SASエンジニアとは?仕事内容や年収・待遇、資格まで解説

はじめに

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近頃注目を集めているSASエンジニアについてご存知でしょうか?

今回はデータの統計分析を主に行い、医療や通信など幅広い分野で活躍するSASエンジニアの概要や仕事内容、年収・待遇、役立つ資格などについて解説していきます。

SASエンジニアとは?

まずSASとは「Statistical Analysis System」の略であり、米SASインスティテュート(SAS Institute)社が開発したデータ解析、統計分析や解析結果の可視化が行えるソフトウェア、およびそのソフトウェアで使用されるプログラミング言語のことを指します。

そして、SASエンジニアとはSAS言語を用いデータの統計分析を行う職種です。医療、薬品をはじめ金融、通信、小売、学校や政府機関、その他の各業界で活躍しています。中でも医療や薬品関係でのニーズが高い傾向にあり、社会貢献度の高い職業といえます。

SASエンジニアが特に必要とされている医療や薬品関係の企業には外資系企業も多くあるため、時に語学力が求められることがあります。
あわせてデータの分析を行うので統計学や数学的な知識が必要な場面もある、ややハードルの高い職種との印象がありますが、実はSAS未経験や文系からでも携わることができます。

仕事内容

SASエンジニアはSAS言語を用い、データの統計分析を行うことが主な業務です。具体的にどういったデータを解析しているかは業界や企業によって異なりますが、例として新薬の治験データ、商品の流通データや顧客データなどが挙げられます。

SASシステムが使える環境を構築することデータの分析を行う下準備としてデータセット(注)を作成すること分析結果を統計学的に集計かつ傾向をまとめることも業務のうちです。

(注) データセット:解析用のデータを指します。

年収・待遇

SASエンジニアは他の職種と比べ年収が高い傾向にあります。
最低でも350万円から、外資系企業や人気のベンチャー企業であれば1000万円を超える場合もあります。平均年収はおよそ650万円です。

年収からも分かるように、他の一般的なエンジニアより待遇も良く働きやすいと言えるでしょう。

例えば残業時間に関してですが、求人に明記してあることが多く平均月10数時間と他の職種よりも少なめです。

役立つ資格

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SAS

ポテンシャル採用を行う企業もあるので、SASが未経験であっても問題ありません。

取得が必須である、という資格はありませんが、SASプログラミングができるという証明になる「SAS®認定資格」があります。資格自体の認知度も高めで、学習・取得を通してSAS関連知識の定着が見込めるので、SAS関連の業務に携わる方におすすめの資格です。

SAS®認定資格は以下のようにレベル・領域ごとに分けられているので、受験の際は要確認です。

基盤ツール (Foundation Tool)

  • SAS認定スペシャリスト: Base Programming Using SAS 9.4 / SAS認定プロフェッショナルBase Programmer for SAS 9
  • SAS認定プロフェッショナル: Advanced Programming Using SAS 9.4 / SAS認定プロフェッショナルAdvanced Programmer for SAS 9.4
  • SAS認定プロフェッショナル Clinical Trials Programmer Using SAS 9
  • 高度なアナリティクス (Advanced Analytics)

  • SAS Certified Statistical Business Analyst Using SAS 9: Regression and Modeling
  • SAS Certified Specialist: Machine Learning Using SAS Viya 3.4
  • ビジネス・インテリジェンス & アナリティクス (BI & Analytics)

  • SAS Certified BI Content Developer for SAS 9
  • SAS Certified Visual Business Analyst: Exploration and Design Using SAS Visual Analytics
  • データ管理 (Data Management)

  • SAS Certified Data Integration Developer for SAS 9
  • 運用管理 (Administration)

  • SAS Certified Platform Administrator for SAS 9
  • SASパートナー向けの技術認定 (Partners)

  • SAS Certified Deployment Specialist for Visual Analytics 7.3
  • SAS Certified Technical Specialist for Visual Analytics 7.4
  • SAS Certified Architecture and Design Specialist for SAS Grid Manager 9.4
  • SAS Certified Deployment and Implementation Specialist for SAS Grid Manager 9.4
  • SAS Certified Intelligence Platform Deployment Professional for SAS 9
  • SAS Certified Platform Upgrade Specialist for SAS 9.4
  • 語学

    繰り返しになりますが、SASエンジニアを特に必要としている医療や薬品関連の企業には外資系企業が多い傾向にあるため、語学力が求められることがあります。
    未経験でも日常会話レベルもしくは資料を読解できるレベルの英語力があると有利に働く可能性があります。

    英語力測定テストのグローバルスタンダードである「TOEIC」で500点以上あれば良いでしょう。

    とはいえ、語学力を不問としている企業も多く存在しますので無理に学習する必要はありません。英語が得意な方は周りと差をつけるチャンスです。

    統計

    データの分析に携わる以上、統計学の知識や数学的な知識が必要とされる場面がありますが、本当に難解な作業に関しては別に組まれた統計チームが担当するので必須というわけではありません。高校レベルの数学知識でもSASエンジニアになることは可能です。

    ですが、「統計学の知識があると証明したい」「統計学を身に付けたい」方には一般財団法人統計質保証推進協会が実施している「統計検定」の1級もしくは準1級をおすすめします。
    統計検定 1級:「統計数理」と「統計応用」の2種類の試験があり、準1級までの知識と応用、実社会において活用するスキルが身についているかが問われます。おおよそ大学の専門課程で習得するレベルと言われています。

    統計検定 準1級:統計学の基礎知識と、具体的なデータ収集方法や解析手法などについて問われます。大学の基礎科目の応用レベルと言われています。

    上記以外にプログラミング言語やデータベース関連、機械学習に関する知識も必要になるので、IPA(情報処理推進機構)が実施している「基本情報技術者試験」「応用情報技術者試験」の取得もおすすめです。どちらもITに関する幅広い知識を問うもので、SASエンジニアにもその他のエンジニアにとっても大いに役立つ資格です。

    おわりに

    以上、SASエンジニアの概要や仕事内容、年収・待遇、役立つ資格について解説してきました。

    SASエンジニアはデータの統計分析に興味のある方やエンジニアとしてのステップアップを目指す方にとって理想的な職種であること、
    社会的に見ても医薬品の開発やマーケティングに携われやりがいがあること、近頃データ分析ができる人材のニーズが高まっていることからも、
    現在アツい仕事であることは間違いありません。興味のある方はぜひチャレンジしてみてください!