WordPressをマスターするとどんな業務の案件が受注できるか

はじめに

ホームページを制作するためのシステムとしてWordPressは広く知られていますが、現実的にWordPressを学ぶとどんなことができて、どんな業務の案件がこなせるようになるかについては漠然としたイメージしか持っていない人もいると思います。
ここではWordPressのメリット、そしてWordPressをマスターするとどんな案件の受注が見込めるのか、どんな知識が必要なのかについて整理してみました。

WordPressとは

WordPressは、コンテンツマネジメントシステム(CMS)の1つです。一言で言うとHTMLコーディングの知識がなくても、ホームページの作成やコンテンツ管理ができる仕組みです。
一般的に新しくホームページを作成し、既存のホームページに記事を追加するにはHTML言語を学び、自分で記事作成に加えてコードを書いていく必要があります。しかしWordPressを使う場合には必ずしもHTMLのコードがわからなくても問題ありません。ワープロソフトで文を書いたり図を挿入する感覚で、ページを作成・更新していくことが可能です。

WordPressの利点

WordPressの利点として下記のポイントが挙げられます。

サイト構築が簡単でカスタマイズがしやすい

ワープロやブログを書く感覚でホームページが作成できます。HTMLやCSS(スタイルシート)の知識が十分でなくても、簡単にホームページの作成や更新ができます。
また標準のWordPressをダウンロードして立ち上げると、これといったデザインもされておらず非常にシンプルですが、豊富なテーマやテンプレートが用意されているので、好みのものを選び自由にデザインしていくことができます。テーマは無料のものや有料のもの、あるいは日本製から海外製まで非常に多くの種類が用意されています。
他にも「プラグイン」という機能を拡張するプログラムが用意されており、管理画面から簡単に追加することができます。プラグインを使えば、セキュリティー対策や問い合わせフォームの制作、FacebookやInstagramとの連携などが可能になります。

SEOに有利で管理も楽

SEOの上でWordPressを使うことは非常に有益です。なぜならWordPressを使って制作するだけで、SEOに関する多くの問題を自動的にクリアし、SEOの最適化に対応するように作られているためです。
企業サイトを管理する場合にも、WordPressを使うと管理が楽になります。属人性からも自由なので、特に担当者が変わった場合などに引き継ぎに苦労することはよくありますが、WordPressなら簡単です。また外部の業者に依頼したサイトを他の業者にチェックや修正してもらいたい場合など、うまく行わないと混乱してしまうことがあります。こうした引継もスムーズにできます。

情報が多い

WordPressは世界中で使われているので、圧倒的に情報が豊富です。未経験から一人で始めて仕事にしていこうとする人にとってこれは大きな強みです。WordPressであればユーザー数が多いので、参考書を買ったり、セミナーに行かなければわからないケースはほとんどありません。ネットから検索するだけで非常に多くの情報を得ることができます。フリーランスで案件を取ろうと考えている人には、豊富な情報源が大きな力となることでしょう。

●WordPressを学ぶと受注できる案件

このようにWordPressには優れたポイントが多くあるため「Web系の業務案件を受注するならWordPressを身につけておいた方が圧倒的に有利」とされています。具体的にどんな案件の受注が見込めるのか整理してみました。

(1)Webサイトやブログの制作

一番多いのは、何と言ってもWebサイト(個人・企業)やブログ制作の案件です。通常、Webサーバーを構築し、デザインされたコンテンツを作っていくためには、コピーを書く能力だけでは無く、HTMLコーディングや、デザイン、運用の知識が必要です。しかしWordPressのスキルがあれば、それらが十分でなくても、比較的容易に案件を受注することが可能になります。制作だけ行って運用は発注側で引き取る、あるいはその逆も可能なところもWordPressのメリットです。

(2)WebサイトやブログのWordPressへの移転

既存のWebサイトやブログから、WordPressへの移転を考えている法人や個人をサポートする案件です。Webサーバーやサイトについてのアドバイスも同時に求めている顧客である場合が多く、レンタルサーバーやクラウドに関するアドバイスも必要な場合があります。最近はクラウドソーシングサイト等での募集案件になることも多くなっています。

(3)WordPressサイトの保守・運用管理

WordPressで制作されたホームページやブログの保守・運用管理の案件です。コンテンツのアップデートやデザインに関するリニューアル、新しいプラグインの導入や更新・メンテナンスなど多岐に渡ります。不正アクセスなどへの対応も要望に上がる場合があります。様々な運営者からの相談に乗りながらの業務となります。

(4)WordPressのテーマ更新・カスタマイズ・オリジナル販売

WordPressのテーマを更新・カスタマイズする案件です。既存のテーマのカスタマイズに留まらず、完全オリジナルのテーマ作成を求められる場合もあります。テーマの更新やカスタマイズは、WordPressについてある程度の経験や知識がないと、思わぬミスにもつながりますので注意が必要です。
WordPressの業務に慣れてくると、オリジナルのテーマを作成し販売することも可能です。デザインのスキルに加えてWordPressの知識がある場合、ECサイトを通じてWordPress運営者や制作者に対してテーマを販売することもできます。そのためにはメンテナンスや販促活動も必要となります。

WordPressの案件を受注するために必要なスキル

こうしたWordPressに関する案件を受注するためには、どのようなスキルが必要になるでしょうか。WordPress自体は、コーディングの知識なしにコンテンツを入力できるところが特徴です。一方で業務として様々な案件を請け負う場合には、最低でも以下のジャンルの技術や基礎知識を持っていることが望ましいでしょう。

HTML5

Webサイト制作をする上で欠かせない基本的なプログラミング言語です。最初のHTMLは1989年にスイスで開発されました。その後バージョンアップがされ、2014年に最新バージョンであるHTML5が発表されました。WordPressのサイトを構築・カスタマイズする場合にHTML5の基礎的知識が必要です。WordPress テーマの中にもHTML5 で記述されているものが多くあります。

CSS

「Cascading Style Sheet」の略でウェブページの外観を定義する言語として広く使われています。「スタイルシート」とも呼ばれます。最初のCSSである「CSS1」の規格は、1996年に発表され、その後バージョンを重ねて2011年から策定が進行しているのが「CSS3」です。CSS3はHTML5とセットで目にすることも多いですが、必ずHTML5とセットで使うことが条件ではなく、古いHTMLやXHTML等のデザインにも使えます。代表的なブラウザの多くで使えるようになっています。

JavaScript

JavaScriptはWebサイトで多く使われるプログラミング言語です。ユーザーのWebブラウザと、Webサイトの相互のやりとりを円滑にし、機能を加えるために多くのWebサイトに使われています。私たちがブラウザ内で体験できることの多くが、ブラウザの中で使われているJavaScriptの処理によって実現されています。HTMLやCSSではなかなか作れない動きや機能を追加したくなる時には、JavaScriptの記述が必要になる場合があります。

PHP

PHPは動的にWebページを生成することができるスクリプト言語です。サーバーサイドで多く使われています。他のプログラミング言語に比べて文法や仕様がシンプルなために習得しやすいとされています。またMySQLなどのデータベースとWebページの連携が容易なことなどから、WordPressを含めた一般的なWebアプリケーションの開発にもよく使われます。

その他

WordPressの導入に関する案件の大半である静的なサイトであれば、HTML/CSSの知識が少しあれば作成できますが、動的なサイトを作るならばJavaScriptやPHPを導入できるスキルが必要になります。WordPress自体はPHPで書かれているので、カスタマイズにはPHPの知識が必要になることが多くなります。
単にサイトの制作だけではなく、サーバーにアップするところまで求めている案件ではドメインやDNS、サーバー、データベースの仕組みも理解していることが必要でしょう。その場合自分でWordPressのサイトを運用しているだけでは不十分です。サーバーレンタル会社等が用意した簡単アップデートを利用せず、PureのWordPressを導入できる程度の知識は必要になるでしょう。サイトデザイン自体は既に顧客が用意している場合もありますので、本職のWebデザイナーほどスキルは必要ありません。

まとめ

WordPressに関連する業務案件は幅広く、多くのニーズがありますので、WordPressのスキルを身につけておくことはフリーランスや副業などで案件を受注するために非常に強みとなるでしょう。ビジネスチャンスが多い反面、顧客の要望は多岐に渡りますので、HTML5、CSS3、Javascript、PHPなどに加えてサーバーの仕組みなどの幅広い技術分野の知識を持っておく方が有利になります。