Amazon Auroraのすごいところ
はじめに
この記事ではAmazon Auroraとは何か、どんな利点があるのかなど、利用者の感想を交えて記述していきます。また、文中の先頭に(※)がついている単語は、各パートの下の方に説明を記述しておきますので参考にして頂ければと思います。
Amazon Auroraとは
Amazon AuroraとはAWS提供のクラウド向けに構築された(※)RDBMSのことで、表形式でデータを保存することが出来ます。また、オープンソースRDBMSであるMySQLやPostgreSQLと相互性のあるインターフェースを備えており、これらを使用しているシステムは移行がしやすい点が企業で選ばれている理由の一つです。
専門用語説明
[RDBMS]
リレーショナルデータベース管理システム(Relational DataBase Management System)のこと、表形式でデータベースを管理します。
選ばれる理由
・高性能
標準的なMySQLデータベースと比べて最大5倍のスループット、PostgreSQLでは最大3倍のスループットを実現できます。商業用データベースと同等のパフォーマンスを10分の1のコストで実現します。
・高い安全性
データベースのために複数のレベルのセキュリティが用意されています。これらの機能は(※)Amazon VPCによるネットワーク分離、(※)AWS KMSを介して作成・制御されるキーによる保管時の暗号化、移動中のデータにはSSLによる暗号化がなされます。また、Auroraインスタンスでは基盤となるストレージが暗号化されるほか、同じクラスター内にある自動化バックアップ、スナップショット、レプリカも暗号化されます。
・MySQLとPostgreSQLとの相互性
冒頭でも触れましたが、Amazon Auroraのデータベースエンジンは、MySQLやPostgreSQLの既存のオープンソースデータベースとの完全相互性があり、新しいリリースとの相互性も定期的に追加されています。このため、MySQLやPostgreSQLの標準的なインポート・エクスポートツールやスナップショットを使用して、MySQLデータベースやPostgreSQLデータベースを簡単にAuroraに移行できます。また、顧客が既存のデータベースで既に使用しているコード、アプリケーション、ドライバー、ツールなど、殆ど変更せずにAuroraで使用できます。
・完全マネージド型
フルマネージドサービスとも言い、サーバーの管理に関する業務をほぼ全て任せることが出来るサービスです。自動的にデータベースがモニタリングされて(※)S3にバックアップされるのできめ細かい(※)ポイントインタイムリカバリーが可能です。
・高可用性と耐久性
Amazon Auroraはユーザーのデータを継続的に同期・バックアップさせることで可用性が99.99%を超えるように設計されています。物理ストレージの障害はユーザーの意識しない所で復旧され、インスタンスの(※)フェイルオーバーは30秒未満で完了します。
・拡張性
必要に応じて自動で10GBから64TBまでストレージを拡張します。また、3つのデータセンターにかけて最大15個のリードレプリカ(仮想マシンの一種)を追加することで更に要領を大きくするほか、負荷を分散させることが出来ます。マスタに障害が発生した場合、フェイルオーバーするので停止してしまう事はありません。
専門用語説明
[Amazon VPC]
ユーザー専用のプライベートクラウド(Amazon Virtual Private Cloud)のことです。
[AWS KMS]
データの暗号化に使用される暗号キーであるカスタマーマスターキーの生成と管理を容易にするマネージド型サービス(AWS Key Management Service)です。
[S3]
Amazon提供のオンラインストレージのことです。
[ポイントインタイムリカバリー]
ディスクの障害などによってデータが消去してしまった場合も、直前の状態までリカバリーすることが出来るというオンラインバックアップの機能です。
[フェイルオーバー]
稼働中のシステムで問題が発生して、システムやサーバーが停止してしまった際に自動的にシステムを切り替える仕組みのことです。
顧客の声
Amazon Auroraを利用する顧客はガンホーやアカツキなどのゲーム会社から、ネットフィリックスなどの配信サービス、トレンドマイクロなどのサイバーセキュリティソリューションから国連まで企業団体問わず様々です。その中でも日本で馴染み深い企業ではAmazon Auroraがどのような効果を出しているのか紹介いたします。
ガンホー(ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社:東京)
「MySQL互換エディション」
Auroraの活用により、オンラインサービス用のバックエンドデータベースのパフォーマンスが向上し、運用コストが削減できました。例を挙げれば、Updateクエリでは8倍高速なパフォーマンスが発揮され、Selectクエリでは10倍高速で実行できます。さらにバックアップのための時間も80%短縮されており、インスタンスの数を減らすことでAWSでの費用も40%削減を達成しています。Auroraはバックエンドデータベースとして高い信頼性と安定性を提供してくれます。
住信SBIネット銀行(住信SBIネット銀行株式会社:東京)
Oracle RACをAmazon Auroraに移行して以来、パフォーマンスを50%向上させる一方で、データベース管理費用を83%削減してきました。スピード、可用性、スケーラビリティを改善し、大きな恩恵を受けています。
おわりに
現在、世界の殆どの企業や団体がデータベースを保持しており、Amazon Auroraはそれを効率化、コスト削減に貢献しているので世の中を豊かにしてると言ってもいいのではないでしょうか。余談ですが、データベースの歴史は1970年まで遡ると言われております。それから、数多くのエンジニアが次の世代へと機能を進化させ続け今日に至るわけなのです。Auroraは今でも十分高性能なのですが、今度は我々の世代がAuroraだけでなく、様々な情報技術を進化させ次の世代へ繋ぎましょう。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。