問題が出題されます。システム開発及びシステム監査の分野の場合、それぞれの手法やプロセスを覚える必要があります。

勉強法としては、開発及び監査におけるそれぞれの手順や流れを全体的に理解してみることを意識してみましょう。テキストを読み込むことで、理解が深まっていくでしょう。

マネジメント系は出題数が少ない分野ですが、配点が大きいとされています。まずは、細かい部分よりもプロセスごとの流れを掴むことを意識して勉強してみるとよいでしょう。

テクノロジ系の勉強方法

テクノロジ系は問題数が一番多い範囲です。点数に結び付けるためにも、特にテクノロジ系は隅から隅まで要点を押さえる必要があるでしょう。

テクノロジ系では、基礎理論、コンピュータシステム、技術要素の3項目から出題されます。プログラミングやソフトウェア、データベースなどの、IT技術に関する知識が問われます。

ソフトウェア、データベースなどの技術は、用語であれば耳にする機会が多いでしょう。こういった技術に関する内容に関しては、日常生活と紐付けしてイメージしてみると頭に入りやすいでしょう。

アルゴリズムやプログラミングは馴染みが少ない分野でもあります。テキストを読み込み、分からない内容を自主的に調べるようにすれば理解は深まっていくでしょう。

テクノロジ系では計算問題も含まれます。公式はしっかりと覚え、計算問題は実際に何度も解いて練習を重ねましょう。インプットとアウトプットを繰り返していくことで、計算に苦手意識がある人でも問題に慣れることができるでしょう。

ストラテジ系の勉強方法

ストラテジ系からは、経営分野にまつわる問題が出されます。項目は、企業と法務、経営戦略、システム戦略の3つに細かく分類されます。問題数はテクノロジ系の次に多く、35問程度となっています。ストラテジ系も、出題される範囲はしっかりと全て押さえておく必要があります。

社会人として働く上で必要となる知識が問われますので、テキストをまずは何度も読み込んでイメージを膨らませていくと良いでしょう。ストラテジ系からは、用語に関わる問題が多く出題されます。テキストを読み込むと同時に、過去問や問題集を解いて定着させていきましょう。

法務の分野では、法律について問われます。法律の名称を覚えておくだけでなく、それぞれの意味、内容も併せて覚えておくようにすると点数に結び付けられるでしょう。

ITパスポートの難易度を把握しておこう

ITパスポートについてお伝えしてきましたが、イメージは膨らみましたでしょうか。IT業界を目指している方はキャリアパスとして活用ができますので、是非挑戦してみると良いでしょう。

IT分野の学習が初めての方は、学習を始めるにあたり慣れないこともあるでしょう。まずは、ITパスポートの問題の難易度を把握しておきましょう。出題範囲それぞれの難易度、そして出題の傾向を把握した上で学習スケジュールを立てることで、合格に近づくことができるでしょう。

ITパスポート取得を通じて、憧れのキャリアへの一歩を踏み出していきましょう。