AWS IoTのエンタープライズボタンの使い方と料金について

Amazon Dashボタンと形状がほぼ同じ、AWS IoTエンタープライズボタン。このボタンさえあればAmazonで商品を注文していただけの機能から自分で実現したいことの機能を設定できるようになりました。ここでは、このボタンの使い方と料金についてお伝えしていきます。

AWS IoT エンタープライズボタンとは?

AWS IoT エンタープライズボタンとはAmazon Dashボタンをベースに設計されたAWSとモノをつなぐことができるAmazonが発売しているデバイスです。ボタンを押すことで商品の注文や家電スイッチのオン・オフ、鍵の解錠、タクシーの配車など様々なことができます。エンタープライズというだけあり、冒険的な企てができるボタンであることは間違いないでしょう。

AWS IoT エンタープライズボタンの使い方

AWS IoTエンタープライズボタンの使い方はボタンを押すだけで設定した処理を実行してくれますが、押し方を変えると最大3パターンの設定を1つのボタンで処理することができます。ボタンを「クリック」「ダブルクリック」「長押し」の3パターンです。

例えば、帰宅時に「クリック」することで家中の電気をつけ、「ダブルクリック」することで浴槽にお湯を張り、「長押し」で家中の電気を消す。

また、自宅で介護をしている方はナースコールとして利用することもできます。「クリック」でトイレのサイン、「ダブルクリック」で気分が悪いサイン、「長押し」で空腹のサインをそれぞれ通知することもできます。

ここに挙げた例はあくまでも一例で、他のWebサービスと組み合わせることで独自のシステムを構築することも十分可能です。AWS IoTエンタープライズボタンは使い方次第で数百、数千、数万通りもの新しいサービスを生み出していくデバイスになるでしょう。

電池交換は可能か

AWS IoTエンタープライズボタンを分解してみると、中には電池がセットされていますがバッテリーはありません。このボタン自体に充電機能はなく、電池交換もできない仕様になっています。ではボタンがどのくらいの期間使用できるのかというと、おおよそ2000回のクリックで寿命が尽きると言われています。電池が消耗したら、新しいAWS IoTエンタープライズボタンを購入するしか今のところ方法はないそうです。

冒頭でAWS IoTエンタープライズボタンはAmazonで購入できるとお伝えしましたが、電池が消耗するとその都度購入ということになりそうです。

料金体系

以前販売していたAmazon Dashボタンは1個500円で、500円分のクーポンが使用できたため実質無料でした。一方、AWS IoTエンタープライズボタンはというと、1個2500円で購入可能となっています。

Amazon Dashボタンと比較すると料金は高くなりますが、その分、自由にプログラミング可能でアイディア次第ではとてもコスパの良いサービスを生み出すこともできます。

AWS IoTエンタープライズボタンを利用するには実はボタンの料金だけではないということに注意してください。

AWS IoT 1-ClickAWS LambdaといったAWSのサービスと連携することでAWS IoTエンタープライズボタンは機能します。そのためサービスの料金が必要になります。いったいどれくらいかかるのだろう・・・と不安になられるかもしれませんが、無料利用枠があるのでそこまで費用はかからないでしょう。

詳しくはAWSの公式サイトに譲りますが、使用のために先払いで料金を支払うことはなく、基本的には従量課金制だと認識しておけば問題ないでしょう。

AWS IoTに接続可能な1-Clickデバイス

AmazonではAWS IoTエンタープライズボタンの他にAWS IoTに接続可能な1-Clickデバイスが複数あり「AWS Seeed IoT ボタン」「AT&T IoT ボタン」「SORACOM LTE-M ボタン」の3つがあります。ただし、米国のみ、日本国内のみ、といった制限もありますので、現状としては導入を検討されているようであれば、AWS IoTエンタープライズボタンが妥当だと思います。使い方はネット上に数多く転がっているため、問題解決に時間を要することが比較的少ないことは容易に想像できるでしょう。

活用事例10選

上記にいくつか活用事例を挙げましたが、すでに先人たちがエンタープライズボタンを使用し活用していますので、その活用事例を10個ご紹介したいと思います。エンタープライズボタンは便利そうだけど実際に使うとなると何をしようかと迷われている方にとっては参考になると思います。

活用事例その1〜明日弁当いらない〜

毎日作ってくれるありがたいお弁当。でもありがたいだけに『明日弁当いらない』と言いづらかったりもします。また、言い忘れてしまった・・・なんてこともあるでしょう。そんなときこそボタンをクリックしメールやLINEで送信設定しておけば、『明日弁当いらない』と伝え忘れることがありません。ダブルクリックすることで「感謝の気持ち」を送信することも可能です。

活用事例その2〜勤怠連絡(今日、会社休みます)〜

朝目が覚めると、「起き上がれないほど体調が優れない。職場に欠勤の連絡しないといけないけど、連絡するのも正直つらい・・・」、そんなときに体調が悪いのに欠勤の連絡をするのって億劫だったりします。そこで、枕元に設置していたボタンを押すだけで、職場に『今日、会社休みます』の欠勤の連絡ができます。社内で使用しているチャットツールや社内メールに送信されるように設定しておけば、ボタンをクリックするだけで簡単に欠勤連絡が完了します。

活用事例その3〜赤ちゃんのトイレ記録〜

子どもの成長はあっという間です。成長記録として写真、動画に収めるのも良いですが、記録表をつけてデータを残しておくのはどうでしょうか。ボタンを3パターン設定して、「大、小、体調不良時」のように設定しておき、その都度ボタンを押すことで、スプレッドーシートなどに日時、回数、大小などの種類を記録することができます。これは体調管理にも使えるので実用的です。

活用事例その4〜安心、お知らせ通知〜

心配性な奥さん(旦那さん)のために、会社に到着したらワンクリックを押すことで到着を知らせる連絡を。帰宅時はダブルクリックで「今から帰るよ」の連絡。残業が確定したら長押しすることで「今日は残業です」とLINEやメールを送る手間が省けて、なおかつ心配性な奥さん(旦那さん)にお知らせ通知ができます。

活用事例その5〜タイムカード〜

使い方としては1人1台のエンタープライズボタンになります。出勤時、休憩時、退勤時にボタンを押し、そのデータを自動で集計しておけば、毎月の勤怠管理も楽にできます。

活用事例その6〜呼び出しベル〜

呼び出しベルとして現実的に使えるでしょう。飲食店などでベル代わりに使用したり、親が働きに出ていて子どもがいつ帰宅しているか把握したい場合、子どもが帰宅した際にボタンを押すことで帰宅したことを通知したり。常に子どもにボタンを持たせて何かあった場合の防犯ベル代わりに。また、親の介護をしている方はナースコールのように使うこともできます。特にスマホなどの操作が難しい方にとってはボタンを押すだけで人を呼んだり、連絡ができるのはとても使い勝手が良さそうです。

活用事例その7〜迎えに来て〜

呼び出しベルと同じような使い方になりますが、学習塾に行っている子どもの授業が終わったら、「授業が終わったから迎えに来て」とボタンを押すだけで通知ができます。まるでタクシーのようですが、設定次第ではタクシーの配車も可能です。いちいち電話をしなくてもボタンを押せばタクシーが送迎してくれます。

活用事例その8〜鍵の閉め忘れ防止〜

外出時の気になることの1つに「鍵の閉め忘れ」があります。それを防ぐために、外出する直前にボタンを押すことで、10秒後など指定した時間のあとに鍵を自動でロックするように設定することが可能です。また同時に家の電気をOFFにする設定をしておけば、外出時に電気を消したか、鍵の閉め忘れがないかといった確認作業が不要になります。

活用事例その9〜理解度チェック〜

学生時代、授業中に手を挙げることや、わからないことを先生に伝えることが苦手ではありませんでしたか?特に小学生になったばかりの子どもにとって、授業はわからないことばかりでしょうし、不安もいっぱいあると思います。そのため、授業についていけているのか先生は把握しておく必要がありますが、コミュニケーションが上手く取れないこともあるでしょう。そこで、子どもたちにボタンを押してもらうようにします。

授業の内容がわかったら1回、わからなかったら2回と、理解度のチェックができます。また、そのデータを親も共有することで、わからなかった内容を自宅で復習することも可能です。

活用事例その10〜設備停止の理由把握〜

大きな製造工場では最先端の設備が導入されていることもあるでしょうが、ほとんどの工場は最先端の設備はなかなか導入できないものです。そのため、設備が停止したときや設備トラブルが起こったときに、調査する手間と時間が取られることがあります。設備の停止理由がすぐにわかれば対処しやすいはずです。普段から現場作業員が設備停止理由を記録しておけば良いのですが、紙や端末の入力作業は現場作業員にとっては煩わしいものです。そこで設備の停止理由ごとにわけたボタンを設置しておけば、現場作業員はストレスフリーになり、さらにはデータも自動で集約するように設定しておけば、日頃から設備の管理もできるので一石二鳥です。新しい設備を導入するよりも圧倒的に導入コストを抑えられるため、製造工場でのエンタープライズボタンの導入はかなり実用的だと思います。

活用事例【番外編】

  • 投票ボタン

複数のボタンを使うことで投票システムにも使えます。投票用紙に使う小さく切った紙を用意することや、ホワイトボードを用意する必要もありません。毎回議題に沿って事前に設定しておけば、投票の開票は一瞬で完了します。

  • 幹事ボタン

ボタンを押せば、参加者を集めてその人数分の予約をし、予約の日時や店の情報を通知するということをすべて自動で完了させることも可能です。実際に実践されている方がいるので参考にしてみてください。

→検索ワード:全自動幹事ボタン

以上、実用的なことからそうじゃないようなことまで紹介してきましたが、これこそ自由にIoT化ができる醍醐味ではないでしょうか。一見無駄と思えることから素晴らしいアイデアやサービスが生まれたりするものです。エンタープライズボタンはカスタマイズは何度でも自由にできるのでここでご紹介した活用事例を参考にされるもよし、新たなアイデアを試してみるもよし。エンタープライズボタンを使ってIoT化を目指しましょう。

まとめ

ここまでAWS IoTエンタープライズボタンの使い方と料金についてお伝えしてきましたが、Amazonはアップデートするのが非常に早い企業です。日々情報が更新されるほどのスピード感があります。Amazon Dashボタンは売上が低迷していたわけではありませんが、わずか3年程度で販売を終了しました。これはAmazonがDashボタンの購入データを分析した結果、顧客の購入傾向を把握したため、次なるステップへと進むために過ぎません。これからますますIoT化が進みます。Amazon Dashボタンは日用品がなくなりそうになったらボタンを押すことで注文が可能でした。しかし、今後はボタンを押さなくてもモノが勝手に判断して自動で注文するようになるでしょう。

AWS IoTエンタープライズボタンでは自分で好きなようにIoT化を実現できるので、興味があればぜひ導入してみてください。

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