信頼性の高いDBを使って効率的な開発を実現。AWS Lambda、EC2、MySQLを使った開発とは?

クラウド、サーバーレスを活用した開発が発展中

近年のクラウドコンピューティングサービスは発展の一途を辿っており、様々な場面で活用されています。DBの構築やアプリケーションの開発もその1つで、これらは様々なサービスの組み合わせで実行されています。

それらのサービスの中でもAWSが提供しているLambda、EC2、さらにMySQLといったデータベースは特に人気のあるクラウドコンピューティングサービスです。これらのサービスを組み合わせることで、開発者は様々なメリットを享受しています。

クラウド、サーバーレスコンピューティング活用のメリット

クラウドやサーバーレスコンピューティングを活用するメリットとしてはどのようなものがあるのか見ていきましょう。

まず最初に考えられるメリットは、スケーラビリティが確保できるということです。サーバーレスコンピューティングを使う場合、アプリケーションの機能に応じて自動的にスケールアップやスケールダウンを実行することができるので、初心者でも柔軟にリソースを管理できます。リソースやデータの管理という観点で言えば、世界中でユーザーシェアが高いMySQLを使うことで、先進的なリレーショナルデータベースシステムを構築することが出来ます。MySQLは初心者にも扱いやすいデータベース管理システムとして有名ですし、AWS上でも利用可能なのでサーバーレスコンピューティングとの相性もよく、組み合わせることでデータベース管理がより容易になります。

コスト面では、例えばLambdaはイベントごとの課金、つまり使用した分だけに料金がかかる従量課金制であるため、リソースの無駄が少なく、初心者でも予算に合わせた開発が可能です。

インフラとセキュリティに関しても、AWSは世界トップクラスのインフラ堅牢性と高いセキュリティ基準を持っており、この点でも初心者に優しい仕様です。インフラやセキュリティの専門知識がなくても、AWSの持つインフラやセキュリティを使えるので、安心して開発を進めることが可能です。何よりも、クラウドベースでの開発を行うことが可能になれば、AWS上のリソースに対してどこからでもアクセスできるようになります。そのため、開発チーム間のコミュニケーションや業務コラボレーションに流動性が生まれ、業務が円滑に回るようになります。

このように、クラウドベースのサーバーレスコンピューティングを活用することで、初心者でも簡単かつ効率的に開発を進めることができます。なお、AWSは豊富なドキュメントやチュートリアルなどの豊富な学習リソースも提供しているので、初心者でもじっくりと知識を身につけることができます。

クラウド、サーバーレスコンピューティングで使われる用語

ではここで、クラウドサービスやサーバーレスコンピューティングに関して使われることが多い用語について一度整理して理解していきましょう。

データベースとは?

データベースとは情報を保存するための仕組みのことです。つまり、データベースはコンピュータにおける情報の保管庫のようなもので、様々な種類の情報を保存することができます。

例えば、図書館が書籍を管理するために紙のカードを使って本の情報を整理するように、デジタル情報でのデータベースも同じように情報を整理して保存することができます。データベースに保存される情報は、顧客情報、製品情報、注文情報、在庫情報など、様々なものがあります。

データベースを利用すると、情報を効率的に管理できるだけでなく、情報の検索、更新、削除、追加が簡単になります。例えば、ある企業が顧客情報をデータベースに保存している場合、顧客情報を検索したい場合は、名前や住所などのキーワードを入力するだけで、その顧客の情報を簡単に見つけることが可能になります。

また、データベースを利用することで、複数の人が同時に情報を編集することができます。複数の社員が在庫情報を編集する必要がある場合などは、データベースを利用することで「誰が何を編集したか」を管理し、情報の整合性を保つことができます。

「情報を保存するための仕組み」であり、様々な種類の情報を効率的に管理し、検索、更新、削除、追加することができるもの。なおかつ、企業の顧客情報や在庫情報など、身近な情報が保存されているものがデータベースだということになります。

MySQLとは?

データベースとは、すでに説明したように「情報を組織的に保存するための仕組み」のことです。データベースには様々な種類がありますが、一般的には「関係データベース」がよく使われています。

MySQLはその関係データベース管理システム(RDBMS)の1つで、多くの場合はWebサイトやアプリケーションのデータを格納するために使用されます。MySQLはオープンソースのデータベース管理システムで、高速で信頼性が高く、大量のデータを管理することができるため高い評価を得ています。データベースには、複数のテーブルがありますが、それらのテーブルには複数の列と行があります。MySQLは、これらのテーブルの作成、操作、更新、削除などを行うことができます。

データベースとMySQLは同じものとして語られることもありますが、実際にはMySQLがデータベースの一種であることを覚えておく必要があります。データベースはあくまでも情報を保存するための大規模な仕組みであって、MySQLはその仕組みを実現するためのシステムの1つです。

初心者の場合、データベースとMySQLについて理解するためには、まず、データベースの基本的な概念である「テーブル、列、行」について理解することが大切です。また、データベースとテーブルの作成、データの挿入、更新、削除などのMySQLの基本的な操作を学ぶことも必要になります。プログラミング言語と連携して使用されることも多いため、プログラミング言語との連携方法も学ぶと、より実践的な知識を身につけることができます。

EC2とは?

Amazonのクラウドコンピューティングプラットフォーム=AWSではさまざまなサービスを提供しています。その中の1つが、EC2(Elastic Compute Cloud)です。

EC2は、ユーザーが「インスタンス」と呼ばれる仮想マシンを作成し、そのインスタンスをカスタマイズしてアプリケーションを実行することができるクラウド上のコンピューティングリソースです。これにより、ユーザーは自分のニーズに応じて、仮想マシン=インスタンスのスペック(CPU、メモリ、ストレージ)やネットワーク設定、セキュリティグループを選択できます。

EC2の利用は、主に「Webサイトやアプリケーションのホスティング」「高負荷のアプリケーション実行」「データ処理やバッチ処理」「開発」の4つの場面で推奨されます。

EC2は、安定したインフラを提供できるため、Webサイトやアプリケーションをホストするのに適しているからです。また、負荷が高い場合でも、オートスケーリング機能を利用してリソースを追加・削減できるため、パフォーマンスが維持されます。そのため高負荷のアプリケーション実行にも耐えられます。効率的なリソース管理もできるため、EC2は大量のデータ処理にも適しています。開発プロジェクトにおけるテスト環境の構築や運用も簡単にできるので、EC2を開発で活用することも一般的になっています。

EC2を使えばWebサイトやアプリケーションを簡単にインターネット上で公開し、24時間365日運用することができます。開発やテストに必要な仮想サーバーを簡単に作成・削除でき、新しい機能を試すために本番環境と同じ環境のテストサーバーを立ち上げることも可能です。

EC2は、大量のデータ処理や突発的なトラフィックに対応するために、スケーラブルなリソースを迅速に追加・削除できる機能を持っています。そのため、複数のサーバーを立ち上げて並列処理を行うことで、大量の画像ファイルを一括でリサイズすることが可能です。また、キャンペーンやプロモーションなどでアクセスが急増した場合でも、EC2のオートスケーリング機能により自動的にサーバーが追加され、スムーズなサービス提供が続けられます。

Lambdaとは?

AWS Lambda(ランダ)は、AWSが提供するサーバーレスコンピューティングサービスです。サーバーレスとはサーバー管理やメンテナンスを気にせず、コードの実行にだけフォーカスできる状態を指します。

誤解されやすい点としては「サーバーレス=サーバーを使わない」ということではない、ということです。ここで言う「サーバーレス」というのは「自社にサーバーを保有し保守・運用する必要がない」という意味で、いわゆるオンプレミス環境のサーバーではなく、クラウド上の仮想サーバーなどを使ったコンピューティングサービスがサーバーレスコンピューティングサービスである、ということです。

Lambdaを使う目的は、アプリケーションやシステムに機能を追加するためのコードを実行することです。Lambdaは、自動的にスケーリングし、実行中のコードのリソース管理も行います。これにより、開発者はインフラストラクチャーの設定や管理に時間を費やすことなく、コードの開発に専念できます。

Lambdaで実行できるコードを「Lambda関数」と呼びます。これらの関数は、他のAWSサービスや外部サービスからのイベントに応じて自動的に起動されます。例えば、ファイルがS3バケットにアップロードされた時や、API Gatewayからのリクエストがあった時などです。

Lambdaを使うメリット

Lambdaを使うメリットをいくつかご紹介しましょう。まず、「サーバーレス」であることで、サーバー管理や運用を気にせず、コードの実行に専念できることがあげられます。オンプレミスのサーバーを保有する場合は、サーバーエンジニアやインフラエンジニアなどを確保する必要があり、人件費が必要です。サーバーレス化することでそれらの管理運用コストを開発に使うことができます。

トラフィックの増減に応じて自動的にスケーリングされることもメリットとしてあげられます。Lambda関数はサーバーレスであるため、必要なリソースが自動的に割り当てられます。トラフィックが増加すると自動的にスケールアップし、トラフィックが減少すると自動的にスケールダウンします。これにより、ユーザーの需要に応じてリソースを最適に利用することができます。なお、ユーザーが手動でスケールアップ/ダウンする必要はありません。

Lambdaを使って実現できることは他にもあります。例えば、画像や動画の自動変換、データの分析や加工、バックエンドのAPI処理などが挙げられます。Lambdaを使うことで、開発者は機能の実装に集中し、インフラストラクチャーの運用や管理の手間を軽減できます。

コスト面でのメリットも大きく、Lambdaの使用料は従量課金制で、実際に実行された時間やリソースの使用量によってのみ課金されます。そのため、月額で固定化された費用になるわけではなく、使わなければその分のコストを他の開発リソース確保などに回すことも可能になります。

 

Lambda, EC2, MySQLを使った効率的なアプリケーション開発

ここまで解説してきたように、クラウドコンピューティングは、現代のアプリケーション開発において欠かせない存在となっています。AWSは豊富なサービスと信頼性の高さから広く利用されており、Lambda、EC2、そしてMySQLがクラウドコンピューティングを活用した開発の主要コンポーネントです。

クラウドコンピューティングを活用した開発の流れを簡単にご紹介しましょう。

使用する主要コンポーネント

様々なイベントソース(S3バケット、API Gatewayなど)と連携が可能で、柔軟な処理の実装が可能です。また、言語サポートも充実しており、PythonやNode.jsなどの人気言語が利用できるLambdaを使用します。サーバーはスケーラビリティやセキュリティが高く、様々なインスタンスタイプやオペレーティングシステムから選択でき、用途に応じた最適な環境を構築できるEC2を使って仮想サーバーを構築します。これにより、過剰なリソースを確保することなく、負荷分散を実現できます。

データベースは、アプリケーション開発において重要な役割を担います。AWSでは、Amazon RDS (Relational Database Service) を利用して、MySQLなどのリレーショナルデータベースを簡単にセットアップできます。

実際の流れ

EC2インスタンスを作成した後は、必要な設定を行いSSHキーを作成します。次に、EC2インスタンスに接続し、必要なソフトウェアをインストールします。さらに、RDSでMySQLデータベースを作成し、セキュリティグループを設定してEC2インスタンスからの接続を許可します。

EC2のインスタンス上でアプリケーションのソースコードを開発し、必要に応じて外部ライブラリやフレームワークをインストール。MySQLへの接続設定を行い、データベースを操作するコードを記述します。次に、AWS Lambdaを使用してサーバーレス関数を作成し、関数のランタイム、メモリ、タイムアウト設定を行い、EC2やMySQLと連携するためのIAMロールを設定する必要もあります。最後に、Lambda関数のコードを開発し、EC2やMySQLとの連携を実装することで、開発工程は終わりです。

このように、Lambda、EC2、MySQLを組み合わせたアプリケーション開発では、非常に効率的な開発や運用が可能です。Lambdaを使ってサーバーレス機能を実現することで、リクエストごとの処理を柔軟に行えますし、EC2インスタンスはバックエンド処理を担当し、MySQLデータベースはデータ管理を行うという役割分担も明確になります。これらのサービスをうまく活用することで、効果的なアプリケーション開発を行うことができます。

 

まとめ

ここまで、クラウドサービス、サーバーレスコンピューティングを活用した開発の事例や、これらの技術を活用するメリットについて具体例をあげながら解説してきました。AWS上でアプリケーション開発を行う際の主要なコンポーネントであるLambda、EC2、MySQLは、それぞれが独自の利点を持っています。サーバーレスで効率的なアプリケーション開発を実現するLambda、スケーラブルでセキュアな仮想サーバー環境を提供するEC2、そして簡単かつ効率的なデータベース管理が可能なMySQL on Amazon RDS。これらのサービスを組み合わせることで、クラウド時代のアプリケーション開発はさらに効率化され、開発者はより迅速に、より安全なアプリケーションを構築することができます。AWSを活用して、最適なアプリケーション開発環境を構築し、イノベーションを加速させましょう。

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