クラウドエンジニアの基礎

クラウドエンジニアとは

 まず、クラウド(クラウド・コンピューティング)とは、「インターネット等のネットワーク経由でサービスを提供する形態」のことを指します。もう少し分かりやすくすると「目の前のパソコン内のみでデータの管理を行うのではなく、ネットワークで繋がっている先にデータが存在している状態」と言えます。そして、クラウド上のネットワーク構築や保守等を担う、クラウドに精通したエンジニアの事をクラウドエンジニアと呼びます。また、クラウドサービスとは、第三者のサーバ上でシステムを構築することができるサービスであり、現在世界で最も高いシェアを獲得しているクラウドサービスはAWS(Amazon Web Services)です。名前を聞いたことがある方もいらっしゃるかと思います。そもそも、クラウド技術が普及する以前は、アプリケーション開発やサーバ構築に必要なハードウェアを、全て自前且つ自社で管理するオンプレミスが主流でした。しかし、クラウドサービスの登場により、自社のインフラ環境をクラウド上に構築することでシステム構築の手間やコストの削減が出来るようになる等、大きな恩恵を受けました。また、「社内外問わずにアクセスができる」点や「離れた場所にいる相手とも作業が共有化できる」など様々なメリットがあることからもインフラ環境のクラウド化が急速に進んでいます。

クラウドエンジニアの業務

 昨今、ネットワークの通信速度が速くなり、クラウドを利用したシステムやコンテンツの開発が一般的となっているため、クラウドエンジニアの需要は高まっています。では、クラウドエンジニアが実際に行う業務や、求められるスキルにはどういったものがあるのでしょうか。まず、主な業務は「クラウドを使用したネットワークの構築及び保守を行うこと」です。そして、そういったクラウドエンジニアとしての業務を遂行するためには、クラウドの知識や技術はもちろんのこと、クラウドがどういったものなのかを理解しシステムを構築及び運用していく必要があるため、様々な経験が必要です。例えばネットワークシステムの構築を行うにあたってはネットワークエンジニアとしての経験が必要になります。その他、インフラエンジニアとしての経験を持っていることによって、より一層クラウドエンジニアとして活躍できる機会に恵まれます。必要なスキルは多種多様ですが、今回はその中でも特に必須だと思われるスキル及び経験を5つに絞って紹介します。

5つの必須スキル

 当然のことながらまずは、①「クラウドに関する知識やスキル」が必要です。前述のとおりクラウドを利用したシステムやコンテンツの開発が一般的となっているため、今後は特にクラウドに精通している必要があります。続いて②「サーバの知識および経験」です。クラウドエンジニアになるためにはサーバの知識や構築経験は必ず役立ちます。というのも、未経験からクラウドエンジニアを目指すことはあまり一般的ではなく、サーバエンジニアとしての経験を積んだ後、クラウドエンジニアを目指すようなキャリアパスが自然ではないでしょうか。そういった意味でも、まずはサーバエンジニアとして経験を積むことが必要です。③「ネットワークの知識や経験」も豊富である必要があります。繰り返しになりますが、主な業務が「クラウドを使用したネットワークの構築及び保守」ですので、ネットワーク上の不具合対応や保守に対する知識をもっていることがクラウドエンジニアとして活躍するためには欠かせません。したがって、ネットワークエンジニアとしてのキャリアからクラウドエンジニアへのアプローチを行うことも可能です。④「ミドルウェアやツール等の知識や経験」も必要です。システム構築を行う際にはミドルウェアやソフトウェアなどを設定してシステムを組み上げていきますので、ミドルウェアやツールに関する知識もクラウドエンジニアを目指すにあたっては必要な知識です。⑤「マネジメントやコンサルタント経験」も、クラウドエンジニアとして働きたい場合には欠かせないスキルと言えます。クライアントがイメージしているシステムの構築を行うためには、クライアントの要望や抱えている問題点をヒアリングし、的確に対応するためにもコンサルタントとしての知識が必要となります。クラウドエンジニアになるためには、上記した以外にも多くのスキルや知識が必要であり、並大抵以上の努力が欠かせない職種と言えるかもしれません。

まとめ

 上記で一部紹介したようにクラウドは決して簡単ではなく、幅広い知識や経験など、技術の発展に合わせたスキルアップが必要であるため、IT知識が全くない状態でクラウドエンジニアに転身することは難しいかと思います。一方でクラウド市場の拡大に伴って、クラウドに強いインフラエンジニアやクラウドエンジニアが多く求められる中で、現実的には「クラウド対応が出来るエンジニア」の数は大きく不足している現状です。業界自体のエンジニア不足も顕著であり、依然としてチャンスのある職種であることは間違いありません。また、クラウドエンジニアはデータベースエンジニアやセキュリティエンジニアのように、特定技術を有するITスペシャリストに分類され、需要が高い一方でエンジニア数も少ないため平均年収も高い傾向にあります。実際に未経験求人も比較的多く見つけることができるため、これからIT業界を目指す未経験の方であってもクラウドに特化した技術を身につけることでクラウドエンジニアを目指すことは充分可能でありそうです。

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