データ分析のできる人材に求められるスキル・知識

はじめに

近年、インターネットの普及やIT技術の進歩によって、より多彩でより大量のデータを収集できるようになりました。収集された大量のデータを活かしたマーケティングを行うためには、データを分析できる人材の確保が必須となります。

日本電気株式会社(NEC)では、2021年4月入社の新卒採用において、『データサイエンス』を含む一部の分野における人材に対して、これまでの学歴別初任給ではなく、人材のスキルに応じた能力給を採用すると発表しました。
また、理工を専門とする国立大学である東京工業大学は2020年4月より『データサイエンス』と『人口知能(AI)』を専門とした教育を全ての大学院生を対象として開始しました。Yahoo!Japan等から講師を招き、データサイエンスの基本的教育と、データサイエンスを活用し社会的課題の解決ができる人材の教育を行っていくと発表されています。これは国内初の試みです。

このように、優秀な人材の確保に企業が尽力しており、専門教育が開始されるほど、データを分析し、マーケティングに活かすことのできるスキルを持つ人材の需要が高まっています。今回はデータサイエンティストにとって、必要なスキルについてご紹介していきます。

データサイエンティストとは?

そもそもデータサイエンティストとは、収集された大量のデータを分析して、サービスの提供や市場調査、将来予測を行うことのできる、データの高度な分析スキルを持った人材のことを指します。日本でも『ビッグデータ』という言葉が浸透しつつあり、大量のデータを分析しマーケティングへ活用することは、もはや企業活動において当たり前となっています。企業が保有するデータが大量かつ詳細になったことで、より社会に密接した消費者の声や特徴を知ることが可能となりました。しかし、それらのデータも、収集から分析、またその結果から対策を考えることができなければ、活かすことができません。データサイエンティストはこの一連の活動内の専門的な知識やスキルを持っている必要があります。

必要なスキル

データサイエンティストとして求められる能力や知識は、以下の3つに分類することができます。

プログラミング能力

データを活用したマーケティングを行う為には、まずデータの収集方法を構築しなければなりません。データの収集方法が多様化したことによって、効率的なデータの収集方法を開発することができるプログラミング能力が求められます。また、現在ではデータ収集に特化したツールを提供する企業も増えているため、アプリケーション開発やAI開発を行えるエンジニアの需要も高まっているのです。データサイエンスの分野において人気な言語としては、Python(パイソン)やRプログラミング言語があります。PythonやR言語は他の言語に比べて、データサイエンスに特化した言語で、予測を目的とした機械学習や設備への実装、統計解析まで可能です。

数学・統計学の知識

企業で開発を行わず、他社のツールやサービスを活用してデータ収集を行う場合もあります。このようなツールが進化していることから、データ収集はツールで行い、収集された結果を受け取り、分析を専門で行うことができる人材の需要も高まっています。有効な分析方法としては、ロジスティック回帰分析やアソシエーション分析が代表として挙げられます。収集されたデータを分析し、分析結果をグラフや表にまとめるスキルも必要です。これらの分析やグラフの作成は、Excelで作成が可能なものもあるので、理系出身者でなくても学習しやすい内容となります。問題の発見と解決に向けて、データと向き合う能力はデータサイエンティストとして必須の能力です。

ビジネス・マーケティングの知識

従来のデータサイエンティストは、データを収集、分析し、可視化するまでを専門としていることが多かったのですが、現在では分析結果からビジネスにおける課題に対してどう対策を立てることのできるスキルや未来予測を行うスキルも求められています。また、データを収集する段階から、必要な結果を求めるために収集すべきデータの項目を選定する際にも、ビジネス・マーケティングの知識が必要となります。これらの高度な知識を持つ人材は、企画部やマーケティングといった事業部門において活躍が期待され、開発部門への定義の作成やツールを購買する際の決定要因を定めるような役割も担うこととなるでしょう。

おわりに

IT技術の進歩によって、SNSや購買データ等からさまざまな情報を入手することが可能となりました。それらの大量のデータは企業活動において大きな財産となります。その財産を有効に活用するこができれば、企業活動にとっても大きな利益をもたらすことにつながります。ツールやAIが進歩し、精度が高まっている中であっても、開発や意思決定は人の手で行われます。社会のニーズに適した正しい経営判断を行うことができるように、優秀なデータサイエンティストを確保することが今後とても重要になってきます。