sIerとは

sIerの概要

sIerとはエスアイアーという読み方で、システムインテグレーターのことを言います。SEやSESと混合されがちですが、SEはシステムエンジニアのことで、SESはシステムエンジニアリングサービスのことなので全くの別物という事を理解しておきましょう。ちなみにsIerは和製英語なので、海外でsIerと言っても通じません。sIerがシステムインテグレーターの事と言われても具体的に何の仕事をしている人なのか企業なのか、何を指すのか分からない方もいるのではないでしょうか。本記事ではsIerの仕事や具体的に何を指しているのかについて解説していきます。

sIerとは?

sIerとは具体的に言うと、システムの構築や開発を請け負っている企業の事を言います。一般の企業からの請け負いのみならず、官公庁からのシステム構築、運用の業務を行っている企業もあります。働いている人の事ではなく、業界の一つの名称です。金融業界で例えると銀行員の事を指しているのではなく、銀行という業界を指しているというのと同じ感覚でとらえてもらえれば良いでしょう。sIerで働いている人の事をSEと言っていたりゴチャゴチャしてよくわからないという方もよくいらっしゃいますが、先ほどの例えに当てはめるとsIerは銀行、SEは銀行員と同じです。業界名と働いている人の呼び方をしっかり区別して覚えておきましょう。

sIerの仕事内容

企業の規模や経営方針によっても仕事内容は異なりますが、大まかにこういった仕事をしている企業が多いというものを紹介していきます。

企画と考案

クライアントの問題を解決するための最適な対策をプレゼンテーションなどで提案する仕事です。専門的な知識に加えてクライアントの希望を上手く汲み取るコミュニケーション能力も求められる仕事となっています。こうしたシステムがあれば便利だよね、といったような曖昧な希望からもヒアリングを行い、具体的に実現可能な提案していきます。この工程を要件定義という呼び方もします。

システムの設計と開発

案件が定義され予算も決まると大まかな設計を行い、より詳細な設計も行います。詳細設計が終わると実際に開発を行います。

保守運用

システムを作ったから終わりというわけではなく、システムには正常に稼働しているかの監視業務より、利用しやすくなるための運用などの業務があります。こういったものもsIerは請け負います。

sIerの種類

sIerには実は厳密に分けると種類があります。独立系とユーザー系とメーカー系です。これらの違いについて名前を聞いただけではあまりピンとこないかと思います。なので、これから3つのsIerについて解説していきます。それぞれ特徴があるので自分の価値観と合うか、自分が働いてみたいと思うかなどの基準をもって見てみましょう。

独立系sIer

親会社を持たず、自社で営業からシステム構築まで行うsIerのことです。成果主義の風潮の会社が多く、実力のある人の待遇がよくなる傾向にあります。トランス・コスモスやオービックが例として挙げられます。

ユーザー系sIer

ユーザー系sIerは銀行や保険などの親会社を持っている企業が多いです。大企業の多くは情報が膨大になるため、ユーザー系の子会社を作っています。ソフトバンクテクノロジーや、NTTデータなどが例として挙げられます。

メーカー系sIer

メーカー系sIerはコンピューター等のハードウェアをつくっていた会社のソフトウェア部門が独立してできた会社という場合が多いです。ハードウェア部門はこれからも需要が高まる可能性が高いので比較的安定しているという特徴があります。三菱電機インフォメーションシステムなどの三菱系や東芝情報システムなどの東芝系の企業が例として挙げられます。

sIerの将来性

残念ながらsIerの将来性は手を上げて明るいものだというほどではありません。sIerのビジネスモデルは大きく見えればアウトソーシング事業です。元請けが人が必要だといって下請けから人を集める、いわゆる多重下請け構造は今後は上手く機能しなくなると言われています。これからその理由について説明していきます。

システムのクラウド化とサービス化

ひと昔前まではシステムは自社で作るものでした。自社で必要なシステムがあるなら、sIerに依頼して多額のお金をかけて開発するといった進め方です。ただ、2000年代中から後半にかけてAWSなどのクラウドサービスが認知され始めました。いわゆるPaasやSaasです。これによって劇的に安いコストで高品質のITサービスを特別知識のない人でも使えるようになってきています。そして今後もこの流れは加速していくと思われます。そうなると、新たな開発案件や保守運用案件は現象していくためsIerの利益は減少していきます。

人口減少と働き手の不足

sIerはそもそも人月といった観点での勘定をしていて、作業Aには〇〇人月必要だと下請けから人を集める多重下請け構造です。つまり人が大量に必要とされるビジネスモデルです。しかし、これからは日本の人口は減少していき、若年層の働き手は少なくなっていきます。また、スキルの身につかない大量の資料作成などの業務を進んで行いたい若者も少ないでしょう。このようなことから、人月商売で人が離れていくsIer業界の未来は厳しいのではないかという結論に至ります。

エンジニアの将来性

これまでsIerの将来性について述べました。sIer業界の将来性がないのであれば、プログラミング学習の意味は無いのでは?エンジニアは必要なくなるのでは?という疑問が湧いてくる方もいらっしゃるかもしれません。これに関してはハッキリとノーと言えます。エンジニアの需要はこれからも伸びていき、将来性はあります。これからその理由を述べたいと思います。

IT業界全体が伸びている

IT業界は伸びています。それを確認するために、経済産業省の発表したIT業界の国内総生産の推移を見ていきます。単位は十億円です。2005年には1064だったのが、2016年には3418にまで増加しています。2007~2008年あたりから上昇し続けています。今後はAIやIotの開発が活発に行われるでしょうし、まだまだIT化が進んでいないところは多いです。この流れは今後もさらに加速していくと思われます。それに伴いエンジニアの需要も増加していきますし、少子化によってエンジニアの供給不足もあいまって、より良い条件で働けるエンジニアが増える事が予想されています。

IT技術の進歩が他業種の独占や寡占を破壊する可能性が高い

フィンテックという言葉があります。これはファイナンシャルとテクノロジーの融合という意味です。今までは今まで銀行などが独占していた貸付業務などをIT技術をつかってより効率的に低コストで行う事ができるようになっています。Amazonレンディングやソーシャルレンディング、クラウドファンディング等のサービスがあります。この様に今まで独占や寡占されていた市場をIT技術が入ることになるという場面を見る事が多くなるでしょう。また、仮想通貨もIT技術が通貨の分野に進出した例の一つです。現在は正直便利な決済手段というより投機対象としての側面が強いですが、本来はブロックチェーンテクノロジーという技術で改ざん不可能な通貨を発行したものです。海外送金で多額の手数料を取られていたとろこが少額で済むなど、利便性を高める為のものです。

まとめ

いかがだったでしょうか。sIerという仕事の解説からSEとの違い、そしてsIerの種類について解説していきました。sIerの将来性は厳しいからエンジニアは目指さない方が良いのか?といった疑問についても解説を行いました。時代の変化によってあくまでビジネスの構造が合わなくなってくるというだけで、ITのスキルは今後も必要となってきます。よって、自分のスキルを高めて、市場価値を上げるのは勿論大切です。ただ、そのスキルを活かす場所というものも併せて考えなければなりません。自分のスキルが一番活きる場所を自分の価値観と、今後の構造変化を合わせながら考えていくのが良いでしょう。時代の変化のスピードはこれまで以上に速くなってくるでしょうし、技術の進歩が大きすぎて、10~20年後の未来の予測が難しくなってくることが予想されます。大切なのは一生安泰な業界や構造ではなく、時代の変化に柔軟に対応する自分自身の姿勢となってきます。これからの変化を見ながら柔軟に対応していきましょう。最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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