AI技術とJava

AIとプログラミング言語

AI、すなわち人工知能は現在様々なプログラミング言語を用いて開発が行われています。日々進歩を遂げる最先端の技術、開発現場においてAIはどのようなプログラミング言語を用いて開発を行われているのでしょうか?また、どのような用途・目的でどのような種類の人工知能が開発されているのでしょうか?この記事ではそういったAIに関する諸々について紹介していきます。

AIとは?

AIとは、Autoficial Intelligenceの略称であり人工知能を意味しています。人工的に創造された知的なコンピュータプログラムのことを指してAIと呼ばれることが大半です。AIが登場した当初は、AIには単純な仮説に基づく問題の解決は行えても実際に現実社会で起こる複雑な問題に対して解決策を提案することが出来ない、といった理由や知識を情報として保管・利用することは出来ても、知識を利用する前提となる部分の人間であれば知っていて当然と言える常識や倫理観の欠如などが問題として広く利用されることはありませんでした。しかし、2000年代から「ビッグデータ」を用いて機会が自ら学習を行っていく「機械学習」の技術が進歩を遂げてきたため、再び注目を集めることとなりました。過去にも機械学習の提案はされていましたが、コンピュータそのもののパフォーマンスの向上、大量のデータを保管しておけるクラウドの登場により2000年代から活動が活発になりました。この機械学習において特に重要とされている学習が「ディープラーニング(深層学習)」です。人間が行う単純なタスクや操作を機械に行わせることで人間が行っているように、人工知能が自ら学習し得た知識から判断と推測を行うようにする学習方法です。AIの発展を支える根幹の部分であり、ディープラーニングは様々な分野や作業において活用されています。

AIにはいくつか種類が存在します。AIが人間と同じように知識などを獲得し人間と同様の振る舞いを行うAIを「強いAI」とし、それ以外のAIを「弱いAI」とわける分け方や、対応可能な分野の広さやその領域の専門性の深さと関連付けてAIを分ける「汎用人工知能」と「特化型人工知能」に分ける分け方などがあります。その他にはAIに出来ることで分類を行う方法もあります。開発されたAIが文章を読んで言語理解を行う自然言語処理のAIなのか、人の声を識別し文章への変換などを行う音声認識および音声処理に特化したAIなのか、顔認証を代表とする画像や写真に写っているものを判別する画像認識のAIなのか、過去のデータおよび蓄積したデータを用いて推測や貴下の制御を行うAIなのか、さまざまなAIが存在します。

AIとプログラミングの明確な違いは、エンジニアが作成するプログラムは明確なデータをもとにして演算処理を実行するのに対して、AIは過去に蓄積、すなわち学習したデータを用いて曖昧な情報から分析を行い推測を行うことが可能である点です。とはいえ、AIの根幹たる機械学習の部分についてはロジックを組み立てプログラミングを行う必要があります。ではプログラミングを行う上で必要なこと、気を付けるべき点は何なのか、という点について紹介していきます。

AIをつくるには

AIを作るために必要な知識としては、一般的には、行列の性質や扱いについて「線形代数学の知識」、収集したデータを正しく処理できるロジックを構築するための「統計学」、組み立てたロジックを実際のものとして表現するための「プログラミング能力」の3つが主にAIの機械学習を構築するために必要なスキルであると言われています。もちろん数学的な知識がなくともプログラミング能力があればAIを作成すること自体は可能ですが、AIが動くアルゴリズムを正しく理解できていなければAIの性能を100%活かしきることは不可能です。数学や統計学の知識はAIのアルゴリズムを理解するために必要な知識です。

肝心のAIのプログラミングですが、一般的に多くの場合はPythonを用いてプログラミングを行われています。その理由としては、まず1つ目にPythonがシンプルかつ読みやすいプログラミング言語を目指しており、プログラミング初心者でも気軽に取り組みやすいプログラミング言語であることが挙げられます。先述しました通り、AIを作成するためには豊富な知識が必要となります。そのためにプログラミング言語はシンプルかつ応用の聞きやすいものが選ばれる傾向にあります。2つ目の理由としては、その信頼性の高さにあります。AIを作成する場合の多くはPythonで作成されています。それはつまり、多くの組織がAIの作成に使用する言語としてPythonが非常に適していると信頼する理由となります。言語としての信頼性だけであれば他のプログラミング言語の方が上になってきますが、AIにおいてはPythonの方に軍配が上がります。最後の理由として、ライブラリやフレームワークの豊富さが挙げられます。Pythonの特徴として10000を超える豊富なライブラリが用意されていることが挙げられます。AIには様々な種類が存在しますが、この豊富なライブラリを用いることでどの様な種類のAIであっても対応可能です、更にはNumpyやPandasを用いることでAIに必要である高速なデータ処理を実現することも可能です。こうした理由から、AIの開発においてはPythonが用いられることが非常に多いのですが、他の言語ではAIを開発することは不可能なのでしょうか?

AIとJava

機械学習に限った話ではありませんが、開発を行う際に用いる言語は1つの言語しか存在しないわけではありません。機械学習のロジックを構築するにはPython以外は不可能なのか?というとそんなことはありません。Javaを用いてAIの開発を行うことも、もちろん可能です。長い間、世界的にも注目されており開発に使用されることも多かったJavaの特徴は、その汎用性です。Pythonに用意されているライブラリをJava環境で再現すれば、問題なくAIの開発自体は可能です。ところが、JavaでAIを開発する際にデメリットがある点には注意しなければいけません。それは、Javaの汎用性を高めているJVM、すなわちJava Virtual Machine(Java仮想マシン)の存在です。JVMを用いることで、JavaはOSに依存することなくアプリケーションやプログラムを実行し幅広い分野で利用されてきました。ところが、AIを動作させる上ではこの点がデメリットとなりえます。AIは膨大な情報に対して高速でデータ処理を実行しますので、CPUやメモリといったコンピュータのリソースを非常に多く必要とします。Javaで開発されたAIを動作させるためには、JVMのためにこうしたリソースを一部割かなければいけません。そのためAIの動作が重くなったり、リソースが足りなくなる可能性があります。Javaを用いてAIを開発する際には、コンピュータのリソースにも注意して開発を行わなかればいけません。

終わりに

ここまでお読みいただきありがとうございます。いかがだったでしょうか。AIにはまだまだ発展の余地が残されており、開発の仕方によって可能性が十分秘められた分野です。この記事でも説明しました通り、AIの開発を行う際には、制約はあるもののJavaなどの従来のプログラミング言語を用いて開発を行うことも可能です。興味がある方はご自身の得意な言語で開発を試みてはいかがでしょうか。