Azure Monitorでの運用・監視

はじめに

クラウドサービスを運用する際は、クラウドサービスを提供する側のデータセンターを仮想化することで顧客への提供を行っています。即ち、サーバーは企業の責任範囲から離れます。クラウドの普及化で企業が運用・保守する範囲も変わってきています。今回はオンプレミスとクラウドでの運用の違いや、クラウドサービスであるAzureでの監視手段について紹介いたします。

運用形態

・オンプレミス

オンプレミスではハードウェアレベルでの監視が中心となり、リアルタイムでの対処が要求されます。IT機器を自社で選定できるためカスタマイズが可能です。状況によっては、データセンターを利用することで自分たちの求めるネットワーク形態を成す場合もあります。また、膨大すぎるデータ量を取り扱う場合はオンプレミスのが割安というパターンもあります。

・クラウドサービス

クラウドサービスは仮想化技術、物理サーバー、物理ストレージ、物理ネットワークなどに当たる部分はクラウド提供ベンダーが請け持つため、企業側の負担は減ります。クラウド運用はシステム全体の可用性を確保することにあり、障害の事前検知やマネージドサービス、自動復旧のサポートがあるため、従来の運用領域と比べると少なくなっています。また、適宜に必要なサービスを適量で受けることが出来るのでニーズへの対応力や最低限のコストで済みやすいです。

Azureの契約概要

初めに抑えておきたいポイントとして、オンプレミスとクラウドの運用・監視範囲が異なる点です。
AzureはIaaS、PaaS、SaaSのどの部分を利用するかで自社で運用するかが変わってきます。

  • IaaSでの利用をしたい場合はOS、ミドルウェア、データ、アプリケーション周りはユーザが管理します。
  • PaaSでの利用をしたい場合はデータ、アプリケーションをユーザで管理します。
  • SaaSについては基本的にユーザ側で管理するというものはありません。
  • では、実際に運用するにあたって何をするのかという動きについて説明していきます。

    Azureでの運用・監視

    実際の業務には、運用コスト管理、OSやミドルウェアやアプリケーションのバージョンアップまたはパッチの適応やシステム監視などが含まれています。監視するツールとして以下のものが挙げられます。

    Azure Monitor

    Azure Monitorは、Azureのプラットフォーム上、またVMで動作しているものを監視するツールです。
    取得したメトリクスにトリガー条件を設定することでアラームを実行する機能や、メトリクスが閾値を超えたとき特定のアクションを実行させることが出来ます。次にAzure Monitorの中の機能を紹介していきます。

    ・Application Insight(アプリケーション監視)

    任意のプラットフォームでWebアプリケーションをリアルタイムで監視するためのサービスです。

    ・Azure Monitor for Containers(コンテナー監視)

    Azure KubernetesでホストされるAzure Container Instancesなどにデプロイされているコンテナー、ワークロードのパフォーマンスを監視するサービスです。

    ・Azure Monitor for Cosmos DB(データベース監視)

    Azure Cosmos DBリソースの全体的なパフォーマンス、エラー、容量、操作上の正常性のビューを統一された対話型エクスペリエンスで提供しています。

    ・Azure Monitor for Networks(ネットワーク監視)

    デプロイされたすべてのネットワークリソースの正常性とメトリックを構成なしで把握できます。

    ・Azure Monitor for Resource Groups(リソース監視)

    個別のリソースで発生した問題を優先順位をつけて診断する一方で、リソースグループ全体の正常性とパフォーマンスに関するコンテキストを提供します。

    ・Azure Monitor for Storage(ストレージ監視)

    Azure Storageサービスのパフォーマンス、容量、可用性を監視することができます。

    ・Azure Monitor for VMs(仮想マシン監視)

    Azure仮想マシンと仮想マシンスケールセットを監視します。Windows VMやLinux VMのプロセスから外部プロセスとの依存関係を監視することでパフォーマンスの分析が行われます。

    ・Azure Monitor for Key Vault(キーコンテナー監視)

    キーコンテナーの要求、パフォーマンス、エラー、待機時間を統合ビューとして提供します。

    ・Azure Monitor for Azure Cache for Redis(総合的監視)

    全体のパフォーマンス、エラー、容量、操作の正常性を統一された対話形式で表示します。

    Azure Resource Health

    Azure Resource HealthはAzureプラットフォームそのものに異常が発生した際に検知することが出来るツールです。Azure Resource Healthは無料となっており、Azureを使う際には正常性を確保するために必要になるツールです。

    まとめ

    Azure MonitorはAzureサポートとサービスレベルアグリーメントに遵守します。サービス内容を理解した上でAzure契約内容を取り決めることで運用する範囲が変化してきます。
    今回、監視ツールとしてご紹介したAzure Monitorは包括的な監視を目指すことで、運用・監視への負担を軽減させるツールであるため、一般的に使われやすいツールではないでしょうか。

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