Amazon Linux とは
はじめに
AWS※1を利用してサーバーの構築を検討する際に、どのOSを使用するかは非常に重要な課題となります。選択できるOSにも色々な種類があり、一般的なOSをみてみると、Windowsサーバーであれば「Windows Server 2019」や「Windows Server 2016」、Linuxサーバーであれば「Ubuntu」や「Debian」、また「CentOS」あたりがよく使用され有名です。今回はその中でも特に Amazon EC2※2 上で今最も人気があるOS※3「Amazon Linux」についてまとめていきます。
Amazon Linux とは
Amazon Linux※4 とは、AWS により提供、およびサポートと保守が行われている LinuxOS です。現在では、Amazon Linux AMI とその次世代バージョンにあたる Amazon Linux 2 が提供されております。主に Amazon EC2 で Linux ベースのアプリケーションを構築する際に使用されます。
Amazon Linux の特徴
Amazon Linux には、主に次のような特徴があります。
- ・AWS の他サービスに接続するモジュールが最初から入っている
- Amazon Linux には、AWS でサービスを運用するために必要なパッケージや設定が事前に入っています。また、そもそもが Amazon EC2 上で使用することを想定した設計となっているため、AWS と非常に相性が良く、安全、かつ、高性能で安定した実行環境となります。
- ・Amazon EC2 ユーザーには追加料金なしで提供
- CentOS と同じく無料で提供されております。
- ・AWS のサポートが受けられる
- AWS サポートに加入することで、Amazon Linux のインストールと使用についてサポートを受けることができます。また、これによって AWS 全体にわたる広範囲かつ詳細な技術的サポートも同時に受けることができます。
- ・RedHat 系の Linux ディストリビューション
- Amazon Linux は RedHat 系の Linux ディストリビューションです。その為、CentOS や RHEL と使用感は似ています。例えば、パッケージの管理は RPM(RedHat Package Manager) を扱うことができる yum コマンドで行います。ちなみに、Amazon Linux AMI は RedHat 6 がベース、Amazon Linux 2 は RedHat 7 がベースだと言われてます。
- ・セキュリティと保守のアップデートを継続的に提供
- 「緊急」または「重要」と見なされるセキュリティアップデートに関しては、AMI の初回起動時に自動的に適用されます。また、定期的な更新で最新のコンポーネントが追加されます。
上記の他にも、リモートルートログインの無効化や、重要ではないパッケージのインストール数を減少する設定により、セキュリティが強化されています。
まとめ
Amazon Linux の特徴についてまとめてみました。Amazon Linux は AWS との連携が容易である点が最大の特徴です。その為、明確に CentOS 用のパッケージを使用したい、といったような要件が無い限りは、基本的に Amazon EC2 上であれば Amazon Linux を選んでおいて問題は無いでしょう。
<注釈>
※1 … AWS について
「AWS(Elastic Compute Cloud)」とは、Amazon.com 社が提供しているクラウドサービスを指します。ネットワークを通じてコンピュータシステムやその機能を従量制で提供しており、仮想サーバやハードディスクなどのインフラを提供するIaaS(Infrastructure as a Service)、アプリケーションソフトの稼働環境を提供するPaaS(Platform as a Service)、ネットワーク経由で活用できるソフトウェアを利用するSaaS(Softwar as a Service)のそれぞれについて様々なサービスが用意されています。
※2 … Amazon EC2 について
「Amazon EC2(Elastic Compute Cloud)」とは、Amazon.com 社が提供しているレンタルサーバーサービスを指します。Amazon Web Service(AWS) を構成するサービスの一つで、利用者はインターネットを通じて同社で稼働しているコンピュータ上に構築された仮想サーバを遠隔から操作し、オペレーティングシステムやアプリケーションソフトを自由に選択して導入、運用することができます。また、自らのソフトウェアを実行し、独自のオンラインサービスを構築することもできます。
※3 … Amazon EC2 上で今最も人気があるOS
Amazon EC2(Elastic Compute Cloud) 上のOSを対象としたThe Cloud Marketの最新調査結果より(2020/4/6時点)。この情報から、1位は「Amazon Linux」でインスタンス数はおよそ42万5000、2位は「Ubuntu」で39万2000、3位は大きく離れて「Debian」の18万5000となる。
※4 … Amazon Linux AMI のサポート期限
Amazon Linux AMI については、標準サポートは2020年12月31日をもって終了となり、以降はメンテナンスサポート期間(2023年6月30日までの予定)に入ります(2020/4/6時点)。その為、Amazon Linux AMI の次世代バージョンである Amazon Linux 2 の使用が強く推奨されております。セキュリティの観点からも、これからサーバーを構築する、もしくは現在 Amazon Linux AMI を使用しているのであれば、Amazon Linux 2 の使用を検討した方が良いでしょう。