Amazon Cloud9の基本

はじめに

今回はプログラミング開発を行う際に必要とされる開発環境の中でも、様々な場面で導入されているAWS Cloud9について基本的なことやメリットを説明します。

AWS Cloud9とは

プログラミング言語を使って開発を行うにはIDE(統合開発環境)が欠かせない存在です。IDEとは、テキストエディタやコンパイラ、デバッガ、FTP機能など、開発を行う際に必要となる機能がまとめられたツールのこと。通常IDEは、プログラミングを行うパソコンにインストールし、それぞれ設定変更などを行って使うことが一般的です。そのため、別のパソコンではプログラミングができないもしくは再度設定などを行わなければならないという不便さがありました。AWS Cloud9はブラウザから使える、無料のクラウド型のIDEです。従来のIDEとは違い、インストールの必要もありませんし、ブラウザさえあればどのパソコンからも同じ環境でプログラミングを行うことが可能になります。IDE(統合開発環境)としての機能が充実しており、GitHubやHerokuといった他のツールとの連携もスムーズに行えます。これまでのIDEにあった不便さを解消してくれる、とても便利なサービスです。また、基本的には無料で使うことができるのも良さのひとつです。元々はCloud9でしたが、2016年7月にAmazon.comに買収されてAWS Cloud9になりました。

特徴

十分な機能を備えたエディタ

AWS Cloud9 には、プロジェクトの作成、実行、およびデバッグを容易にするブラウザベースのエディタが組み込まれています。入力時には、コード補完とコードヒント候補がエディタに表示されるため、コードの高速化とエラーの回避に役立ちます。コード補完は、ファイル内の識別子だけでなく、標準ライブラリにも基づいています。エディタでは、ビューを完全にカスタマイズすることもできます。簡単なドラッグ&ドロップ操作で任意の方向にパネルを調整できます。

幅広く選択できる実行設定

AWS Cloud9 は、JavaScript、Python、PHP、Ruby、Go、C++ など、40 以上のプログラミング言語とアプリケーションタイプをサポートしています。Cloud9 では、デフォルトの実行設定から選択するか、環境変数、ファイル名、コマンドラインオプションなどを指定してカスタム設定を定義できます。

統合デバッガー

AWS Cloud9 には統合デバッガーが付属しており、ブレークポイントの設定、コードのステップ実行、PHP、Python、JS/Node.js、C/C++ アプリケーションの変数の検査など、よく使用される機能を提供しています。

サーバーレス開発のための統合ツール

AWS Cloud9 では、サーバーレスアプリケーションコードの使用開始、記述、およびデバッグのための統合されたエクスペリエンスが提供され、サーバーレスアプリケーションを簡単に構築できます。Cloud9 開発環境には、サーバーレスアプリケーション開発に必要な SDK、ツール、ライブラリがあらかじめパッケージ化されています。Cloud9 は Serverless Application Model (SAM) もサポートしているため、Cloud9 で SAM テンプレートを使用すると、サーバーレスアプリケーション用のリソースを簡単に定義できます。さらに、Cloud9 では、AWS Lambda 関数をローカルで編集してデバッグできるため、デバッグのためにコードを Lambda コンソールにアップロードする必要はありません。

共同編集とチャット

AWS Cloud9 では、開発環境をチームと共有できます。これにより、チーム内の複数の開発者が、お互いのタイプとペアプログラムを同じファイル上で積極的に見られるようになります。Cloud9 を使用すると、組み込みのチャット機能を使用して、IDE を離れずにチームと通信できます。

組み込みのターミナル

AWS Cloud9 は、管理対象の Amazon EC2 インスタンスに対する完全な sudo 権限を持つターミナルを備えています。コード変更の git push、コードのコンパイル、サーバーからのコマンド出力の表示などのコマンドを実行できます。ターミナルには事前認証済みの AWS コマンドラインインターフェイスがインストールされているため、AWS のサービスをコマンドラインから直接、簡単に制御したり操作したりできます。

メリット

インストール不要

上で説明してようにAWS Cloud9はクラウド型のIDEです。それぞれに合わせたインストールの必要がないので、すぐに開発業務を始めることが可能です。また、開発環境の基本的なセットアップもAWS Cloud9が行ってくれます。通常IDEのセットアップを一から行うと非常に面倒なので、それが始めたばかりの方にとっては大きなハードルになっていました。AWS Cloud9では、プログラミング言語を選択するだけで、自動でセットアップまで済ませてくれます。手間だった開発環境の構築をすることなく、プログラミングだけに集中することができるのです。

多数の言語に対応している

AWS Cloud9で使用することのできる言語は多数あります。主に対応言語は以下の通りになっています。

  • HTML/CSS
  • JavaScript
  • Python
  • PHP
  • Ruby
  • Go
  • C++

機能が豊富

IDEとしての機能は豊富はもちろんのこと、GitHubやHerokuなどの大手ツールと連携が可能です。またリビジョン機能(変更の履歴 )や共有機能が標準でついています。

料金

AWS Cloud9自体には料金は発生しません。無料での利用が可能です。しかし利用する際にはAWSのサーバーが必要となるのでAmazon EC2との契約しなければならず、サーバー使用料が発生します。Amazon EC2に関しましては、最初の1年間は1ヶ月あたり750時間の無料利用枠が設けられているので、1つのワークスペース(開発環境)だけであれば 24時間立ち上げっぱなしにしても無料の範囲内で使えます。AmazonのAWS公式サイトには自分のシステムにはどれくらい料金が掛かるか、計算できるツールがあるので利用する前に確認することができます。

注意点

Amazon Cloud9自体は無料で使用できるものですが個人や企業で使用する場合は小さな部分でも注意点があります。

インターネット接続が必要

クラウド上でのサービスのため、インターネットに接続できる環境でないと使用ができません。また一部ではAWS Cloud9のスペック上の問題でPC環境で実行するよりも動作が遅くなる可能性があります。

従量課金制

Amazon Cloud9自体は新規アカウント作成から12ヶ月の期間、月間750時間まで無料利用枠で利用可能ですが、サーバーとなるAmazon EC2は従量課金制(使った分だけ費用がかかる)をとっています。企業で使用する場合は無料期間を過ぎてもある程度の課金には問題ないですが、個人で使用する場合は無料期間の終了と同時に課金が始まります。Amazon Cloud9では30分利用がなかったら、自動でOFFにするなど設定があるのでそちらを使ってみるのがいいでしょう。

AWSを学習してからの利用

AWSは多くのサービス提供しているため、よく理解していない状況で使用してしまうとセキュリティや費用面で問題が発生してしまいます。実際に使用する場合はある程度使用するサービスについては学んでからの利用がおすすめです。

まとめ

如何だったでしょうか。Amazon Cloud9について簡単に説明しました。上記でも記述した通りAmazon Cloud9は無料で使用できます。Amazon EC2も無料期間がありますので、ある程度学習した後は実際に触れていくこと重要です。クラウド上で利用できる新しい総合開発環境であるAmazon Cloud9をぜひ体験してみてください。

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