完全マネージド型のファイルストレージを提供するAmazon FSx for Windows File Server

はじめに

Amazon FSxには、2種類あります。

  • Amazon FSx for Lustre:高性能ワークロード向け
  • Amazon FSx for Windows File Server:ビジネスアプリケーション向け

本記事では、後者について解説します。

Amazon FSx for Windows File Serverとは

Amazon FSx for Windows File Serverは、業界標準のサーバーメッセージブロック(SMB)プロトコルを介してアクセスできる、信頼性の高い完全マネージド型のファイルストレージを提供するサービスです。

Amazon FSx for Windows File Serverの利点

Windows Serverに構築

Amazon FSx for Windows File Serverは、Windows Server上に構築された完全マネージド型のストレージを提供することで、以下のような管理機能を提供しています。

  • エンドユーザーファイルの復元
  • ユーザークォータ
  • アクセスコントロールリスト(ACL)

Windows ServerのSMBプロトコルのネイティブサポートにより以下のことができます。

  • Windowsベースのアプリケーションが完全に互換性のある共有ファイルストレージにアクセスする
  • OSに関係なく、全てのアプリケーションまたはユーザーがストレージにアクセスする

シンプルでフルマネージド型

AWS マネジメントコンソール、AWS CLIまたは、AWS SDKを使用することで、完全マネージド型のファイルシステムを、1つもしくは複数のAZ間において数分で簡単に作成することができます。また、堅牢なバックアップを自動で実行します。AWS DataSyncを使用すると、Amazon FSx for Windows File Serverへのファイルデータの移行が簡単かつ迅速に行うことができます。つまり、以下のことが必要なくなります。

  • ファイルサーバーとストレージボリュームのセットアップやプロビジョニング
  • データのレプリケート
  • ファイルサーバーのソフトウェア更新や修正
  • フェイルオーバーとフェイルバックの管理
  • 手動によるバックアップ

クラウド内の最低コストのSMBファイルストレージ

Amazon FSx for Windows File Serverは、ファイルストレージの管理に要する時間とリソースを削除する完全マネージド型サービスです。最低料金や初期費用は不要で、高可用性で耐久性のあるSMBファイルストレージを、GB/月あたり0.013USDから利用できます。ファイルシステムの起動や削除に要する時間は数分程度です。

高速かつ柔軟なパフォーマンス

Amzon FSx for Windows File Serverは以下の性能によって、高速なパフォーマンスを実現できます。

  • ファイルシステムあたり数GB/秒のスループット
  • 数十万のIOPS
  • ミリ秒未満のレイテンシーを維持

さらにDFS名前空間を使用すると、上記の性能は数百PB全体で、

  • 最大で数十GB/秒のスループット
  • 数百万のIOPS

パフォーマンスをスケールアップすることができます。

また、コストやパフォーマンスを最適化して、ワークロードのニーズを満たすことができます。

  • SSDストレージタイプ
  • HDDストレージタイプ

上記のどちらかを選択でき、ファイルシステムのサイズに依存しないスループットレベルを選択できます。

安全性とコンプライアンス

ユーザーのデータが確実に保護されるように、下記のことが行われています。

  • 安全対策とコンプライアンスを多層的に実施
  • 保管中および転送中のデータを自動的に暗号化

Amazon FSx for Windows File Serverは、最高レベルの安全基準を満たすように設計され、ISO、PCI-DSS、SOC認証を順守していることが認定しており、HIPAAに準拠しています。

その他の機能について以下に示します。

AWS CloudTrailと統合

APIコールのモニタリング、記録が行われ、ユーザーがAmazon FSx for Windows File Serverリソースで行ったアクションを確認することができます。

オンプレミスのMicrosoft Active Directory(AD)およびAWS Microsoft Managed ADと統合

ユーザーアクセスをコントロールすることができます。

幅広いアクセス方法

SMBプロトコルをサポートしているため、ファイルシステムを次のものに接続できます。

  • Amazon EC2、VMware Cloud on AWS、Amazon WorkSpaces、Amazon AppStream 2.0インスタンス
  • Amazon FSx for Windows File ServerがサポートするOS
  • Windows Server 2008、Windows 7移行の全てのWindowsバージョン
  • LinuxとMacOSの最新バージョン

また、下記についてもサポートされています。

  • AWS Direct ConnectあるいはAWS VPNを介したオンプレミスアクセス
  • Amazon VPCピアリング接続
  • AWS Transit Gatewayを使用した複数のAmazon VPC、アカウント、リージョンからのアクセス

Amazon FSx for Windows File Serverのユースケース

ホームディレクトリ

最大数十万人のユーザーのアクセスに対応可能なファイルシステムを作成し、ファイルもしくはフォルダレベルでパーミッションを設定できます。また、AWS DataSyncを使用して、既存のホームディレクトリの共有ファイルをAmazon FSx for Windows File Serverへ簡単に移動することができます。

リフトアンドシフトWindowsアプリケーション

Amazon FSx for Windows File Serverは、アプリケーションがファイルシステムで必要とする、互換性のあるWindowsの機能とパフォーマンスを実現することができます。

  • Microsoft AD統合
  • 自動バックアップ

上記のような機能をもつ完全マネージド型のWindowsファイルストレージを提供することで、ユーザーはファイルベースのアプリケーションをAWSへ簡単に移行させることができます。

高可用性Microsoft SQL Serverのデプロイメント

マルチAZファイルシステムオプションにより、完全マネージド型のファイルストレージを提供し、エンタープライズライセンスを必要とせずにビジネスクリティカルなMicrosoft SQL Serverデータベースワークロードを実行するために櫃負うな高可用性と耐久性を実現します。

Amazon FSx for Windows File Serverは、以下のことを行います。

  • 自動的にデータの複製とフェイルオーバーを処理
  • コストを削減しながら共有ストレージを簡素化
  • データベースのデプロイメントをホスト

メディアワークフロー

メディアのトランスコード、プロセス、ストリーミングといったワークフローが必要とする、高いスループットと低いレイテンシーを備えた共有ファイルシステムをユーザーに提供します。

ウェブ配信とコンテンツ管理

Amazon FSx for Windows File Serverは、何千ものインスタンスから同時にアクセス可能なファイルシステムを提供しています。そのため、以下のようなワークロードに適しています。

コンテンツ管理やウェブ配信向けのアプリケーション(Microsoft ISSやWordPressなど)は、複数のウェブやコンテンツサーバーが同じファイルにアクセスする必要があるため、共有のファイルストレージを使用する

データ分析

高いスループットと低いレイテンシーを備えたスケーラブルなファイルシステムを提供するAmazon FSx for Windows File Serverを使用することで、以下のようなデータ集約型の分析ワークロードの実行が可能です。

  • ビジネスインテリジェンス
  • データ可視化アプリケーション

Amazon FSx for Windows File Serverの開始方法

マウントまでの流れを示します。

  1. Active Directoryの作成
  2. Amazon FSxファイルシステムの作成
  3. Amazon EC2インスタンス用のIAMロールの作成
  4. Amazon EC2インスタンスの作成
  5. Amazon FSxファイルシステムをWindowsインスタンスにマウント
    1. Amazon EC2インスタンスで作成したWindowsインスタンスにRDPで接続
    2. ドメインの認証情報を利用してログイン(パスワードはActive Directory作成時のもの)
    3. Amazon FSxファイルシステムの状態が「Available」の後、「Attach」を選択
    4. ファイルシステムをマウントするためのコマンド(net use)が表示される
    5. Windowsインスタンスでコマンドプロンプトを起動し、net useコマンドを実行
    6. マウントの完了

まとめ

本記事では、Amazon FSx for Windows File Serverの利点やユースケース、開始方法について解説しました。こちらのサービスによって、安全性が高く、アクセス方法が幅広いファイルストレージが提供され、ユーザーは、その豊富な機能を利用することで、ワークロードのニーズに合わせたコストとパフォーマンスの最適化や、データ重複除去によるコストの削減を図ることができます。

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