金融機関で採用されるAzureの魅力とは?

◎はじめに

近年クラウドサービスを活用する動きが業種問わず加速してきています。それは金融機関も例外ではなく、ITによる低コストかつスピーディーといった大きな変革を求められています。そんな中で世界中で使われているクラウドサービス「Microsoft Azure」(以下Azure)が注目され、実際に使用されている事例も多く聞きます。そこで今回は金融機関に採用されるAzureの魅力とその事例についてご紹介します。

◎金融機関に採用されるAzureの魅力とは?

金融機関におけるAzureの採用は年々加速しています。現に金融の分野では、Amazon社のクラウドであるAWSと拮抗しているとのことです。また2018年5月に日本マイクロソフトは、「金融機関向けのデジタルトランスフォーメーション変革特別支援対策」を発表するなど、金融分野に力を注いでいることも分かります。そんな中で何故Azureが採用されているのか、その魅力について詳しくみていきます。

◯Azureのセキュリティなどの観点から評価

生命保険や銀行といった金融機関にとって、Azureの導入が加速している理由の一つにセキュリティ面が挙げられます。セキュリティにおいてとても重要になる要素が3つあります。それが「機密性・完全性・可用性」です。金融機関では個人情報をたくさん取り扱うためセキュリティ面がとても重要です。その中でAzureのサービスのセキュリティの高さが評価され、使用される頻度も高くなったというのが主な理由として考えられます。では具体的に、Azureのセキュリティの「機密性・完全性・可用性」の観点から詳しくみてみます。

【機密性・完全性:Azure ADによるID管理サービス】

機密性とは、大まかに言うとその情報を知る必要があるユーザーのみがデータにアクセス出来る事です。また完全性とは、データが全て揃っていて欠陥や不整合がないことを保証することを言います。その機密性を維持しているサービスとして、Azure ADあります。

Azure Active Directory(Azure AD)とは、クラウドベースの認証サービスを提供しているサービスになります。クラウド上にある様々なアプリケーションをAzure ADに登録する事で、クラウドサービスのアカウントを一元的に管理する事が出来ます。機能としてはID管理機能やアプリケーションアクセス制限機能など、情報を知る必要があるユーザーのみがデータにアクセスしたり認証を一元的に管理する事が可能です。このサービスを使う事で機密性を維持するのに最適な製品となっています。

【可用性: 国内2つのリージョンによるサービス提供】

可用性とは、システムが安定的に稼働しデータがいつでも参照できることを言います。その可用性を維持できる一つの要素としてAzureのリージョンが大きく関わっています。日本国内にはリージョンが2つあり、それぞれ東日本リージョンと西日本リージョンがあります。リージョンが2カ所あることでBCP(事業継続計画)対策にとても有効です。

BCP(事業継続計画)対策とは、企業が災害やハッキングなどの緊急事態に遭遇した時に損害を最小限に抑えて事業を行ったり、早期復旧させたりするための計画のことをいいます。リージョンの構成を活用して、アプリケーションやデータを複数のリージョンで作成しておくことで、事業再開までの復旧時間を短縮することが出来ます。

◎金融機関での事例

では具体的に、金融機関ではどのようにAzureを利用したサービスが使われているのかをご紹介します。

◯ 株式会社沖縄銀行

株式会社沖縄銀行(以降沖縄銀行)では、モバイルアプリの利用を促進しています。その例が「おきぎん Smart」です。「おきぎん Smart」は、自身の口座間で振替や他ユーザーの口座への送金に対応したスマートフォン向けのアプリになります。利用者は順調に増え続けており、銀行の窓口に頻繁にいけないユーザーにとって効果的なサービスになっています。このようなモバイルアプリの利用増で増加したデータを有効活用するために、データ分析基盤のクラウド移行の構築が重要であるとの考えで、Azureを使われています。

【Azureを採用したメリット】

沖縄銀行がAzureを採用した理由として以下のことを挙げられています。

・Power BIのレポートのバリエーション

・大量のデータを高速に処理できること

またオンプレミス環境のデータ分析基盤には、膨大な入出金情報を処理するインターフェイスが大変です。しかし、状況に応じてパフォーマンスを調整できる「オートスケール機能」などを備えたAzureがとても有効な選択肢となりました。先程ご紹介したセキュリティ面でも安全な認証を実現できるAzure ADや、閉域網を利用するExpressRouteなどを組み合わせることで効果的なシステム構築に貢献する事が出来たとのことです。

◯ 三井住友海上火災保険株式会社

不正な保険金請求を効率的に検知し、多くの顧客からの正当な保険金請求への迅速な支払いを可能とすることは保険業界の課題の1つになります。そんな中、三井住友海上火災保険株式会社は不正検出ソリューション「FORCE(フォース)」を導入しました。

【システム:FORCE(フォース)】

「FORCE」は保険の不正請求の検知に特化したAzureをプラットフォームとするクラウドサービスです。損害保険・生命保険会社の過去の保険金請求データをAIで分析・学習し、不正を判断するためのシナリオを作成します。そしてそのシナリオ基に請求データをチェックし疑がれる案件を発見した場合は、速やかに担当者にアラートを送信する仕組みになっています。

【Azureを採用したメリット】

Azureを採用した理由として以下のことを挙げられています。

・簡単かつ低コストで導入できる

・運用後も業務の要請に応じた機能の実現

クラウド上でシステム開発を行い、基幹システムと連携することで今後不正検知だけでなくその時々の業務に柔軟に対応する事が出来るAzureは、とても有効なクラウドサービスとなっています。

◎まとめ

金融機関に採用されるAzureの魅力とまたその事例についてご紹介しました。IT化が進む中Azureといったクラウドサービスを利用することは、大きな変革になることでしょう。Azureも他のメリットやデメリットが存在するので、是非この際にAzureに興味を持って調べてみてください。

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