データサイエンティストの仕事内容

データサイエンティストとは

データサイエンティストとは膨大なデータを分析、解析して情報を整理し、その情報をビジネスに活かす為に働く人のことを呼びます。最近はビックデータやAIの技術の発展がめざましいので、データサイエンティストという仕事への注目も集まっています。ビックデータは社会の電子情報化が進むことで、より力が大きくなります。今までは紙で管理していた情報が電子化することによって、よりデータを蓄積しやすく、それを活かしやすくなるからです。そしてその蓄積したデータは、AIでより活用することができます。近年、ディープラーニングの登場によりAI市場は拡大しています。ディープラーニングの精度の向上にはビックデータが必要です。この様にAIとビックデータは深い関わりがあり、どちらの技術も注目されています。そんな中、データの活用に長け、AI開発にも携われるデータサイエンティストの需要が増しているのです。

データサイエンティストが不足している理由

上でも述べたように、データサイエンティストの需要は伸び、多くの企業で必要とされています。それにも関わらず、データサイエンティストは人材不足に陥っています。人材が不足しているということは市場で希少性があるということなので、待遇も良くなる傾向にあります。待遇が良くなればデータサイエンティストを希望する人が増えて人材不足は解決されそうですが、そう簡単にはなっていません。これから何故そのようになっているのかについて解説していきます。

十分な経験をもつデータサイエンティストが少ない

そもそもIT業界自体が慢性的な人手不足です。その理由として考えられるのは、プログラム言語が英語で書かれているからというものがあります。プログラムのコードは日本語ではなく英語で書かれていますので、一目見た時に何となく内容が分かって、楽しそう!と思う人は少ないでしょう。海外ではプログラム言語を学んでいなくても英語を見れば何となく分かったりするのでしょうが、日本人は特に拒絶反応が起こる人が多いようです。その中でもさらにデータの扱いに長けている人材となると、優秀な人材を確保するのが難しいほど、人数は限られてくるでしょう。

ITの知識以外にも数理統計の知識も必要となる

上で述べたように、ITの知識を持つ人材の時点で人手不足が起きているのに、データサイエンティストはさらに数理統計の知識が必要となってきます。ITエンジニアに関しては今までコンピューターにさほど詳しくない人でもある程度勉強すれば身につけられて戦力になることができますが、数理統計の知識は高度な知識が必要となり、簡単に身につけられるものではありません。数学や統計の知識は徐々に積み上げていかなければいけない知識ですので、決して文系の人でもだれでも簡単になれる職業とは呼べません。会社で採用してから教育する、といった体制を整えることができている会社はまだまだ少ないですし、日本では大学などの教育機関でデータサイエンティストを育てる体制も整っていません。ちなみにアメリカでは大学や専門学校と連携し、年間数万人ものデータサイエンティストを育成する体制を整えています。日本はこういった場面でも他国に遅れを取っているのが現状と言えるでしょう。

IT以外の分野にも必要とされている

データを扱う仕事というとIT企業をイメージしがちですが、もはやIT企業以外もデータの分析を駆使して戦略を練っていかなければいけない時代となりつつあります。IT以外の分野の例を挙げると、金融・保険、製造業、小売・物流、サービスなどです。また、民間企業だけでなく行政の分野においても、データサイエンティストのスキルが必要な場面が出てきています。中央官庁や自治体などがおこなう各種の調査がどれだけ有効に活用できるかはデータサイエンティストの頑張りによって大きく変わってきます。また、行政の複雑な事務をデータサイエンティストによって効率化することも期待されています。さらに、判定の難しい病状をビックデータから解析するなど、医療の分野などでもデータサイエンティストが必要とされています。医者よりも診断が正確な人工知能もできる可能性が高いと言われています。つまり、需要の増加が多すぎて、供給数が多少あがってもまだまだ足りない状態になるということです。

データサイエンティストの将来性

これまでデータサイエンティストの需要が伸びていくのに対し、データサイエンティストの人手は不足していくことについて解説しました。これだけを聞くと、データサイエンティストのスキルを見につければ一生高待遇で安泰なのでは?と思う方が多いでしょう。確かにデータサイエンティストの存在はこれからさらに貴重になり、他の仕事と比べて高い報酬を得ることが出来るでしょう。しかし、完全に手放しで安泰かと言われればそういう訳でもないのです。これからデータサイエンティストという職業の将来性が完全に安泰では無いという理由について解説していきます。

AIを手軽に使える時代が来る

現在、AIを用いてデータ分析をするとなると、データサイエンティストも必要で、膨大なビッグデータも必要な場合が多いです。少しでも優秀なデータサイエンティストが欲しい会社は多数あるでしょう。しかし、AWSなどで最近登場しているのが複雑なデータサイエンティストの知識やAIに関する知識が無くても、自然言語処理を行う人工知能を使えたりするサービスが登場している事に留意しなければなりません。もしかすると、データ分析はデータサイエンティストを雇って多くの会社が個別に行う必要はないのかもしれません。このような大きなプラットフォームが提供するより安価でシンプルなデータ分析ツールを使う機会が増える可能性があります。また、その方がデータの蓄積が増えてより高精度な人工知能が生まれます。このようにデータ分析が必要とされているからと言っても、データサイエンティストが一生安泰と手放しで喜べはしないのです。

ただ、そうなったとしても、業界の慣習やデータに含まれない情報をもとにモデル作成をしたりする作業、または新たな理論を考案したりといったことはまだまだ人間の方が得意と言えるでしょう。将来的にもAIがそういった苦手分野を克服し、人間の知能を超えることも勿論あるでしょうが、その時はデータサイエンティスト以外の職種も安定ではなくなります。決してデータサイエンティストだけが危ないなどと言ったことは無いのです。

安泰な職種はあるのか?

そもそも、絶対に将来が安泰な職業というものはありません。医療技術の進歩により、平均寿命が伸びることでこれからは生きるために必要なお金がより多くなります。よって、働かなければいけない期間も伸びてきます。22歳から70歳くらいまで働かなければいけない時代になったとしたら48年間もあります。そのおよそ50年の間、安泰な仕事を予想できるでしょうか?それは不可能に近いです。なぜなら今から50年前に現代のような社会になっていることの予想がほぼ不可能だったからです。スマートフォンが当たり前に普及し、web系企業が成長する、安定と言われていた銀行などもITによって地位が揺らいでいます。一昔前では大企業に入れば年功序列と終身雇用で将来安泰というのが常識でしたが、いまやその常識も覆っています。常識というのは時代によって簡単に変化するのです。そして技術革新のスピードは直線的でなく、指数関数的なスピードで成長すると言われています。つまり、これまでの成長スピードとは比べ物にならないスピードで技術が成長していくのです。よって、過去の50年の変化以上の大きな変化が今後50年で起きます。そんな変化が起きる中で全てに対応し、安定しつづける仕事など予想することは難しいでしょう。公務員も大企業も銀行も、士業などの難関資格を持っていても安定でない可能性が高いです。なので、一生安泰な仕事を探そうという気持ちではなく、技術の変化に柔軟に対応して、自分もスキルを身につけていこうと考えるのが良いでしょう。2045年には人工知能が人間の知能を超えるシンギュラリティ(技術的特異点)が起きると言われています。その頃には人間の想像をはるかに超えた進化が待っているでしょう。つまり、数年後の予想はできても50年の予想を正確にするのは難しいので、常に変化に対応して少し先を見ながら生きていくというのが良いキャリア選択になるでしょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。今回はデータサイエンティストの仕事内容から人材不足の理由、そして将来性についての解説を行いました。データサイエンティストは現時点では高待遇の魅力的な仕事ということは伝わったのではないでしょうか。将来性ばかりを気にしていても上でも述べた通り、今後の将来はどうなるか分からないことばかりなのも事実です。データサイエンティストの仕事に自分が興味を持てるのか、楽しめるのかといった視点で考えてみるのも良いでしょう。最近はデータ分析の学習サービスなども登場してきていますので、1度勉強してみて自分に合っているか、適性があるのかを見てみるのが良いでしょう。実際にやってみなければ楽しいのかどうかも何も分かりません。自分のやりたい事がわからないという悩みがある人はそれを知るために多くのことに手を出してみるのが良いでしょう。最後までお読みいただきありがとうございました。