ビッグデータを解析し、活用している企業の紹介

はじめに

「ビッグデータ」という言葉はご存じでしょうか。多くの方は単に膨大な量のデータ群といった認識ではないでしょうか。ここで取り扱うビッグデータとはこれまでには解析が困難であった膨大な量の非構造化データのことを指します。米国のアナリストであるダグ・レイニー(Doug Laney)氏はビッグデータには3つのV「Volume(データ量)」、「Variety(多様性)」、「Velocity(リアルタイム性)」があると定義しました。このビッグデータを解析することによって様々なことを知見することが出来ます。

近年ではビッグデータを解析し、事業に役立てている企業も増えつつあります。活用している企業の業種も多様で製造業界から飲食業界まで様々な企業があります。この記事ではビッグデータの活用法を紹介し、実際に役立てている企業を紹介していきます。

企業ごとの活用事例

Honda

日本の大手輸送機器メーカーであるHondaでは電気自動車の開発にビッグデータの解析結果を活用しています。電気自動車の普及を進めていくうえで問題になるのが、消費者のバッテリー状態などに対する不安などがあります。そのバッテリー問題を解決するためにHondaではトレーサビリティーシステムを用いて、日々バッテリーの向上に努めています。トレーサビティーシステムとは、バッテリーの情報をトレースしてその性能状態を把握するシステムです。バッテリーの使用環境、急速充電、そして高負荷での走行をした場合など、バッテリーにどのような影響を及ぼすかをリアルタイムで状況を把握することで、バッテリーの性能低下や残存価値との相関関係を解析することが出来ます。Hondaはこのような電気自動車のバッテリーから出力されるビッグデータを解析することにより、バッテリーの性能変化に影響を及ぼすキー・ファクターを抽出し、バッテリーのライフサイクル全体をサポートすることを目指しています。

Intel

半導体素子メーカーであるIntelもビッグデータを解析し、事業に役立てている企業の一つです。チップメーカーはチップを出荷する前にすべてのチップをテストする必要がありますが、そのテスト数はなんと約1万9千にも及んでいます。その膨大なテスト数を省略するためにIntelはビッグデータで解析を始めました。その結果特定のチップに集中してテストを行うことで、テストに掛かる時間とコストを削減しつつ、製品の品質を維持することができるようになりました。

ユニクロ

トレンドの移り変わりが早いアパレル業界において大手メーカーであるユニクロもビッグデータを活用している企業です。ビッグデータを解析することによって、今まで多くの時間を要していた<素材調達、企画、デザイン、生産、物流、配送>といった工程を一つずつ進める必要があった商品開発プロセスを、消費者のデータをネットワークで共有することで、並列に作業することができるようになり、大幅にリリースまでの期間を短縮することができるようになりました。

またトレンドを解析し開発プロセスを短縮するだけでなく、在庫の大量廃棄問題についてもビッグデータを活用することで解決に近づくことがきます。ビッグデータを使った商品開発プロセスなら素材調達やデザインを並列に行うことが出来るので、余分な在庫を発生させづらくすることができます。

あきんどスシロー

全国にチェーン展開する回転寿司業界の大手企業であるスシローはビッグデータを活用し売り上げを伸ばしています。スシローは回転すし総合管理システムというシステムを導入しています。このシステムはリアルタイムでお客が食べているネタを解析し、需要があるネタを予測し供給することできます。またこのシステムのおかげで余剰な供給を防ぐことが出来るので、廃棄ロスの減少にも一役買っており、廃棄量は約4分の1にまで減少しました。このシステムを導入したおかげで、二律背反であった売り上げを伸ばしたいが廃棄ロスを減らすためには供給を下げなければならない状況を改善することが出来ました。

まとめ

この記事では様々なビッグデータの活用方法を紹介してきました。今回紹介した企業はほんの一部にしか過ぎません。知らないだけで普段からビッグデータを活用している企業の製品やサービスを享受していたのかもしれません。ビッグデータを解析し、活用している企業の分野も多種多様であり、今後も増え続けてくでしょう。ビッグデータはまだまだ発展途上の技術であり、今後も新たな解析方法が発見されていくかもしれません。ビッグデータには定型があるわけではないので、色々な視点から見ることで、同じデータからでも様々な知見を得ることができます。

また実際にビッグデータを触れてみたい場合は、Amazonが提供しているAWS(Amazon Web Services)というクラウドコンピュータサービスならローコストで利用出来ます。

最後まで読んでいただきありがとうございます。