IT業界の裏方「デバッカー」とは

デバッカーとは

 スマートフォンやタブレット端末等の普及や発達により、空いた時間にアプリケーションやゲームをする方も多いのではないでしょうか。そうして皆さんが普段から何気なく利用しているアプリやゲーム等、それらを一切のバグを発生させずに作り上げることは、とても難しいことなのです。実際、どんなに技術力の高いプログラマーであっても、どうしてもバグは出てしまいます。したがってアプリケーション等の作成にあたって「デバッグ」というバグを取り除く工程が必要不可欠であり、そのデバッグ作業を行う担当者のことを「デバッカー」と呼びます。IT業界やゲーム業界の裏方として、また、プログラミングなどのスキルがほぼ必要ないためIT業界初心者がデバッグやテストなどから業務に携わる機会も多いです。ここでは、「具体的にどんな作業を行っているのか」や、「デバッカーとして必要な要素」などを見ていきます。

デバッカーの業務

 デバッカーの業務内容を一言で説明すると「アプリケーションやゲームが仕様通りに動作するかを調べること」です。これは、製品としてリリースされた後にユーザーがどのような操作をするかが分からないことを前提とし、誤作動の有無を把握することを目的として行われます。例えば、ゲームの主人公の名前を入力する欄には、「ひらがな4文字以内で入力する」という仕様であったとします。これに対しデバッカーが確認する項目は、「ひらがな4文字以内で名前が入力ができること」だけではありません。入力が出来ないひらがなは無いか、数字が入力出来てしまわないか、空欄のまま名前を決定出来てしまわないか等、本来普通にプレイする場合にはやらないであろうことまで、考えうるあらゆる可能性を想定して可能な限りのパターンを試していきます。そして、こうした作業によって発見したバグをプログラマーに報告するところまでが一連の流れです。作業としては地味で地道でありますが、それほどアプリケーションやゲーム等を製品としてリリースすることは大変であると同時に、欠かせない作業でもあります。こういった地道なバグ修正作業を怠ってリリースされた結果、評価を下げてしまったゲームも実際に沢山あります。また、デバッカーの主業務は基本的にはバグを探すことですが、時としてテスターを兼ねる場合もあります。テスターとはゲームの難易度や画面レイアウトなど、そもそもの仕様がおかしい箇所に対する妥当性を確かめる業務を担当します。実際に、仕様通りであるもののリリース後に問題になってしまうケースもあり得ます。いずれにせよデバッカーになるためにプログラムの読み書きなど特別なスキルが必要ない代わりに、それ相応の根気が必要な仕事であると言えます。また、仕事である以上は向き不向きがありますので、次はデバッカーに向いている人の特徴を3つ挙げていきます。

デバッカー適正その1

 1つ目は、やはり根気強い性格であることが求められます。ある程度、想像がつくかと思いますが、デバッカーは基本的に長時間にわたってモニターと向かい合うことになります。先ほど紹介したように、何パターンも同様の操作を繰り返すため、単純作業を根気よく気楽に進められる方には向いています。また、作業が順調であってもバグ自体があまり見つからない場合もありますので、自身のモチベーションを高く保っていられることも重要です。

デバッカー適正その2

 2つ目は、集中力があり切り替えが出来ることです。もともとデバッカーの仕事自体、ゲームデベロッパーやアルバイトでの求人が多く、基本的には定期的に仕事があるわけではありません。そのため、いざデバッカーの仕事が振られた時に、素早く気持ちを切り替えて地道な作業に対して集中できることが必要です。

デバッカー適正その3

 3つ目は、想像力が豊かであることが挙げられます。先に記述したように、デバッカーはあらゆる可能性を想定して様々なパターンを試していくことが必要とされます。プログラマー側としても、想定外の動作をデバッカーに試してもらうことで、プログラムがどのように動作するかを確認したい意向があります。柔軟な発想が得意な方はそういった想定外の操作などを思いつくことも多く、向いていると言えます。

まとめ

 繰り返しになりますが、デバッカーはプログラミングのような特別な知識などが必要ないものの、地道で根気が必要であり責任の大きい仕事です。単にゲームが好きであることを仕事に活かせるというわけでもありません。ただし、ゲーム関係のデバッカーは依然としてニーズが高く、IT業界初心者であってもデバッカーの業務を通じて実績を重ねていくことで、依頼が増えたり仕事が安定していくことも十分にあり得ます。また、デバッカーの業務を真剣に行うことでプログラミングの知識も増えていきます。特にデバッグの経験は、プログラムの内部を逆算するスキルにつながり、次第にバグが発生するケースをあらかじめ予測することも出来るようになります。精度の高いプログラムが組めることはプログラマーになってからも必要不可欠なスキルですので、プログラミングなどは出来ないものの、将来的にはIT業界を目指したいという方にもおススメの職業と言えます。

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