【時短技】Azure Cloud Shellがもたらす3つのメリット【スキル】

はじめに

現在のクラウドコンピューティング技術の1つとして代表的な「Azure」。PaaS・IaaSの1つであり、リソースの物理的・時間的・金銭的な問題を解決できる非常に便利なツールです。現代ではスマートフォンが普及し、様々な生活行動を”アプリ”で行っています。手軽で効率的に使えることが重視されており、またエンドユーザのフィードバックから常に改善を重ねて良いものを生み出しています。しかし、そのアプリを作ったり改善したりする基盤のフットワークが重ければ、どんなに便利なアプリを作ったとしても、利益が無駄となる恐れも出てきます。クラウドコンピューティング、率いてはAzureは世の中の生活基盤の1つとも言えると考えられます。今回はそんなAzure内の機能の1つであるAzure Cloud ShellCUIについて深堀していきます。

クラウドコンピューティングとは

冒頭のクラウドコンピューティングとは、様々な便利なツールを①身軽に、②手軽に、③安心して利用できる技術です。例えば何かしらのシステムを開発する場合、従来ならば①システムを作るためのPC、サーバ、OS、データベース、ツールなどを準備し(リソースの調達)、②それらを利用できるよう開発環境を整え(インフラ構築・設定)、③その後はリソースの更新や故障対応なども必要です(保守)。しかし、クラウドコンピューティングの場合、リソースは予めサービス提供会社内で調達・構築されており、保守も行われます。そのため、自社内でたくさんのリソースを設置するスペースが不要であり(身軽)、ユーザ登録をすれば無料(利用範囲による)ですぐに利用でき(手軽)、リソースの脆弱性や故障に怯える必要もありません(安心)。これが冒頭で述べた”フットワーク”の軽さです。他にも、物理的なリソースは一度設置すると増減にもコストと手間がかかかりますが、Azureでは手軽に増減することが可能です。また保守なども任せられる体制となるため、本来取り組むべき業務に集中することができるようになるなど、様々な享受を受けることができます。

Azure Cloud ShellとCUI方式

本題のAzure Cloud Shellは、便利なAzureを更にスムーズで効率的に利用するためのツールです。Azure Cloud Shellの名前にある”Shell”とは、文字の並びだけを使ってパソコンを操作する黒い画面を使って操作するCUI形式という操作方法を行う機能の1つです。通常パソコンを使うときは、直観的で使い易いマウスでの画面操作が主流です。それに対しShellは文字だけの操作のため、世の中では近付き難いイメージを持っている人も多いのですが、実は一度慣れてしまえば要所でとても力強い味方になってくれる方式です。Azure Cloud Shellは、Azureの操作をCUI方式で行い、リソースを管理することができます。そのうえで先ずCUIのメリットから3つご説明します。

メリット① GUIでは複雑な操作をスムーズに実行できる

CUIを活用することで、操作が簡単でスムーズになる場面があります。例えば「ファイルのフォルダ移動」があります。GUI操作の場合、ファイルが保存されているフォルダを開いて、移動先のフォルダに移動するなどの操作が必要です。それに対し、Azure Cloud Shellではコマンドラインの入力だけで同様な操作が可能です。そのためマウスを左右上下に動かしたり、フォルダ群から対象となるフォルダを探し出すような手間も省けます。コマンドラインはコマンドを覚えることが必要ですが、慣れればGUI操作よりも格段に早く、そして楽に処理を完了することができます。このように、GUIでは数段踏む操作も、コマンドラインを覚えてしまえば一行もしくは数行のコマンドを入力することで完了できます。

メリット② オペレーションを共有しやすい

結論から書くと、コマンドラインだけを書いて共有すれば良いため、つまり文字だけを共有すれば良いため資料作成が楽だということです。私が保守担当時代に現場で思ったことは、GUI操作の手順書作成は非常に骨が折れるということです。先ず画面のスクリーンショットを撮る必要があります。それを貼り付け、矢印や丸印を使ってクリックする場所などを記します。また、WebアプリなどでGUI上のダイアログメッセージが更新された場合、手順書の更新も必要になってきます。これを引き合いに出すと、コマンドライン利用の手順書は非常に効率的です。GUIが不要なので更新内容に影響されません。手順書作成時に手順書に書いてあるコマンドに誤りが無いかを、文字通りに注意を払う必要はありますが、またコマンドラインを覚えていない人でも、とりあえず入力すべきコマンドラインを渡しておけば操作もできるため、習得が必要とされるコマンドラインでも、この点は解決できるためです。

メリット③ 操作履歴を照会できる

結論から書くと、CUIの場合は入力した操作内容を追えば良いため、トラブルの原因を切り分け安いということです。これを元に、どのような操作で問題・トラブルが発生したかを特定すれば良いのです。これに対し、GUI上では限界があります。私がヘルプデスク担当だった時のお話です。とある銀行の金融システムのヘルプデスクを担当していましたが、銀行員のGUI上の操作ミスによる問題・障害が発生した際、原因を特定するのが困難でした。どのような操作を行ったかヒアリングをして問題を再現して検証を行おうにも、銀行員が操作内容を覚えていなければ終了です。このような場面に強いのがCUIの享受の1つと言えます。

Azure Cloud Shell独自のメリット

メリット① OSに依存しない

ではAzure Cloud Shellを題材にした理由、つまりはメリットですが、結論から書くとOSに依存せず、上述したコマンドラインのメリットを享受できるということです。LinuxのCUI(Bash)、Windows(PowerShell)をAzure Cloud Shell上で選んで利用することが可能なためです。現場で利用されるOSはWindowsだけではありませんし、Linuxのみということもありません。複数のOSが混在しています。OSに対応したCUIを利用する必要があるのです。Azure Cloud Shellでは利用するCUIを選択できるので、このような問題を解決できます。

メリット② ポータル画面(GUI)を確認しながら操作可能

Azure Cloud Shellを起動すると(起動方法は次項にて説明)、画面上半分と下半分でGUIとCUIの画面を分割することができます。コマンドラインの操作結果をリアルタイムでGUIで確認できるということです。ローカルPCでコマンドライン操作をする場合、そもそもコマンドラインでしか操作ができないOSなどもあります。CUIとGUIの利便性を兼ね備えた機能であるということです。

メリット③ シンプルな操作が可能

Azureは非常に扱いやすく便利である分、必要な項目や情報を得られにくい場面というのも想定されます。このような場合、GUIでマウスを動かして必要なアイコンを探すよりも、コマンドラインによる操作で命令を出すほうが早いので、コマンドラインを使うことの効果を発揮できます。お店で店員さんをほしい商品の前に連れていき「これを下さい」と言うより、直接商品名を一言話して動いてもらうほうが早いイメージです。

Azure Cloud Shellのはじめ方

Azure自体が手軽で効率的にリソースを利用するために作られた技術です。もちろんAzure Cloud Shellも簡単に使い始めることができます。ポータル画面上部に「リソース、サービス、ドキュメントの検索」と書いた検索欄があり、そのすぐ右の「<_」と示されたアイコンをクリックすると起動できます。「Azure Cloud Shellへようこそ」という画面が表示されるので、ここでBash(Linux用のコマンドライン)かPowerShell(Windows用のコマンドライン)を選択することができます。「ストレージがマウントされていません」と表示されるので「ストレージの作成」を選択します。これで準備は完了です。

まとめ

本記事ではとても便利なクラウドコンピューティングツール”Azure”、更により便利に利用して頂けるCUI(Azure Cloud Shell)について説明しました。クラウドコンピューティングはこれからの主流となる技術の1つであり、またコマンドラインを利用することで様々な享受を受けることができます。また取り扱えるOSも増えるため、とても重要な技術の1つです。本稿によってAzureやコマンドラインを学習するきっかけになることができれば幸いです。

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