ICTの未来

ICTとは

ICTは「Information and Communication Technology(情報通信技術)」の略で、インターネットを活用した産業やサービスの総称のことです。ICTはITに「Communication(コミュニケーション)」という言葉が入っており、情報処理技術だけの事でなく、それを使っての意思疎通やサービスを指す言葉となっています。ITという言葉とはほぼ同義ですが、より詳しく違いについて解説していきます。

IoTとは

IoTとは「Internet of Things」の略で、モノがインターネットに接続されている事を言います。例を挙げるとスマートウォッチやスマートリングと言ったウェアラブルデバイスの他、スマートスピーカー、そして最近はスマート家電や家全体がIoTのスマートホームというものも登場しています。今後もIoTは車など多くの分野に進出していくことが予想されています。

そもそもこのIoTという考えは、90年代から提唱されはじめた「ユビキタス」という概念が始まりと言われています。ユビキタスの段階では、モノを通じて誰もがインターネットにアクセスすることを目的としていましたが、そこからさらに一歩進んだ考え方をしたのががIoTです。ICTと響きが似ているので同じようなものと誤解されることがありますが、意味は異なります。5Gの普及により超高速で低遅延の同時接続が出来るようになると、よりこのIoTの良さが活きてくると言われています。今回はICTについての記事なので詳しい説明は割愛しますが、これから人々の生活を大きく変える可能性のある技術なので、興味のある人は調べてみると良いでしょう。

ITとは

ITとは「Information Technology(情報技術)」の略のことです。ITをよくインターネットテクノロジーの略と勘違いしてる方が居ますが、正しくはインフォメーションテクノロジーの略です。このITという言葉が指す範囲は幅広く、PCやタブレットなどのハードウェアや、アプリケーションや業務システムのソフトウェア、インフラなど情報技術に関するもの全てを含んでいるため、ICTはITの一部とも言えるでしょう。なお、国際的にはICTという言葉の方が一般的になっています。日本でいうITの意味でICTという言葉が使われている場合もあります。

IoTとICTの今後のビジネス

パソコンやスマートフォンが生まれた時ビジネスは大きく変化しました。それと同じように、ICTとIoTの発展によりこれまでのビジネスから大きな変化が起きると予想されます。これまでICTやIoTと関わることなく事業を行ってきたところも避けては通れなくなるでしょう。

これからはいかに上手くICTやIoTを取り入れるかが他社との差別化になると予想されます。しかしながら、具体的なサービスは、現在我々が想像出来ないようなレベルで発展している可能性があります。なぜならば、技術の進歩は直線的ではなく指数関数的に成長していくと言われているからです。今から10~20年前にスマートフォンが当たり前の様に普及し、ほぼ無料で自由にアプリや電話や娯楽を楽しめる、といった世界を予測できた人はほぼいないでしょう。その技術の進化のスピード以上のスピードでこれからも進化は起きていきます。2045年には人間の知能を機械が超える技術的特異点(シンギュラリティ)が起きると言われています。オックスフォード大学の研究によると今後、人工知能によって労働人口の47%が機械に代替されるリスクが70%以上とも言われています。そんな中で、何もしなくてもビジネスが安定してこれまでどおり進んでいく、などという事は起きないのです。難しいからよく分からないと新しい変化を受け入れない企業や労働者は、今後淘汰されていくことが予想できます。

ICTの活用

ICTの活用例を想像してみても意外と浮かんでこない人が多いかもしれません。しかし、実はICTは現在すでに多くの場面で活用されており、CMなども流れています。これからその活用例について、どの様に役に立っているのか説明していきます。

教育

実は世界中の教育現場でもICTは活用されています。PCやタブレットを使って黒板での授業よりも分かりやすくしたり、図形などに動きをつけたりして活用されています。今までは授業で使うプリントを印刷して回して使っていましたが、皆がタブレットを持っていれば先生がpdfファイルを送信するだけで完了します。紛失する可能性も低いですし、プリントを配る時間も無くなって、効率的です。5Gによってリアルタイムで通信がスムーズに出来るようになれば、海外の子供達と遠隔で合同授業を行ったりもできるでしょう。残念ながら日本の教育は他国と比べてICTの導入が遅れている状況ではあります。コロナウイルスの感染拡大により休校が長期化していても、文部科学省は対面での指導以外に単位を認めないなどの姿勢もあります。教育も過去の慣習にとらわれず、柔軟に時代に合わせて変化していく必要があるでしょう。

高齢者見守りシステム

介護業界は深刻な人手不足が続いています。そんな中、ICTによって介護をする人の負担を減らすことができます。例えば、福岡市では「認知症高齢者探してメール」というシステムがあります。認知症の方が行方不明になってしまった場合、事前に協力してくれると登録してくれた企業に一斉メールを送信するというものです。そういったメールのシステム以外にも、そもそも認知症の方に発信機であるSANタグを持たせ、不用意に独り歩きしてしまったときにセンサーが感知するというシステムもあります。その後、位置情報がクラウドサーバーに送信されるので、捜索が容易になります。その他にもIoT技術を使って水周りや家電にセンサーを設置し、安否を家族に自動送信するなどのシステムもあります。そういった情報を医者や看護師や、ホームヘルパー、介護士、家族などで共有し、健康管理に役立てるといった活用法もあります。

これからは高齢化社会でより一層、介護や医者が必要となってきます。しかし、高齢化に加えて少子化も進んでいるため、慢性的な人手不足が解消されることは無いでしょう。そういった課題をいかにテクノロジーで解決していくかということがこれからは大切になってきます。この様に、ICTは人々の負担を減らしたり、安全を確保したり、人々の生活を豊かにしてくれる技術なのです。

熱中症対策

毎年、夏になると学生が熱中症にかかる話を聞きますが、そのような課題を解決するためにもICTは活用されます。センサーで温度、湿度、輻射熱を計測し、それを職員のタブレットで見える化します。そうすることによって、気温が上がった時に前もって対応することができたりします。このように見える化することによって様々な課題を解決しようとする動きも広まっています。視覚化の例をもう1つあげるとすれば、広島の宮島観光での混雑状況の見える化があります。各ポイントにセンサーやカメラを設置して、個人情報が特定できるものは削除してクラウドに情報を集約します。その後AIなどを活用し、混雑状況を視覚化します。このように、今まで見えていなかったものをICTで見える化するだけでも多くの課題が解決されるのです。

防災対策

ICTは防災対策でも活躍しています。総務省が発表した「平成23年度版 情報通信白書」という資料で「東日本震災に関する情報提供で重視したメディア・情報源」の調査結果を公表しています。その中では、NHKのテレビ放送の情報が80%、そこに次いで民間のテレビ放送の情報が60%ほど、そこからインターネットのポータルサイトの情報が40%強となっています。つまり防災の時もインターネットを使って情報収集をしていることが伺えるのです。その他にも、川の氾濫を予測する為にカメラとセンサーを設置して、集めた情報をwebサイトにて公開するといったものもあります。

このようにICTを活用して防災対策を行うことは世界にとって大切ですが、日本はより一層大切であると言えます。その理由は日本は津波、土砂災害、台風、地震などの災害が発生しやすい国土になっているのに加えて、今後30年以内の発生率が70%ほどと言われている南海トラフ地震があるからです。南海トラフ地震が起きた場合の被害額は最大で220~1410兆円と言われており、その被害金額は国のGDPの約41%を超える可能性が大いにあります。このように日本には潜在リスクが潜んでいると言われています。自然災害を止めることは難しいかもしれませんが、ICTなどの技術を活用して、少しでも被害を少なくする対策や工夫を施すことは出来ます。

まとめ

いかがだったでしょうか。これまでICTとは何かといった説明から、ICT、IT、IoTの違いについて、また具体的な活用例についても解説していきました。自分にはよく分からないから知る必要はない、と言った考えではなく、テクノロジーを積極的に受け入れることで解決できる課題があるかもしれないという気持ちでいることが大切でしょう。そうすれば熱中症、認知症患者の事故、災害対策など、人の命を助ける事にもなるのです。

日本では未だに、はんこの文化が残っていたり、電子決済ではなく現金決済、資料を送る時にpdfファイルでなくFAXや郵送、紙の教科書と対面授業以外認めない、など昔からの慣例をなかなか変えられない所があります。無思考でそれを受け入れるのではなく、新しいものを受け入れることが大切です。効率化をして楽をする事は悪いことではなく、むしろ技術の進歩を受け入れて、より便利で幸せな暮らしをしていくべきです。ICTを知ることがその暮らしを始めるための1つのきっかけとなれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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