ITにおける受託開発とは?受託開発の仕事の流れ5つと特徴5つ
ITにおける受託開発とは?
IT業界で働く人ならば、「受託開発」と言う言葉を聞いたことがあるでしょう。「受託開発」とは顧客から注文を受けて、あるシステムやソフトウウェアを開発する仕事の形態のことを言います。「自社開発」とは反対の意味になります。システムやソフトウェア、アプリケーションの開発を、クライアント側からの依頼に合わせて行なっていくのが、ITにおける受託開発です。
受託開発は請負契約に該当する
受託開発は、請負契約に該当します。請負契約とは、注文を受けた人が注文をした人の注文の内容を一定以上完成させたことで、報酬の支払いが発生する契約形態のことです。通常の雇用契約は、労働に対して給与を支払うため、請負契約とは違っていることがわかります。また、注文を発注した人と受注した人には従属関係はなく、互いが平等な扱いとなります。
自社開発との違い
受託開発と反対の言葉は、自社開発です。受託開発は、注文を受ける人と、注文をした人の二者が存在する契約です。自社開発は、開発したいシステムやソフトウェアがある際に、外注をするのではなく、自分の会社で行うことを言います。受託開発という形にするよりも、自社で開発をしたほうが費用はかさみません。ですが、自社開発をする人材や技術がある会社ばかりではないので、受託開発という形態が存在します。
受託開発の仕事の流れ5つ
受託開発における業務のフローは5つあります。まずは仕事の依頼を受け、打ち合わせをします。これが大変重要です。見積もりと予算の決定をした後は、設計・実装といった業務で、実際にシステムを開発していくことになります。開発が終われば納品です。納品には、必ず締め切りというものが存在しており、これを守ることが何よりも大切です。
流れ1:仕事の依頼を受ける
受託開発はまず、外部から仕事を受けるところから始まります。他社から開発に関する依頼を受けるということです。受託開発を行う会社であれば、お問い合わせフォームや窓口の電話番号があるでしょう。仕事の受注を行うチャネルを通して、受託開発の仕事が始まります。第一印象を決める場面ですから、この際の対応は非常に大切です。
流れ2:打ち合わせ
受託開発の次の段階は、打ち合わせです。基本的にはSE(システムエンジニア)とプログラマーの二人でクライアントと打ち合わせをします。勝手がわかっている自分の会社とは違うため、クライアントの要望を細かく聞いておくことが大切です。また、自分たちができること、できないことをはっきりさせておくことも重要です。
流れ3:見積り・予算の決定
打ち合わせが終わったら、見積もりと予算の決定を行います。お金の問題は、利潤を追求する会社という組織にとっては何よりも重要なことです。受託開発にかかる費用は人件費、期間などを考慮して、見積もりと予算を組みます。見積もりはクライアント側に提示する開発の報酬であり、予算は自分たちが開発にどれくらいお金がかかるかを試算したものになります。
流れ4:設計と実装
打ち合わせと見積もりが終われば、いよいよ受託開発の肝である設計と実装に入っていきます。設計があって実装があります。一般的にはSE(システムエンジニア)が中心となってまずシステム開発の設計を行い、プログラマーが実装を行います。設計段階を終わらせないと実装段階に移ることができないため、地道に進めていく必要があります。
流れ5:納品
受託開発の最後の段階は、納品です。システム開発が終われば、開発したソフトウェアをクライアントに納品します。納品までには何度も打ち合わせを行い、修正を繰り返していく必要があります。また、納品日を守ることは業務の中でも最優先ですべきことです。締め日を守ることができないと信頼を失い、注文してくれなくなる場合もあります。
受託開発の特徴5つ
受託開発が持つ特徴やメリット、リスクなどについて5つに絞ってご紹介していきます。受託開発の持つメリットやリスクなど、事前に知っておいた方が良いことがいくつかあります。それでは順に紹介していきましょう。
特徴1:コネクションを持ちやすい
受託開発を行う上でまずメリットとなるのが、人脈が広がることです。自社開発を行っていると、どうしても他者とのつながりは生まれにくいです。受託開発を行うと、クライアントとの関係が生まれます。きちんと仕事を行えば信頼を築くことができ、別のクライアントにつながるということはよくある話です。コネクションが広がるとたくさん依頼が集まるようになり、会社が発展していきます。
特徴2:豊富な経験ができる
受託開発の特徴としては、豊富な経験ができることが挙げられます。クライアントの要望は実に様々です。受託開発を行うということは、自然と違う業種の人と関わることが多くなるため、自分の会社にいるだけでは経験できないこともできます。また、自分の会社の仕事だけでは身につかない技術も身につけることができるでしょう。
特徴3:ビジネス感覚を育てやすい
受託開発のメリットとして、ビジネス感覚を育てやすいということも挙げられます。受託開発を行うと、その契約が何百万円単位になることは珍しくありません。金額の大きな仕事は自然と責任感が付きます。また金額が高い分、求められる要望も細かく、求められる技術のレベルも高くなるため、実力がつきます。社員が育つということも受託開発のメリットです。
特徴4:納期が短い場合がある
受託開発の納期は、短い場合があります。自社開発であればスケジューリングは容易ですが、受託開発はクライアントと行うものですから、納期のすり合わせはクライアント側に合わせてしまうことが多いです。また、納品日を伸ばしてもらうということもできません。たとえ納期が短くても、完成させなければいけないのは受託開発の特徴と言えます。
特徴5:値段を下げられる場合がある
受託開発の特徴として、値段が下げられる場合があるということが挙げられます。受託開発は、定価や料金表というものがあるわけではなく、受注者とクライアントとの見積もりやすり合わせで金額が決まります。受注側は高くやりたいし、クライアントは安く済ませたいですが、「下請け」という言葉があるように、クライアント側の力が強い場合が多いです。値切りをされる場合があることは覚悟しておきましょう。
受託開発を学ぶ上でおすすめの書籍
受託開発を学ぶ上で「受託開発の極意―変化はあなたから始まる」というおすすめの書籍があります。この本の特徴は、現場の目線から描かれていることです。現場の目線から描かれているからこそ、書かれてある内容をスムーズに理解でき、共感しながら学ぶことができます。決して読みづらい本ではなく、IT業界に明るくない人でも読める本です。
主に受託される案件
受託開発の仕事には、いくつかの種類があります。主なものとして、Web制作という仕事とアプリケーションの開発の仕事があります。業界の仕事をこなすことで、クライアントの信頼を勝ち取りましょう。そうした上で、自分たち独自の強みを出していけるようになると、仕事が増えていくようになるでしょう。
Web制作の受託
ITの受託開発で大多数を占めるのがWebページの制作でしょう。今やどんな仕事でも、自分のホームページを持つことは当たり前となっていますが、自分たちでホームページを制作できる人たちは多くありません。そういった方々向けにWebページの制作を代行するというのが、受託開発で一番行われる形です。クライアントの細かな要望に応えることに重点を置きましょう。
スマホアプリの制作の受託
次に多く行われるのが、スマホアプリの開発の受託です。今や誰しもスマートフォンを持つようになり、パソコンのソフトウェアよりもアプリケーションを使用する頻度は高くなってきました。パソコンのシステムをアプリバージョンに移し変えるときも受託開発で行われることが多いです。スマホアプリの開発に強いと、将来性も高いでしょう。
受託開発でプログラマーとしての技術を磨こう
受託開発は、プログラマーとしての技術を磨く一番の近道です。クライアントと打ち合わせを行い、予算を見積もり、開発を行うという一連の流れを全て自分でやることで、プログラマーとしての実力はもちろんのこと、社会人として必要なスキルが身につきます。プログラマーとして、また社会人として信頼されるためにはどうすれば良いかを学ぶことができます。