Linuxでサーバーを構築する手順7つ!構築するメリットは?

Linuxでサーバーを構築する必要性

Linuxはカスタマイズ性が高く、無償で利用することが可能で有償サポートを選択する場合もコストを必要な部分に集中してかけられる、という特徴があります。これは目的が明確であるサーバー構築を低コストで実現するには重要な点です。

LinuxがWindowsやmacOSと異なる点はオープンソースソフトウェアであるということです。誰でもソースコードに触れられることで、OS開発の視点も多様化します。

詳細な要求に合わせたディストリビューション・アプリケーションソフトウェアの選択や細かいカスタマイズも可能になります。

Linuxソフトウェアの多くは無償で提供されますが、有償ソフトウェアやサポートのみ有償という選択肢もあります。

Linuxでサーバーを構築するメリット7つ

Linuxはオープンソフトウェアです。その為、さまざまなメリットが生まれます。サーバー構築において安定性・堅牢性・パフォーマンス・自由度を考慮した時重要なものです。

これからLinuxでサーバーを構築するにあたってのメリットを、具体的に7つ挙げて紹介します。

1:自分で好きなようにカスタマイズして使える

必要な構成を選択し、ソフトウェアの修正も行える為カスタマイズ性が高いという特徴があります。

LinuxはOSの基本的な部分であるディストリビューションが多数存在し、それぞれデスクトップ環境も複数用意されています。そこから必要なソフトウェアだけを選択し追加していくことが可能です。

オープンソフトウェアである為、ソフトウェアに自分だけの必要な変更を加えることも可能です。

2:ライセンス料をかけずに使用できる

Linuxは多くのディストリビューション及びソフトウェアが無償で提供されています。自力でトラブル解決や詳細なカスタマイズができれば、ライセンス料をかけずにサーバーを構築することが可能です。

3:セキュリティが高い

PCやネットワークを使用する上でのリテラシーを守った上で比較するならば、Linuxはオープンソフトウェアである為開発のフットワークが軽く、構成もシンプルにできる為高いセキュリティを維持しやすいと言えます。

開発のフットワークが軽く技術の展開が速いと、新しいセキュリティ技術の恩恵を速い段階で受けられます。

また、構成が多様である為攻撃が仕掛けられにくい傾向にあり、必要な構成に絞って構築できる為脆弱性が入り込むリスクは低くなります。

4:データ処理能力が高い

LinuxはWindowsやmacOSと比較してソフトウェア構成をシンプルにできます。同じハードウェア、同じ技術を使用した時、データ処理にかけられるリソースは多くなります。即ち、処理能力が高くなると言えます。

5:さまざまなサーバーを動かせる

LinuxソフトウェアにはWebサーバー、DBサーバー、メールサーバー、ファイルサーバー等が存在しますが、サービスを実現する為にはこれらのサーバーから必要なものを選択することになります。

企業も利用する本格的なサーバーソフトを必要に応じて自由に組み合わせて使えます。

6:さまざまなOSにインストールできる

Linuxはデュアルブートや仮想化技術によってWindowsやmacOSが稼働するPC上にインストールすることが可能です。トラブル解決の為にデュアルブートを利用したり、仮想化によって稼働中のWindowsやmacOSと同時に使用することが可能です。

7:トラブル解決が容易

カスタマイズ性の高いLinuxサーバーは、WindowsやmacOSのように複雑な構成による相互の影響や、OSの思想や多くのユーザーに対応する為に生じる制限を受けにいといえます。その為、トラブル特定や完全な形での解決可能性が高いと言えます。

Linuxの開発者は多様で、ネットワークで得られる情報も多くあります。但し、有料サポートを受けない場合は技術力と知識がその分必要となります。

Linuxでサーバーを構築する手順7つ

Linuxは自由度が高い分、要求する機能に合わせて自分でその構成や運用を、前もって設計する必要があります。

サーバーを構築する上で必要な手順を7つに分けて解説します。

1:適したサーバーを決める

Linuxでは、Webサーバー、メールサーバー、DBサーバー、メディアサーバー等が構築できます。要求する機能に合わせて必要なサーバーソフトウェアとその組み合わせを決定します。

2:最適なディストリビューションを決める

実現するサービスに合わせてOSとして動作させる為のライブラリーやソフトウェアパッケージ、即ちディストリビューションを選択します。ディストリビューションはそれぞれ思想や目的によって特徴があり、サービスを実現する為に適したものを選択します。

3:誰に向けてのサービスかを確認する

サービスの利用者を想定することによって、サービスの規模を見積もることは重要です。

機器やネットワークのスペック、セキュリティのレベル、ソフトウェア環境や設計を決める為に必要です。サービスの規模が大きければ要求が高くなり、小さければ低くなりますが、将来的に大きくなることも考慮してプログラムを設計しなければなりません。

4:使用するアプリケーションを決めておく

必要なサーバーの種類が決まったら、サーバーを構築する為に使用するアプリケーションを選択します。

WebサーバーであればApache・Nginx、データベースサーバーならMySQL・PostgreSQL、メディアサーバーならReadyMedia・MediaTomb、メールサーバーならPostfix・Sendmail等があります。

5:サービスを提供する場所を明確にする

サービスを運用する環境によってもどのようにLinuxサーバーを構築するかが変わってきます。

個人的に無料で構築するのか、企業で技術や知識のあるエンジニアにより独自性のあるサービスを展開するのか、有料ディストリビューションを利用し、コストをサポートにかけるか等を検討します。

利用できるネットワークのスペック、Linuxに限らない話ですが物理的距離をおいて設置するバックアップサーバーの場所も必要に応じて検討します。

6:サービスによる適性のある言語を選ぶ

思い通りのサービスを実現する為、サーバーの処理をプログラムで記述します。サーバーサイドプログラミングといいます。

サーバーサイドプログラミングに使用する代表的な言語は、人が記述したプログラムをJavaやGoなどのように事前にPCが解釈しやすいように変換するコンパイラ言語、Perl、PHP、Python、Rubyのように解釈しながら実行するスクリプト言語に分けられます。

コンパイラ言語は運用時の動作は速いですが、変換やテストに手間や時間がかかります。スクリプト言語は逆に、すぐにテストできますが、運用時の動作は遅くなります。使用するアプリケーションに対しての使い易さも併せて選択します。

7:LAMP環境を整える

LAMP環境とは、OSとしてLinux、WebサーバーとしてApache HTTP Server、データベースとしてMySQL、スクリプト言語としてPHP・Perl・Pythonを合わせたオープンソースのソフトウェア群のことです。

サーバー用のLinuxディストリビューションにセットとして配布されるものがあります。

標準的なWebサービスの構築はこのセットによって自動的に設定と関連付けをすることが可能です。

Linuxのサーバー構築に役立つディストリビューション7選

LinuxとはあくまでOSの中核にあるカーネルを指す言葉で、OSとして動作させるにはディストリビューションというパッケージが必要です。

Linuxサーバーを構築する際、ソフトウェアの構成を設計する段階で最初にするのがディストリビューションの選択です。

ライブラリーやソフトウェア構成、セキュリティ更新のサポートの期間やその他有償サポート、デスクトップのデザイン等に違いがあり、構築するサーバーや使用するソフトウェア、想定する運用形態を考慮して選択します。

1:CentOS

CentOSは無償公開されているディストリビューションです。RHELと機能的に互換性があり、商標・商用パッケージ等は除去されています。サポートが不要な場合の企業のサーバーもターゲットとされています。

サーバー用として軽量であり、日本語の情報が充実しているという特徴があります。

技術展開は緩やかでも、低コストで安定したサービスを提供したい時に選択肢となります。

2:RHEL

RHELはRed Hat Enterprise Linuxの略であり、IBM子会社のRed Hat社により提供されるディストリビューションです。初期ライセンス料金は無料ですが、受けるサービスに対して料金を支払うサブスクリプション契約になっています。

サポートにコストをかけても、安定したサービスを提供したい時に選択肢となります。

3:Scientific Linux

Scientific Linuxはその名の通り、研究所や大学の為のディストリビューションで、科学向けのソフトウェアのインストールに適合する設計となっています。一時期CentOSよりも速いサイクルでRHELへの互換性を実現していました。

現在では開発を終了し、バージョン6、7のみ3年のライフサイクル通りにサポートすることとなっていますが、2022年7月までの期間学術向けに特化したサービスを実現するのであれば選択肢に入ります。

4:Fedora

Fedoraは無料で提供される、RHELの上流に当たるテスト基盤です。RHELに先立って機能が実装されますが、その分、安定性とセキュリティサポート期間が犠牲になります。

トラブル解決にリソースをかけられる個人で、先進機能に触れたい、積極的に開発したい時に向いています。

5:Linux Mint

Linux Mintは無償で提供され、多くのソフトウェアと最新の技術を使用でき、使い易さを実現するLinuxOSです。その為、コンパクトなシステムを組むことにより、利用しやすさを念頭に、デスクトップとして利用しながらもサーバーを利用する用途に向きます。

デスクトップ環境はWindowsに似ており、Cinnamonは3Dアクセラレータが必須のリッチなデザインです。

6:Ubuntu

Debianから派生したディストリビューションであり、写真編集ツール、オフィススイート、インターネットブラウザ、メッセンジャーを標準で組み込む等、使い易さを念頭に置いて開発されているものです。

AI及び機械学習向けのツールがサポートされています。

サーバーとしては更新が速く先進的、AI及び機械学習向けでかつ、構築や運用保守が容易と言うメリットになりますが、真逆の立ち位置の、サーバーとしての安定性や堅牢性が得られるUbuntu Server Editionも用意されています。

7:Debian

Debianは特定企業の後援を受けていない完全フリーのディストリビューションでRaspberry Pi OSやUbuntuなどが派生しています。

Debianプロジェクトは100%フリーソフトウェアであり続けること、フリーソフトウェア及びコミュニティを大事にし、問題を隠さない等の、Debian 社会契約にのっとることを宣言しています。

リリース速度は緩やかですが、その分堅実で、コミュニティの情報から自力でメンテナンス、トラブルを解決する運用に適しています。

Linuxでサーバーを構築しよう

Linuxサーバーの利点、サーバーを構築する手順、ディストリビューションの特徴と選択の要点を解説しました。

充分な技術や知識が必要ですが、低コストでコンパクト、安定性・堅牢性・高いパフォーマンスを実現できる利点を生かして、Linuxでサーバーを構築しましょう。