AWSのGlacierとは?その読み方と概要について

AWSのGlacierとは?その読み方と概要について

AWS(Amazon Web Service)といえば何を思い浮かべるでしょうか。クラウドストレージサービスであるS3を思い浮かべるの人も多いのではないでしょうか。今回はS3の中でも長期保存向けのサービスであるAmazon S3 Glacier(グレイシア)について紹介しています。

そもそもAmazon S3とは?

Amazon S3(Simple Storage Service)とはAWSのクラウド型のオブジェクトストレージサービスです。オブジェクトストレージとは、オブジェクト(ファイルなど)単位で出し入れが可能なストレージです。各地の物理的なデータセンターに分散して保存されていることで障害に強かったり、オブジェクト単位でのバージョンを残すことが出来たりと、メリットが多いです。その反面、S3にオブジェクトを入れてしまうとS3のなかではファイルの内容を変更したり追記したりといった操作はできません。一旦S3から外部へ取り出し、変更または追記をしてまたS3へ入れるといった動作が必要となってきます。しかし、出し入れは即時に反映されるので煩わしさは感じられません。

Amazon S3 Glaceir(グレイシア)の特徴

S3は即時出し入れ可能でそして安価なクラウドストレージとして注目されていますが、Amazon S3 GlacierはAWSのデータストレージの中でも使用頻度の少ないファイルを長期的に保存するためのサービスとなっています。「氷河」という意味の「Glacier」が名前になっていることの理由もこれでお分かりいただけたと思います。

低コストで利用可能

Amazon Glacierは、従量課金制のストレージサービスになります。ストレージの料金は 1 GBあたり 0.004$/月からとなっており、S3の0.019$/月と比べると非常に安価で利用できます。またセットアップ料金も不要となっています。

高い耐久性

Amazon S3 Glacier は、平均年間耐久性が 99.999999999% となるように設計されています。これはS3と同様であり、データは、1 つの AWS リージョン内で地理的に分離された少なくとも 3 つの物理的アベイラビリティゾーン(AZ)にまたがって自動的に分散されます。またAWS アベイラビリティーゾーンに保存されたデータは、各 AZ では複数のデバイスに保存されます。Amazon S3 Glacier では耐久性を高めるため、アップロードが正常に実行されたことを確認する前に、データが複数の AZ で同期的に保存されます。また、Amazon S3 Glacier では、体系的なデータ整合性チェックが定期的に実施されるほか、自己修復を自動的に行うように設計されています。

Amazon S3 Glaceir(グレイシア)の構成要素

アーカイブ

アーカイブとは、長期保管する情報のまとまりです。Amazon S3 Glacier では、データは「アーカイブ」に保存されます。 アーカイブでは、写真、ビデオ、文書などのあらゆるデータが構成可能であり、1 つのファイルをアーカイブとしてアップロードしたり、複数のファイルを 1 つの TAR ファイルまたは ZIP ファイルに圧縮して 1 つのアーカイブとしてアップロードしたりできます。保管できるデータの総量とアーカイブの数の制限はありませんが、個々アーカイブとしては、サイズ制限が 40 TB 以下までとなっています。1 回にアップロードできるアーカイブの最大サイズは 4 GB です。また長期保存を目的とした仕様となっているので、アーカイブはアーカイブIDという一意の番号によって管理されており、アーカイブID、そしてアーカイブに入れたファイルは変更不可能となっていることに注意が必要です。また、アーカイブを削除するには、Amazon S3 Glacier REST API または AWS SDK を使用して、アーカイブ ID を指定する必要があります。

ボールト

ボールトはコンテナとしてアーカイブを Amazon S3 Glacier にまとめてグループ化することができます。Amazon S3 Glacier ではボールトを使用してデータを整理していきます。アーカイブとは違いボールトは自分で作成し、自由にアーカイブを移動させたりすることができます。またボールト単位で保管するデータを、AWS Identity and Access Management (IAM) サービスを使用してユーザーごとに権限を設定することもできます。また、ボールトにはタグを付けて、リソースとコストを効果的に管理することができます。タグはユーザーが定義し、ボールトに関連付けることができるラベルです。タグを使用すると、例えば組織の複数の部門ごとにボールトをフィルタリングすることで、S3 Glacier のコストと使用を割り当てることができます。またボールトは1 つのアカウントで、1 リージョンあたり最大 1,000 個まで作成でき、柔軟な保存・管理を行うことができます。

料金について

Amazon S3 Glacier ではAWSの他のサービス同様、セットアップ料金、つまり準備に必要な料金はありません。そしてストレージは従量課金制となっており、アップロード、つまりアーカイブ化する時と使用しているストレージの量に合わせて支払うことになります。アップロードにかかる料金は1,000リクエストごとに0.05$となっています。使用ストレージに対する料金はストレージの月全体の平均に基づいて計算されます。

アップロードしたアーカイブの数が 100,000 で、個々のサイズが 1GB ならば、ストレージの合計は次のようになります。各アーカイブのサイズは、アップロードされたデータの量に 32 KB を加えて計算されます。この加算分は、インデックス登録とメタデータ(例えばアーカイブの説明)の分です。一例を挙げると

アーカイブ 1 つ当たり 
1.000032 GB x 100,000 アーカイブ = 100,003.20 GB

これらのアーカイブを 1 か月間保管すると、請求額は次のようになります。
100,003.20x 0.004$ = 400.01$

注意点として、アーカイブは最低でも3カ月保管することを前提としており、3カ月未満でデータを削除した場合には、たとえ1か月目で削除した場合でも3カ月分の料金を払わなければなりません。

データ取り出しの際にはAmazon S3 Glacier では無料利用枠で 10 GB を提供しています。それ以降の取り出しの料金は、1 GB あたり 0.01 USD とリクエスト 1,000 件あたり 0.05 USD が課金される単一従量制料金となっています。そして、データを取り出す際には標準で3~5時間かかってしまうことに注意が必要です。

終わりに

いかがでしたでしょうか。S3と比べてみると、アーカイブのIDは変更することができず、データの取り出しは頻繁に行うことはできません。しかし企業で管理している削除できないデータの中でも、仕様頻度のあまりない大容量のデータをAmazon S3 Glacier に移すことで企業の物理的なストレージの有効活用につながる事でしょう。またS3との連携もサポートされていますので、すでにAWSを利用されている方なら尚更、データ管理の手段の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。

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