情報分析のための手法

はじめに

企業内外で管理されている膨大なデータをビッグデータといい、それを分析することで顧客のニーズや傾向が分かり、今後のサービスをより広く深くしていくことが可能です。
この活動をデータマイニングと呼びます。

情報分析の手法は数多くありますので、自社が目指すサービスや求める情報によって、使い分けていくことがビジネスには不可欠です。そこで今回はデータ分析の手法を簡単に紹介していきます。

アソシエーション分析とバスケット分析

アプリオリ・アルゴリズムを用いて行うもの。元よりPOS(point of sales)データの分析の為に開発された手法で、膨大なログデータの中から意味のある関連性を抽出するために開発されました。

例えば、「牛肉を購入している顧客は、焼き肉のタレも併せて購入している」という情報を掴む事ができれば、売り場の位置を隣同士に変更し、焼き肉のタレの購入率をより高くする事で売上アップが見込めるでしょう。加えて顧客が買い物をする際に利便性を感じ、「このお店にまた来たい」と思わせる心理効果にも期待できます。

アソシエーション分析から派生した”バスケット分析”

EC(通販)サイトでよく見かける「この商品を買った人はこんな商品も買っています」という表示はバスケット分析からなる情報分析で、それに基づきユーザの購入傾向を上手く分析・活用することにより広告の費用対効果を向上させる(クリック数や購買数を増やす)ことができます。

筆者もECサイトを使う際、関連して表示された他の商品が魅力的で、ついついクリックして抱き合わせ購入をしてしまうことがあります。一人暮らしを始めたときなどは、何が必要かよく分からないので、他の人の購入傾向を見ることで買い忘れに気付くこともありますよね。こうしてユーザがより多く購入してくれるようになれば、それによって得られる新しい情報
も多くなります。

クロス集計分析

主にアンケートに用いられる手法です。ユーザへのアンケートを集計する際、回答の割合に合わせて年齢や性別、職業などを情報に盛り込むことができ、属性別に情報を分析することができます。

例えば「好きな汁の具は?」という回答に、年齢や性別の要素が加わると、どの年代がどの具を好んでいるかが分かります。縦軸と横軸で情報を把握できるため、より深みのあるサービスつくりには必要不可欠となるでしょう。

決定木分析

決定木分析はディシジョン・ツリーとも呼ばれ、「予測」や「判別」、「分類」を目的として使われる手法です。 顧客情報やアンケート結果などについて、“従属変数”に影響する“説明変数”を見つけていきます。幹から枝が伸び葉がつくような、樹木によく似たモデルを作成する分析方法となります。

ひとつの原因をもとに、そこから「~だったらどうなるか」と何通りもの予測と仮説を繰り返すことで経過が樹木状に枝分かれしていきます。そのため、様々な要因ごとに分岐点ができ、その枝が広がっていくことで複雑かつ多様な要因を整理することが可能です。また、分岐ごとの確率を計算する事で、より詳細にデータを把握することができます。そのため、マーケティングのほかにリスクマネジメントなどにも使われます。

クラスター分析

clusterは「群れ、集団」意味する英語です。データを仲間分けすることにより、整理、集約がしやすい形にすることができます。クラスター分析をすることで、集めたデータの傾向や特徴が把握しやすくなり、
事象や属性の要因解析がしやすくなります。

主成分分析

主成分分析は、多くの要因(変数)がつかめた時に、似た要因を少数の要因に集めることで、データを分析しやすくする手法です。膨大なデータを一気に分析することは複雑で難しくなりますので、まずはデータ分析の前に分析しやすいデータに整えることが必要です。

仲間分けをする点ではクラスター分析と似ていますが、主成分分析はデータの事象ではなく、データの属性で類似性のあるものを集約していきます。主成分分析では大まかにデータの特徴をつかむことが可能です。しかし要因を集約することで「情報の一部(細部)を捨てなければならない」というデメリットが発生します。

ABC分析

パレート図と言われる図形を用いて、データの重要度に応じてデータを三つのグループにランク付けする分析手法です。パレート図とは、棒グラフと折れ線グラフを組み合わせたグラフで、棒グラフではデータを大きい順に左から並べ、かつ、折れ線グラフでは各データの累積比率をパーセンテージで表します。この図を使うことで、もっとも件数が多く重要なデータを可視化することができます。

例えば、製造過程で発生した部品Aの不良の内容と発生率を調べる際に、不良内容ごとに件数を羅列するだけではイメージが湧きにくいため、もっとも発生件数が多い事象をグループA、次に多いものをグループB、その次に多いものをグループC……と分けることで、もっとも優先させるべきなのはAグループの事象だ、と着手すべき項目が一目瞭然になります。

まとめ

情報分析のための手法はこのほかにも数多く存在しますが、こちらの記事では代表的な手法をご紹介してきました。膨大なデータから有力なデータを取り出し、整理し、活用することで企業活動を有利にすることができます。より良いサービスを提供するために、これらの情報分析手法を活用していきましょう。