Microsoft Azureを無料で試用できるサービス4選
はじめに
Microsoft AzureはMicrosoft社が提供するクラウドプラットフォームです。
社内環境のバックアップや開発・テスト環境・ファイルサーバーとして目的に合わせ利用することもでき、豊富な製品群によりAIや機械学習といった流行の技術に触れることもできる非常に柔軟性・安全性の高いサービスです。ですが、従量課金制のため利用するには高額の費用がかかりそうだと躊躇している方もいるのではないでしょうか。そんな方向けにMicrosoft Azureの機能を無料で試用できるサービスをこれから紹介していきます。
Microsoft Azureの無料試用サービス紹介
1.Microsoft Azure無料アカウント
特徴
必要なもの
どちらも公式サイトからアカウントが作成できます。その際にメールアドレスが必要なので準備しておきましょう。
SMSの入力が必要になるので、SMSの受け取りが可能な電話番号を準備しましょう。
本人確認のために必要です。無料枠を全て使い切っても、自動的に課金されることはないので安心して使えます。
機能
12か月間無料の製品
Azureサービス | 無料枠 | 機能 |
---|---|---|
Linux Virtual Machines | 750時間 | オンデマンド機能を備えたLinux仮想マシンを作成可能 |
Windows Virtual Machines | 750時間 | オンデマンド機能を備えたWindows仮想マシンを作成可能 |
Azureサービス | 無料枠 | 機能 |
---|---|---|
Managed Disks | 64GB×2 | Azure Virtual Machines向けの保護されたディスクストレージ |
Blob Storage | 5GB | あらゆる種類の非構造化データに対応するストレージ |
File Storage | 5GB | コードの変更をせずに分散型クロスプラットフォームファイルストレージに移行できる |
Azureサービス | 無料枠 | 機能 |
---|---|---|
SQL Database | 250GB | インテリジェンスが組み込まれたSQL Databaseを作成 |
Azureサービス | 無料枠 | 機能 |
---|---|---|
Bandwidth | 15GB(受信データ転送は無料) | 送受信データの転送 |
Azureサービス | 無料枠 | 機能 |
---|---|---|
Computer Vision | 5,000件のトランザクション | 画像から情報を抽出し視覚化データを分類して処理 |
Personalizer | 50,000件のトランザクション | 機械学習を使用しコンテンツの最上位のアクションを予測 |
Translator | 2,000,000文字 | 複数言語のテキスト翻訳をリアルタイムでアプリ、Webサイト、ツールに追加 |
Anomaly Detector | 20,000件のトランザクション | データの異常を検出・特定してトラブルシューティングを行う |
Form Recognizer | 500ページ | ドキュメントからのテキスト、キー/値のペア、テーブルの抽出を自動化 |
Content Moderator | 10,000件のトランザクション | テキストや画像をモデレートし、より安全で好ましいユーザーエクスペリエンスを提供 |
Custom Vision | 10,000回の予測 | ユーザー固有のユースケースに合わせてコンピュータービジョンモデルを簡単にカスタマイズ |
Face | 30,000件のトランザクション | 画像内の人物とその感情を検出して識別 |
Ink Recognizer | 2,000件のトランザクション | 手書きの文字、図形、ドキュメントのレイアウトなどのデジタルインクコンテンツを認識 |
Language Understanding | 10,000件のテキスト要求トランザクション | 自然言語を解釈する機能をアプリ、ボット、IoT デバイスに組み込む |
QnA Maker | 3日 | 既存のコンテンツから、会話形式で質問に回答するボットを作成 |
Text Analytics | 5,000件のトランザクション | テキストからセンチメント、キーフレーズ、固有表現、言語などの情報を抽出 |
いつでも無料の製品※無料アカウントを含む任意のAzureサブスクリプションで試用可
Azureサービス | 無料枠 | 機能 |
---|---|---|
App Service | 10まで(Web、モバイル、APIアプリ) | Node.jsやPHPなど好きなツールに使用でき、 どんなプラットフォームに対応したアプリでも作成可能 |
Functions | 要求数1,000,000 | サーバー不要のコードアーキテクチャを使用し、イベントを処理 |
Azure Kubernetes Service (AKS) | 無料 | 使い慣れたツールでコンテナーをデプロイ・管理できる |
Azureサービス | 無料枠 | 機能 |
---|---|---|
Azure Cosmos DB | 400RU/秒 | オープンAPIを使用し高速のNoSQLデータベースサービスで 最新のアプリをあらゆる規模で構築可能 |
Azureサービス | 無料枠 | 機能 |
---|---|---|
DevTest Labs | 無料 | 高速で簡単な、無駄のない開発およびテスト環境を扱える |
Azureサービス | 無料枠 | 機能 |
---|---|---|
Event Grid | 操作数100,000 | 信頼性の高い大規模イベント配信を実現可能 |
まとめ
無料のクレジット枠と12か月間の期間内であればIaaS、PaaS環境で検証、開発、テストまで一通りのAzureの機能を試用することができます。
無料期間が終了した場合は、Azure無料アカウントを解約するか、従量課金プランのサブスクリプションとして継続することもできます。
また「いつでも無料」の枠内であれば無料のまま一部のAzureサービスを使うことも可能です。
注意すべきこととして、
の2点があります。
2.Microsoft Learn
特徴
必要なもの
Microsoftアカウント
どちらも公式サイトからアカウントが作成できます。その際にメールアドレスが必要なので準備しておきましょう。
※アカウントなしでも利用できます。ですが、アカウントがあれば
ので、学習しやすくなります。
機能
1555件(2020年7月6日時点)のコースの中から製品・ロール・レベル・種類で検索し、自分の状況や学びたいことにあったコースを選ぶことができます。
実際の画面は以下のようになっています。
フィルタの内訳
※モジュール:単体の学習コース(組み合わせるとラーニングパスに)
ラーニングパス:同テーマの学習コースを複数組み合わせ体系的にまとめたもの
例:Azure初級者向けのコースを検索する場合
画面左のフィルタで製品:Azure、レベル:初級を選択すると、以下のように「Azureアカウントを作成する」「クラウドの概念 – クラウド コンピューティングの原則」などAzureをこれから始める人向けのコースが表示されます。
まとめ
Microsoft Azure無料アカウントと異なり、アカウントもクレジットカードも必要なく、期間の定めもないので気軽に始めることができます。
また、環境構築や製品の購入をしなくとも実務でも使われているクラウド環境をそのまま学習に使うことができるので、「Microsoft製品に少し興味が湧いた」方から、「Microsoft製品への理解をもっと深めたい」「資格を取得したい」方まで間違いなくお勧めできるサービスです。
3.Azure Machine Learning Studio (クラシック)
特徴
必要なもの
機能
実際の画面は以下のようになっています。
対話型ワークスペースが提供されていて、データセットとモジュールを視覚的に繋ぎ、直感的に予測分析モデルを作成できます。
また、テスト・反復作業、Webサービスとしてのデプロイまで行うことができます。
まとめ
後述するCognitive Servicesと比べ、学習コストは大きくなりますが予測分析モデルのカスタマイズができ、データを用意することで独自の学習モデルを作成することもできます。
ある程度AIの開発知識やスキルがある方なら、直感的な操作でアルゴリズムを構築できるAzure Machine Learning Studio (クラシック)はお勧めな学習サービスです。
4.Cognitive Services
特徴
→活用することでAIエンジニアの不足問題を解決できるかもしれない、と言われています。
必要なもの
が必要です。
機能(一例)
Vision API
イメージ内のコンテンツを分析することができます。無料枠では5,000トランザクション (1分あたり20回)まで利用できます。
イメージから顔や感情を検出・識別することができます。無料枠では30,000トランザクション (1分あたり20回)まで利用できます。
コンテンツのデジタルインクを認識します。無料枠では月ごとに2,000トランザクションまで利用できます。
Language API
感情・キーフレーズ・言語・エンティティを検出することができます。1か月あたり5,000トランザクションまで利用できます。
Decision API
異常検出の機能を埋め込めます。無料枠では月に20,000トランザクションまで利用できます。
パーソナライズされたユーザーエクスペリエンスを作成できます。無料枠では月に50,000トランザクションまで利用できます。
まとめ
Cognitive ServicesではMicrosoftが構築したAIモデルを利用できるので、機械学習やディープラーニングなどの知識やスキルがなくてもAIを扱うことができます。
反面、すでに構築されたモデルを使用する為にやや自由度は低くなってしまいますが、個人レベルでは到底集められない量のデータを基にしたAIを利用できること、学習にかかるコストを大幅に削減できることは大きなメリットです。
おわりに
ここまでMicrosoft Azureを無料で試用できるサービスを紹介してきました。どれも無料枠が定められていますが、Microsoft Azureの機能を幅広く体験できる優れたサービスです。興味がある方はぜひお試しください。