Amazon Connect(アマゾンコネクト)とは

はじめに

突然ですが、あなたはコールセンターと聞いてどんなイメージが浮かびますか?私は、OLさん達が仕切りの付いたテーブルのコンピューターと電話機が並んだところで、お客さんと電話のやり取りをしている、というイメージです。今回、Amazon Connectを調べていくうちに、そのイメージが崩されました。もし、あなたが私と同じようなイメージをお持ちなら、きっと今と昔のコールセンターは違う、と感じるでしょう。

Amazon Connectとは

Amazon Connectはオムニチャネルクラウドコンタクトセンターです。オムニチャネルとは、一つの商品を実店舗だけでなく、オンラインやテレビ通販、カタログ通販、SNSなど、どのような接点からでも買えるようになっている問い合わせ窓口のようなもののことです。Amazon Connectはクラウド上に設置することで、コールセンターの開設コストを最小限に抑え、簡単でスピーディーでお手軽にCTI(コンピュータ電話統合)を構築するサービスです。

メリット

設定、変更が簡単

コンタクトフロー、スタッフの管理や業績指標の管理もドラッグ&ドロップで簡単に作ることが出来、GUIで視覚的に分かりやすく、設定や使用が非常に簡単です。カスタム開発の様に設定や変更に何か月も掛かることは無く、難しいコーディングも必要ないまま設定が出来るので時間の節約、コスト削減につながります。

オープンプラットフォーム

Salesforceなど顧客関係管理(CRM)ソリューションやプラットフォームなどの他のシステムと簡単に統合できるので、CRMをより良いものに出来ます。

コストのカット

クラウド上にコールセンターを設置するので、高価な専用機器などを購入しなくて済みます。また、月額制でなく、分単位で利用した分だけ課金され、長期契約や前払い金も不要です。料金は容量、スタッフの数、メンテナンスの大小に関係なく支払われるので、従業員が多いから、容量を多くとっているから、AWSに多く支払わなければならないということはありません。

また、ソフトフォンを使用していることもコスト削減では大きな点です。ソフトフォンとは、PCに専用のソフトをインストールしてインターネット回線を介して通話ができるというものです。よって専用の機材、ハードウェア電話と統合スペースを確保する必要が無くなります。

セキュリティと拡張性

AWSリージョン(地理的に離れた領域が接続されること)内の複数のアベイラビリティゾーンを使用することによって、耐障害性が実現できました。また、必要に応じて拡張、縮小することが可能です。

システム連携

Amazon Connectは様々なシステムと連携をとることが出来ます。ここではどのような連携が行われるか、ご紹介いたします。

通話録音

顧客のとのやり取りをAmazon S3に保存します。

AWS Lambdaとの連携

AWS Lambdaの機能を呼び出して、顧客に関する情報を取得します。対応フロー内で暗号化された顧客による入力と、その他の外部結合を送信可能です。

ストリーミング

エージェントイベントと問い合わせトレースレコードは、Amazon Kinesis Data Streamsまたは、Amazon Kinesis Data Firehoseを使用して、サポートされている任意のデータリポジトリ(データを一元に格納する領域)にストリーミング可能です。

テキスト読み上げ

AIを搭載したAmazon Pollyを使用して、テキストの音声読み上げが可能です。

CRMとの連携

CCP(Contact Control Panel)で主要なCRMツールやアプリケーションとの連携が出来るよう、統合ライブラリをサポートしています。

導入例

ここではAmazon Connectを導入したことでどんなメリットがあったか、顧客の導入例をご紹介します。

株式会社イープラス(e+)の声

イープラスは抽選方式で販売するチケットの当選結果を自動音声応答(IVR)システムにAmazon Connectを採用し、Amazon Pollyと組み合わせて3か月でサービスインしました。従来のIVRシステムと比べて、初期導入、運用、電話対応いずれにおいても90%以上のコスト削減が実現できました。通常、IVRシステムは開発や修正をベンダーに依頼しなくてはならないのですが、Amazon Connectなら自社内のエンジニアで対応し、開発全体を限られた期間内でコントロールできます。コンタクトフローも作りやすく、AWSで稼働しているシステムとの連携も容易であることから、作業負担も削減できると考えました。サービスイン以降、電話が集中する抽選結果発表後も、オンプレミスで稼働していた従来のIVRシステムと同等のサービスレベルを維持できており、読み方の難しい固有名詞などはあらかじめ固定音声を割り当てるなど工夫したこともあり、違和感のない日本語で案内出来ているそうです。

デメリット

日本では既存の電話番号の移行が出来ない

現在、Amazon Connectでは日本の電話番号の移植はサポートしていないのが、惜しい点です。電話番号を取得するにしても「050」「03」「0120」「0800」の4つのプレフィックス番号からなので、東京以外の市外局番は使えないところも惜しいです。また、東京の「03」のプレフィックス番号の取得リクエストを送信する場合は、電話番号が付与されている都市と一致する住所が文書に記載されている、政府発行の有効な身分証明書(マイナンバーカード、パスポート、運転免許証など)を提出する必要があるので、ご注意ください。

おわりに

いかがだったでしょうか。Amazon Connectのお蔭で、現在のコールセンターは無駄な機器が必要なく、コストも削減でき、AWSの様々なサービスと連携させることで顧客満足度の向上に貢献していることが分かって頂けたのではないでしょうか。また、Amazon ConnectはAIによる音声分析サービスを行っており、顧客とエージェントのやり取りを文字に起こしたり、翻訳、分析した情報を画面に表示することでエージェントをサポートしてくれます。AWSの顧客に限らず、最近ではAIによるチャットでの問い合わせを取り扱う企業も増えてきました。今はまだ、行間を読む、察するという人間特有の表現をカバーできないにしても、今後、人間の負担を減らしてくれるのは確かでしょう。以上、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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