IoTって一体何?(Azureの事例を添えて)

IoTとは

IoTは「Internet of Things」の略称で、「モノのインターネット」という意味です。車やテレビなどが、インターネットに繋がることで計測データ、センサーデータ、制御データなどの情報が相互に交換されます。それにより、インターネットを通してモノを操作したり状態の観測が実現できる技術です。

IoTの仕組み

モノ(物体や人)からセンサーでデータを取得し、インターネットを通して情報の形にまとめます。それらがビッグデータとしてクラウド上のサーバーストレージに蓄積されます。集められた膨大なデータはAIが分析し、必要な情報としてデジタル化されます。そのデジタル化された情報をモノに共有することがIoTの仕組みです。(例)Apple Watchー身につけた人が歩くと、その道や距離、その人自身の血圧や心拍数をデータとして取得します。

IoTでどんなことができるのか

・IoTで環境を知る(環境モニタリング)

環境(温度、湿度、気圧、照度、騒音など)を知ることができます。屋内外問わず、環境を知りたい場面で活用できます。(農園、工場、家屋内など)

・IoTでモノの動きを知る(モーションモニター)

モノの動き(衝撃、振動、傾斜、転倒、移動、落下など)を知ることができます。モノの動きを知ることで状態を把握し、異常時の対応も円滑に行えます。(工場内の生産設備の稼働状況モニター、予知保全など)
工場生産ラインに用いれば、生産状況が把握しやすくなるので、さらに効率的な体制を考案、実施して生産性や品質の向上が見込めます。

・IoTでモノの位置を知る(存在検知、近接検知、通過検知)

モノと受信機の間の電波強度を測ることで、大まかな距離を知ることができます。
自動運転では、車に搭載されたセンサーから、位置情報や走行状況などのデータを取得し情報をクラウドに集約します。そのデータをAIが解析し、解析結果を自動車に送ることで、データに応じた安全な運転を可能にします。

AzureのIoTビジネス事例

トヨタ自動車株式会社

車載通信機器が取り付けられたトヨタ車、レクサス車から得られる様々なデータを集約、解析し、人と人、人とサービスを繋ぐプラットフォームとしての車の実現に向けて、テレマティクスサービス(自動車、輸送車両などへの情報提供サービス)をAzure上で構築を進めてきました。運転者に対しては、目的地への最適なルート案内や、災害時の被害状況の配信、所有しているスマートフォンでPHV車、EV車のバッテリー確認、空調の操作など行える「T-Connect」サービスを提供しています。
企業や自治体に対しては、テレマティクスを搭載した約300万台の車の走行データを活用する、ビッグデータ解析交通情報サービスを提供しています。
他にも、機械学習を用いて運転者の特性を学習し、運転者の知りたい情報を提供するサービスも開発中です。

久野金属工業株式会社

「現行の生産ラインで生産能力を最大化する」という課題をクリアするため、IoTを活用して、生産ラインの稼働状況をモニタリングするサービス「IoT GO」(モノから収集したデータを集約、分析、可視化などの機能がAzureのPaaSにより構築)を導入しました。そして、装置の稼働情報を感知するエッヂデバイスとAzure IoT Hubと連携させ、センサーを搭載していない旧式装置を含めた工場のIoT化を廉価かつ早期に実現しました。IoT化されたことで、生産ラインの稼働状況がリアルタイムで把握でき、経過データ、他のラインとの差も可視化されました。その影響により、従業員の意識向上へと発展し、サービス導入開始から1ヶ月後には、生産ラインの生産能力が11%上昇しました。

倉敷市

地域の社会活動の効率化と製造業に次ぐ第二の基盤産業の構築を目指して、「データ・ドリブン・シティ」を掲げた取り組みに着手しました。町に設置されたカメラで撮影した人物の性別、年齢の情報を集めて、一定エリアの人数や動線、属性の推定を行いました(プライバシーの観点から、顔の情報は削除してクラウドへと送信してAzure上に蓄積してあります)。そのようにしてまとめたデータを用いて、人の流れを可視化するサービスを導入することで、観光地やイベント開催に役立てています。

IoTが抱えるセキリュティの問題

IoTを活用した技術で利用されるシステムは、家電や自動車のような一般消費者に向けた製品から、生産業や製造業までと多岐に渡りました。私達の生活を便利にしてくれた反面、これまでインターネットに繋がっていなかったモノが増えたことでサイバー攻撃の対象も広がった為、セキュリティの問題はさらに重要になりました。
特に、家電製品などはウイルス検知ソフトもありませんので、万が一ウイルスに感染した場合、故障による不調なのか区別が付きにくいものです。そのままにしておくと、迷惑メール発信の土台にされたり、ボットネット(サイバー犯罪者によってウイルスを送り込まれたIT機器が意のままに操作されること)に組み込まれ悪事に使われる恐れがあります。
そういったことが無いように、購入したIoT機器に設定されている初期パスワードを変更する、ネットへの直接接続は避けてルーター経由でインターネットに繋ぐ、IoTデバイスを動作させるソフトを常に最新にしておくなどが大切です。

まとめ

IoTが生活の中で大いに役立つことを、事例を交えながら紹介しました。確かに便利なサービスですが、やはりウイルスは怖いですね。普段から使用している自動車や家電製品が誰かに操られる状況を考えるとゾッとします。IoTの製品も、パソコンやスマートフォンと同じくインターネットに接続して情報のやり取りを行いますので、どうしてもそういったリスクが生まれます。しかも、パソコンやスマートフォンと違って、ウイルスに対して侵入を防いだり検知するソフトがありません。対策はいくつか紹介しましたが、一番は、自分はインターネットにつなげているという意識を持つことが大切です。

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