オンプレミス環境もそのまま活かせる?価格は?VMware Cloud on AWSについて調べてみた

はじめに

ここ最近、顧客へのサービス提供を行うフロントエンドシステムをパブリッククラウド環境を前提に構築されるケースが増えてきました。
この流れが、オンプレミスな仮想基盤環境で構築されていた社内システムについても起こりつつあるのですが、いくつかの課題もあり、活用に至るまでのスピードが遅いという状況となっています。
そこで、Amazon Web Services(AWS)では VMware Cloud on AWSという従量制の価格体系となっているサービスを提供し、オンプレミスからAWSへの移行や利活用が可能な環境を実現できるようにしています。

社内システムのクラウド化への課題

オンプレミスな仮想基盤環境で構築されていた社内システムのクラウド移行を行うにあたり、どのような事が課題となっていたのでしょうか。

仮想マシンの再構築が必要

VMware vSphereで構築された社内システムが稼働する仮想マシンですが、そのままAWSに移行して使用できるものではありません。
VMWare vSphereで提供されている、ハイパーバイザーやアーキテクチャはAWSのそれとは異なるものとなっています。

ネットワークや帯域などの制約

社内システムは、単独ではなく複数のシステムによって構成されているケースがほとんどです。
単に一部のシステムのみをAWS環境に移行させてしまうと、オンプレミス環境とAWS環境間とのネットワーク通信に著しいボトルネックとなってしまう可能性があります。
仮にボトルネックが生じないよう、社内システムを一気にAWS環境に行う事は多大な作業負担が生じる事にも繋がり、何より非常にリスクの高いものとなってしまいます。

ポータビリティの著しい低下を招きかねない

一度AWS環境に構築した社内システムを、何らかの事情で再度オンプレミス環境に戻さなければならない場合は仮想マシンを作り直す必要があり、更に作業負担が増す事になります。

VMware Cloud on AWSの登場

オンプレミス環境からAWS環境下への移行、オンプレミス環境の再利用を容易に実現するサービスとして、VMware Cloud on AWSが提供されるようになりました。

サービスの特徴

VMware Cloud on AWSはAWS環境下にあるベアメタル環境にて稼働する、VMwareソフトウェアベースのクラウドサービスとなり、2018年11月以降東京リージョンでも利用可能になりました。
VMwareが提唱するSDDC(Software-Defined Data Center)という形で提供され、インフラ領域についてはVMware、AWSの管理下で運用されています。
VMware Cloud on AWSには以下の特徴があります。

オンプレミス環境からの仮想マシンの移動が容易

VMware Cloud on AWS はAWS環境下でVMware vSphereを動かしているので、オンプレミス環境にある仮想マシンを実行できます。
VMware HCXというL2延伸機能や拠点間vMotionを可能にする技術も導入されており、IPアドレスの情報を保持したまま、vSphere5.5以上で動作している仮想マシンをオンプレミス環境からVMware Cloud on AWS上を自由に移動させる事が可能となります。
VMware Cloud on AWSからオンプレミス環境に仮想マシンを戻す際にも、新たに仮想マシンを構築する必要はありません。

同一リージョン内のインスタンスとの高速通信が可能

VMware Cloud on AWSとAWS環境下の同一リージョンとの間は、Elastic Network Interface(ENI)によって25Gbpsの高速通信ができるようになっています。
これにより、オンプレミス環境からよりもはるかに高速な通信が可能です。

導入する事で実現できるもの

VMware Cloud on AWSの導入で、以下のような事が実現できます。

災害発生時などでの継続性(クラウドDRの実現)

オンプレミス環境にある環境と同一のものを構築しデータ同期を行う事で、自然災害発生時などでオンプレミス環境がダウンしたとしても、VMware Cloud on AWS上のデータを利用して業務を継続させる事が可能となります。

柔軟なリソース調達(クラウドバースト)

オンプレミス環境にてリソースが不足した際、稼働している仮想マシンの一部をVMware Cloud on AWSへ移動させてクラウド側のリソースを使用する事も可能となります。

クラウド環境へのスムーズな移行(クラウドシフト)

業務停止を伴う事無く、オンプレミス環境の仮想マシンのクラウド環境への移行をスムーズに行う事が可能です。
クラウド環境への移行を行う事によって、システムとしての柔軟性なども高まり、結果として運用コストの軽減にも繋がります。

VMware Cloud on AWSの利用価格

VMware Cloud on AWSの利用価格はサービスの利用毎に発生する従量制を採用しています。
課金については以下の通りです。

・ホスト利用料
・オプション利用料
・ネットワーク利用に関する利用料

ホストの利用価格

ホストの利用価格には、従量課金とサブスクリプション(1年、3年)が設定されています。
参考価格としては以下のようになります。

・従量課金 約1,000万円/ホスト
・サブスクリプション(1年) 約700万円/ホスト
・サブスクリプション(3年) 約1,500万円/ホスト

※あくまでも参考価格なので、利用契約などによって変わる可能性があります。

オプションの利用価格

オプションの利用価格には、以下のようになります。

・ストレッチクラスタ 約100万円/ホスト
・Site Recovery(1年分) 約3万円/仮想マシン

※上記にはハードウェアや関連するデータセンタの管理機器の利用料や保守メンテナンス料、VMware製品のライセンス及びサポート料、データセンタ利用に伴う料金が含まれます。
※あくまでも参考価格となるため、利用契約などによって変わる可能性があります。

ネットワークの利用価格

データ転送やElastic IPの利用条件はAWSのそれと同様です。
データ転送は原則送信に対して課金されます。

まとめ

いかがだったでしょうか。
オンプレミスの仮想環境で構築されたシステムをより柔軟かつ容易に利用が可能となるVMware Cloud on AWS、移行における負担軽減にも大いに役立つものとなります。
システムの刷新を進めていくべきかどうか等の参考材料のひとつとなれば幸いです。

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