Microsoft Azureリージョンの選定について

リージョンとは何か

リージョンはデータセンターの集まり

リージョンは、Microsoft Azure(以降、Azureと呼称)のリソースグループを作る時に指定します。このリージョンは、国や地域別に設置されているデータセンターのまとまりを指します。
リージョンには、少なくとも1つ以上のデータセンターが含まれています。
基本的には、低遅延ネットワークで構成された複数のデータセンターで成り立っています。国内には東日本リージョンと西日本リージョンがあり、東日本リージョンは東京と埼玉のデータセンターで構成されています。一方、西日本リージョンは大阪のデータセンターで構成されています。

システムを継続稼働させる可用性ゾーンと可用性セット

COBOLの画像

●「可用性ゾーン」Azureのリージョン内に物理的に分離されたデータセンターのこと。それぞれ電源や冷却手段、ネットワークが独立しています。
その為、1つのゾーン(データセンター)が障害でダウンした場合、同じ地域の他のゾーンが引き続き機能する仕組みになっています。
COBOLの画像
●「可用性セット」1つのゾーン内で、仮想マシンの可用性を上げる方法です。データセンター内のサーバを格納しておくラックや、サーバの集合体であるブレードサーバの障害からサービスを保護します。
可用性セットを構成することで、データセンター内のメンテナンスやハードウェア障害の際、サービスの全体停止を抑えることが出来ます。

リージョンの選定ポイント

リージョンは世界中に配置されていて、それぞれサービス内容等が異なります。国内で利用するのであれば、東日本/西日本リージョンがありますが、こちらもそれぞれ利用出来るサービスが異なります。リージョンを選定する時のポイントと共に紹介します。

COBOLの画像

使用したいサービスがあるか

通常使用するようなサービスは、大体国内リージョンでも利用出来ます。しかし、新しいAzureのサービスがリリースされた時、すぐには国内リージョンに適用されない場合があります。
そのサービスが直ぐに必要な場合は、そのサービス対象リージョンを使用しなければなりません。

使用するインスタンスのスペック制約は

海外の比較的小さなリージョンでは、使用する仮想マシンのインスタンススペックに制約があります。使用出来ないスペックは、Azureのサイトに記載されている「リージョン別の利用可能な製品」での該当項目が灰色になっていますので、使用予定のスペックが該当していないか確認してからにしましょう。

ペアリージョンか

リージョンには、メンテナンスや障害の時の為にペアリージョンという組になっているものがあります。例えば、東日本リージョンと西日本リージョンは、ペアリージョンです。一方がメンテナンスをする場合に、もう片方のペアリージョンではその時間帯にメンテナンスが行われず、タイミングをずらしてメンテナンスが行われます。
また、大規模なリージョン災害が発生した時、世界的に少なくともペアリージョンの片方ずつは復旧するように方針が取られています。リージョンを選択する際は、その対象リージョンがペアリージョンかをAzureのサイトで確認して下さい。

ネットワーク遅延の許容対策

これには2つ意味があります。1つはクライアントとサーバの物理的距離、2つ目はリージョン間の物理的距離です。
●「クライアントとサーバの物理的距離」クラウドは、実際にはどこかにハードウェアが存在し、クライアントはそこまで通信が通っている必要があります。もし、クライアントが日本にあり、リージョンをブラジルに設定してしまうと通信不良になり、性能に問題が生じます。これは、リージョンを国内や日本に近い国にしたり、リージョン内にクライアントを作るという対処で解決出来ます。
●「リージョン間の物理的距離」リージョン間の通信は、Azureのバックボーン通信を利用していても、距離は存在します。本番サイトとDRサイトで例えると、災害が2つのリージョンに及ばないようにする為に地域間の距離を取りすぎると、サイト間の通信に時間がかかってしまいます。
1つのリージョンを選定した時、もう片方のリージョンへの距離は近いものを選定することが推奨されます。
※DRサイト(災害等で主要ITシステム拠点での業務を行う事が不可能になった時、緊急の代替拠点として使用する施設や設備)

日本とどれだけ時差があるか

リージョンに仮想マシンを設定する際、時間をOSの設定で日本時間に合わせる事が出来ます。一方、Azureが提供するサービスを利用する場合、その時間は基本的にUTCとなります。クライアントが日本時間、Azure側がUTC時間となった時はシステムが正常稼働するか、必ず確認して下さい。
※UTCはCoordinated Universal Time(協定世界時)の略称。セシウム原子の振動数を基に導き出された時間で、世界の標準時間として使用されている。日本時間との時差はマイナス9時間。(日本時間の午前10時はUTCだと午前1時。)

東日本と西日本でサービス内容は異なる

リージョンごとに提供するサービスが異なると述べましたが、具体的な例をいくつか紹介します。
●東日本リージョンでは、Azure仮想マシンの「コンピューティング集中型インスタンス」(A8、A9等)が利用出来るが、西日本リージョンは対応していない。
●西日本リージョンでは、Azure Machine LearningやCustom Visionが使用出来ない。東日本リージョンでは使用出来る。
他にもありますが、詳しくはAzureのサイトでご覧になれます。

まとめ

東日本リージョンで使用可能なサービスがあり、西日本リージョンでは使用不可なサービスはあれど、その逆はありません。これは、東日本リージョンでまずサービスが試用され、その後に西日本リージョンにも同サービスが提供される為です。リージョンを選定する時は、使用したいサービスがそのリージョンに存在するか、ペアリージョンは何か、物理的距離や時差等を吟味して選定する必要があります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です